木葉の幻想郷日記   作:バスタオル

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十二宮会談③

光は家を出て散歩をしていた。

 

光 (はぁ…ダルい。何でこうなるんだよ。今のこの世界があるのは俺が見ているからだぞ…その天秤座が消えればどうなるか知ってるだろ…てか優秀な天秤座って誰だよ。何でもう天秤座ってことになってんだよ)

 

光は頭の中でグチグチと愚痴を零していた。

 

光 (…ここは)

 

光はある湖にいた。

 

光 (ここは確か…家から北の方にあった湖…)

 

ザッザッザッ……

 

光「!」

 

光は誰かが来る気配を感じた。

 

光「!!」

 

そして、それは姿を現した。

 

美穂「あ、光さん!」

 

光「君は確か…後藤さんのところの…」

 

美穂「はい!美穂です!」

 

光「久しぶりだね。元気そうでなによりだ」

 

美穂「はい!光さんは元気ですか?」

 

光「んー…今は少し元気ないな」

 

美穂「何かあったんですか?」

 

光「んーまぁ、ちょっとね」

 

美穂「お話聞かせてください!私たちが力になりますよ!」

 

光「え、でも…」

 

美穂「いいですから!」

 

光「はいはい…分かったよ…」

 

美穂は光の手を引いて家に案内した。

 

光「そういえば美穂ちゃんはなんで湖に?」

 

美穂「あそこは私と早乙女さんの出会った場所なんですよ」

 

光「出会った場所?」

 

美穂「はい。研究所から逃げてきた私を早乙女さんが保護してくれました。その時に会った場所があの湖なんですよ」

 

光「ほぅ…そうだったのか」

 

美穂「なのでいつもあそこに行くんですよ。あの時を思い出すために」

 

光「そうか」

 

美穂「まぁ今日はたまたま光さんがいたのであれでしたが」

 

光「そっか…」

 

美穂「さ、着きましたよ!我が家です!」

 

美穂が指さした建物は以前の研究所とは大きく異なっていた。

 

光「こ、これまた豪勢な…」

 

美穂「確か条乃さん?って人が作ってくれたんですよ」

 

光「和人のやつ…すげぇな」

 

美穂「さ、入りましょう!話はみんなで聞きますので!」

 

光「お、おう…」

 

光は美穂に家の中に案内された。

 

美穂「パパ!ママ!」

 

直樹「ん?どうしたんだい?美穂」

 

八重「何かあったの?」

 

美穂がパパ、ママと呼んでいる人物。この2人は後藤 直樹(ごとう なおき)と後藤 八重(ごとう やえ) (旧姓は三宮寺)。以前の異変で光にお世話になった人たちだ。(※東方三色花で登場しました)

 

美穂「実は…」

 

直樹「!!」

八重「!!」

 

直樹と八重は光の存在に気づいた。

 

直樹「これはこれは天野さん!お久しぶりですね!」

 

光「はい。お久しぶりです」

 

八重「あの時はどうもありがとうございました」

 

光「いえいえ大丈夫ですよ」

 

直樹「して、今日はどういった御用で来られたんですか?」

 

光「いやぁ…まぁ…」

 

美穂「パパ!ママ!光さんは元気がないの!だからなんで元気ないのかを聞きたいから私が連れてきたの!」

 

直樹「そうゆう事でしたか。分かりました。なら私たちもその話を聞いてもいいですか?」

 

光「え?」

 

直樹「何やら困ってるそうですね。美穂がここまで言うということは」

 

光「…はい。まぁ、困ってますね」

 

直樹「なら私たちが力になりますよ!」

 

八重「そうですね。助けていただいた恩もありますので」

 

光「は、はぁ…」

 

八重「ならお茶をお出ししますね」

 

光「あ、ありがとうございます」

 

直樹「ささ、天野さん!こちらへ」

 

光「は、はい…」

 

スタスタスタ

光は直樹にある部屋へ案内された。

 

光「あの、後藤さん」

 

直樹「はい。何ですか?」

 

光「あの2人は今いるんですか?」

 

直樹「小夜と琴音の事ですか?それならいますよ。2人とも元気ですよ」

 

光「そっか…良かった」

 

直樹「小夜ー!琴音ー!」

 

光「!!」

 

直樹はいきなり大きな声を上げた。

 

小夜「何?お父さーん!」

 

琴音「何かあったのー?」

 

直樹「今天野さんがいらしてるんだ!何か困ってるそうだから知恵を貸してくれないかーい?」

 

小夜「え!?光さんがここに!?」

 

琴音「ちょちょっと待って!今から行く!」

 

光「あの…後藤さん?」

 

直樹「お話はみんなで聞いた方がいいですよ。あの子たちはまだ子供ですが、きっとあなたのお役に立てますよ」

 

光「は、はぁ」

 

小夜「光さんどこ!?」

 

琴音「あ、いた!」

 

ドタドタドタ

小夜と琴音は光に向かって走ってきた。

 

琴音「光さんお久しぶりでーす!」

 

ギュッ!

琴音は光に抱きついた。

 

小夜「光さーん!」

 

ギュッ!

続いて小夜も抱きついた。

 

光「やぁ2人とも。元気だったかい?」

 

琴音「はい!」

 

小夜「元気です!」

 

光「そうか。なら良かった」

 

琴音「今日はどうしたんですか?」

 

光「いやぁ…まぁ、ちょっとね」

 

小夜「お悩みがあるんですよね?お聞かせください!」

 

光「んー分かった。話すよ」

 

直樹「なら行きましょうか。天野さん」

 

光「はい」

 

光は小夜、美穂、琴音と一緒にある部屋に向かった。

 

直樹「ささ、こちらへどうぞ」

 

光「ありがとうございます」

 

八重「こちらも用意出来ましたのでどうぞ」

 

コトッコトッ

八重はお茶と饅頭を出してくれた。

 

光「ありがとうございます」

 

直樹「それで早速なんですが…何があったんですか?」

 

光「…後藤さんは十二宮会談ってご存じですか?」

 

直樹「はい。知ってますよ」

 

光「先日、十二宮会談がありましてそこで世界の均衡が傾いていると言われまして」

 

直樹「ほうほう」

 

光「その傾いている原因は俺なんじゃないかと言われているんです」

 

直樹「な、何ですって!?」

 

光「実は俺、今は幻想郷に住んでいます」

 

直樹「はい。存じておりますよ」

 

光「そこでその幻想郷の人たちをこちらの世界に連れてきたことがありまして…それが長津家の偵察にバレてしまってたらしいんです」

 

直樹「長津家の偵察ですか…あそこの家の偵察は少々厄介ですね」

 

光「えぇ、しかもそれだけではなく俺が幻想郷に帰るところも見られてしまったんです」

 

直樹「ふむふむ」

 

光「本来、天秤座が存在しないと均衡は保たれないんです。ですが、幻想郷に住む八雲 紫という人物に幻想郷に住んでいてもこちらの世界の均衡を保てるよう手配してもらったんです」

 

直樹「ほうほう」

 

光「ですが、それを知らない先代の第一星座の十二天星が偵察から色々と情報を聞き、今の世界の均衡が崩れているのは天秤座が悪いと言ってきたんです」

 

直樹「今この世界の均衡は傾いているんですか?」

 

光「はい。少しですが。なので、それが証拠となって俺は今、世界の均衡を崩していると誤解されています。これが困っていることですね」

 

直樹「なるほど…」

 

小夜「あのーそれって早乙女さんたちは知ってるんですか?」

 

光「あぁ、知ってるよ。先程、元第一星座の人が家に来てその事を話しました。次の十二宮会談で私の持つ第七星座 天秤座の権限は全て剥奪するそうです」

 

直樹「な…」

 

八重「それはあまりに横暴すぎるのでは…」

 

光「ですが、今のあの人は昔、十二天星のリーダーを務めていたこともあって他の元十二天星は何も言わないんですよ」

 

直樹「確かに…聞いたことがあります。私の資料に先代の十二天星に関する記述があります。リーダーは第一星座 牡羊座の長津智昭。今の長津智志さんのお父さんでしたね」

 

光「はい」

 

直樹「彼は聡明なこともあってリーダーに抜擢されました。そのお陰で先代の十二天星はとても統率が取れていて、みんなから頼られていました。そして、十二天星たちは長津智昭さんの指示に従い、今まで十二天星の人生を歩んできたと」

 

光「はい。その通りですね」

 

直樹「だがしかし…」

 

八重「ねぇ直樹」

 

直樹「ん?」

 

八重「何故その人の意見だけが通ってるの?他の人の意見は聞かないの?」

 

直樹「長津智昭さんは先代の…天野さんからすれば先々代の十二天星からみんなをまとめるよう指示を受けているんだ。だから今もそれが続いていて今に至るわけだね」

 

美穂「でもそれっておかしいよ!」

 

琴音「そうだよ!光さんは私たちを助けてくれたんだし!」

 

光「そうだね…」

 

直樹「おかしい話ですね。今まで天野さんがどれほど手を尽くしてきたか…知らないのでしょうね」

 

光「はい…恐らく…」

 

直樹「それに、今天秤座を失えば大変なことになりますよね?」

 

八重「え…何かあるの?」

 

直樹「天秤座は世界の均衡を保つ役割を担っているんだ。だから今のこの世界は平和になっている。だけどこの時点で天秤座が消えてしまったらこの世界は均衡を失い、この世界は傾き続けるんだ」

 

八重「じゃ、じゃあ…」

 

直樹「もし天野さんから天秤座の権限を剥奪すれば、この世界じゃ生きていけなくなるよ」

 

八重「そんな…」

 

小夜「そんなの嫌だよ!私は光さんがいい!他の人は絶対にやだ!」

 

美穂「私も!」

 

琴音「私も!」

 

光「それは俺自身もそう思うよ。今俺がここで権利を剥奪されたらこの世界だけじゃ済まなくなる」

 

八重「え…どういう事ですか?」

 

光「実は今、この世界だけではなく、幻想郷の均衡も保っているんです」

 

小夜「どういう事ですか?」

 

光「つまり、俺が権利を剥奪されれば、この世界だけではなく幻想郷の均衡も崩してしまうことになる。それに、新しい天秤座が継がれたとして、この世界の均衡は保たれるけど幻想郷の均衡は保たれない。なぜなら、次に継ぐ人が幻想郷の存在を知らないから」

 

直樹「確かに…それは大事になりますね…」

 

光「だから何とかしてあの人を説得しないといけないんです」

 

八重「なら元十二天星の人たちを説得するのはどうでしょうか?」

 

光「…それが難しいんですよ」

 

八重「何故ですか?」

 

光「先程言いましたが、他の元十二天星の人たちは長津智昭の決定に従うんです。なので、あの人が決めたことに賛成すると思いますよ」

 

八重「そんな…」

 

美穂「じゃあ私たちが行こうよ!」

 

小夜「そうだよ!私たちが行ってあの人たちに辞めさせるように言えば!」

 

琴音「何とかなるかもしれませよ!」

 

直樹「小夜…美穂…琴音…」

 

小夜「ね!行こうよ!」

 

直樹「そうだね…行こっか。あの人たちを説得しに」

 

美穂「やったー!」

 

琴音「絶対辞めさせたりしない!」

 

八重「じゃあ私も行きましょう」

 

光「いいんですか?」

 

八重「はい。任せてください」

 

そうやって話しているとある人物が尋ねてきた。

 

篠澤「おーい直樹ーいるかー?」

 

スーッ

篠澤は襖を開けた。

 

直樹「やぁ凛!ちょうど良かった!ちょっと話を聞いてくれ」

 

篠澤「え…何…」

 

彼の名は篠澤 凛(しのざわ りん)。彼も同じく光のお世話になった人物。

(※東方三色花に登場しています)

 

直樹「実はかくかくしかじかで…」

 

直樹は篠澤に話をした。

 

篠澤「なるほどね…それで止めるのを手伝って欲しいと」

 

直樹「そうなんだ。お願いでき…」

 

篠澤「任せな。俺も行こう」

 

直樹「あ、あぁ…お願いするよ」

 

篠澤「天野さんには借りがあるからな。ここで俺も恩返しといこうじゃないか」

 

光「ありがとうございます。篠澤さん」

 

篠澤「し、篠澤さんだなんて…そんな…恥ずかしい…」

 

直樹「凛。キャラ崩壊してるよ」

 

篠澤「え」

 

八重「気持ち悪いよ。凛」

 

篠澤「うっ…心が痛い」

 

直樹「とにかく光さん。私たちも力になるので頼ってください!」

 

光「ありがとうございます」

 

直樹「じゃあ早速意見をまとめようか!」

 

小夜「うん!」

 

篠澤「おう!任せとけ!」

 

美穂「私もやる!」

 

琴音「私も!」

 

光「じゃあ私はこれで失礼しますね」

 

八重「あ、じゃあ私がお送りしますよ」

 

光「あ、じゃあお願いします」

 

スタスタスタ

光と八重は部屋を出た。

 

光「ありがとうございます八重さん。ここまでで大丈夫ですよ」

 

八重「分かりました。それで天野さん」

 

光「はい」

 

八重「…気を落とさないでくださいね。私たちがついてますので」

 

光「…はい。それでは…」

 

光は家を出て歩き始めた。




〜物語メモ〜

後藤さんたちは東方三色花で登場した人物。
ある3人の女の子に能力が発現された異変。
その女の子たちは1度死んでしまったが、四季映姫とライブラによって生き返った。

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