木葉の幻想郷日記   作:バスタオル

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倉本と早乙女の過去

木葉は能力を使った反動で倒れてしまった。その後部屋まで運ばれ、しばらくは目を覚まさなかった。

 

霊夢「木葉…ねぇ木葉…早く起きてよ…もうずっとこれよ…早く私に…あの笑顔を見せてよ」

 

ガチャ…

ドアが開いた。

  

魔理沙「霊夢。交代だぜ」

 

部屋に入ってきたのは魔理沙だった。

 

霊夢「うん。分かったわ。また来るわね。木葉」

  

ギィィィ…パタン

霊夢は魔理沙と交代して部屋を出た。

  

魔理沙「…なぁ木葉。お前、私を助けてくれたんだってな。霊夢から聞いたぜ。ありがとうなんだぜ。早く起きて霊夢にあの笑顔を見せてやってくれ。霊夢はお前が起きるのを待ってるからな」

 

コンコンコン 

ドアがノックされた。

 

魔理沙「誰なんだぜ」

 

魔理沙が応答すると、そこには倉本と早乙女がいた。

  

倉本「魔理沙さん。いたんですね」

 

魔理沙「あぁ、今は私が見る番だからな」

 

倉本「お身体の方は」

 

魔理沙「大丈夫なんだぜ」

 

倉本「それは良かったです」

 

魔理沙「それで、どうしたんだ?」

 

倉本「光さんの様子を見に来たんです」

 

魔理沙「そうだったのか」

 

倉本「光さん。まだ起きませんか」

 

魔理沙「起きないぜ」

 

倉本「そうですか…」

 

魔理沙「…なぁ」

 

倉本「はい」

 

魔理沙「木葉の事…教えてくれないか?」

 

倉本「光さんの事ですか?」

 

魔理沙「あぁ、木葉がどうゆう人間なのかを知っておきたいんだぜ」

 

倉本「…分かりました。少しお話しましょうか」

  

倉本と早乙女は部屋に入り、木葉について話し始めた。

  

倉本「光さんは私の命の恩人でした。私は元々独り身だったんです。家では親に怒られ殴られ、挙句の果てには家を追い出されました。私は近くの小屋で雨風を凌いでいましたが、その時は冬でした。薄着一枚で裸足。身体もやせ細っていた私にはとても辛かったです」

 

魔理沙「…」

 

倉本「でもそこで私は光さんに拾われました。光さんは自分の上着を私に着せ、私を抱え、家まで連れてってくれました。家に着けば暖房があり、とても暖かかったです。ご飯も光さんが作ってくれて、とても美味しかったです」

 

魔理沙 (木葉…)

 

倉本「私はしばらく光さんと一緒に暮らしました。家事は前の家で散々やらされていたので多少は出来ましたが、光さんは私が家事をしているのを見て手伝ってくれました。服やベッドも買ってもらって私はとても幸せでした。でも不思議でした」

 

魔理沙「?」

 

倉本「何故そこまでするのか当時の私には分かりませんでした。私はその事で一度光さんに聞きました。なぜそこまでしてくれるんですかって。そしたら光さんは「人の幸せを見るのが好きだから」と言いました」

 

魔理沙「そうか…」 

 

倉本「ですが、出会いがあれば別れもあります。私は独り身の子供を引き取る施設に入りました。当時別れるのは嫌でした。私は泣きじゃくりました。でも光さんはそんな私を抱き締めて「大きくなったら会いにおいで」と言ってくれました」

 

魔理沙「そんなことが」

 

倉本「はい。それから月日は流れ、私は誰かに引き取られました。知らない人でした。でもその人も私を温かく迎えてくれました。私は嬉しかったです。でもやっぱり、心のどこかでは光さんに引き取って欲しかったって思いもありました。そんなある日、私はお父さんからあることを聞きました。光さんの事でした」 

 

魔理沙「!!」

 

倉本「お父さんは光さんの事を良く思っていました。ドレインを退治するだけではなく取り込まれた人たちを切り離す事もしていた。そして、仲間が傷つけばいち早く駆けつけ、落ち込んでたら応援してくれて、そんな光さんをお父さんはとても好いていました」

 

魔理沙「そうか…木葉はそうゆうやつだったんだな」

 

倉本「はい。ですが二年前。ある事件が起こりました。大地は割れ、ドレインが大量発生しました。その話を聞いた時は驚きました。その事件を起こしたのは光さんだったんです」

 

魔理沙「!?」

 

倉本「私が長津さんからその話を聞いた時は足に力が入りませんでした。お父さんが十二天星 魚座の力を私に譲渡した理由がやっと分かりました。そして私は幾年前に言ってくれたあの言葉。「大きくなったら会いにおいで」あの言葉がようやく叶うと思いました。ですが、光さんは以前の光さんではありませんでした。優しさに満ちた笑顔や声はなく。目に光りがありませんでした」

 

魔理沙「…」

 

倉本「私はあれから一度だけ光さんと任務を共にしました。その時は何を話そうかと考えていましたが結局その日は何も話せませんでした。光さんを見ても振り向いてもらえず服の裾を引っ張っても何の反応もありませんでした。私はとても悲しくなりました。以前の光さんはもっと優しかったのに今では心がないように感じました」

 

魔理沙「そっか…」

 

倉本「そして、任務中ドレインが現れました。ドロドロとした形を保てないものや人の形を成したドレインもいました。光さんは見つけるやいなやドレインたちを攻撃しました。ドロドロしたものだけでなく形を成したものも全て。私は見間違いかと思いました。お父さんは光さんは形を成したドレインは切り離してると言っていました。でも、そんな事はありませんでした。一人残らず殲滅してしまいました。私は怖くなりました。たった数年でここまで変わってしまったのかと…それから私は光さんとの任務は受けないようにしました。今は少し良くなってますが私が十二天星になった頃はとても酷かったです」 

 

魔理沙「そうだったのか…」

 

早乙女「私も同じです。私も光に助けられました。光は私を連れ去ろうとする人たちから私を守ってくれました」

 

魔理沙「!!」

 

早乙女「そしてその人たちが私の目に入らないよう私の前に立ってくれました。私はその背中に憧れを抱きました。光はその後こう言いました。「いくつか質問する。正直に答えろ」そう言ってその人たちにいくつか質問をしてました」

 

魔理沙「質問…か」

 

早乙女「その人たちはその質問に正直に答えました。そしたら光は「質問は以上。正直に答えてくれてありがとう。さ、お帰り。見逃してあげる。もうこんな事するな」と言いました」

 

魔理沙「…」 

 

早乙女「その人たちはその場を後にしました。私は疑問を抱きました。何故あそこであの人たちをやっつけてくれなかったのかと。私は聞きました。「あの人たちは悪い人なのになんでやっつけないの?」と。そしたら光は「そんな悪い人たちにも帰るべき場所とそれを待ってる人がいるからだよ」と言いました」

 

魔理沙「!!」

 

早乙女「その時の私はまだ16だったのであまり理解できませんでした。悪い人を助ける意味が分かりませんでした。でも光はそんな悪い人たちでも助かる道を作る人なんだなと思いました。私はその優しさと強さを背負った光の背中をいつの間にか好いていました。最初は憧れだったのにいつか気持ちが変わりました」

 

魔理沙「…」

 

早乙女「私が光が十二天星だったことを知るのはその日から数日後でした。私はそれから十二天星になれるよう努力しました。時間はかかりましたがなんとか十二天星になれました。そして、十二天星にはペアと言う制度があります。ペアになった人は相手が何かあった時すぐに駆けつけられるように腕輪をするんです。私が十二天星になった時は光のペアが空席だったので私はそこに入れられました」

 

魔理沙「…」

 

早乙女「正直嬉しかったです。あの日助けてくれた人のペアになれたことに。光はあの時と変わらず優しかったです。一緒に任務をしている時は色々教えてくれました。失敗しても光がカバーしてくれました。私はその時、光に何かあったら私が助けようと思いました」

 

魔理沙 (そうか…)

 

早乙女「ですが、それは叶いませんでした」

 

魔理沙「?」

 

早乙女「二年前に起こった事件では私は光を助けることは出来ませんでした。私はその時は17で、光は18でした。それからの光はさっき結衣ちゃんが言ったように心がありませんでした。声をかけてもあまり反応してくれず、少し距離を置くようになりました。その背中は強さはあれど以前の優しさはありませんでした」

 

魔理沙「…」

 

早乙女「それから私も光との任務をあまり受けなくなり、光は一人で任務に行くことが多くなりました。以前は腕輪が危険を知らせてくれてその度に嬉しかった。自分を頼ってる感じがしました。ですが、その日からは一度も腕輪は鳴りませんでした。それから二年経った今でも一度も腕輪が鳴ることはなかったんです。寂しいです。いつも頼ってくれてた人が急に頼ってくれなくなって」

 

魔理沙「そうか…」

 

早乙女「そして今は記憶がありません。私が何かしようと思っていても何をしたらいいか分かりません。このまま見守るべきなのかも分かりません。できれば思い出して欲しいです。また一緒に任務をしたいと思っています」

 

魔理沙「そうか…木葉の過去にはそんなことが…」

 

倉本「はい。光さんは私たちを助けてくれました。光さんは私たちの恩人です。私たちはその恩を忘れていません。いつか返せたらと思っています」

 

魔理沙「そうか…ん?ちょっと待ってくれ」

 

倉本「なんですか?」

 

魔理沙「二年前のその事件では木葉は18なんだよな?」

 

早乙女「はい。そうです」

 

魔理沙「じゃあ今は…」

 

早乙女「計算があっていれば20ですね」

 

魔理沙「え、でも、木葉は18って言ってたぞ」

 

早乙女「光は記憶を改変しているんです。二年前に起こった事件を繰り返さないために」

 

魔理沙「じゃあ木葉は18って言ってるけど実際は違うってことか?」

 

早乙女「はい。違います」

 

魔理沙「そうか…でも良かった。木葉の話を聞けて。これで改めて木葉がどういう人なのかを知ることが出来た。ありがとうなんだぜ」

 

倉本「いいえ、構いませんよ」

 

早乙女「私たちはいつでも力になるので何かあったら言ってください」

 

魔理沙「分かったぜ」

 

倉本「魔理沙さんこの後は?」

 

魔理沙「木葉を見てるぜ。霊夢と約束したからな」

 

倉本「そうですか。分かりました。それでは私たちはこれで」

 

魔理沙「あぁ、ありがとうなんだぜ」

 

倉本「いいえ、こちらこそ」

 

ガチャ…

そして倉本と早乙女は部屋を出た。 

 

魔理沙「木葉。お前の事色々聞いたぜ。お前はほんと良い奴だな。お前は色んな人を助けてる。そして、色んな人を繋いでいる。霊夢だってそうさ。なぁ木葉。お前はそんなやつを心配させてるんだぜ?だからさ、早く起きてくれ。起きてみんなに笑顔を見せてやってくれ」

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