夜になって雨が止んで、二人は星を眺めていた。
「...」
『...』
「...あの、」
『なんだ』
「...あの人たちは、なんで、死ななきゃいけなかったんですか...」
『...それが戦争だからだ』
「戦争は終わったじゃないですか!!」
『...』
「...っなんで...!」
『いくら人間が宇宙に出て、ニュータイプだなんだと言ったところで、人間は大して変われない。いつまでも愚かなままだ。』
「...」
『でも、俺は戦うのをやめない。一度戦争に足を踏み入れちまったから、何もかもが終わるまで見届ける義務がある。それに、食わなきゃならん。戦う理由がそんな簡単じゃだめか?』
「...いいえ...」
中年の兵士は、ため息のようにタバコの煙を吐き出した。
『吸うか?』
「...はい」
『ライター持ってるか?』
「いいえ」
『貸してやるよ』
「ありがとうございます...」
『おい、泣くな』
「星が...あんまりに綺麗だから...」
『綺麗だな。この宇宙であれだけの戦争が行われていたなんて嘘みたいだ』
二本の煙の筋が、アフリカの星空に上っていった。
《...省みろ!今回の事件は地球圏の静謐を夢想した、一部の楽観論者が招いたのだ!
デラーズフリートの決起などはその具体的一例にすぎぬ...
...地球、真の力を再びこの手に取り戻すため、
ティターンズは立つのだ!》
U.C.0083 ジオン軍残党デラーズフリートの反乱を受け、地球連邦軍内部組織ティターンズが組織された。
ティターンズは、ジャミトフ・ハイマン大将を筆頭とした対ジオン残党特殊部隊である。
一年戦争時に活躍した多くの部隊が、ティターンズへと編入された。
地球連邦軍本部ジャブローでは、サラミス級宇宙巡洋艦ガリバーが今まさに空へ飛び立とうとしていた。
多くの兵士がこの艦に乗り込むその中に、二人の男の姿もあった。
『久しぶりだな、ちょっと焼けたかお前?』
「先輩は逆に白くなりましたね」
『まあ基地勤務だったからな。でもこうやって偶然にも同じ艦で乗り合わせるなんてな』
「ところでこの黒い制服、なかなか慣れませんね」
『そうか? ところでお前、ライター持ってるか?』
「先輩、タバコならちゃんと喫煙室で吸ってくださいよ」
『お前も一本どうだ』
「いりません。それにしても、このティターンズとかいうのあんまり良い噂は聞きませんよ」
『おい!あんまりデカイ声で言うなよ、それ』
「でも仕方ないんですけどね。先輩は気にしないんですか?そういうこと」
『食ってくことが最優先だからな、そんな理由でいいじゃねえか』
『...地球とはお別れか、』
「さみしいんですか?」
若い兵士が窓を覗きながら言った。
『...当たり前だろうが』
「きっと、また戻って来れますよ。平和になれば」
『そうだな』
〔完〕