Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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どうもお久しぶりです。

まずは投稿が大幅に遅れた事にお詫びを申し上げます。言い訳ではありますが、実生活ですが、春より新しい年度に変わったという事で色々とドタバタしており、考える暇もございませんでした。すみません。

さっき申しました事の30%は嘘です。今まで指摘されてきた物を自分なりに整理をしていたという事です。まぁ、忙しかったのは本当なんですがね。

ということで続編を書きました。只今、別編というか、戦術機から離れたマブラヴ作品を考えております。ですが、平行して投稿するつもりは今のところございませんので、ご了承ください。ですが、こんなこと言っても、自己満ですがね。


episode 5

シュミレーションでは最深層付近まで接近したところで、BETA群に襲われた。前衛をヴァルキリーズの代わりに一時的に受け持っていた第3中隊が広間を埋め尽くす何十万ものBETAに圧倒されてF層9広間で全滅。その後、主広間まで続く横坑でF層9広間の残存BETA群と偽造横坑からのBETAの増援で後方配置の第2中隊が全滅した。

結局、脱出できたのは第1中隊、ヴァルキリーズだけだった。

そもそも、結果が見えていたシュミレーター演習だったが、一般衛士の中隊がフェイズ6の最深層まで到達できた事は評価に入るとみちるはデブリーフィングで言った。ヴァルキリーズの直接的な支援は少々あったものの、指令だけヴァルキリーズが出し、それに従い最深層まで到達したことが評価だと総合評価に出た。確実にXM3の性能は評価されていっている。

現に、横浜基地攻防戦では殆どの部隊は全滅したものの、XM3搭載機しかいない横浜基地は従来のOSでの同じ戦闘を想定した場合では、かなり時間を稼げたと言っても過言ではないらしい。

シュミレーター訓練は昼を越して午後2時48分にヴァルキリーズのハイヴ脱出を確認してから訓練が終了した。

支援ありだと余裕を持って戦える事が十分に分かった。支援無しで突入した桜花作戦よりも遥かに楽だったのだ。武は改めて兵站や補給路の大切さを噛み締めた。

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「夕呼先生ッ!今朝の演習を組み込んだのは、先生ですよね。」

 

武は訓練後のデブリーフィング後に、休憩せず夕呼の副指令執務室のドアを開けるなり叫んだ。

武は今回の訓練に訓練前に説明された内容では理解も承認もましてや意図も全く分からなかった。多分、みちるや中隊全員がそうだろう。連隊規模に再編成されるA-01の後継部隊であるオルタネイティヴ第六計画戦術機甲特別攻撃部隊に関しても明日部隊に通達があると言っていた。そこから考察するとそれぞれの長であるみちる、水月、美冴にもそれなりには感づいているのだろう。

 

「えぇ?何のことかしら。でも今は忙しいから後にして頂戴。」

 

ドアを開けて確認せずに武は夕呼に訴えたが、仕事をしているのは部屋に入って武が最初の一声を上げた後だった。

夕呼はいつも机に山積みになっていた印刷物よりも遥かに超える書類が積み上げられていた。連隊の編成についてだという事は武にも安易に想像は出来たが、それだえの資料にしてはいくらなんでも多すぎる。オルタイネイティヴⅣの遂行中は夕呼の机の上の資料は見える範囲だけならオルタネイティヴ関連の物ばかりだった。それ以上に何を調べているというのか、武には全く検討もつかなかった。

 

(白を切るつもりだな。夕呼先生......。)

 

武はそう思った。だがその反面、この大隊での連携を訓練に加えても疑問に思えない点がいくつかあった。

甲21号作戦ではほぼ独立した状態での作戦だったが、凄乃皇の存在を知られている今は凄乃皇を隠す必要が無いからだ。凄乃皇の重要度からしてみれば、中隊での護衛でも少ないと武は思っていたが、護衛にA-01以外に部隊を付けれなかった理由がそれだった。なので、専属の護衛部隊を付けなくても何処かから引き抜いた部隊とA-01との混合部隊でも何も問題ないということだ。凄乃皇の重要度からしてみれば、中隊での護衛でも少ないと武は思っていたが、護衛にA-01以外に部隊を付けれなかった理由がそれだった。

武は忙しい夕呼の仕事を止めてまで聞くことは無いと思い、夕呼の部屋を出て行った。

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夕呼の部屋を後にして、今日の訓練が終わってしまったからやる事が無く、ただフラフラと歩くことしか出来なかった。だが、あることを思い出した。

 

(純夏があのシリンダーの部屋で寝てるんだっけ?)

 

脳と脊髄にされた純夏が入れられていたシリンダーのある部屋。夕呼は実験室と呼んでいたが、何処に実験の要素があっただろうか。世界転移をする為の装置も夕呼が呼んでいた実験室というところにあったから、一応実験室ではあったのか、と武は考えながら廊下を歩いていた。今武が歩いているのは、横浜基地衛士訓練学校がある場所。正確にはあった場所だ。今は鍵が閉められ、新兵の訓練も行っていない。夕呼の部屋を出てからフラフラしていたが、どこかの掲示板に『横浜基地衛士訓練学校、新兵募集』などといった張り紙がされていたところを考えると、現実的に答えるならば出来る予定だ。こんな状況で、しかも防衛線の3つ後ろにある基地。周りには民間人の住んでいるところがない地域にある横浜基地には誰が志願するのだろうか。相当物好きでない限り入らないだろうと武は考えていた。

 

(そういえば、何で冥夜たちはここの衛士官訓練学校に入ったのだろうか。)

 

武はシリンダーのある部屋へ向かいながら、ふとそんなことを考えた。何故、冥夜たちが廃墟に囲まれた横浜基地併設の衛士訓練学校に入学した訳。

武は考えていてもしょうがないと思い、別の考えるべき事柄について考えだした。

 

(桜花作戦後に機能停止した純夏は、何で今更再起動をかけるなんて言い出したんだ?)

 

それは、みちるから聞いた新設部隊配属の時に聞かされたし、『この世界』に来た時に夕呼にも言われていた。

武は『この世界』に来てからの記憶を辿った。

オルタネイティヴⅥに凄乃皇四型を使うということは、凄乃皇のメインコンピュータである00ユニット、鑑純夏の存在が絶対的に必要になってくる。再起動には夕呼だけでも可能だが、その後の調整は純夏が思いを寄せる人物、白銀武にしか出来ないという事はオルタネイティヴⅣでも嫌というほど分かっていた。BETAに対する敵意と憎悪しか無かった純夏の心に人間の心を入れれたのは武だけだった。

武はオルタネイティヴⅣの繰り返しだと考えていた。純夏は桜花作戦帰還後に機能を停止していた。その際に記憶などが全て飛ぶという事が分かっていた。という事は、オルタイネイティヴⅣでシリンダーに入っていた脳と脊髄を00ユニットに移植したのとほぼ変わらない状況ではないかと考えた。だが、それより後のことはどういった観点から考えても自分の納得行く持論を立てるに至らなかった。

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武は夕呼の部屋を出てから3時間も基地の地下施設内を考え事をしながら歩いていた。結局、聞きたいことも聞けず、純夏についても謎のまま、考えることを止めた。武の腹時計は夕食の時間だと知らせているかのように音を鳴らした。

PXに向かう道中には、復旧が追いついておらず、BETAの小型種によって隔壁が食い破られたり壁面が崩れていてその部屋が使えなくなっているような状態のところもあった。除染は終わっている様子ではあったが、所々小型種掃討作戦にて討伐する際に体液を撒き散らしたシミが取り切れていないのだろうか、壁面がうっすら赤くなったままだった。

通る区画の廊下全てに工兵が隔壁の工事をしていて稀に機材が通行を拒んでいた為、遠回りして目的地まで進むしかなかった。

ある区画に差し掛かり、情報や通信などの外側とのコミュニケーションを図る設備の密集した区画に入った時、近くで作業をしていたある工兵に武は呼び止められた。

 

「白銀少尉とは貴方の事ですか?」

 

その工兵は袖で汗を拭いならが話し掛けた。

どうやら廊下の隔壁の硬化剤がほとんど撤去できて、隅にしか残っていなかったので息抜きに話し掛けたのだろうと武は考えた。

 

「そうですが、どうしました?」

 

この基地内で知らない兵士に話しかけられるのは不思議には思わなかった。桜花作戦や横浜基地が襲われた後、いろいろと区画を回っては京塚のおばちゃんの手伝いをしていたからだ。

 

「昨年基地がBETAに襲われた際は、基地を守っていただきありがとうございます。基地内に進入された際にも特殊兵器?でBETAを集めて撃破されていたようで。」

 

「いや。お礼を言われるような事は。第一、BETAの進入を許してしまったのに。」

 

工兵との会話は近くで作業していた他の工兵にも聞こえていたらしく、全員が息抜き代わりにその話を聞いているようだった。

 

「確かに、侵入を許したせいで仲間が沢山喰われて逝きました。ですが、もっと早く前線が崩壊していたら今生きている兵士が生きていないかもしれないんです。兵士は自分の命が大事ですが、それ以上に仲間の命も大事なんです。戦術機に乗れない俺たちのような落ち零れはこうやって精々基地の修復や襲われた時に基地に侵入した小型種の掃討が仕事ですが、その仕事をやってられるのは、大型種から基地を守ってくださった白銀少尉や衛士の皆さんなんです。」

 

武はいつかまでの自分を見ているような気がしてならなかった。

仲間に迷惑を掛け、『別の世界』の人間に迷惑を掛け、夕呼に迷惑を掛け......。そんな子供のままの自分が今、目の前に居るような気がした。

 

「そうですか。ですが、その事を他の衛士には言わない方がいいですよ。」

 

「何故です?ただ、お礼を申し上げたいだけなのに,,,,,,,。」

 

その工兵は不満そうな顔になってしまった。だが、自分と同じ道をこの工兵が辿っていると思ったのか、その事を止めた。

 

「『ただ、自分の任務を全うしただけだ。礼を言われても困る。』とか返されると思いますよ。」

 

そう武が言っても納得出来ていない顔をしていたので、更に武は追い討ちを掛けるように続けた。

 

「では、俺ら衛士が基地に帰ってきた後に、『基地を守ってくれてありがとう。』なんて言われたらどうです?」

 

「それは......。やはり、『自分の任務ですので、礼には及びませんよ。』と答えてしまうでしょうね。白銀少尉が仰っていた意味がよく分かりました。すみませんでした。」

 

「いや、いいですよ。それにあまり衛士以外の人間と会話することが無いのでいい経験になりました。」

 

そう言って武は隔壁や壁面の修理を行っていた区画を出て行った。

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横浜基地は外の外見よりもかなり広く作られていて、殆どの施設が地下に収められている。夕呼の執務室は地下19階なので、地上にあるPXまではかなり距離があった。

基地機能の回復が完全で無いので、所々エレベーターなどが動いていないところもあった。このような状態での基地の利用はまだ数時間しかやっていない為、とても武は混乱していた。それは、地下15階までは上がることが出来たが、それ以上の階に行こうとしてもいつも使っていたエレベーターが小型種によって破損していたのだ。

エレベーターの厚い鉄のドアに張り紙で『使用不能』の4文字を見て武はうなだれてしまった。いつも、地下に降りる時は、目的地の近くで止まるエレベーターを利用していたからだ。今、武のいる地下15階には今まで用が無かったし、降りたことも無かったので、どこにエレベーターホールがあるのかすら分からなかった。

 

(地下15階なんて来た事ないぞ?どこにエレベーターあるんだ?)

 

武はそんなことを考えながら廊下を彷徨っていた。地下15階には通信設備が集中して置いてあり、一般の兵士や衛士の利用するテレビ電話はこの階にしか無いという。廊下を歩いていて目に入る部屋はそういったものばかりだったのだ。

武は『この世界』には自分の知った親族が生きているのかも分からないし、第一、電話しても話しがかみ合わないと考えていた。それに、既に死亡通知は届いているはずだ。横浜ハイヴが建設される前、BETAに捕まって殺されたのだ。捕まったと知っていれば、生存の可能性は考えられるが、助けることも出来やしないのに、生きているなんて言えないのだろう。逃げてきた避難民の中にいなかった住民全員が死亡したという処理がされているのだろう。そう考えた。なので、電話をする必要が無いのだ。

 

「おい、白銀。ここで何してるんだ?」

 

武は後ろから呼ばれて声にドキッとして振り返った。

 




今回のepisode 5は案外短いですね。すみません、目標10000字の半分です(笑)。

いい加減戦闘から離れたストーリー展開をしなければと考えています(未来形)。というか、考えてます(現在進行形)。

ご意見ご感想お待ちしてます。

酷評は慣れました(笑)

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