Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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皆さまお久しぶりです。しゅーがくです。
最近、前も言いましたが書く時間がめっきり減りました(汗)
合間を見つけてはちょくちょく書いてはいるんですけどね。土日の夜とか朝にしか書けなかったり(大嘘)しますので、遅れてはいますね。前回から約一週間位?してからの投稿です。

本当の事を言うと、平日は帰ってきてからはworld of tanksというゲームを少しやってから寝てます。そこで書けよ!って話ですが......



episode 6

武を呼ぶ声に反応し、振り返るとそこにはみちるが居た。ここに居るということは、テレビ電話をしていたか、武と同じ様に下の層から上がってきてる最中なのだろう。

 

「伊隅大尉、こんばんわ。」

 

武は地下15階で迷子になっていたのを隠す様に挨拶をした。時間的にはそろそろ夕食時も過ぎていて、PXが空き始めている時間だろう。武は腕時計で現在時刻を確認した。

 

「こんばんわ。白銀は使用不能のエレベーターの前で何をしていたんだ?」

 

武が迷っていて困っていたのを簡単に見抜いたのか、少しニヤニヤしながら武に質問をぶつけてきた。

 

「えっ......いや、まぁ、そうですけど。桜花作戦前に起きたBETAの横浜基地侵攻の際の被害で色々な設備が使用不能なんですね。2ヶ月も経ってるのに......。まぁ、人類に基地を十分に修理する時間は今のところ無いという事でしょうか。」

 

「ただ、ここのエレベーターホールの修理が後回しにされているだけだろう?この階で迷うということは、白銀はテレビ電話は使わないという事か?」

 

みちるはその発言は白銀に聞いてはいけない質問をしたように思えて、直後に後悔した。確かに、夕呼が『特別な人間』と言っていたので、それなりに何がしかの事情があるのは安易に想像はできる。だが、白銀は『幼馴染』についてしか話さなかった。家族の方は踏み込んではいけない事情があるのだろう。みちるはそう考えた。

だが、武はその質問に真っ向から返答した。

 

「そうですね。まず、テレビ電話自体存在を知りませんでした。」

 

「はぁ?」

 

みちるは少し驚いたが、武がそれに続けるような雰囲気だったのですぐに黙った。

 

「存在を知っていたとしても、使わなかったでしょうね。家族も皆ここがまだ人間が住めるところだった時に最初にBETAに襲われた時、死んだ『らしい』ですから。」

 

みちるは驚いた顔をしているが、武はそんなことは考えてられなかった。今の発言が武は『この世界』の住人でないような発言の仕方だったからだ。みちるに哀れみの言葉を投げかけられるより、そこを言及されることの方が恐怖に感じた。

 

「そっ......そうか。すまなかった。」

 

みちるは申し訳なさそうな顔をしている事に武は安心した。少なくとも『今』さっきの武のは発言の『らしい』については聞かれなかったからだ。

そもそも、武は何故、ここにみちるが居るのかが気になった。

 

「では、大尉は何故ここに?」

 

「あぁ、それは........。」

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武は未だにPXにつけないで居た。あの後、みちるに何故ここに居たのかと聞くと、どうやら甲21号作戦の前夜、武が助言した『温泉作戦』を実行に移すようだ。その為にその相手と約束を取り付けていた様だった。

武にはその時の記憶は主観時間的には約1年前の出来事だったので、そこまでハッキリと憶えているわけではなかったが、みちるがうれしそうに話しているのを聞いて、徐々に思い出す事ができた。『元の世界』から『この世界』に飛ばされる際に平行世界の狭間に浮遊していた『前のこの世界』での記憶を勝手に回収していたらしい。さらに『元の世界』の記憶も残っているので、まだ少し、混乱するところもあったが、なんとなくみちるの話を聞いているうちに整理がついていた。

だが、少し疑問に残るところがあった。

 

 

[死ななかった仲間は、俺の記憶とは違う道を歩んだのは理解できた。だが、こっちの世界では『仲間が死ななかった時』に何が起きたんだ?]

 

 

武はそれを考えながらPXに足を運んだ。

『この世界』では『前のこの世界』であった事を全て誰も失わずに成功されてきた。では、武が補完している記憶と反する事が『この世界』で起きたという事になる。この先、普通に話す機会で何がしか話が食い違ったら、武の精神衛生上色々と問題が生じる。何が正しく、何が間違いなのか。そこを上手く判別できなくなるだろう。

 

(俺が特殊任務で頭を打って軽く記憶喪失になった。とか言えば、決まった範囲で起きた事を聞きだせるか?)

 

武はそう考えた。それ以外に、何か方法があるとは思えなかった。自分と他人との人間関係は思い出せたが、3ヶ月分位何があったか忘れてしまった。と言えば、誰かが事細かに説明してくれるだろうと考えた。

 

「......白銀さん。」

 

突然、後ろからした声にびっくりして振り返るとそこには霞が居た。どうやら、何か用があるようだった。

 

「どうした霞。あっ、そうだ。少しここじゃ話にくい事聞きたいから、俺の部屋行かないか?」

 

「はい。」

 

武は霞を連れて歩き出した。武の歩いているところは既に復旧が完了していて、襲撃前となんら変わらない状況に戻っていた。この状況なら迷う心配も無い。

 

「じゃあ行くか。」

 

武はPXに行くのも忘れて、自室へ急いだ。夕食を食べるよりも重要な事だと感じたからだてあり、部隊がそれなりに集まるまではまともな訓練も出来ないと考えたからだ。一食抜いたからと言って別に死ぬ訳でもないからだ。

______________________________

 

「そこに座ってくれ。」

 

武は自分の部屋に着くと、念のために部屋の鍵を閉めて霞を自分のベットに座られ、武は椅子に座った。

 

「俺が『前のこの世界』から来たってのは夕呼先生から聞いてるよな?」

 

「はい。」

 

武は霞が自分が『この世界』の人間では無いことを確認してから、本題を突きつけた。

 

「『この世界』に来ていた俺、簡単に言うと桜花作戦後の桜並木で消えた俺が関わった事件や戦闘について事細かに説明できるか?」

 

「はい。」

 

武はその返答を聞いてホッとしたが、まだ何か言いたそうな表情をしている霞の顔を覗き込んだ。

 

「ですが、白銀さんの経験した『前のこの世界』の記憶を教えてください。」

 

霞の口から出てきた言葉に武は疑問を感じた。一方的に『この世界』で何がったのかを永遠と語ればいいものを、『前のこの世界』であった記憶を教えてほしいと霞が言うのだ。武は困惑した。何故、そんなことを聞く必要があるのか。

 

「えっ......と、俺に『前のこの世界』で何があったかを言えと?」

 

「はい。」

 

武は霞が何がしたいのか訳がわからなかった。

 

「分かった。自分に関係のある事、特に重い因果だけでいいか?」

 

「はい。」

 

武は主観時間で2年もの前の記憶を辿って行った。それまでには色々な事が起こり、楽しかった事や辛かった事、悲しかった事の中から人間の『死』関する因果だけを霞に教えなかったものが無かった程、全てを霞に話した。

その話はとても重く、聞くだけでも経験していない人間でも辛いことだろうと武は考えた。『この世界』の人間では当たり前に起こっている重い因果は、武の経験した因果よりも重いのだろうかと話しながら武は考えてしまった。

気づけば時刻は夜の9時を刺している。PXは締り、今仕事をしているのはそうそう居ないだろうと思われる時間まで重い因果を永遠と武は話していたみたいだった。

 

「ごめん。気づいたら9時だな。」

 

「いいえ。確かめたい事は大体わかりましたので。」

 

霞はそういうと何かを決心したかの様な表情でこう言った。

 

 

 

「『この世界』に居た白銀さんは、『この世界』の2001年10月23日に来る前に、『この世界』の2002年2月3日に来て居ます。」

 

 

 

武は霞のその言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。自分がまたこの世界をループする事実を聞いたからだ。

そんな武の表情を見た霞はその表情に構わず、話を続けた。

 

「『この世界』の2001年10月23日にループした白銀さんは、A-01や神宮司まりも軍曹が死なない世界を事前に知っていました。」

 

「それが時間を遡って現れた事の説明になるのか?まず、その時点では神宮司軍曹がいつどこでどうやって死ぬのかも分かって居ない状況なのにか?」

 

「はい。」

 

武の頭は真っ白な状態から一気に回復した。『この世界』に来た白銀武は再び『この世界』に戻ってくる。それが確定している事象になっているからだ。霞曰く、『この世界』であることを成し遂げた白銀武は再び、桜並木の下にて失踪した。そう、『この世界』の2001年10月23日に来た白銀武は言っていた、ということらしい。

武は困惑した。一体、『この世界』で何を成し遂げればいいのかわからないからだ。現在、仮定として成し遂げるべき物は『オルタネイティヴⅥ』以外は思い付かなかった。

 

「とりあえず今はそれだけを知っていれば良さそうだな。ありがとう、霞。」

 

「はい。」

 

武は一旦成し遂げるべき事のことを考えるのをやめた。さっき考えている間に見た時計はその時、夜の10時を指していた。

 

「夜遅くまでごめんな。」

 

「いいえ、これも、『この世界』の2002年の1月3日に去った白銀さんが私に託した仕事です。」

 

そういうと、霞はドアを開けて部屋を出て行った。

 

(今後起こりうる事をノートに書いた方が良さそうだな。)

 

武は机の上にあったノートを開いてみてみた。『元の世界』では大学ノートという名前だったものをパラパラと捲ってみたら、ある1ページだけ文が書いてあった。

その文はこの世界の2002年2月3日に来る白銀武宛のものだった。

武はそれを読み、静かにノートを閉じた。

 

(俺は何を考えたんだ。)

______________________________

 

少しぼんやりとしているが、遠くで武を呼んでいる声が聞こえている。それはすぐに霞の声だと理解し、少し重い体を布団から持ち上げた。

視界が少し白みがかっていたが、目の前にある霞の顔と向かいの壁に貼ってあるカレンダーだけはそこにあるということが認識できた。

 

「おはよう、霞。」

 

「おはようございます、白銀さん。」

 

霞は揺らしていた武の横腹から手を放して答えた。今日は武が『この世界』に来てから3日目の2月6日だ。武が前日に聞いた今日の訓練や演習は皆無で、殆どが自由な時間になっていた。

 

「じゃあ、飯食いに行くか。PX行く?」

 

「はい。」

 

武はシャツを着て、ジャケットを羽織り、霞とPXに向かった。

 

______________________________

 

朝時の武達がPXに行った頃の時間帯は少し混んでいて、受け取るには並ぶものの座れないという状況にはならない程の混み方だ。

 

「おばちゃん、2人前ね。」

 

武は自分らの番が回ってきた時に、目の前で忙しそうに仕事というかお盆を渡していたおばちゃんに自分らのいる分を要求した。

 

「おや、今日は霞ちゃんもいるのかい?珍しいねぇ。」

 

そう言うとおばちゃんはニコニコしながら2つのトレーを武の前に出した。

 

「ありがとう。」

 

そう言ってカウンターから離れようとした瞬間、後ろで武を呼ぶ声が聞こえた。昨日は聞かなかった声だ。

 

「タケルぅー!こっちこっち!」

 

その声は美琴だった。PXのある一角に前207小隊のAB共に全員が座っていた。どうやら武以外は揃っているようにも見える。

 

「悪いな美琴。席、取っておいてくれたのか。」

 

そう言って武は霞を連れて美琴たちのところへ向かった。

席では談笑はとても盛り上がっていて、昔みたく険悪な雰囲気は微塵も感じなかった。そこが『前のこの世界』との違いなのか、と武を考えさせた。

 

「おはよう、みんな。」

 

武はそう言って2人分のトレーを机に置いて言った。

それに返答するかの様に全員が挨拶を返してくれたのにも少し、先ほどのよう考えされられた。

 

「タケル、今日は社も一緒なのか?」

 

武に挨拶してから直ぐに自分たちの会話に戻っていたそれぞれの中で冥夜は武に話しかけた。

 

「そうなんだ。寝坊しかけて。先生に朝から少し呼ばれていたのを忘れてて、先生が霞に起こさせたみたいなんだ。んで、今日はPXに行くって聞いたら行くって言ったから連れてきた。一人だと味気無いだろ?」

 

武は霞が毎朝起こしに来ていたなんてバレたら何されるか分からないと思い、少し嘘を付いた。

 

「そうか。朝から香月博士がお呼びになさったのなら、相当重要な事だったのか?」

 

「いや、そこまでじゃないんだ。一昨日くらいに言ったろ?少し、記憶喪失だって。そのことだ。」

 

「そうか。呼ばれているという事は未だに回復していないのか?」

 

「そうみたいだ。できれば冥夜にも協力して欲しいんだが、お願いできるか?」

 

武は申し訳なさそうに冥夜を見つめながら聞いた。だが、冥夜の目には迷いが見えず、即答した。

 

「勿論だ。タケルが困っているのなら尚更だ。」

 

そう言って武に微笑みかけた。

 

「じゃあ、色々と説明しなくちゃな。具体的に話すと皆に聞かれたら不味かったりする所もあるから後で会おう。どうせ今日は冥夜も非番だろ?」

 

「そうだな。じゃあ朝食後に。」

 

武は冥夜と約束を取り付けて、皆が話しているところに入った。霞もよくは知らないが、他の皆とも仲がいいみたいにも見えた。ここも『前のこの世界』との違いなのだろうか。

 




この作品の最初に言ってましたが目標10000字というのは私のなかで何処へ行ったのやら......今回は約5000字です。
まぁ、忙しくなったのは本当ですし。
次回もお楽しみに!

感想評価お待ちしております。

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