木葉の幻想郷日記   作:バスタオル

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この子の名前は?

光「実はな、この子は俺がここに着いた時に見つけたんだ。駅のところに座っててな、手探りで何かを探していたんだ」

 

本庄「手探りで…」

 

光「あぁ、話しかけても全然返事をしない。ましてや目すら合わさなかった」

 

風和瀬「…」

 

光「そんな時、俺はもしかして耳が聞こえないんじゃないかって思ったんだ」

 

三室「…」

 

光「そしたら案の定耳が聞こえなかった。俺はこの子と話す時は手に文字を書いている。これなら伝わるんじゃないかって思ってな」

 

本庄「だからあの時手に文字を書いたんですね」

 

光「あぁ、でもいきなり手を掴んだらこの子も怖がるだろうから手に文字を書く前に肩を叩くんだ。そうすればこの子は手を出してくれる。だから俺たちは会話ができるんだ」

 

長津「そっか…」

 

光「でもこの子はそれだけじゃなかった。この子は目も見えない」

 

倉本「…」

 

光「目も見えず、耳も聞こえない。そんな中、駅で1人座っていた。普通なら考えられないだろうな」

 

佐野守「やっぱり…捨てられたんですか…」

 

光「分からない…でもこの子は1人で寂しかったと思うんだ。俺が手に文字を書いてコミュニケーションを取らないと話せない。それに、俺がこうしたおかげでこの子は俺を信用してくれている。今俺がこの子の事を話していてもこの子は何をしているのか分からない。目が見えないから視認できず、耳が聞こえないから聞き取ることも出来ない。今のこの子は完全な暗闇の中にいるんだ」

 

本庄「…そうですか」

 

立花「うーん……難しいな」

 

光「それでなんだが、俺はこの子から離れるわけにはいかないんだ。だからさ…」

 

本庄「付きっきりで面倒見たいってことですか?」

 

光「…あぁ」

 

本庄「構いませんよ。家事は条乃さんが1週間もしてくれるんですから」

 

条乃「!?」

 

三室「だっははは!忘れてたのか?和人!」

 

条乃「くっ…」

 

光「そっか…ありがとうな」

 

矢巾「ですが、僕たちはどうコミュニケーションを取ればいいんですか?」

 

光「この子と話すならまず肩を優しく叩いてやってくれ。そうすればこの子は手を出してくれる。あとは指で文字を書いてくれたらこの子も返事をしてくれるよ」

 

風和瀬「光さんはこの子の思考を読むんですよね?」

 

光「あぁ、その方がいいだろうしその事はこの子に話そうと思う」

 

風和瀬「私も読めるんですが、その方がいいですかね?」

 

光「まぁ、指で書くよりも効率がいいだろうから風和瀬の事も言っておくよ」

 

風和瀬「ありがとうございます」

 

光「一応この子は俺と一緒のベッドで寝るけど良いか?」

 

長津「あぁ。構わないよ」

 

光「ありがと。話はこれで終わりだがなにか質問はあるか?」

 

条乃「その子の名前はなんだ?何歳なんだ?」

 

光「あー聞くの忘れてた。ちょっと待ってくれ」

 

トントン

光はその子の肩を叩いた。

 

???(!!)

 

スッ

その子は手を出した。

 

条乃「ほう。あんな感じか」

 

本庄「条乃さんは力が強いので会話しない方がいいですよ」

 

条乃「なに!?」

 

本庄「あの子の肩を痛めてしまったら光さんが怒ると思いますよ」

 

条乃「ぐっ…確かに…」

 

三室「お前は家事に専念してたらいいんだよ!」

 

条乃「じゃあ料理も俺か?」

 

三室「げっ!?」

 

本庄「いえ、料理は私たちがやりますので」

 

三室(ホッ…)

 

光「なぁ。この子名前が無いそうだ。耳が聞こえないし目も見えないから名前を言われても分からないらしい」

 

本庄「あ、そっか…」

 

光「それに歳も分からないらしい」

 

条乃「…そうか」

 

光「この子の名前はどうしようか。今この子に名前をつけてあげるって言ったんだけど…」

 

条乃「ならお前が付けたらどうだ?」

 

光「俺がか?」

 

風和瀬「そうですね。光さんに懐いてますし」

 

本庄「私もその方が良いかと」

 

光「…そうか。んー……」

 

光はしばらく考えた。 

 

光「決めた。この子の名前は……美羽」

 

条乃「美羽?」

 

光「あぁ、美しい羽と書いて美羽だ」

 

条乃「なんで美羽なんだ?」

 

光「なんとなくこの子に合いそうだったから」

 

条乃「なんだそりゃ…」

 

本庄「美羽ちゃんか〜可愛い名前ですね!」

 

風和瀬「確かに!」

 

条乃「まぁ…俺ならもっと違う名前付けるけどな」

 

本庄「どんな名前ですか?」

 

条乃「天照(アマテラス)!!!」 

 

それを聞いた瞬間、その場のみんなが凍りついた。

  

本庄「…」 

風和瀬「…」 

早乙女「…」 

佐野守「…」 

倉本「…」

 

風和瀬「アマテラス…ですか…」

 

条乃「あぁ!どうだ?いいだろ?」

 

本庄「……ネーミングセンス崩壊してますね」

 

条乃「なに!?」

 

早乙女「当然よね…」

 

条乃「な…」

 

倉本「条乃さん…自分の子供の名前がアマテラスって恥ずかしくないですか?」

 

佐野守「高天原の最高神じゃあるまいし…」

 

風和瀬「想像してみてくださいよ…学校の入学式や卒業式で…」

 

風和瀬「条乃 天照(じょうの あまてらす)さん!……なんて言われたら恥ずかしいじゃないですか…」

 

条乃「そうか?俺は恥ずかしくないぞ?」

 

風和瀬「条乃さんじゃなくて条乃さんのお子さんですよ!お子さんの立場になって考えてみてくださいよ!アマテラスなんて言われたら流石に恥ずかしいですよ!」

 

条乃「な…なんだと…この俺のネーミングセンスが…」

 

本庄「はぁ…この子が条乃さんに拾われなくて良かったです…」

 

風和瀬「そうですよね…拾われて嬉しいって気持ちになってる所に一生を左右するであろう名前を決める場面でアマテラスだなんて…」

 

三室「だーーーはははははははは!キラキラネームにも程があるだろ!」

 

条乃「うるせぇ!」

 

三室「和人wwwおめぇwwwアマテラスはねぇだろwww」

 

条乃「くっ…」

 

三室「どこの時代に自分の子供にアマテラスなんて名前付けんだよwwwwww」

 

条乃「くっ…」

 

三室「なんだ?お前はイザナギ神か?えぇ?どうだ?和人wwwww」

 

条乃「うるせぇーーーーー!」

  

みんなが言い合ってる中、光はその子に伝えた。

  

光(き・み・の・な・ま・え・は・み・う・だ・よ)

 

美羽(みう…名前…私の名前…)

 

スッ 

美羽は光の手に文字を書いた。 

 

美羽(ど・ん・な・じ・を・か・き・ま・す・か・?)

 

光(う・つ・く・し・い・に・は・ね・っ・て・じ・だ・よ)

 

美羽(美しい…羽……美羽…)

  

ボッ! 

美羽は顔を赤くした。

 

ズボッ!スリスリ… 

その後、光の体に顔を押し付けスリスリした。 

 

本庄「あ!喜んでるみたいですね!」

 

光「そ、そうか…なんか照れるな…」

 

美羽(名前…私の名前…美羽…この人がつけてくれた…嬉しい…美羽…美羽…美羽…)

 

風和瀬(ふふっ…良かったね。美羽ちゃん)

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