ギィィィィィ……
長津は重い扉を開ける。
???「やぁ、来たみたいだね。十二天星」
十二天星「!!」
十二天星たちが見た先には9人の人物が椅子に座っており、全員こちらを見ている。
先程声をかけた人はいかにも青年っぽい見た目をしている。
???「手紙を送って少ししか経っていないのにもう来るなんてね。長津くんの行動力がいい証拠だね」
長津「ありがとうございます」
長津はその人に向かって深々と頭を下げる。
矢巾 (長津さんが頭を下げるなんて…そんなに偉い人なんだ…この人たちは)
???「はい。とっても偉い人ですよ」
矢巾「!?」
長津「え…どういう事でしょうか?」
???「あーいや、君に言ったんじゃないんだ。そこの男の子に言ったんだよ」
???は矢巾を指さした。
長津「この子が…何か粗相を…」
???「あーいやいやそういう事でもないんだよ。ただ心の中で言ってたことに答えただけだよ」
長津「!!」
矢巾「え…その…すみません」
???「え!?ちょちょっと待って!謝らなくてもいいよ!?君は初めてなんだから疑問に思うことがあるのは承知してるから大丈夫だよ!?そんな改まらなくてもいいんだよ!?」
矢巾「ですが自分は…あなたをそんな呼ばわりしました…」
長津「!!」
???「いやいや大丈夫だよ!?そんなこと全然悪く思ってないよ!?」
長津「すみません。うちの者が…」
???「え、ねぇちょっと待って!?大丈夫だよ!?ほんとに大丈夫だよ!?」
長津と矢巾は深々と頭を下げたままだった。
???「ね、ねぇルナ…ど、どうしたらいいかな…どうしたら2人とも頭を上げてくれるのかな…」
ルナ「…はぁ、あなたはいつもそうですよね。肝心な時にいつも緊張して…」
???「すみません…」
ルナ「お二方」
長津「はい」
矢巾「はい」
ルナ「頭をお上げください」
長津と矢巾は頭を上げた。
ルナ「そこまで気にする必要はないですよ。この人はあなた方と友達になりたがっているだけですので」
長津「と…友達…ですか…」
ルナ「はい。この人はあなた方と気兼ねなく接するくらいの仲になりたいそうなんです。ですが、なにせこの立場ですから…いくら友達のように接していてもみんな頭を下げるんです」
長津「な、なるほど…」
ルナ「それがこの人の悩みなんですよ。友達になりたいのにみんな恐れ多いと言い、頭を下げるんです。この人には私たちしかいないので…言わば寂しがり屋なんですよ」
???「だって…ここのみんなは友達だよ?でも、君たちは普通の人間じゃないじゃん…僕は人間の友達が欲しいの!」
ルナ「…とまぁ、こんな感じです」
長津「ですがあなたはこの世界の均衡を司っている存在です。あなた方のおかげで今の私たちが生きていけるんです。そんなお方と友達になれと言われてもお互いの立場が…」
???「うぅ…また言われた…」
長津「!?」
ルナ「気にしないでください。過去に何度も同じことを言われて拗ねているだけですので」
長津「す…すみませんでした…」
三室「なぁ和人…」ヒソヒソ
条乃「なんだよ」ヒソヒソ
三室「お前が友達になったらどうだ?」ヒソヒソ
条乃「てめぇ…俺を殺す気か…」ヒソヒソ
ルナ「それで、本題に入りましょうか」
???「ちょっと待ってよ!友達になる話は!?もう話は終わったの!?」
ルナ「サン。今の状況を見てください。騒がしいのはあなただけですよ?慎みを覚えてください。目上の人がそんな態度じゃカッコつかないでしょ。いい加減諦めなさい」
サン「うぅ…ずびばぜん…」
ルナ「それで本題なんですが…最近、第七星座が辞退されると聞きましたが?」
光「!!」
ルナ「これは一体どういう事なんでしょうか?」
長津「それに関しましては、私の父が今の第七星座は足りない。だからここで天秤座を辞退させ、新しい天秤座を継がせると言ったんです」
ルナ「…それで」
長津「他の方々のお力添えの末、今の天秤座は辞退せずに残ることになりました」
ルナ「…そうですか。辞退したのは嘘だったと…そういう事ですか?」
長津「…それはどういう事でしょうか?私たちはまだその報告をしていませんが」
ルナ「…おかしいですね。今ここに天秤座が辞退したという報告書があるんですが…」
長津「!?」
ルナはそれを十二天星たちに見せた。
長津「!?」
そこには第七星座が辞退し、新しい第七星座が就任したと書かれていた。
長津「なんだ…この報告書…」
光「…見覚えないな…これ」
長津「光もないのかい?」
光「…あぁ。知らないな」
長津「んー…」
ルナ「…じゃあその報告書はあなた方が送ったのではないのですね?」
長津「はい。私たちはこのような報告書は知りません」
ルナ「そうですか。なるほど…私たちに嘘の情報を流した者がいる…と…」
長津「…恐らく」
ルナ「じゃあ…その情報を送り付けてきた人を呼びましょうか」
長津「!!」
長津はみんなに指示した。
長津「みんな!今すぐ壁の方に移動して!早く!」
するとみんなは壁に移動した。
矢巾「あ、あの…長津さん…一体何が…」
長津「光輝。よく見てて。…あの人たちに嘘をついたり怒らせたりするとどうなるか…」
矢巾「…」
ルナは力を発動させた。
ルナ「…出てきなさい」
シュゥゥゥゥゥゥゥ……
矢巾「!」
すると、1人の男が姿を現した。
長津「!?」
その人物とは…ライブラが暗獄へ送ったはずの長津智志の父親…長津智昭だった。
長津「と…父さん…」
長津(父)「な…ここは…」
長津智昭は辺りを見渡す。
長津(父)「!?」
やがて三柱の前にいると気づいた長津智昭は頭を下げ、土下座した。
長津(父)「これはこれは三柱様…今日はお日柄もよく…」
ルナ「黙りなさい」
長津(父)「!」
ルナは怒っているのか長津智昭の発言を遮った。
長津(父)「ど…どうされましたか…」
ルナ「あなたですか…この報告書を送ったのは…」
ルナは長津智昭に報告書を見せた。
長津(父)「!!」
ルナ「…どうやら、見覚えはあるようですね」
長津(父)「確かに…これは私が作成した報告書です…ですが…送ってません」
ルナ「…送ってないと…では誰が送ったんですか?」
長津(父)「すみません…分かりません」
ルナ「…」
長津(父)「私は…この報告書を作っただけです…本当です…断じて…送っていません」
ルナ「…そうですか。ならもう結構です」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ……
すると長津智昭は消えていった。
長津「あ、あの…」
ルナ「安心してください。元いた場所に帰しただけです」
長津「いえ…そうではなく…」
ルナ「…送り主の事ですか?」
長津「はい…」
ルナ「…残念ながら特定は不可能ですね」
長津「なぜ…」
ルナ「私が呼び寄せることができるのは生きた人間だけです。私が呼び寄せられないとなると送り主は死んだのでしょう」
長津「!?」
ルナ「ただ、さっきの人物が送り主だと思いましたが違ったようです。彼はただ、送り主と何らかの関係があるだけでした。嘘は言ってませんでしたよ」
長津「そうですか…」
ルナ「それと…ライブラ」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…
ライブラは光の身体から出てきた。
ライブラ「何でしょうか」
ルナ「あの人はもう暗獄から出してあげてください。もう随分深く反省しているようですよ」
ライブラ「…分かりました」
ルナ「さて、私の本題は終わりましたので知らない人のために私たちの自己紹介でもしましょうか」
サン「賛成!」
ルナ「じゃあ自己紹介の前に軽く私たちの紹介をします。ここにいる私たち9人はこの世界を支えている存在で、三柱と呼ばれています。それぞれ時間、領域、四季を司っています。私たちが存在することでこの世界は成り立っています」
矢巾「な、なるほど…」
倉本「じゃあ私たちの上司って事だね…」
ルナ「これまで色々なことが起こりましたが、あれこそ均衡が傾いてしまったために起こったものです。本当に申し訳ありません」
長津「いえいえそんな…」
ルナ「さて、軽く触れたところで自己紹介といきましょうか。じゃあサン。お願い」
サン「分かった」
すると、ずっと友達を欲しがっていた人が立ち上がった。
サン「僕はサン!サン・ソレイユ!三柱のうち、時間を司っています!僕はルナとは対の存在であり、この世界を照らす太陽です!以後、お見知り置きを〜」
矢巾「太陽…」
倉本「確かに…太陽は頂点よね…」
サンが自己紹介を終え、次に立ち上がったのは、ずっとサンに色々言っていたルナと呼ばれる人物だった。
ルナ「私はルナ・ムーン。サンとは対の存在であり、この世界に暗闇をもたらす月です。私たちは2人で時間を司っています。ちなみに、私たち2人で二刻神 (にこくしん)と呼ばれています」
矢巾「太陽と…月…」
倉本「2人で二刻神…」
ルナ「では次いきましょうか。次は、この世界の領域を司る者たちです。領域とはそれぞれ大陸、深海、天空。この3つのことを指します。では大陸からどうぞ」
???「おうよ」
すると、筋骨隆々な人物が立ち上がった。
ボーガン「俺はグランド・ボーガン。この世界の大陸…つまり大地を司っている。今お前らが踏んでいるものは全て俺によって動かされている。以上だ」
ルナ「では次は深海を司る者です」
???「はい」
すると今度はいかにも優しそうな見た目の人が立ち上がった。
メル「私はメル・メーア。この世界の海を司っています。…えっと他に何言えば…」
ルナ「無いなら無理して言わなくても大丈夫ですよ」
メル「あ、ではよろしくお願いしますね」
ルナ「じゃあ次は天空を司る者です」
???「はいよ」
すると今度は割と細身で目が鋭い人が立ち上がった。
ヒンメル「俺はシエロ・ヒンメル。この世界の天空を司っている。俺は主に雨をふらせたりなどの天候を司っている。よろしく」
その男はそれだけ言って座った。
ルナ「この3人はそれぞれの領域を司っている者で3人合わせて三領保神 (さんりょうほしん)と言われています」
矢巾「三領…」
倉本「保神…」
ルナ「さて、次が最後の三柱です。彼らはこの世界の四季…つまり春夏秋冬を司っています。じゃあ春からどうぞ」
???「はい」
すると、これまた優しそうな人が立ち上がった。
???「あ、あの…わ、私は…私は…」
その人はあがり症なのか、言葉が出てこない。
エア「エア・ヴェスナー…です」
ルナ「もういいよエア。無理させてごめんね」
エア「…はい」
ルナ「さて、次お願いね」
???「あぁ」
すると今度は見た目が条乃によく似ている人物が立ち上がった。
ラト「俺の名はラト・エスターテ。この世界の四季を司っているうちの1人だ。よろしく」
ルナ「…さて、じゃあ次いきましょうか」
???「はいはい」
すると、今度はいかにも気だるそうな人が立ち上がった。
オータム「僕はオータム・フォール。秋を司っています…はい」
ルナ「じゃあ四季の最後。お願い」
???「分かりました」
すると今度は声が小さく、物静かな子が立ち上がった。
ジマ「私はジマ・タルヴィ。冬を司っている三柱」
その子はそれだけ言って座った。
ルナ「…とまぁ、この4人がこの世界の四季を司っています。4人合わせて四季宝神 (しきほうしん)と呼ばれています」
矢巾「な、なるほど…」
倉本「やばい…全然名前が覚えられない…」
ルナ「あーそれに関しては大丈夫ですよ。別にテストする訳でもないので。それに、今頃になって全員の名前を思い出した人がいますので」
条乃「!?」ギクッ!
条乃はルナに全て見透かされていた。
ルナ「この世界は私たち二刻神、三領保神、四季宝神の三柱がいることで成り立っています」
矢巾「え…じゃあ光さんがこの世界の均衡を保ってるっていうのは…」
ルナ「あーそれは私がライブラに均衡の監視をするように命じたんです。なのでライブラは、世界の均衡を保つための監視をしているんです」
矢巾「そういう事だったんですね」
ルナ「ちなみに言っておきます。あなたや他の十二天星が持つ星座の力は、元々私たちの力なんですよ」
矢巾「え!?」
倉本「え!?」
ルナ「それを12個に分けたものが、後の十二星座なんですよ」
矢巾「えー!?」
倉本「えー!?」
〜物語メモ〜
光たちが住んでいる世界は三柱によって均衡が保たれています。
その三柱とは
・二刻神 (にこくしん)
・三領保神 (さんりょうほしん)
・四季宝神 (しきほうしん)
の3つです。
二刻神…太陽と月
三領保神…大陸と深海と天空
四季宝神…春と夏と秋と冬
のことを指します。
それぞれ
太陽と月は「時間」
大陸と深海と天空は「領域」
春と夏と秋と冬は「四季」
を担っている。
彼らの力は強大で十二天星だと歯が立たない。
それ故にこの世界を支えることができている。
↓それぞれの名前です。
二刻神
太陽…サン・ソレイユ (男)
月…ルナ・ムーン (女)
三領保神
大陸…グランド・ボーガン (男)
深海…メル・メーア (女)
天空…シエロ・ヒンメル (男)
四季宝神
春…エア・ヴェスナー (女)
夏…ラト・エスターテ (男)
秋…オータム・フォール (男)
冬…ジマ・タルヴィ (女)