蒼空と茜空   作:tieck321

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第14局です。団体戦の折り返しで中堅戦です。

麻雀描写の練習のためにも書いてはみるんですが、うまく言葉で表せません…。
インハイの時までには普通に読めるようにしたいです。


阿知賀編 第14局 「プチ団体戦 中堅戦」

-憧サイド-

 

 

憧 手牌{二萬六萬一筒一筒五筒二索六索東南南西白中} {四索}

 

 

(さて、親なわけだけど…ここで攻めるか、それとも守るか…)

 

(やっぱここは私らしく…守る!)

 

 

{五筒}トンッ

 

 

 

 

-青チーム-

 

 

「憧ちゃん守っとんな~」

 

 

先鋒戦での傷が癒えたのか、清水谷さんは元気を取り戻している。

 

 

「はい、でも良い判断だと思いますよ」

 

 

「蒼空ちゃんは守りが好きなん?私やったら、親やし攻めると思うわ」

 

 

「まあ、普通ならそうするんですけど…今は茜ちゃんがいますから…」

 

 

「あの赤髪の娘?そんな強いんかあの娘…」

 

 

偶然だろうが、憧ちゃんの打ち方は茜ちゃんを相手にするにはとても良い。そのままで打ってくれれば良いのだが…。

 

 

 

 

 

 

(何なのこの卓!和以外全く読めない!)

 

(特に赤髪。コイツ初心者じゃないの?)

 

 

「ツモ!3000、6000や!」

 

 

(うわ、和了られた…しかも親倍…最悪…)

 

 

一位 黄チーム 64200

二位 青チーム 46700

三位 緑チーム 46500

四位 赤チーム 42600

 

 

東1局を1000、2000で和了り、トップになったのも束の間、一気に二位に転落。三位との差はたった200で、いつ抜かされてもおかしくない。

 

 

(平常心、平常心。まだ始まったばかりじゃない)

 

 

 

 

東3局 親 セーラ ドラ{八萬}

 

 

憧 手牌{五萬三筒四筒赤五筒八筒一索二索三索七索九索西中中}

 

{二萬}スッ

 

{西}トンッ

 

{南}トンッ

{七萬}トンッ

{一萬}トンッ

 

 

{六筒}スッ

 

{五萬}トンッ

 

{東}トンッ

{一萬}トンッ

{二萬}トンッ

 

 

牌を置く音だけが響く。お互いに鳴きも会話もなく、全員が卓に集中していた。

しかし、そろそろ終わりに近づいた時、ついにその静寂は破られた。

 

 

「リーチや!」{横五索}

 

 

(千里山の親リー!!)

 

(残り少ないのに何考えてんのよ!)

 

 

予想外のリーチだが、とりあえず当たり牌のだいたいの予想はつく。河を見る限り、筒子、特に{八筒}が危な…

 

{八筒}トンッ

 

 

「ロン!リーチ一発イーペーコー、裏ドラ2で12000や!」

 

 

{一筒一筒三筒四筒五筒七筒七筒八筒九筒九筒六索七索八索} {八筒} 裏ドラ{七筒}

 

 

一位 黄チーム 76200

二位 青チーム 46700

三位 緑チーム 46500

四位 赤チーム 30600

 

 

(何してんのよ赤髪!トップとの差、開いちゃったじゃない!)

 

 

29500点差。この点差は絶望的過ぎる。さすがに約30000点差をひっくり返すのは難しい。

千里山だって馬鹿じゃない。この点差でも油断はしないだろう。

 

 

(つまり私のやるべき事は、一位と出来るだけ点差を縮めつつ、三位との点差を広げ、この順位を維持すること!)

 

 

 

 

東3局1本場 親 セーラ ドラ{西}

 

 

「連荘~」

 

 

憧 手牌{三萬八萬九萬一筒四筒二索四索五索東西北北白}

 

 

「じゃあさっそくいこか」{發}トンッ

 

 

千里山が牌を切る。

 

 

「……二度あることでも三度はない…」

 

「ダブリー」{横西}トンッ

 

 

(な、ドラ切りのダブリー!?嘘でしょ!?)

 

 

順位を維持しようと思った側からこれだ。振り込んでしまえば確実に三位転落。

 

 

(絶対に振り込まないんだから!!)

 

 

{南}トンッ

 

{白}トンッ

 

(ふう、大丈夫みたいね…)

 

 

{一萬}トンッ

 

「ロン!ダブリー一発チンイツ、16000の一本場は16300!」

 

 

{一萬一萬二萬三萬四萬四萬五萬五萬六萬六萬七萬九萬九萬} {一萬}

 

 

「あちゃ~、振り込んでもうたか…」

 

 

(ダブリーでしかもチンイツ!?どんだけ運が良いのよ!!)

 

 

一位 黄チーム 59900

二位 赤チーム 46900

三位 青チーム 46700

四位 緑チーム 46500

 

 

(振り込まなくて良かった…。けど、また振り出しに戻るか…)

 

 

トップとの差は縮まるも、三位転落。しかも他三チームが団子状態。

 

 

(ここが、私の腕の見せどころね…)

 

 

 

 

-青チーム-

 

 

「二位三位四位がそれぞれ200点差。で、セーラが一人浮きか」

 

「この後どうなると思う蒼空ちゃん?」

 

 

「…」

 

 

「蒼空ちゃん?」

 

 

「おかしい…」

 

 

「へっ?」

 

 

「あっ、すいません。大したことではないので気にしないでください」

 

 

(まさか、茜ちゃんが差し込むなんてあるわけないよね…)

 

 

 

 

 

 

-和サイド-

 

 

東4局 親 茜 ドラ{四筒}

 

 

八巡目

 

 

(先ほどの茜さんは奇妙でしたね…)

 

(まあ、私の打ち方には関係ありませんが…)

 

 

「ツモです。タンヤオピンフ、1000、2000」

 

 

{三萬四萬五萬五萬六萬七萬四筒五筒六筒三索四索八索八索} {二索}

 

 

一位 黄チーム 58900

二位 緑チーム 50500

三位 青チーム 45700

四位 赤チーム 44900

 

 

 

 

南1局 親 和 ドラ{五索}

 

 

和手牌 {一萬二萬八筒八筒九筒六索七索八索九索西西北發} {一筒}

 

 

(なかなかの好配牌ですね)

 

 

{北}トンッ

 

 

(今は二位ですが、園城寺さんのためにも、点差は詰めておきたいところ…)

 

(無理に大物手を狙うのは私の性に合いませんが、後のメンバーのことを考えるのが団体戦の醍醐味とも言えますし、ここは少し無理をしましょうか…)

 

 

{一筒}スッ

 

{發}トンッ

 

(チャンタを揃えることにしましょう)

 

 

四巡後

 

 

{三萬}スッ

 

{八筒}トンッ

 

 

{中}トンッ

 

「ポン」{横中中中}

 

 

(憧が鳴きましたか…。そろそろ仕掛けてきますね)

 

 

{三筒}トンッ

{西}トンッ

 

 

{二筒}スッ

 

 

「リーチです」{横一筒}トンッ

 

 

{一萬二萬三萬一筒二筒三筒八筒九筒七索八索九索西西}

 

 

{五索}トンッ

 

 

「チー!」{五索六索七索}

 

 

(一発消し…憧らしい)

 

 

{北}トンッ

 

 

「じゃ、私もリーチ!」{横五筒}トンッ

 

 

(この局面で茜さんの追っかけリーチ)

 

(スピード勝負ですね)

 

 

{白}トンッ

 

 

{四索}スッ

 

{四索}トンッ

 

 

{六萬}トンッ

 

 

「さあ、こい!」

 

「あちゃ~一発ならずか~」{七筒}トンッ

 

 

「ロンです」

 

 

{一萬二萬三萬一筒二筒三筒八筒九筒七索八索九索西西} {七筒}

 

 

「げっ…」

 

「リーチ、チャンタ。30符4翻で5800です」

 

 

(今の振り込み…。いえ、気のせいですね)

 

 

一位 黄チーム 58900

二位 緑チーム 57300

三位 青チーム 45700

四位 赤チーム 38100

 

 

 

 

-青チーム-

 

 

(やっぱりおかしい!)

 

 

私は今の茜ちゃんの振り込みで確信した。あのリーチはわざとだと。

 

 

「なあ、ホンマに茜ちゃんは強いん?」

 

 

清水谷さんが茜ちゃんの二度の振り込みを見て聞いてくる。確かに普通の人からしたら、正直強いようには見えない。

 

 

「強いです…。最低でも今は…!」

 

 

理解しにくいだろうと思いながらも、私は今思ったことを正直に答えた。

 

 

「今は…?」

 

 

「はい。普段の茜ちゃんならこんなことしないんですけど、これまで二回の振り込み、あれはわざとです」

 

 

長年茜ちゃんと打ってきたからこそ分かった。

 

 

「は…?なんやそれ、どういうことや?」

 

 

「…実は茜ちゃんはちょっと特殊なんです」

 

 

「………はあ、またか…」

 

 

清水谷さんががっくりと肩を落とす。

 

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

 

「ええよええよ、続けて続けて」

 

 

「は、はい」

 

「まず一つ目は…」

 

 

「一つ目!?」

 

「あっ、ごめんな。続けてええよ…」

 

 

「なら、続けさせてもらいますよ?まず、茜ちゃんと同卓すると三枚目をツモれません」

 

 

「三枚目?」

 

 

「はい。茜ちゃん以外は手牌に同じ種類の牌が二枚までしか集まりません」

 

「簡単に言うと暗刻、カンが出来ません」

 

 

これが私とあの娘を封じるための能力。

 

 

「そして二つ目」

 

「茜ちゃんの前では三連荘は出来ません」

 

 

これが、もう一人の娘のための能力だ。

 

 

「三連荘ができひん?」

 

 

「はい。誰かが二連荘すると、その後は必ず茜ちゃんが和了ります」

 

「しかも、その時の和了の点数は、その二局で茜ちゃんが失った点数の合計以上になります」

 

 

「つまり、どういうことや?」

 

 

あまり良く分からなかったらしいので、今度は例を踏まえて説明してみる。

 

 

「例えば、親のAさんが満貫ツモと茜ちゃんへの満貫直撃で二連荘したとします」

 

「この時茜ちゃんが失った点数は、4000+12300で16300。ですから、茜ちゃんはその次の局で16300+600で16900以上、つまり三倍満以上で和了ることになります」

 

 

「ちゅうことは、今回の場合…」

 

 

「今回の場合は、和の和了で失った7800とリーチでの1000ですから、8800以上で和了るはずです」

 

 

「8800以上って、要は跳満以上やないか!」

 

 

清水谷さんが勢い良く立ち上がる。

 

 

「ん?でもちょっと待ってな…」

 

 

今度は立ったまま顎に手を当て考え事を始めた。

 

 

「これって、もし茜ちゃんがリーチかけてへんかったら、7800以上。一本場やから実質8000以上になる…」

 

「もしかしてあの娘、点数を上げるためにリーチをかけたんか!?」

 

 

「恐らくは…」

 

 

清水谷さんも茜ちゃんの作戦に気づいたようだ。

 

 

「でもそれなら、ちょっとおかしない?」

 

「リーチしてわざと振り込むなんてできひんやろ」

 

 

確かに最もな意見だ。

 

 

「実を言うと、どうしてなのか私にも分からないんです。でも、茜ちゃんの目を見る限り和に振り込むことが分かっていた感じがします」

 

「まあ和に振り込まなくても、流局もしくは、和が和了れば能力が発動しますから、それを狙っていたのかもしれませんが…」

 

 

「どっちにしろ、なんちゅうやっちゃ…」

 

 

清水谷さんは「信じられへん…」と言って驚いている。しかし、それ以上に驚いているのは私なのだ。

これまで茜ちゃんは、能力はおまけで自分の打ちたいように打っていた。しかし今は能力を使いこなして打っている。これまでのミスがまるで嘘のようだ。

 

 

(茜ちゃん…どうしちゃったの…)

 

 

 

 

-憧サイド-

 

 

「二度あるこでも三度はない!」

 

「ツモ!ホンイツ中南。3000、6000の一本場は3100、6100だよ!」

 

 

一位 黄チーム 55800

二位 緑チーム 51200

三位 赤チーム 50400

四位 青チーム 42600

 

 

(赤髪が和了ってこれで最下位…)

 

(蒼空に任せてって言ったのに、これじゃ顔向けできないじゃない…)

 

(この親番で絶対に捲る!)

 

 

 

 

南2局 親 憧

 

 

「ツモ!500オール!」

 

 

一位 黄チーム 55300

二位 緑チーム 50700

三位 赤チーム 49900

四位 青チーム 44100

 

 

(安い手…だけど、少しずつでも良いから和了る!)

 

 

 

 

南2局1本場 親 憧 ドラ{九索}

 

 

十巡目

 

 

憧 手牌{四萬五萬六萬四筒五筒六筒四索五索五索六索六索白白}

 

 

(よし、テンパイ。リーチはかけずに後は獲物がかかるのを待つだけ)

 

 

{七索}トンッ

 

 

(きた…!)

 

「ろ…」

 

(っ…!!!)

 

(何、この赤髪から感じるプレッシャー!?)

 

 

この時私は向かいに座る落合茜を見て、何か得体の知れないものを感じた。

和了ってはいけない。そう直感したのだ。

 

 

「ツモです。300、500の一本場なので400、600です」

 

 

(連荘は無理だったか…)

 

 

残念なはずなのだが、不思議と私はホッとしていた。

 

 

一位 黄チーム 54900

二位 緑チーム 52100

三位 赤チーム 49500

四位 青チーム 43500

 

 

 

 

(この後の対局は特に何もなく、東3局は私が和了り、オーラスは千里山が和了って終了だった)

 

(そしてこの2局で順位の変動はなく、私達は依然として最下位のままだった)

 

 

 

 

中堅戦終了時

一位 黄チーム 55600

二位 緑チーム 50900

三位 赤チーム 47800

四位 青チーム 45700

 

 

収支順位

一位 江口セーラ +2400

二位 落合茜 +1200

三位 原村和 -600

四位 新子憧 -3000

 

 

 

 

-青チーム-

 

 

「おかえり、憧ちゃん」

 

 

憧ちゃんが対局から戻ってきた。

 

 

「ゴメン、二人とも。結局最下位になっちゃった…」

 

 

申し訳なさそうに手を合わせて謝る。

 

 

「そんなことないよ憧ちゃん。和や江口さんや茜ちゃんを相手にあれだけやれたんだから大健闘だよ」

 

 

「せやせや、セーラはウチらん中で一番強いねんで。そのセーラに対してようやった方やわ」

 

 

清水谷さんもフォローに入る。先鋒戦のこともあって、共感できる部分が多いのだろう。

 

 

「あ…ありがとう」

 

 

「同じチームなんやから当たり前や」

 

 

憧ちゃんの頭を優しく撫でている。その姿はまるでお母さんだった。

 

 

(憧ちゃんは清水谷さんに任せよう)

 

 

「じゃあ、行ってきます」

 

 

「ウチらの敵取ってきてくれ」

 

 

「はいっ!」

 

 

(絶対に勝つ!)

 

 

 

 

 

インターミドル県予選まで後48日




中堅戦、みんな高い手で和了りすぎですね…。

今回はついに茜の能力が分かりました。
一応、この話の中では強いことにしていますが、実際はどうなんでしょうか?
麻雀初心者の私には分からなくて、ちょっと困ってます。

前回、ミスがあったので、今回もあるかもしれません。見つけたら教えてください。
と言ったそばからミスが発見されました。ご指摘して下さった方ありがとうございます。
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