機動戦士ガンダムRE:VOLVEー宇宙世紀に転生したので自由に生きたいー   作:ゆいはらうい

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第1話

001

 

 

 

 

 

これは、僕の夢の話。

 

ここで言う『夢』というのは寝ながらにして見る方、夢枕や夢現なんて言葉が有ったりバクに食べられちゃう方の『夢』ではなく、紛れもなく真剣に、嘘偽りなく、誰が何と言おうと成し遂げてみたいという意味での『夢』。

 

幼い少女がケーキ屋さんになりたいと言うような、自らを知らぬ少年がプロスポーツ選手になりたいと言うような、最近だと何故だかYouTuberに成りたがるとか、労働に疲れた大人が海外のリゾート地で暮らしたくなるとか、つまるところ、そういう『夢』。

 

願い、望み、願望、はたまた野望。

そう言い換えてもいい。

 

そういう物が僕にはある。

 

僕にはある、だなんていかにも特別な言い方になってしまうのには理由があって、いやもちろん夢は誰にだってあるだろうと思うし、それが現実的にせよ、非現実的にせよ、人間誰しもが『こうありたい』と夢想し想像するものだ。

 

そしてこれは僕の持論だけれど、非現実的な夢に向かうエネルギーは、現実的な夢に向かうそれを上回ることが多々あると常々思う。

 

少年が映画のヒーローに憧れるように。

少女がアニメの魔法少女に憧れるように。

 

僕の夢がそうであるように。

 

そう。

 

僕の思いのエネルギーは大きいのだ、特別な言い方をしたくなるくらいに、大きいのだ。

 

 

 

【かの有名なアニメ『機動戦士ガンダム』の世界、宇宙世紀で生きたい】

 

これが僕の夢。

 

日々実現を願い続けている願い。

 

 

 

さて。

待って欲しい。

 

そこのブラウザバック、もしくはタブを削除しようとした君へ言いたい、僕は正常だ狂ってないちゃんと分かってる。24歳社会人の分際で未だに現実も直視出来ないのかと罵りたいそこのアナタ、その罵詈雑言は甘んじて受け入れよう。

 

何だかそれらしい、思わず納得してしまいそうになる理屈を約500字に渡って論じたオチがそれかと、結局はネット小説でよく聞くような文言かと非難したくなる気持ちもわかる。

 

けれどもいいじゃないか。

そうだ。

いいんじゃないだろうか。

 

夢はそれぞれ個人の物、誰が何を夢見ようとそれは誰かの自由であって、その自由を奪うことは他人はおろか法律だって出来やしない。

 

思想の自由ってやつだ。

いや違うか。

言っておいてそんなに大きな事でもない気がしてきた。

 

ともかく。

 

僕は、それが社会の迷惑になるような犯罪行為でないのなら、身の回りの人間に迷惑をかけるような物でなければそれで良いのだと声を大にして言いたい。

 

例えそれが『アニメの中の世界に生きたい』なんていう、大それたというか、言ってて悲しくなるけれど、有り体に言って実現不可能な阿呆の絵空事であっても、それで僕が誰かに迷惑をかけた覚えはないのだ。

 

ここまで語ってきた僕の人物像から想像するのは難しいかもしれないけれど、これでも日々会社で働いている身だし、どちらかと言うとブラック企業で酷使される『社畜』のような存在である自覚だってあるし、つまるところそれなりに一生懸命、粉骨砕身働いているわけで、しかし夢を理由に仕事を放棄したこともない。

 

いやむしろ。

 

僕の人生は『ガンダム』という物語に支えられてきたと言っても過言ではないのだ。

 

その登場人物たちの生き様に。

登場する兵器『モビルスーツ』の美しさに。

 

僕は確かに救われていた。

 

 

 

 

 

002

 

 

 

 

 

『ガンダム』という単語を知る人は多いだろうと思う。詳細を知っているかはまた別として、例えロボットアニメなど観たことも無い人達、もっと言えばアニメという文化に親しみのないような人であっても、1度は聞いたことのあるその名前。

 

ガンダム。

GUNDAM。

頑駄無。

 

僕の住む日本はもちろん、世界的にも有名なその単語が持つ意味は多い。

 

それはつまり、全ての始まりとも言える『機動戦士ガンダム』というテレビアニメ、俗に言う『1st』のことでもあるし、アニメや映画やOVA、はたまた小説や漫画などに形を変えながらも1stから連綿と続く『ガンダムシリーズ作品』全体の事でもあるし、シリーズに一貫して登場し続ける『ガンダム』というモビルスーツ群を意味してもいる。

 

人によっては単に『ロボットアニメ』を表す言葉にもなるだろう。

 

 

 

そして僕にとっては、僕にとってのガンダムというのはもっとずっと、深くて、重くて、熱くて、鋭く、優しく、暖かい、言葉だった。

 

 

 

僕がガンダムという存在、ここでは概念と言ってもいいけれど、それに出会ったのはちょうど小学校に進学する頃であったと思う。

 

その当時、僕はちょっとした家庭の問題に晒されていた。

 

積極的に話したい事でもないし、その問題について詳しく語ることは今この状況においてさして重要でもない気がするので割愛させてもらうことにするが、その問題において僕は親戚連中の、というか人間のややこしい部分を知るところとなり、頼るべき両親や兄弟もおらず、結果的に大人たちの理不尽な言動に振り回された挙句捨ておかれ、5歳だか6歳の小さな僕は、小さいなりに大きく傷つき、もうその芯は真っ直ぐには戻れないほど無理矢理に、無茶苦茶に、有耶無耶に捻じ曲げられてしまっていた。

 

唯一暖かい手で抱きしめてくれた、たった1人の血と心が繋がった祖父にすらも心を閉ざす程、それ程までに僕はどうしようもなくなっていた様に思う。

 

 

 

そんな時だった。

僕がガンダムと出会ったのは、そんなどうしようもない時だった。

 

 

 

自分勝手な理屈ばかりを巻き散らかす親戚連中に辟易した祖父は、ほとんど誘拐のような形で僕を田舎の家に引き取った。祖父に必死の愛を与えられながらも半ば引きこもりのように他者を避け、学校にもマトモに登校せずに家からほとんど出る事なく、誰ともろくに口を利かないまま6歳になった頃、そんな時、2002年の秋にそのテレビアニメはスタートした。

 

 

『機動戦士ガンダムSEED』

 

 

ガンダムとの最初の出会い。

僕とっての記念碑的作品。

 

新世紀のファーストガンダムを目指して制作・放送されたそのアニメは、ガンダムとの出会いは、僕の心を鷲掴みにした、離さなかった。

 

当時から賛否両論ある作品ではあるものの、僕と同じ世代には『ガンダムと言えばSEED』『ガンダムを知ったのはSEED』という人は多いだろうと思し、僕はそれ程の作品だと思っている。

 

『キラ・ヤマト』を主人公として、ナチュラルとコーディネイターという遺伝子的に違う人間達の対立と、戦争行為の中に散りばめられた『非戦』というテーマ、『アスラン・ザラ』などに代表される複雑な人間関係。

 

そしてそれを彩る『ストライク』などの多種多様なガンダム達。

 

 

そして。

ガンダムSEEDの持つ沢山の魅力の中で、何より僕を釘付けにして、心を激しく打った物が2つあった。

 

 

1つは、何を隠そう『フリーダムガンダム』というモビルスーツとの出会いだ。

 

カッコいい。

もうね。

カッコいい。

 

大事な事なので2回言わせて頂いたが、このモビルスーツはその一言に尽きるであろう。

 

陳腐だなんだ、浅いだ深いだなんていう反論や指摘や異論は聞きたくないし受け付けていないし認めない。だってカッコいい、圧倒的に格好いい、そう、格好が良いのだ。

 

様々なガンダム作品を観漁った僕が太鼓判を押す、そのビジュアル。

 

黄色のアンテナをあしらった、これぞガンダムタイプとも言うべき頭部に始まり、白と紺を基調としたスタイリッシュでありながらもモビルスーツ特有のゴツゴツした感覚を兼ね備えたモビルスーツ本体、そしてその背中にはフリーダムの代名詞とも言える、青色に染め上げられた左右5対の能動性空力弾性翼が備えられ、それによりフリーダムは重力下での高速機動戦闘能力を獲得している。翼を広げて戦場を駆け巡るその姿は、まさに『自由』の名に相応しいと言えよう。

 

 

はい。

 

はいはい。

 

はいはいはい。

 

もうここまでの説明で既にカッコ良さのオーバースペック、オーバーパワー、オーバーキル、オーバーオールだ。

 

オーバーオールは違うね。

テンションが上がった勢いで言っただけだから許してほしいね。語感だけで喋りたくなる時ってあるよね。

 

 

閑話休題。

 

 

主人公キラが愛機ストライクを失った後、紆余曲折を経て新たに手にしたのがこのフリーダムというガンダムであり、ザフトと連合の不毛な戦争を止めるためにキラはフリーダムを駆り、キラのコーディネイターとしての素養と、フリーダムの圧倒的な性能によって、いわゆる『ヤキン・ドゥーエ戦役』において伝説的な活躍を見せる。

 

6歳の少年がこんな物を見せられて、惚れないわけがない、憧れないはずがないのだ。

僕自身もその例に漏れる事なく、現在フリーダムガンダムは僕の好きなモビルスーツランキングで堂々の1位に輝いている事は、ここまで読んでくださった皆様ならば想像に難くないだろうと思う。

 

 

 

そして2つ目。

 

フリーダムという存在よりもより僕の心に深く刺さったのは、物語の中で様々な理不尽、抑圧、矛盾に苦しむ登場人物達の姿だった。

 

主人公のキラ・ヤマトを例に挙げるとすれば、彼はそもそも穏やかで争いを望まない性格でありながらも、コーディネイターだったこともあり、モビルスーツを扱う上で天才的な才能を見せたことで連合軍へほとんど強制的に参加させられ、世界を巡る戦争の渦中へと突き進んで行く。

 

理不尽な大人の言動や、仲間の過剰な期待、嫉妬、かつての友と殺し合いをする狂気、戦争を止めるために戦争をするという矛盾。

 

そういった人の生々しい感情、取り巻かれたどうしようもない状況の中で苦しむキラに僕は幼いながらも、いや幼かったからこそ、気づけば自分自身を重ねていた。

当時の僕とキラは10も年が離れていたが、そんなことはまるで関係がないかのように感情移入していた。

感覚を、重ね合わせていたのだ。

 

 

僕を取り囲んだ理不尽で自分勝手な大人達。

 

自分の力ではどうしようもできない、僕を取り巻く環境。

 

その中でただ黙って、優しい手を差し伸べ、抱きしめてくれる寡黙な祖父。

 

 

ガンダムを通してそれらを改めて認識し、世界から目を背け、耳を塞ぎ、全てから自分を閉ざしていた僕は、その扉を開けられたのだ。開けてもらったのだ。大袈裟な言い回しになってしまうが、生き方を教えてもらったと言ってもいい。

 

さらにガンダムSEEDに登場する人物たちは、その生き様を通して抽象的にではあるものの、僕にこれからの進むべき道を示してくれたように感じていたとも思う。

 

それが、僕とガンダムとの出会いだった。

 

 

 

そこからはもう、早い、速い。

 

心を射止められた少年の探究心は留まるところを知らないもので、祖父が1stを視聴しその良さを知っていたのも相まって、僕はあっという間にガンダム作品にのめり込んでいった。

 

祖父に頼み込んで、テレビ放映シリーズ、劇場版、OVAなど、レンタルビデオ店に並んでいた『ガンダム』と名の付く作品を祖父の隣で身漁る日々。

 

そして、その作品の尽くがSEEDと同じように、いやそれよりも強く熱く鋭く、僕の心に突き刺さり、そして掴んで離さなかった。

 

 

特に好きなのは、いわゆる『宇宙世紀シリーズ』だ。

 

『宇宙世紀』という暦と世界観を共有するその作品群は、ガンダムシリーズの元祖・本流と呼ぶに相応しく、1stからZへ、そしてその先の未来を描いていく。

 

宇宙世紀では統合政府である地球連邦と、地球から最も遠いコロニー『サイド3』で生まれたジオン公国とが争い、幾度となく、学ぶことなく戦争・紛争を繰り返す。

そこへ現れる、言わずと知れた『ニュータイプ』という存在。

 

ファーストタッチこそSEEDから入ったものの、ガンダムシリーズの中で最も好きな作品がSEEDというわけではなく、いや別に低いわけでもないけれど、ランキングの上位はやはり宇宙世紀シリーズで占められているのが僕の現状である。

 

富野先生恐るべしと言ったところだろう。

 

 

さて。

 

小学校、中学校へと進むにつれてガンダム熱は日々加速していき、その熱の上げっぷりは祖父にもかなり引かれるほどで、そんなわけで高校に入った頃には小説や外伝的な位置づけの物を含めて、ほとんどのガンダムシリーズを制覇していたというのだから驚きだ。

 

そして。

気づけば。

 

僕は東京の大学に進学し、卒業し、就職をして、日々ブラック企業に酷使されていた。

 

 

そう、大人になっていた。

 

大人になってしまっていた。

 

 

『アムロ・レイ』や『カミーユ・ビダン』など、ガンダムシリーズの登場人物たちの姿を追うように、いや彼らと共に『大人』という存在を容認せず、必死に敵愾心を燃やしていた少年は、気づけば24歳のサラリーマンになっていたのだった。

 

 

 

そんな僕の夢。

 

それが、宇宙世紀で生きること。

 

冒頭でも書いた通り、別に狂ったわけでもない、非現実を見つめてはいても現実逃避はしていない、実現不可能だってことは分かってる。

それでも、だからこそ、ガンダムに生きる事を教えられた僕は、いつしかガンダムの世界で生きる自分を夢想するようになっていた。

 

現実から目を逸らすように。

非現実を見つめている。

 

通勤電車に揺られながら、最寄り駅から自宅まで歩きながら、祖父の居なくなった家で家事をしながら、寝る時、起きた時、僕の心はここではない、僕にとってはこんなに悲しく寂しくない世界、ガンダムの中の世界『宇宙世紀』へと向いていた。

 

遠くを、見つめていた。

 

 

 

さて。

 

唐突ではあるけれど、これにて僕の夢に関するお話はおしまいにさせて頂こうと思う。僕の生い立ちとか、ガンダムの事とか、そういった自己紹介のような、話すべきことは話した気もするし、何だが話しすぎた気もするし、もうこれ以上話題をこねくり回したところで何も生まれはしないだろう。

 

さりとて、この話題が終わったところで、実は僕の物語はスタートラインにすら立っていない。

 

始まってすらいない。

 

もっと言えば、これは今現在僕が置かれている状況を説明するための説明であって、本当に語りたい事を語る為のお話。

 

前置きであり、前説なのだ。

 

長い長い、約5000字に及ぶこんな駄文にお付き合い頂いて、とても嬉しく思うし、それと同時に何だが時間を浪費させたような気がして申し訳ない気もしてくるけれど、それもこの辺りでお開きだ。

 

 

そろそろ始めよう。

 

 

話そう。

語ろう。

物語ろう。

 

僕の2度目の人生のお話を。

あの世界で自由に生きたいと願った僕の夢物語を。

 

そして。

その末路を。

 

 

 

 

 

003

 

 

 

 

 

さあこれからついに本編が始まるぞと期待をしてくれて、意気揚々、勇んで画面をスクロールしてくれた皆さんが辟易するくらい唐突な展開になって大変申し訳ない限りなのだが、気づけば僕は真っ白な空間にいて、そして僕の前方約2メートルの場所には、見ず知らずの白髪白髭のお爺さんが立っていた。

 

何だこの状況。

 

「入谷有生君、大変申し訳ないのだが、君は私のミスで死んでしまった」

 

何だこの状況。

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