木葉の幻想郷日記   作:バスタオル

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十二宮会談②

十二宮会談から数日が経った。

 

木葉「…はぁ」

 

霊夢「どうしたのよ。ため息なんかついて」

 

十二宮会談から帰った木葉は幻想郷に戻っていた。

 

木葉「いや、なんでもないよ」

 

霊夢「何でもなくないでしょ。ちゃんと言って、聞いててあげるから」

 

木葉「…いいのか?」

 

霊夢「いいわよ。ほら、言いなさい」

 

木葉「じゃあ言うけどよぉ…」

 

霊夢「何?」

 

木葉「俺が十二宮会談に行った日のこと覚えてる?」

 

霊夢「えぇ、覚えてるわよ」

 

木葉「俺はあの日に毎回恒例の言葉を聞いたんだ」

 

霊夢「毎回恒例の言葉?」

 

木葉「あぁ。その言葉ってのはな可哀想だとかあいつの親はどうなってんだとか、そんな事なんだ」

 

霊夢「それで?」

 

木葉「それでな、今のあの世界があるのは間違いなく母さんのお陰なのにそれをどうなってんだって言われるのはな…ちょっとキツいんだわ」

 

霊夢「なるほどね」

 

木葉「毎回言われるんだ。十二宮会談がある度に。全く同じ言葉って訳では無いけどそれに似た事を言われる」

 

霊夢「面と向かって?」

 

木葉「いいや、俺は耳がいいんだ。だから…」

 

霊夢「誰かがそう言ってるのを聞いたのね」

 

木葉「…あぁ、そういう事だ」

 

霊夢「なるほどね…」

 

ギュッ…

 

木葉「ん?どうした?霊夢」

 

霊夢は木葉の手を握った。

 

霊夢「あんたが落ち込んでるのを見たくないわ。私があんたのそばにいるから、何でも言いなさい。言葉にしないと顔や身体は元に戻らないわよ」

 

木葉「…そうだな」

 

霊夢「他にはないの?あんたが溜め込んでるもの」

 

木葉「今は無いよ。さっきので全部」

 

霊夢「そう。ならいいわ。少し落ち着いた?気分晴れた?」

 

木葉「あぁ。晴れた。ついでに手も暖かくなった」

 

霊夢「そう。それは良かったわ。大丈夫よ。心配しないで。あんたはちゃんとこっちの世界とあっちの世界を見てるじゃない。そして、あんたを慕っている人も多い。何かあったら助けてくれるわよ」

 

木葉「…そうだといいな」

 

霊夢「絶対そうよ!大丈夫!」

 

木葉「あはは…」

 

ピピピ!ピピピ!ピピピ!

突然、結晶が音を発した。

 

霊夢「な、何!?何この音!?」

 

木葉「あー大丈夫だよ。音が鳴ってるのはこれ」

 

木葉は結晶を取り出した。

 

木葉「電話や通知が来ると音が鳴るようになってるんだ」

 

霊夢「通知?電話?」

 

木葉「あれ、霊夢って電話とか通知って知らなかったっけ?」

 

霊夢「え、知らないわよ?というかいいの?それ。ずっと鳴ってるわよ?」

 

木葉「あ…」

 

ピッ!

木葉は応答した。

 

木葉「もしもし」

 

本庄「光さん!大変です!」

 

木葉「え、その声は…本庄か?」

 

本庄「そうです!」

 

木葉「どうしたんだ」

 

本庄「あ、あの…今、家に長津さんのお父様がいらしてて…」

 

木葉「智志の親父?」

 

本庄「それで光さんは何処にいるのか聞いてるんです」

 

木葉「それがどうしたんだ?」

 

本庄「実は…光さんが幻想郷に帰るところを長津さんの所の偵察の方が写真に収めてまして…」

 

木葉「な…」

 

本庄「光さんが均衡を崩している張本人だと仰ってるんです…」

 

木葉「な…」

 

霊夢「どうしたの?木葉」

 

木葉 (何故だ…あそこには人はいなかった…確認もした…なのに何故)

 

本庄「それで、光さんが戻ってこないと十二宮会談で光さんから天秤座の権利を剥奪すると仰ってるんです!」

 

木葉「な…」

 

本庄「だから今すぐ戻ってきてください!早く!急いでください!」

 

木葉「わ、分かった!今すぐ行く!」

 

ピッ!

木葉は本庄との通信を切った。

 

霊夢「木葉…どうしたの?」

 

木葉「霊夢ごめん。また留守番頼める?」

 

霊夢「何があったのよ」

 

木葉「またあっちに帰らないと…天秤座の権利が剥奪される…」

 

霊夢「何でよ!」

 

木葉「俺が均衡を崩している張本人って言われてる…だから行かなきゃ…」

 

霊夢「何よそれ!そんなの冗談じゃないわ!私も行くわ!私も連れてって!」

 

木葉「え…」

 

ー回想ー

 

長津(父)「最近、妙な格好をした見知らぬ人物がこの世界を闊歩していると」

 

長津(父)「ちなみに、これが普通の人なら何も問題はありません。だが空を飛んだり、吸血鬼がいたり、背中に羽や頭に兎のような耳が生えていたりと、とても普通の人間には見えません」

 

長津(父)「私のところの偵察の人は術を見破る術(すべ)を持っています。いかなる術もその人の前では意味がありません。なので、その人たちがいかに普通の人間じゃないかが分かります」

 

長津(父)「この人たちは十二天星…いや、あるいはそれ以上の力を持っています」

 

長津(父)「こんな危険な人物を野放しにしておくとこの世界は傾き続けるでしょう!」

 

長津(父)「ここで問います。この人たちを生かすか…それとも…殺しますか?」

 

ー回想終了ー

 

木葉 (ここで霊夢を連れていけば霊夢が危険な目に遭う…)

 

霊夢「木葉!お願い!」

 

木葉「ダメ」

 

霊夢「何でよ!」

 

木葉「危険すぎる」

 

霊夢「大丈夫よ!私は強いわ!」

 

木葉「そういう事じゃない。今向こうの世界では霊夢たちは危険な人物として扱われている。しかも今、俺はこの世界に来ることで世界が傾いていると思われている。ここで霊夢が俺と一緒に来れば大変なことになる」

 

霊夢「でも!」

 

木葉「霊夢。ここで待ってて。お願い」

 

霊夢「でも…」

 

木葉「お願い」

 

霊夢「…分かったわ」

 

木葉「ありがとう」

 

霊夢「その代わり…ちゃんと帰ってきなさい。いいわね」

 

木葉「…あぁ、分かった」

 

パキン!

木葉は結晶を使った。

 

ヒュォォォォォォォォォォォ…

白い光が木葉を包む。

 

シュッ!

そして木葉はそのまま現代に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…

光は無事現代に着いた。

 

光 (急がねぇと!)

 

ギュオン!

光は凄まじい速さで家まで飛んだ。

 

???「やっぱり」

 

???「やはりそうだったか」

 

???「これはもう確定したね」

 

???「あぁ。さて、俺たちも行こうか」

 

???「そうね」

 

スタスタスタ

???は光と同じ所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ!

光は勢いよくドアを開けた。

 

光「本庄!」

 

本庄「光さん!みなさん!光さんが来ましたよ!」

 

光「はぁ…はぁ…」

 

光はリビングに行った。

 

光「!!」

 

リビングには十二天星全員と長津 智昭(長津 智志の父親)がいた。

 

条乃「光…」

 

矢巾「光さん」

 

光「…何の用。元第一星座」

 

智昭「なぁに大したことではない。ただ、君がこの世界の均衡を崩しているという証拠をみんなに見せていたんだ」

 

光「はぁ?何言ってんだお前。俺がいつ均衡を崩したよ」

 

長津「そうだよ父さん!光は何もしていない!これが嘘だという可能性もあるでしょ!」

 

智昭「智志。これは長津家の偵察の者が撮ったものだ」

 

長津「え…」

 

智昭「お前なら分かるだろ。長津家の偵察について」

 

長津「…」

 

智昭「さて、君は均衡を崩していないと主張する訳だね?第七星座」

 

光「当たり前だろ」

 

智昭「なら…」

 

スッ…

智昭は1枚の写真を取り出し、みんなに見せた。

 

智昭「これもうちの偵察の者が撮ったものだ。どうだい?見覚えはあるかい?」

 

光「!!」

 

その写真は光が結晶を使って幻想郷に帰るところだった。

 

光「…」

 

智昭「どうだい?」

 

光「この写真があって何になるんだ?」

 

智昭「おや?その言い方だと認めたことになるが?」

 

光「…」

 

智昭「ちなみに、その写真に映っている光(ひかり)が均衡を崩している原因だと私は思っているが?」

 

光「…」

 

智昭「沈黙…ということは認めるということでよろしいかな?」

 

光「…腹立たしい」

 

智昭「何?」

 

光「実に腹立たしい…自分の生活ですら撮られるなんてな。プライバシーもクソもないな」

 

智昭「何だと?」

 

光「これが先代の十二天星だと思うと気が滅入るわ。あと言っておくと確かにこいつは俺だな」

 

智昭「でしょうね」

 

光「で、俺にどうしろと?」

 

智昭「話は簡単。天秤座の権利を他の人へ譲渡してください」

 

十二天星「!!」

 

智昭「あなたは天秤座として足らなさすぎる。歳も若い。そんなやつにこの世界を任せると、ろくな事にならない。それに比べ、あなたの母親はとても素晴らしい人物でしたね。人を見て、人を想い、人を大切にする。あなたにそれはありますか?」

 

長津「父さん!」

 

智昭「黙っとれい智志!俺は第七星座と話しているんだ!」

 

長津「…」

 

智昭「で?どうなんだ?」

 

光「…」

 

光は無言だった。

 

智昭「はぁ…やはりこうするしかないですね」

 

パン!パン!

智昭は手を叩いた。

 

ヒュッヒュッ

すると2つの影が現れた。

 

???「何でしょうか智昭様」

 

???「お呼びでしょうか?」

 

智昭「紹介しよう。この2人が長津家の偵察の者だ。こっちは望美(のぞみ)こっちは翔也(しょうや)と言うんだ。よろしくやってくれ」

 

光「…」

 

智昭「で、2人とも。何か新しい情報はあったかな?」

 

望美「いえ、今のところは」

 

翔也「無いですね」

 

智昭「分かった。なら他の元十二天星の人たちを集めてくれ。十二宮会談を始めよう」

 

望美「分かりました」

 

翔也「分かりました」

 

ヒュッ!

望美と翔也はその場を離れた。

 

智昭「さて、これで準備は整った。あとは、君の天秤座剥奪だけだね」

 

光「…」

 

長津「父さん!」

 

智昭「良かったな智志」

 

長津「…何がだよ」

 

智昭「これで無能な天秤座は消え、新たに優秀な天秤座があとを継ぐんだからな」

 

長津「な…」

 

条乃「おいおっさん」

 

智昭「な、おっさんだと…」

 

条乃「光が天秤座辞めるだと?冗談は歳だけにしろよ。十二天星でもないあんたが口を出すことじゃねぇだろ。それにあんたは天秤座でもない」

 

智昭「だが元十二天星だ。言う権利はある」

 

早乙女「嫌…光が十二天星を辞めるなら…私も乙女座を辞めるわ」

 

智昭「いいえ早乙女さん。あなたは関係ありませんよ。関係あるのは天秤座だけで…」

 

早乙女「あるでしょ。天秤座は私のパートナーだし。パートナーが辞めるのに私が辞めないなんて変でしょ」

 

智昭「いいえ、変ではありませんよ。パートナーがいない十二天星も過去にいた訳ですし」

 

早乙女「そう。やっぱ辞めるわ」

 

智昭「な…」

 

早乙女「光がいないと今の十二天星は成り立たないのよ。ここで光を辞めさせるのならいっその事私も辞めてやろうと思ったのよ」

 

智昭「なにもそこまでしなくても…」

 

早乙女「はぁ…長津さん」

 

長津「何?」

 

早乙女「あなたのお父さんってこっちの事を考えてくれないんですね」

 

長津「…すまないね。うちの父親が」

 

智昭「何言ってるんだ!親の前で!」

 

長津「実は俺も同じ考えだったよ。光が辞めるなら俺も一緒に辞めようと思ってたんだ」

 

智昭「智志…」

 

長津「今の十二天星にとって光は必要不可欠な存在。それを辞めさせるなんて以ての外。ならもういっその事全員が十二天星を辞めればいいんじゃないかとも思った」

 

智昭「どうしたんだ…智志。こんな融通の聞かないやつだったか?」

 

長津「はぁ…それが分からないんじゃあ父さんはいつになっても成長しないね」

 

智昭「親の前で…」

 

スッ!

智昭は立ち上がった。

 

智昭「楽しみにしていなさい。必ず現第七星座 天秤座を辞めさせ、新たに優秀な天秤座を継がせてやる」

 

スタスタスタドンッ!

智昭は光の肩にわざと自分の肩を当てた。そしてそのまま智昭は家を出た。

 

光「…」

 

本庄「光さん…」

 

佐野守「あ、あの…光さん…大丈夫…ですか?」

 

光「…あぁ、すこぶる元気だ。今なら軽い気持ちであいつを殺せるよ」

 

佐野守「ひっ…」

 

長津「すまない光。うちの父さんが変なことを言って…」

 

光「いや、いいよ。どうせ俺は…もうここには住んでないんだからな」

 

スタスタスタ

光はそのまま家を出た。

 

条乃「光…」

早乙女「光…」

倉本「光さん…」

矢巾「光さん…」




〜物語メモ〜

長津 智昭
長津 智志の父親。元第一星座 牡羊座の十二天星。
彼は今の長津 智志と同様、十二天星のリーダーを任されていた。
そのため、十二天星に指示する役目を担っている。
その頃の十二天星は智昭の指示に従っていたため、智昭の決定は絶対だった。
それが今になって続いていてみんなは智昭には口を出さない。
ただし、それを知らない今の十二天星たちは智昭に反発している。
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