アフリカ戦線異常なし   作:おうどんつるつるの助

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第三話

今日も今日とて、何も変わらぬ一日だ。中年の兵士は何十回目かになる漫画雑誌のページをペラペラと捲っていた。若い兵士は退屈そうに空を眺めている。ときたま上空を通過するのはジオンの偵察機だ。

 

「今日も暇ですね、先輩」

『そうだな』

「今頃なにしてんだろーな...みんな...」

『お前、どこの出身だ?』

「7バンチです、サイド1の」

『そうか、サイド1も戦争で派手にやられたみたいだしな...』

「先輩のご家族は?」

『嫁と俺のガキは、サイド6に住んでる。多分な。戦争が始まる前に別れちまったからよくわからんが』

「へえ...なんかすみません」

『まあ、生きてりゃいいけどな』

「なんかかわいそうですね、先輩」

『どういうつもりだ』

「...」

『それにしても...あちいな』

「先輩、音楽かけてもいいですか?」

『いいが、一応無線はつけとけよ』

 

若い兵士は、ジオニック社のロゴの入った古いラジカセにスイッチを

いれた。

《Stairway To Heaven /Led Zeppelin》

 

「天国って...あるんですかね...」

『さあな』

「僕は...あると思います。理由はないんですけど、とにかく。あると思います」

『まあそんなものあったとしても、俺もお前も行けやしないんだがな』

「そうですね、」

『戦争が起きて、たくさん殺しすぎてしまったんだ。皆そうだ』

「悲しいですね...」

『それが戦争だ』

「はあ...」

 

中年兵士はコックピットから降りて、吸い殻を地面に捨てた。それから、何もすることもないので、モビルスーツを眺めていた。

 

『おい、お前のジム、膝関節に砂が詰まっちまってるぞ!ちゃんと整備しとけっていったろ?』

「はいはい、後でやっときますよ」

『おい!聞こえてんのか!?』

「そんなデカイ声出さなくたっていいのに...無駄にデケえ声なんだから、もう...」

『今なんか言ったか!?』

「わかりましたよ!今やればいいんでしょう?」

『いつ敵が来るか分かんねえんだぞ!?分かってんのか!?』

「どうせ来やしませんよ...少なくとも今日は...」

『それ終わったら、定期報告もやっとけよ』

「へいへい...」

若い兵士はいかにも面倒くさいという表情で地面に降りた。

「あちゃー...こりゃあ面倒なところに砂が...」

 

「先輩、手伝ってくださいよ!どうせ暇なんでしょ?」

『嫌だな、お前がやれ。自分の機体は自分で面倒見る、これパイロットの鉄則だぞ。習わなかったのか?』

 

それからしばらくして、中年の兵士は独り言のように呟いた。

『雨が来るな』

 

 

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