白玉楼に家事の手伝いに行った霊葉。最初は家事も難しく、色々と問題があったが、それでも妖夢と2人で力を合わせて家事を終えた。幽々子には正体がバレたが、幽々子は霊夢に話そうとはせず、逆に歓迎していたほど。帰った霊葉は霊夢にちょっと怒られていたが、なんとかその日はバレずに終えたのだった。
そして次の日…
霊葉「お父さーん」
木葉「なんだ?」
霊葉「今日も行ってくる。また嘘お願いできないかな」
木葉「いいよ。行ってらっしゃい」
霊葉「うん!」
木葉「あ、待って霊葉!」
霊葉「?」
木葉「行き方知ってるの?」
霊葉「あ、今日は妖夢さんいなかったんだった…」
木葉「俺が送ろうか?」
霊葉「いいの!?」
木葉「あぁ。いいよ」
霊葉「じゃあお願い!」
木葉「よしっ」
ブゥン…
木葉は外に魔法陣を展開した。
木葉「その模様みたいなものの上に立って」
霊葉「こう?」
霊葉は言われた通りに立った。
木葉「そう。じゃあ行くよ」
ヒュゥゥゥゥゥ…
すると白い光が出てきて霊葉を包んだ。
霊葉「わ!わわわ!お父さん!」
木葉「大丈夫。すぐ着くよ」
ヒュゥゥゥゥゥ…シュッ!
霊葉を包んだ白い光は一瞬にしてその場から消えた。
木葉「…頑張れ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…白玉楼
ヒュゥゥゥゥゥ…シュッ!
白い光に包まれた霊葉が目を開けると、そこは白玉楼の手前だった。
霊葉「嘘…一体何が…」
妖夢「あ!霊葉さーん!」
タッタッタッ!
奥から妖夢が走ってきた。
妖夢「おはようございます霊葉さん!」
霊葉「あ、お、おはようございます」
妖夢「どうされましたか?」
霊葉「あ、いえ、なんでもないです」
霊葉は後で考えることにした。
妖夢「今日はお料理をしましょう!」
霊葉「え!いいんですか!?」
妖夢「はい!」
霊葉「やった!行きましょう!」
スタスタスタ
2人は台所に向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…白玉楼(台所)
妖夢「では今日は何を作りましょうか」
霊葉「あ、妖夢さん」
妖夢「はい。何でしょうか」
霊葉「お掃除はしなくてもいいんですか?」
妖夢「あ、大丈夫ですよ。昨日霊葉さんがやってくれたので綺麗なんですよ」
霊葉「あ、そうなんですね!よかったです!」
妖夢「さ、早速お料理しましょうか」
霊葉「はい!」
妖夢「今日は卵料理ですので簡単ですよ!」
霊葉「はい!」
霊葉はエプロンをつけて準備を整えた。
霊葉「準備完了です!」
妖夢「では早速始めましょう!」
霊葉「はい!」
そして2人は料理を作り始めた。
霊葉「妖夢さん!」
妖夢「はい!何でしょうか?」
霊葉「これ…どうすれば…」
妖夢「あ、これはこうしてこれはこうすれば…」
霊葉「わ!すごい!できた!」
妖夢「上手ですよ!霊葉さん!」
霊葉「あ、ありがとうございます!」
妖夢「それでは引き続き頑張っていきましょう!」
霊葉「はい!」
2人は色々な料理を作った。時間は12時前。お昼時だ。丁度作った料理をお昼ご飯にしようと話した。
妖夢「ではこれをここに置いて…行きましょう!」
霊葉「はい!」
スタスタスタ
2人は幽々子のところに向かった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…幽々子の部屋
妖夢「幽々子様」
幽々子「なぁに?妖夢」
妖夢「お昼ご飯のご用意ができました」
幽々子「そう。入っていいわよ」
妖夢「失礼します」
スッ…
妖夢は襖を開けて部屋に入った。
妖夢「霊葉さんも」
霊葉「はい!失礼します!」
スタスタスタ
霊葉も一緒に入った。
幽々子「あら、来てくれたのね」
霊葉「は、はい!」
幽々子「座って。今日はあなたのこと色々と知りたいの」
霊葉「わ、私が話せる範囲でなら…」
その後、3人は一緒に昼食を食べた。食べ終わると霊葉は幽々子に呼び止められ、妖夢が代わりにお皿を洗いに行った。
霊葉「はい。何でしょうか」
幽々子「あなた、あの博麗の巫女にここにいること伝えたのかしら」
霊葉「…伝えていません」
幽々子「…」
霊葉「ですが、代わりにお父さんに言いました」
幽々子「あの子ね。それは何故?」
霊葉「…妖夢さんが神社に来た時、お母さんは強い言葉で追い返してしまいました。私とお父さんはそんな妖夢さんを助けようと考えました。最初から否定的だったお母さんにここにいることを伝えたら私はこの場にいられません。なのでお母さんには言ってません」
幽々子「…そう。そうだったのね」
霊葉「はい」
幽々子「じゃあ私たちが守ってあげようかしら」
霊葉「え?」
幽々子「私たちが守ればあなたは怒られずに済みそうじゃない?」
霊葉「それは…」
幽々子「もし怖いなら黙っててあげる」
霊葉「!」
幽々子「ここにいることも。嘘をついてることも」
霊葉「え…いいんですか?」
幽々子「えぇ。いいわよ」
霊葉「ありがとうございます」
幽々子「…じゃあこれ渡さないと」
霊葉「?」
コトッ…
幽々子は小さな宝石を置いた。
霊葉「これは…」
その宝石は薄い桃色に光っていた。
霊葉「…綺麗」
幽々子「あなた。今日妖夢がいなかったからここに来れなかったんじゃないかしら」
霊葉「!」
幽々子「それがあればいつでもここに来れるわよ」
霊葉「いいんですか?こんな…」
幽々子「いいわよ。これから先、あなたにとって必要になるものなんだから」
霊葉「あ、ありがとうございます」
霊葉はその宝石を受け取った。
霊葉「大事にします」
幽々子「何かあったらここに来てちょうだい。私たちが力になってあげるわ」
霊葉「何から何までありがとうございます」
幽々子「いいのよ。あの子にはお世話になってるから」
霊葉「はい」
妖夢「霊葉さん」
霊葉「はい!何ですか?」
妖夢「今日は見回りに行きましょう」
霊葉「行きます!」
妖夢「ではこちらに」
霊葉「はい!では失礼します」
幽々子「頑張ってね」
霊葉「はい!」
スッ…スタスタスタ
霊葉はその部屋を出た。
幽々子「…これでいいのかしら。紫」
突然スキマが開いた。
紫「えぇ。いいわよ」
幽々子「でも、あの子には危ないものだと思うの」
紫「仕方ないじゃない。霊夢が怒りでもすればあの子は怪我しちゃうんだから」
幽々子「…そうね」
紫「…実は、この事は光から聞いたのよ」
幽々子「あの子から?」
紫「えぇ」
ー回想ー
木葉「なぁ紫」
紫「あら、光じゃない。どうしたのよ」
木葉「実は頼みがあって来たんだ」
紫「珍しいわね。あなたから頼み事って」
木葉「…霊葉のことだ」
紫「あの子のこと?」
木葉「あぁ」
紫「…何かあったの?」
木葉「今白玉楼にいるんだが、この事がバレたら霊夢が怒るかもしれん」
紫「…最初から説明してちょうだい」
木葉は最初から説明した。
紫「なるほど。だから何かあったらあの子を守って欲しいと」
木葉「あぁ」
紫「…あなた一人でもそれは可能じゃないかしら」
木葉「できるけど、それだとなんかこう…違う気がする」
紫「…」
木葉「できれば霊葉に事を収めて欲しい」
紫「…で、私にどうしろと」
木葉「…霊葉にこれを渡して欲しい」
コトッ…
木葉は薄い桃色の宝石を置いた。
紫「これは?」
木葉「俺が作った能力を引き出す力を持つものだ。これがあれば霊葉は自由に能力が使える。制限なしにな」
紫「でも…」
木葉「信用できる。あの人が設計図を同封してくれてたお陰だ」
紫「あの人?」
木葉「あぁ。三柱の人だ」
紫「三柱…あの人たちね」
木葉「あぁ」
紫「…分かったわ。幽々子に渡しておくわ」
木葉「頼む」
紫「任せて。でも何かあった時はあなたがどうにかしなさいよ」
木葉「…あぁ。分かった」
ー回想終了ー
紫「と、そんな事があったわ」
幽々子「あらあら、紫も大変ね」
紫「全く…他人事だと思って…」
幽々子「子供思いでいいじゃない。私は好きよ?」
紫「幽々子。それを親バカって言うのよ」
幽々子「あら、あの子はバカなのね」
紫「それ、意味が違うわ…」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…博麗神社(縁側)
霊夢「木葉〜」
木葉「ん〜?」
霊夢「霊葉知らな〜い?」
木葉「霊葉ならまた里に遊びに行ったよ」
霊夢「え?また?」
木葉「まぁいいじゃん。遊ばせてやりな」
霊夢「全く…2日も家を空けるなんてどこに行ったのかしら」
木葉「…」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…白玉楼周辺
スタスタスタ
妖夢と霊葉は白玉楼周辺を歩いて見回りをしていた。
霊葉「妖夢さん」
妖夢「はい」
霊葉「お母さんが言ってたんですけど、昔、お父さんがここで剣の修行をしてたって」
妖夢「あ、それ私なんですよ」
霊葉「…え?」
妖夢「修行をしてたのは私で、木葉さんは教えてくれたんですよ」
霊葉「え?そうなんですか?」
妖夢「はい。あの人の持つ剣はあの方のお仲間さんから聞きました。その時からずっと気になってたんですよ」
霊葉「あ、そうなんですね」
妖夢「はい。そして、最初の異変が終わっていつもの日常に戻った時に、意を決して頼んだんです」
霊葉「へ〜」
妖夢「その時も霊夢さんにキツく言われましたよ…木葉さんを夕方までに帰す条件を受けないと修行をつけてもらえませんでしたから」
霊葉「お母さん…」
妖夢「でも、今になって分かります。確かに私が霊夢さんの立場なら自分の愛する人を誰かの所へ行かせるなんて到底できませんよ」
霊葉「…」
妖夢「ですがやっぱり気になるんです。外の世界の人。しかも剣を持つ人なんて」
霊葉「…やっぱり、珍しいんですか?」
妖夢「はい。人が来ることなんて滅多にありませんから」
霊葉「…」
妖夢「霊葉さん」
霊葉「はい」
妖夢「木葉さんは強い人です。頼れる人です。ちゃんと最後まで見てくれます。ですが、あの人は押しに弱いです。ちょっと意見されるとすぐに折れてしまいます」
霊葉「あはは…ですね…」
妖夢「ですが、そこを霊夢さんが補っています。霊夢さんはハッキリと言うタイプですので」
霊葉 (補って…るのかな…)
妖夢「霊葉さんはどちらに似てるんでしょうか」
霊葉「え、私ですか?」
妖夢「はい」
霊葉「そうですねぇ…多分性格はお父さんの方だと思います」
妖夢「やっぱりそうですよね」
霊葉「はい。ここに来る前も、お父さんと私は同じ意見でしたので」
妖夢「その気持ちはとても嬉しかったです。ぜひそのまま大人になってください」
霊葉「はい。精進します」
妖夢「精進…いい言葉ですね」
スタスタスタ
2人は見回りを終えた。
妖夢「さて、ここで見回りは終わりですね」
霊葉「あの…妖夢さん」
妖夢「はい。何ですか?」
霊葉「あの…もし…よかったらで構いませんので…」
妖夢「…?」
霊葉「ここに来ることを…妖夢さんに会いに来ることを許してもらえないでしょうか」
妖夢「!!」
霊葉「妖夢さんはこんな私を大事にしてくれると…そう思いました。ですがお母さんはそれを許してはくれないと思います。なので、妖夢さんの方からもお願いしてもらえませんか」
妖夢「わ、私が…ですか…」
霊葉「はい」
妖夢「えっと…そうしたいのですが、恐らく私では力不足かと…」
霊葉「構いません。お母さんを説得するだけですので」
妖夢「…」
妖夢は少し考えた。
妖夢「でしたら」
霊葉「!」
妖夢「木葉さんや幽々子様の力も借りましょう」
霊葉「え」
妖夢「幽々子様は霊葉さんをよく思っていますので、助けてもらえるかもしれませんよ」
霊葉「そうですか」
妖夢「はい。任せてください」
霊葉「…では、何かあったらお願いします」
妖夢「はい。今日はもう家事は大丈夫ですので、帰っていただいても構いませんよ」
霊葉「は、はい…では、明日また来ますね」
妖夢「はい。お待ちしております」
スタスタスタ
霊葉は博麗神社に戻った。
妖夢「…」
妖夢は考えていた。
妖夢 (私が力になれればいいんですが、恐らく私ではどうにもならないと思います。霊夢さんは私を見るときっと怒ってしまいます。私個人の意見としては、霊葉さんにはもっと来て欲しいと思いますが、あの人がそれを許してくれるでしょうか)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
場所…博麗神社(縁側)
霊葉「ただいまー!」
木葉「おーう。おかえりー」
霊葉「ただいまお父さん!…あれ?お母さんは?」
木葉「買い物だよ」
霊葉「あ、そうなんだ」
木葉「…なぁ霊葉」
霊葉「何?」
木葉「霊葉はこの先どうしたい?」
霊葉「この先?」
木葉「あぁ」
霊葉「なんで?」
木葉「霊葉がここにいられるのもあと僅か。この少ない時間でできることはしておいた方がいいと思ってな」
霊葉「この先…か…」
木葉「あぁ。決まってないならいいよ。後悔のない選択をしな」
霊葉「…ねぇお父さん」
木葉「ん?」
霊葉「私、妖夢さんのところに遊びに行きたい」
木葉「…」
霊葉「今は家事をしに行ってるけど、そんなんじゃなくて、ただ遊びに行きたい。妖夢さんともっと一緒にいたい」
木葉「…なるほどね」
霊葉「ダメ…かな」
木葉「…俺はいいと思うよ」
霊葉「!」
木葉「この時代の幻想郷と霊葉が元いた幻想郷は少し違うもんな。なら、さっき言ったように、後悔のない選択をした方がいい。この世界でしかできないことをした方がいいよ」
霊葉「うん」
木葉「さて、ならあとは霊夢を説得するだけだね」
霊葉「うん…」
木葉「…怖い?」
霊葉「…うん。多分、喧嘩になっちゃう…」
木葉「まぁ、それは仕方ないよ。霊葉を思っての事だからね」
霊葉「…」
霊夢「ただいまー」
霊夢が帰ってきた。
木葉「お、帰ってきたっぽいな」
霊葉「…うん」
木葉「…自分で話せる時になったら話しな。何かあったら人を頼って。人間はそうして大きくなるからな」
霊葉「…うん。分かった」
霊夢「木葉ー!手伝ってー!」
木葉「おーう!」
霊葉「…」
木葉は霊夢の手伝いに行った。霊葉はしばらくその場から動かずに考え事をしていた。
〜物語メモ〜
薄い桃色の宝石
木葉が三柱のサンからもらった設計図を基に作った物。能力を引き出す力を持ち、所持しているだけで効果を発揮する。
加えて、人を引き寄せる力も持つため、何かあった時はこれに願うと良いとされている。
元々はサンの所有していたものだが、使わなくなったため、サンが霊葉にあげた。