Muv-Luv Alternative Preliminary Ideal   作:しゅーがく

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どうも、しゅーがくです。最新話が今さっき出来たので投稿させていただきます。
今回はまりもちゃんと武がメインです。
ついにUAが10000突破しました!!いやー、うれしいです!!
5話前辺りから挫折するかなぁ?とか思ってたら案外続きました。というか、続けるつもりでしたが、精神攻撃(文字の羅列)に耐えてがんばりました!

それではepisode 8です。


episode 8

「まっ......まりもちゃん?」

 

「神宮司『軍曹』です。何時になったら治るのですか?呆れたものです。」

 

まりもは眉間を指で押さえていかにも呆れた雰囲気を出した。

 

「あぁ、ごめん。」

 

「全く......猪名寺凌子(イナデラリョウコ)も何をしている。」

 

武が謝ると、はぁ、とため息をしたあと訓練兵の名前らしきものを訓練兵に向かって呼び、すぐに武が『前のこの世界』や『最初のこの世界』で見たまりもに変わっていた。鬼軍曹のまりもだ。

 

「はいぃぃ!すっ......すみませぇんっ!!」

 

「何故謝ったんだ?何か疚しい行いでも働いたのか?」

 

まりもは腕を組んでニヤニヤしながら凌子に問い詰めている状況は、何か懐かしく思えてくる。

 

「白銀少尉、この訓練兵は何かしでかしましたか?」

 

まりもは組んでいた腕を解いて、武に問いかけた。

 

「いやー、まりもちゃんがどうのこうのって。」

 

「どうのこうのとは?」

 

「何か、俺のことを常に言っているとかなんとか。」

 

「いぃなぁでぇらぁ~!何を白銀少尉にお話ししたんだぁ!」

 

まりもは顔を赤くして凌子を睨み付けながら言った。その気迫には訓練兵の時の武でも怖すぎたが、こうして任官した後に見てみてもとても怖いものだった。

 

「ひぃぃ!きょ、教官が『貴様らの1期上に何でも出来て、副司令からも特別任務を与えられていた特別優秀な白銀という訓練兵が居たのだ。』と仰っていたじゃないですか。それを直接白銀少尉にお伺いしたのです。」

 

凌子がしょんぼりしながら言った。凌子の話した内容は確実にまりもが怒る内容だからだ。

それを見た武はまりもの方に振り返ると、案の定、まりもは顔を紅く染めながらイライラしているのが目に見える程、機嫌が悪くなっている様子だった。

 

「はぁ!?それを少尉にお尋ねしたのか!?全く......。」

 

「別にいいんじゃない?気になったんだろ?」

 

武は怒りを通り越して、呆れてるまりもにそう言った。ここの訓練兵という事は、一応兵士ではあるが、年は16、17くらいだというのは安易に想像できる。武もまだ19歳くらいなのでさほど年は変わらない。

 

「気になったのでお尋ねしたんです。」

 

凌子はまりもに向かってそう言った。ただ、純粋に聞きたかっただけだという事が真っ直ぐ伝わってくるような表情をしている。

 

「分かった。私が訓練兵のやる気を起こさせまいと言った事だ。仕方ない。白銀少尉も、ご迷惑をお掛けしました。それに、特殊任務お疲れ様でした。」

 

「あぁ。」

 

まりもは凌子にそう言うと、武の方に向いてそう言って微笑んだ。その微笑はいつの日かに見た微笑とそっくりに武には見えた。

 

「つかぬ事をお聞きしますが、桜花作戦後に一時は失踪という扱いになっていたようですが、何故最近になって特殊任務に赴いていた事に記録が書き換えられていたのですか?しかも記憶喪失になったとか。」

 

まりもは鋭いところを突いてきた。きっと、失踪から特殊任務に書き換えられたのは、この2日間である事は明確だ。失踪扱いになっていた衛士がいきなり記録には特殊任務に変わっていたら、気づく人は驚くだろう。

まりもはそこに気づいたようだった。失踪したはずの衛士が戻ってきたという噂を聞いて調べたのだろう。嘗ての教え子だった衛士なら尚更だろう。

 

「いやぁ~、夕呼先生直々の命令で前線に赴いていたんだ。んで、作戦終了時に気抜いたら後ろから残存してた要撃級に一突きされて後頭部打ったらしいんだ。それから、途轍もなく特殊なんだが、2001年10月23日から2002年1月3日までの自分の参加した戦闘の事や事件の記憶、親しい人間の生死だけが抜けてた。参っちゃったよ~。......やべっ、夕呼先生に口止めされてたんだった。」

 

武はつい調子に乗って話してはいけない内容まで話してしまった。記憶喪失の喪失した部分を話すのは色々と勘ぐらせてしまう為だ。

 

「へっ?そんな内容私に話してしまってもよかったのですか?」

 

まりもは『この世界』では話さないような口調に戻ったかと思うと、聞きなれた口調に戻った。口調が変わる程に驚いたのだろう。

 

「いやっ.....誰にも言わないのなら大丈夫だけど。」

 

「いいえ、誰にもいいません。」

 

「私も誰にも話しません!」

 

凌子とまりもはそう武に向かって言った。

 

「よかった。」

 

武は胸を撫で下ろし、一呼吸整えてから少し目線を外し、仮設格納庫群を見た。凌子に呼び止められてから忘れていたが、仮設格納庫群を見て回るつもりだったのだ。

 

「そう言えば、猪名寺は何でここを歩いていたんだ?様子からすると今日は非番の様だが。」

 

武は自分が何をしていたかを思い出し、訓練兵である凌子が昼前に仮設格納庫群の間を歩いていたという事は、普通なら訓練が始まっているのに抜け出したということにもなる。それに、まりもも仮設格納庫群の間を歩いていたという事は、訓練がないということだ。それにまりもが凌子を探しに来たのなら、こんなところで喋ってなどいないはずなのだ。そして、武のような物好きか整備兵でないとこういうところを通らない。凌子には何がしかの用事があったように見えたのだ。

 

「えっ?あっ......それでは私は急ぎの用があるので失礼します!」

 

そう言って武の言葉に何か気づいたのか、凄い勢いで走り抜けていった。

 

「じゃあ、俺も散歩だから。」

 

「お待ちになってください。」

 

武がまりもと別れようとした瞬間、まりもに呼び止められてしまった。武が何かと振り返ると、そこには先ほどとは違い不安げな表情をしているまりもが居た。

 

「少し話を聞いていただけませんか?」

 

武が頷くと、封筒を国連軍の制服の内ポケットから出して中身を出した。

 

「これは2002年1月3日に白銀少尉が失踪する前に私にお渡しになった手紙です。私に渡した記憶はございますか?」

 

「いや、無い。」

 

「そうですか......これではっきりしました。」

 

まりもは表情が一変していて、何かの帰りを待っていた人のような表情をしていた。

 

 

 

「お帰りなさい、白銀少尉。」

 

 

 

まりもは笑顔でそう武に言った。

 

「えっ......まりもちゃん?何言ってんの?俺は......。」

 

「知ってます。記憶喪失の事も、『前のこの世界』での出来事も......。とても辛かったでしょうに。」

 

「......っ!?」

 

武はそこまりもから発せられた『前のこの世界』という言葉に驚いた。武本人か夕呼が話さなければ決してわかるはずも無い『前のこの世界』という言葉をまりもは理解しているのだ。となると、まりもは『この世界』の2001年10月23日に来た別の白銀武に話を聞いていたのだろう、そう予測はできた。

 

(『この世界』に来ていたオレが手紙を書いてまりもちゃんに渡したのかっ...!?)

 

「『前のこの世界』という言葉の意味はどういう意味で?」

 

「私の目の前にいらっしゃる白銀武少尉は並行世界を移動している、でしたよね?」

 

武は絶句した。『この世界』に来ていた自分がそんな事を夕呼以外に話していたという事態に驚いた。どういう意図で教えた、バレたのかがとても想像がつかないが、取り敢えず様子を見る限り、『この世界』に来ていた武が教えたのだという事は直ぐに分かった。

 

「そうだけど、どこまで知ってるんだ?」

 

「オルタネイティヴⅣが失敗した世界から、A-01部隊が白銀少尉を除き全滅した世界までです。」

 

武は開いた口が閉じなかった。武の記憶している世界全てを話していた。

 

「そうか。」

 

「白銀少尉、A-01部隊が少尉以外全滅した世界で私に何があったのですか?」

 

武は頭を強く殴られたような衝撃に襲われた。

その日の戦闘後、すごく落ち込んでいた武を励ましに来てくれたまりもは、自分の恥ずかしい話までしてくれた。自分がどんな過ちを繰り返し、乗り越えてきたかを話した。その時武はただ自分の中にぽっかり開いた空間を何も考えずにただ、自分の誤った行いで無くした事を酷く後悔している間もまりもは語り続けた。

自分の愚かさに気づいてまりもに謝ろうと振り返った瞬間................................。武はそこからの記憶が朦朧としていたが、振り返った後何が起こっていたかは覚えていた。

 

「うっ........。」

 

「私に何があったのですか?」

 

「まりもちゃんは......、兵士級に頭から......、食われていたっ......っ!?」

 

武はその時のビジョンが脳裏に浮かんでいた。まりもの足元には鮮やかな紅の血溜り、足は浮いていて、頭部は兵士級に咥えられ、皮膚は抉れ、真皮は捲れ、誰か判別出来ない状態になっていたビジョンを見て壊れた自分が見えていた。

武は嫌な汗を掻いていた。その脳裏に浮かんだビジョンから見える未来の事まで見えた。

 

「はぁ......はぁ......。」

 

「その様子ですとPTSDは克服している様ですね。」

 

まりもは笑顔のままそう言った。

武はその笑顔を見て、少し一呼吸置いた後、口を開いた。

 

「ごめん、取り乱した。」

 

武はそう言って、ハンカチで額の汗をぬぐった。久々に思い出した衝撃的なビジョンにかなり同様してしまっていた。

 

「では白銀少尉は『この世界』の2001年10月23日に現れた白銀武では無いという事が分かったのでこの手紙に書いてある通りですね。磯風や古鷹の記憶も勿論無いですよね?」

 

「あたり前。一昨日に資料室で調べたから今は大丈夫だけど。」

 

「ではこの手紙に書いてある事は全て事実という事ですね。」

 

まりもはそう言って自分が持っていた手紙を武に渡した。

武は紙を開き最初から最後まで読んでまりもに返した。

 

「それを本当にオレがまりもちゃんに渡したのか?」

 

「はい、確かに。」

 

武はまりもが『この世界』に来ていた武に渡された手紙の内容の事実確認をする次いでに頼まれていた事をした、そう解釈した。

武は本当にどういう意図でまりもに並行世界のことを教え、手紙まで渡し、自分の目の前で見たまりもの死をどうして教えたのか理解出来ずにただ、その場に立ちつくすしか出来なかった。

 




いやぁ~、1つのシーンだけでこれだけ使ったのは初めてですよ(笑)。
そろそろメカ本買わなければならない!どこかの通販で安く売ってる場所探さなきゃいけませんね。

ご意見ご感想お待ちしております。評価のほうもよろしくお願いします!

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