木葉の依存状態が終わってから二日が経った。
木葉「んぁー」
俺はいつも霊夢に起こされるが今日は何故か早く起きた。
木葉「…朝飯まで時間あるし先に掃除するか」
そう言って俺は境内の掃除をしに行った。
サッサッサッ
今日はいつもより早く終わった。
木葉「んー今日は量が少ないから早く終わった!朝から綺麗にできて気持ちいいなぁー」
コツコツコツ
木葉「!!」
誰かの足音が聞こえた。
木葉(こんな朝早くに誰だろ…)
俺は音がする方をずっと見ていた。
するとその音の正体が分かった。
映姫「おはようございます。博麗木葉さん」
その正体は地獄の閻魔 四季映姫だった。
木葉「おや?映姫じゃない。どうしたの?」
映姫「いえ、ちゃんと仕事をこなしているか見に来たんですよ」
木葉「こんな朝早い時間に?」
映姫「えぇ。抜き打ちで見に来た方があなたの素が見れると思ったので」
木葉「もしかして…寝てたら寝込みを襲ってた?」
映姫「私はそんな不純なことはしません」
木葉「あはは…まぁ当然か。映姫は俺と同じだもんな」
映姫「あなたは確か…天秤座…でしたっけ」
木葉「俺、映姫に自分のこと話したっけ?」
映姫「私には全てお見通しですよ」
木葉「そうか」
映姫「あなたの天秤と私の審判。似通ったところはありますが…」
木葉「お前は真面目で俺は不真面目ってか?」
映姫「えぇ、まぁ、そうですね」
木葉「え…冗談で言ったのに…」
映姫「たとえ冗談でも心当たりがあるのでは?」
木葉「ね、ねぇよ!」
映姫「そうですか?ふーん?そうですか」
木葉「…妙に圧を感じるな」
映姫「私は知ってますよ?あの吸血鬼姉妹が起こした事」
木葉「!?」
映姫「あなたは吸血鬼の血を含み依存状態になったそうですね?たとえそうでもあんなに不純なことをするのは見過ごせませんね」
木葉「すまねぇな。俺記憶無いんだわ。その時の」
映姫「そうですか。依存状態になると記憶も飛ぶんですね」
木葉「…なぁ」
映姫「何でしょう」
木葉「もしかして…嫉妬してる?」
映姫「!!」
木葉「羨ましがってる?」
映姫「…ありえませんね。私が嫉妬など」
木葉「お、おうそうか」
映姫「えぇ!あなたとは違ってね!」
木葉「はいはい。すまねぇな。あ、そうだ。あの時は世話になったな」
映姫「あの時とは」
木葉「小夜、美穂、琴音、後藤さん、八重さんを生き返らせるのに協力してくれて」
映姫「あぁ、あの件ですか。それなら礼には及びませんよ。あなたの中にライブラさんがいたから承諾したんです。いなかったらそのまま帰っていただくつもりでしたが」
木葉「あぁ、でも生き返らせてくれた。ありがとうな」
映姫「えぇ、仕方ないのでその言葉をお礼として受け取っておきますね」
木葉「あ、そうだ」
映姫「なんですか」
木葉「そん時のお礼がしたいから上がってくれ。霊夢は今寝てるからあれだけど」
映姫「博麗の巫女はまだ寝ているんですか」
木葉「まぁ、最近忙しかったからな。許してやってくれ」
映姫「はぁ…ライブラさんに免じて許してあげますよ」
木葉「ありがとう。さ、上がってくれ」
映姫「…失礼します」
映姫は木葉に言われるがまま神社に上がった。
木葉「ほい」
コトッ
俺は映姫に茶を振舞った。
映姫「これ、あなたが?」
木葉「あぁ、今霊夢は寝てるからね」
映姫「あぁ、そういえばそうでしたね」
木葉「…あの時映姫が承諾してくれなかったら渚がどうなってたか分からねぇな」
映姫「前代未聞ですよ。閻魔である私が死者を生き返らせるなんて」
木葉「まぁ、確かにな」
映姫「でもライブラさんがいたおかげですよ。感謝してくださいね」
木葉「あぁ、感謝してるよ。映姫が俺の仲間を救ってくれたようなもんだしな」
映姫「そうですか」
木葉「そういえば小町のやつはどうした?」
映姫「小町なら仕事してますよ」
木葉「え!?じゃあ映姫がここにいるのはまずいんじゃ?」
映姫「何故ですか?」
木葉「何故って…だってよ、小町が死者を運んで映姫が審判するんだろ?ならほおっておくと死者がいっぱいになるんじゃ?」
映姫「それに関してはお気遣いなく。ここに来る前に仕事をサボっていることは確認済みですので」
木葉「お、おう…」
映姫「あとでお説教ですね」
木葉(南無…)
映姫「それで、あなたはここの生活に慣れましたか?」
木葉「あぁ、お陰様で」
映姫「何かあったら相談に来てくださいね」
木葉「良いのか?忙しいだろうに」
映姫「構いませんよ。あなたなら」
木葉「…そうか。ならまた何かあったら相談に行くわ」
映姫「えぇ、待ってますよ」
木葉「にしし」
映姫「何ですか。気持ち悪いですね」
木葉「ズバリ言うな。いやまぁ、映姫はツンツンしてるイメージがあったから随分可愛らしいなって思ったんだ」
映姫「私が可愛らしい…ですか」
木葉「あぁ。普通に可愛いと思うぞ。ただ、みんなが映姫を避けているのは仕事や説教が関係してるんじゃないか?」
映姫「仕事…説教…」
木葉「あぁ。今映姫は俺に説教してないだろ?普通に会話しているだろ?映姫も俺と話すように普通に会話してみるのもいいんじゃないか?」
映姫「普通に会話…ですか」
木葉「あぁ。みんなは表面でしか判断できてないからちゃんと中身まで見れるようになったら映姫もいい人だってみんなが分かってくれると思うよ」
映姫「結構ですよ…慣れてますので」
木葉「なら…何かあったら俺のところに来な」
映姫「!!」
木葉「俺なら映姫も普通に会話できるだろ?それに、俺は映姫の中身を知っているからな。力になれるんじゃないかな」
映姫「…そ、そうですね。じゃ、じゃあ何かあったら…ここに来ます」
木葉「あぁ、来てくれ。その時はまた映姫の愚痴でも聞かせてくれ」
映姫「人の愚痴を聞きたいだなんて、あなたはMなんですか?」
木葉「いいや。人の愚痴を聞くのも俺の仕事だからだよ。人は感情を口に出さないといけないからね。ただそれが行き場のないところよりも誰かが近くで聞いてくれた方が安心するんじゃないか?それこそ規律を重んじる映姫とかにね」
映姫「それだと私が愚痴を聞きすぎて潰れちゃいそうですね」
木葉「そう。だから俺のところに来な。お前が抱えてるもんを俺に分けてくれたらお前が抱えるもんも少しは軽くなるだろ?」
映姫「…全く。あなたって人は…」
木葉「人は助け合いでしょ?」
映姫「分かりました。じゃあ次来る時までに愚痴を用意しておきますよ」
木葉「あぁ、じゃあ俺はその時までにお酒を用意しておこう」
映姫「いいえ。お酒はいいです」
木葉「じゃあ何がいいんだ?」
映姫「あなたです。あなたが私の近くで愚痴を聞いててください。その方が私も安心してあなたに任せることができます」
木葉「…あぁ、分かった。じゃあその時は俺がお前の近くで愚痴を聞いててやるよ」
映姫「ありがとうございます」
木葉「いいよ。あの時のお礼だからな」
映姫「あなたはその優しさで人を包んであげてくださいね。私のようにあなたに救われる人がいるかもしれませんよ」
木葉「あぁ、ん?映姫は俺に救われたのか?」
映姫「…えぇ、あなたに私の愚痴を聞いてもらえるだけで私は大いに救われますよ」
木葉「…そうか」
映姫「さ、私はそろそろ帰りますね。あなたがちゃんと責務を全うしているのを見て安心しました。これから先、私はあなたを頼ります。なので、あなたも私を頼ってくださいね」
木葉「あぁ…任せろ」
映姫「それでは…」
コツコツコツ
映姫はそう言って神社を去った。
木葉「…お前に何かあったら頼ってくれよ…なぁ、映姫」
映姫(木葉さん。私をここまで見てくれた人はあなたが初めてですよ。私はあなたに会えて本当に良かったと思っています。その優しさをみんなに分けてあげてくださいね)
そして地獄に戻った映姫は…
映姫「小町!起きなさい小町!」
小町「ふぇ!?映姫様!あ、あの、これは、その…」
映姫「はぁ…今日は大目に見ます。ちゃんと仕事をしてくださいね」
コツコツコツ
そう言って映姫は仕事場に戻った。
小町(あ、あれ?いつもならここで説教が来るのに…何かあったのかな…)
映姫「小町!早く仕事に戻りなさい!」
小町「は、はい!」
タッタッタッ
小町は走って仕事場に戻った。
映姫(ふぅ…近々お邪魔することになりそうですよ。木葉さん)
〜物語メモ〜
・映姫と木葉の関係
東方三色花で木葉は小夜、美穂、琴音、後藤さん、八重さんを生き返らせるために映姫に頼み事をしに行った。最初は断ったがライブラが説得したおかげで五人は生き返り、早乙女 渚は元気を取り戻した。
・ライブラと映姫
木葉の星座である天秤座のライブラと地獄の閻魔 四季映姫は似た者同士。ライブラと映姫は人に審判を下す者。その中でライブラは罪の重さを映姫は天国地獄の振り分けを行っている。