第3局です。ここから原作キャラが増えていきます。
-金曜日・放課後・麻雀同好会部室-
昨日の一件の後、玄ちゃんと同好会設立の申請をした私達は部室としてあの教室が与えられた。そして目指すは麻雀部結成。そのためにはあと二人の部員を必要としていた。
「さて、我々は麻雀同好会として活動することになったわけですが…」
茜ちゃんは私と玄ちゃんの前に立ち、まるで部員数が足りなくて切羽詰まってるクラブの部長のように話し始める。
………実にその通りだった。
「麻雀部にはあと二人足りません!この問題をどうするか、何か意見のある人?…はい、クロ」
ビシッと手を真っ直ぐ挙げていた玄ちゃんが、はい、と答える。
「私の後輩に、こども麻雀クラブのメンバーだった女の子が二人いるんだ。麻雀もすっごく上手だから、その二人はどうかな?」
後輩というのは、昨日話していた人達のことだろう。あの時は色々とゴタゴタして気にしていなかったが、玄ちゃんの知り合いはこの学校にいるはずなのだ。
…そういえば、昨日はだいぶ偉そうなことを言ってしまった気がする。玄ちゃんが優しい娘で良かった。
「いいね、それに決まり!」
私の意見を聞かずに決定らしい。まあ、別に他の意見があるわけではないので、賛成なのだけれど。
「善は急げ、二人が帰る前に会いにいくのです」
「「おー!」」
(二人とも一日ですぐに意気投合。仲が良いのは良いことだけど息ピッタリ過ぎて少し嫉妬しちゃうな)
-一年教室前-
一年の教室には初めて来る。二年の教室と大した違いはないけど、強いて言えば、中にいる娘達が心なしか幼い気がする。
よく考えたら彼女らはついこの前まで小学生だったのだ。幼く見えるのも仕方ないのかもしれない。
ただ、私の周りには彼女らよりも幼く見える問題児が二人ほど…。
「クロ隊員、標的の名はなんというのだ」
茜ちゃんは教室の扉のガラスの部分から、突入前の兵隊のように銃を構えたフリをして中を覗いている。
周りの目が痛い…。
「
玄ちゃんも茜ちゃんの後ろから覗いている。おそらく今はその高鴨さんという娘を捜しているところなのだろう。
「隊長!標的発見致しました!」
どうやら玄ちゃんがその娘を見つけたようだ。まだ帰っていなくて良かった。もし帰ってたら茜ちゃんが大捜索だとか言って学校中を走り回っていたに違いない。
(お願いだからもう騒ぎは…)
「よし、突撃だ」
……はい?
「高鴨穏乃、高鴨穏乃はいるか。いたら返事をしろ!」
扉を勢いよく開け、大声で叫ぶ。一瞬の静寂の後、一年生はなんだなんだとざわつき始めた。
そしてその数秒後、一人のポニーテールの女の子がこちらに寄って来た。
「あの、私が高鴨穏乃です…」
彼女はとても怯えていて何だか申し訳ない気分になる。それはそうだ。見知らぬ上級生が教室にまで押し掛けてきたのだ。普通なら怖い。
(ごめんなさい、高鴨さん)
二人の代わりに心の中で謝っておく。
「穏乃ちゃん、久し振り」
玄ちゃんが茜ちゃんの後ろから顔を出した。すると高鴨さんの顔は恐怖から驚きの表情に変わった。
「玄さん!?お、お久し振りです!どうしたんですかこんなとこまで」
玄ちゃんとの再会に本当に驚いてる様子だった。
「ふふ~ん、今は内緒。とりあえず着いてきて」
高鴨さんは頭にハテナを浮かべ、はい、と返事をした。
-別の一年教室前-
「はあ~、なんであんな方法で呼ぶんですか。普通に呼んでください」
高鴨さんと同じ方法で
原村さんは信じられないといった顔で呆れている。
「あと穏乃、玄さん、お久し振りです」
「ひ、久し振り、
「お久し振りなのです和ちゃん」
玄ちゃんと高鴨さんと挨拶を交わす。玄ちゃんが久し振りなのは分かるが、同学年である高鴨さんもなのは意外だった。連絡を取り合っていなかったのは二人も同じだったらしい。
「それで、そちらのお二人は?」
私と茜ちゃんを見て言う。
「そうだったそうだった、紹介がまだだったね。こっちが落合茜ちゃん、もう一人は羽暗蒼空ちゃん。二人とも私の友達で同い年だよ」
玄ちゃんに簡単に紹介してもらう。さらっと友達と言ってくれるのが、とてもうれしかった。
「そうでしたか。私、一年の原村和と言います。」
原村さんがこちらを向いて丁寧にお辞儀をする。私も続いてお辞儀をした。
「で、ご用件は何でしょう」
原村さんが顔を上げ、玄ちゃんの方に向き直して尋ねた。
「着いてくれば分かるよ」
玄ちゃんは高鴨さんに言ったことと同じことを言い歩き出した。
-麻雀同好会部室-
「ここは…」
二人とも部室の中を見回している。
「なるほど、そういうことですか」
原村さんは事情をすぐに理解したらしい。これまでの所作や言動から判断すると彼女はとても頭が良く礼儀正しい、それが私の原村さんへの評価だ。
「えっ?えっ?どういうこと、和」
一方で高鴨さんは原村さんのようにすぐには理解できていないようだった。彼女は礼儀正しいのだが、頭を使うのが苦手そうだ。
直感型、というやつかな。
「ふっふっふ…。もう気づいていると思うが、私達は麻雀同好会を設立し、あんた達二人を麻雀同好会に勧誘しにきたのだ!」
茜ちゃんがどこぞの主人公がしそうな決めポーズを取るも、一年生二人は白い目で茜ちゃんを見ていた。
「用件は分かりました。私と穏乃に麻雀同好会に入って欲しい、ということですね」
原村さんは茜ちゃんを華麗にスルーする。是非ともその精神力が欲しい。
「うん、そういうこと。ほら、こども麻雀クラブがなくなっちゃってみんなと会う機会が減ったし、これがいい機会だと思うんだ。………どうかな?」
玄ちゃんは心配そうに二人の顔を窺っている。心配になるのも無理もない、昨日までこのことで悩んでいたのだから。
「はいっ!入ります。いや、入らせてください!」
高鴨さんが元気よく答える。
もしかしたら高鴨さんもこういう機会を待っていたのかもしれない。
「う…うん!よろこんで!」
玄ちゃんは驚きと嬉しさで今にも泣きそうだったが、懸命に堪えて、決して泣かなかった。これは後輩の高鴨さん達の前だからなのか、それともまた別の理由なのか、私には分からない。
けれど、いづれにせよ部員が一人増えたのは喜ばしいことだ。
「和も入るよね?」
高鴨さんが隣の原村さんに確認をとる。原村さんも入部すると確信している様子だった。
原村さんが入部すれば全員で5人。そうすれば晴れて麻雀部の誕生だ。
「ごめんなさい、今はまだ決めれません」
「失礼します」
原村さんは私達の顔には目もくれず、静かに部室から出ていった。玄ちゃんと高鴨さんは驚きのあまり何も言えないようだった。
「えっと…」
いつも空気を読めない茜ちゃんでもさすがに気まずそうだ。どうにか場の空気を和ませようと何と言おうか考えている。
「そ、そうだ!ノドカは決められないって言ったんだ。入らないとは言ってない!」
茜ちゃんが二人を励まそうとなるべく明るい声で言った。なら、ここを出ていくまではしないだろうと思ったが今はこの話に乗っかるしかない。
(大丈夫かな、玄ちゃん…)
この状況、高鴨さんならまだなんとかなると思うが、玄ちゃんの方は問題がありそうだ。今はまだ決められない、という言葉は私達の提案を遠回しに断っている。玄ちゃんが危惧してたように、既に麻雀に興味がない可能性があるかもしれない。
「そうですよ二人とも。原村さんのお家がこういうのに厳しいんですよ、きっと。ほら、原村さんってとても可愛らしい容姿をしてらっしゃるから…」
かなり苦しいフォローだが、これで何とか納得して欲しいと願った。
「そ、そうですよね。あの和が入らないなんて、何か理由があるに違いない!」
高鴨さんも何かを感じとって私たちの意見に賛同した。
玄ちゃんのためにも原村さんの行動は何か別の理由がある、そういうことにしておきたい。
その為にも高鴨さんの直感型が思わぬところで役立った。
「みんな、私は大丈夫だよ。穏乃ちゃんも、蒼空ちゃんも、茜ちゃんもいる。だから私は大丈夫だよ。
確かに和ちゃんが入ってくれなかったのは残念だけど、和ちゃんに会えてホントに嬉しかった」
…どうやら私達の心配し過ぎだったようだ。玄ちゃんも玄ちゃんなりに前に進んでいる。
玄ちゃんがあれだけ私達のことを思ってくれてるんだ、彼女がもうあんな思いをしないよう出来る限りのことをしよう。そう決心した。
麻雀同好会 現在4人
第3局終わりました。
和がこなかった理由はだいたい想像つくと思います。
次回はほんの少し麻雀。二人の能力が少し判明します。
牌画像変換ツールのテスト
私の好きな牌は{六索}です。順子だと{四索赤五索六索}です。{一筒}も好きですね。
変換できてるかな?