光たちが特殊な容器に入れられて一日が経過した。
サン「…」
サンはずっと天星と星座たちを見ていた。
サン「…」
ギィィィィッ…
突然部屋の扉が開いた。
ルナ「サン」
サン「…何だい」
ルナ「第一、第三、第四、第八、第九、第十一星座は全員起きましたよ」
サン「…そうか」
ルナ「…この子たちはまだですか…」
サン「うん」
ルナ「…ずっとここにいるつもりですか」
サン「うん」
ルナ「ご飯はどうされますか」
サン「…いい。食欲がない」
ルナ「…分かりました。無理はしないように」
サン「うん」
ルナ「私は今から第九星座 射手座を幻想郷に送り届けてきます。残りの天星と星座は各々自分たちの家に戻っていただきます」
サン「うん」
ルナ「…それでは」
サン「うん」
ギィィィィ…バタン…
ルナは部屋から出た。
サン「…」
サンはその後、光たちが起きてくるまでその部屋から一歩も出なかった。
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場所…幻想郷 博麗神社
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
ルナは矢巾光輝を連れて幻想郷に戻ってきた。
光輝「ふぅ…」
ルナ「では第九星座。私はこのまま元の世界に戻りますので、あなたも自分の家に戻ってください」
光輝「あの…」
ルナ「はい。なんでしょうか」
光輝「光さんは…」
ルナ「第七星座は危険な状態にあります。今サンが魔力を配分して残りの星座たちを治しています」
光輝「残りの星座…?」
ルナ「はい。聖杯に魔力を注いで第二、第五、第六、第七、第十、第十二星座の主たちは魔力欠乏状態となっております」
光輝「!?」
ルナ「今はサンが手を尽くしていますのでご心配なく」
光輝「そんな…光さん…」
ルナ「…では、私はこれで…」
霊夢「ちょっと待ちなさい」
光輝「!」
ルナ「…?」
光輝とルナが声のした方を見るとそこには霊夢が立っていた。
光輝「霊夢さん…」
霊夢「今の話なに?魔力欠乏状態ってなに?木葉は?木葉はどこ?今日が約束の3日目よね?本来ならこの場に木葉がいるはずよね?なのに何で木葉がいないわけ?ねぇ、答えなさいよ」
ルナ「…第七星座は現在、魔力欠乏状態に陥っています。サンが手を尽くしていますので、帰るのはもうしばらくかかります」
霊夢「だから魔力欠乏状態ってなに。あんたのとこが3日で帰ってくるって言ったんでしょ?なんで木葉がいなのよ」
ルナ「…それは」
霊夢「早く木葉を連れてきなさいよ」
ルナ「!」
霊夢「あんたたち嘘ついてるの分からないわけ?3日で帰ってくるって言っておきながら帰ってこない…ねぇ、なんで?」
光輝「れ、霊夢さん…一旦落ち着いて話しませんか?」
霊夢「うるさい。私はこいつと話してんの。あんたは引っ込んでなさい」
光輝「あ、はい。すみません」
霊夢「…で、どうするわけ」
ルナ「…」
ルナは口を開かなかった。
霊夢「…ねぇ、どうするのって聞いてんの。いい加減にしないと…」
ルナ「!!」
霊夢が戦闘態勢に入っていた。
霊夢「本気であんたをぶっ倒すわよ」
ルナ「っ…」
光輝「三柱様…」
ルナ「手は出さないでください第九星座。これは私たち三柱と霊夢さんの問題です」
光輝「は、はい…」
ルナ「…確かに3日間だけ十二天星や十二星座たちに仕事を代わっていただきました。ですがその事についてはもう解決しています。現在は私たち三柱が均衡を司っています。十二天星や十二星座たちは均衡から解放されています」
霊夢「じゃあなんで木葉は戻ってこないのよ」
ルナ「っ…」
霊夢「木葉が言ってたわ。3日間だけ家を離れるって。で、今日がその3日目。そこにいるやつは木葉の仲間でしょ」
光輝「は、はい…」
霊夢「そいつが帰ってきてなんで木葉は帰ってこないのよ」
ルナ「…それは」
霊夢「あんた…木葉に何したのよ」
ルナ「…」
霊夢「…今すぐ木葉を連れてきなさい」
霊夢は少し威圧した。
ルナ「…それはできません」
ルナは少し間を置いて答えた。
ルナ「第七星座は現在、魔力欠乏状態となっております。その状態でこの世界に戻せば彼は二度と元の人格には戻れませんよ」
霊夢「!?」
光輝「!!」
霊夢と光輝は驚いた。
ルナ「彼ら十二天星と十二星座にとって魔力は生命線です。その生命線が切れかかっています。それが俗に魔力欠乏状態と言います。今その状況でこの世界に帰せば当然元の第七星座には戻れません。どうかご理解を」
ルナは淡々と話した。
霊夢「…何よそれ…何よそれ!!」
ガシッ!!
霊夢はルナの胸ぐらを掴んだ。
光輝「霊夢さん!?」
霊夢「いい加減にしなさいよ!!何で木葉がそんな目に遭わなきゃならないわけ!?あんたたちの代わりに仕事をしただけでしょ!?しかもそいつは戻ってきて木葉だけ戻ってこないなんてあんまりだわ!!」
光輝「霊夢さん!」
ガシッ!!
光輝は何とか霊夢をルナから引き剥がそうとした。
ルナ「…第九星座。下がりなさい」
光輝「!」
ルナ「…霊夢さんが言いたいことはごもっともです。私たちのせいであなた方十二天星と十二星座を魔力欠乏状態にさせてしまいました。これは現世を守る者としてあるまじき失態です。私たち三柱がもっとしっかりしていればこうはなりませんでした」
光輝「三柱様…」
ルナ「第九星座。下がりなさい。責任は私たち三柱にあります」
光輝「…はい」
スッ…
光輝は霊夢から手を離した。
ルナ「…すみませんでした。私たちがもっとしっかりしていればこうはなりませんでした」
霊夢「当たり前でしょ!!あんたたちが木葉を守ればそれでよかったじゃない!!ふざけないでよ!!私の木葉を返してよ!!今すぐ!!今すぐよ!!」
ルナ「…それはできません」
霊夢「くっ…」
ググッ…
霊夢は拳を握った。
ルナ「…ですが、帰すのを早めることはできます」
光輝「!」
ルナ「現在、12人のうち6人が魔力欠乏状態となっております。サンがその6人に均等に魔力を配分しています。それを第七星座にのみ魔力を注げばその分早くお返しできます」
霊夢「だったらそうしなさいよ!今すぐ木葉を返して!」
ルナ「…かしこまりました。では、お手を離していただけますか」
スッ…
霊夢はルナから手を離した。
ルナ「…ありがとうございます。では、早急に戻り、この事をサンに伝えます」
光輝「三柱様…」
ルナ「第九星座。あなたは帰りなさい。この先は私たちがやりますので」
光輝「は、はい…」
ルナ「それでは霊夢さん。魔力が補填次第、この世界に連れて帰ります。では…」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
ルナはすぐに現世に戻った。
光輝「…」
霊夢「…」
2人は無言のままだった。
光輝「あ、あの…霊夢…さん…」
霊夢「…ねぇ」
光輝「は、はい!」
霊夢「…どうして…木葉だけなの」
光輝「…?」
霊夢「どうして…木葉だけこんな目に遭うの…ねぇ…どうして…」
ドサッ…
霊夢はその場に座り込んだ。
霊夢「なんで…木葉だけ…」
光輝「っ…」
光輝は胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
光輝 (そんなの…僕だって…)
2人はしばらく無言のままその場から動かなかった。
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場所…刻領宝殿
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
ルナが幻想郷から戻ってきた。
サン「…おかえり。ルナ」
ルナ「ただいま戻りました。ところでサン。少しお話が…」
サン「霊夢さんが怒ってたでしょ」
ルナ「!!」
ルナはサンに言い当てられて驚いていた。
ルナ「…はい。よく分かりましたね」
サン「…分かるよ。そりゃあ」
サンは光を見た。
サン「…愛する人が危ない状況になってるにも関わらず、自分は何もできないというこのもどかしさ。…僕は過去に何度も経験したよ。…それに、霊夢さんについては第七星座の記憶を見させてもらった」
サンはモニターのようなものを作り出した。
ルナ「これは…」
サン「第七星座の記憶。それを映像化したものだよ」
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光の記憶
幽々子「はぁ…で、あの子のことなんだけど…あの子、こっちに泊めてあげてもいいかしら?」
霊夢「何でよ!」
幽々子「妖夢の剣の修行のことは聞いたわよね?」
霊夢「聞いたわよ」
幽々子「あの子が泊まってくれたらずっと剣の修行が出来るって妖夢が喜んでたのよ。でも、あの子が夜になったら帰してくれるんですよね?って言ったら妖夢は悲しい顔になっちゃって…主人として見過ごせないの…だからお願い。あの子をこっちに泊める許可をもらえないかしら」
霊夢「結局木葉を泊める理由は何?あんたが従者の悲しい顔を見たくないから?それとも剣の修行のため?」
幽々子「どっちも…あの子が泊まって妖夢に付き添ってくれたら妖夢は喜ぶし剣の修行も捗ると思うの」
霊夢「あのね…木葉は私の木葉なの」
幽々子「だからこうしてお願いに来たのよ。あなたの許可が欲しいから」
霊夢「…」
幽々子「ダメ…かしら…」
霊夢「ダメね」
幽々子「!!」
霊夢「あのね。私最近あの吸血鬼姉妹のせいで木葉を取られちゃった時があったのよ。…先に言っておくと私と木葉は付き合ってるのよ」
幽々子「!!」
紫「!?」
霊夢「あんたなら分かるでしょ?付き合ってる人が自分以外の人と親しくやってるのを見たり考えたりした時の気持ち」
幽々子「…」
霊夢「私は木葉と付き合ってるの!なのに今まであの吸血鬼姉妹やあんたの所の妖夢のせいで木葉と落ち着いて生活できないのよ!木葉は断れない性格だから頼まれると引き受けちゃうのよ!私がいてもよ!その度に思うわ…私を優先してくれないのかなって…あんた…分かるでしょ…この気持ち…私が朝木葉に行っておいでって言った時の気持ち…」
幽々子「…」
霊夢「お願いだから私の木葉を取らないでよ…木葉は私の木葉なんだから…他の誰でもない私の木葉なんだから…」
幽々子「…」
紫「…」
霊夢「…」
幽々子「分かったわ…」
紫「!!」
幽々子「あなたとあの子がそういう関係だなんて知らなかったわ。ごめんなさいね。私にも分かるわ…自分を優先してくれない時の気持ち…」
霊夢「…」
紫「…」
幽々子「悲しい気持ちにさせてごめんなさいね。あの子は修行が終わったら家に帰すから。ちゃんと夕方に帰るように言うから。だから…夕方まで妖夢の剣の修行を手伝ってもらう許可をもらえないかしら」
霊夢「…」
幽々子「妖夢の修行は夕方まででいいから…」
霊夢「ほんとに…」
幽々子「…」
霊夢「ほんとに…木葉は夕方になったら帰してくれるんでしょうね…」
幽々子「えぇ、約束するわ」
霊夢「…分かったわ」
幽々子「!」
霊夢「夕方までなら良いわよ。ただし…それ以上はダメ…木葉は私の木葉でここは木葉の家。二人の時間は欲しいわ」
幽々子「…分かったわ。妖夢にもそう伝えておくわ」
霊夢「お願い…」
幽々子「…さ、帰りましょうか」
紫「分かったわ…」
幽々子「ありがとう博麗の巫女。協力してくれて嬉しいわ」
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ピトッ
木葉は霊夢の手を自分の額に当てた。
木葉「これで…分かった?」
霊夢「あ、あんた…風邪!?」
木葉「…」コクコク
木葉は小さく頷いた。
霊夢「なら何でもっと早く言わないのよ!」
木葉「だって霊夢…聞かなかったじゃん…」
霊夢「うっ…ごめん」
木葉「いいよ。でも…今日は寝かせて…お願い…」
霊夢「分かったわよ…じゃあ食べられそうなもの作るから待ってて」
木葉「うん…」
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霊夢「ねぇ木葉。他に何かしてほしいことある?」
木葉「う…うん…え…っと…」
木葉は急に体が重く感じた。
木葉「ごめ…霊夢…少しだけ…ね…」
バタン!
突然木葉が力なく倒れた。
霊夢「木葉!?木葉!しっかりして!木葉!」
霊夢は何度も声をかけたが木葉は返事をしなかった。
霊夢 (ど、どうするべきかしら…このまま誰かに助けを…でもダメね…今は私と木葉の2人…私が離れたら木葉が1人になる…)
霊夢が色々考えていると声が聞こえた。
魔理沙「おーっす霊夢〜遊びに来た…」
霊夢「魔理沙!」
魔理沙「え…なんだぜ」
霊夢「お願い!力を貸して!」
魔理沙「え?」
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永琳「あなた…まだ寝てないの…」
霊夢「…寝たくない。木葉のそばにいる」
現在、深夜を迎えようとしていた。霊夢は寝ずにずっと木葉が起きるのを待っている。
永琳「あなたが倒れたらこの子がどう思うか」
霊夢「いいの。私がこうしたいのよ。ずっと木葉の手を握って、ずっと木葉と時間を過ごして、ずっと木葉のそばにいるの」
永琳「…それはあなたが倒れたら叶わないでしょ?」
霊夢「…」
永琳「もしそうしたいならあなたが倒れないようにしなさい」
霊夢「…」
永琳「…」
霊夢「ねぇ」
永琳「…何?」
霊夢「木葉は…ほんとに治るのよね…」
永琳「…大丈夫よ。彼は強いんでしょ?なら待ってあげたらどう?」
霊夢「…うん」
永琳「…せいぜい体を壊さないようにね」
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霊夢 (木葉…ねぇ、木葉。今日はいい天気よ。お日様が出てる。いつものように縁側でお茶しない?…ねぇ、木葉)
霊夢は頭の中で木葉に色々呼びかけた。
ポスッ
霊夢は疲れたのかベッドに顔を置く。
霊夢 (はぁ…ねぇ木葉。私…あんたがいないと…寂しいわ。お願いだから早く起きてよ…あんたの声…もっと聞きたいわ)
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木葉「ねぇ霊夢」
霊夢「何?」
木葉「もう平気?」
霊夢「えぇ、平気よ。ありがとう木葉」
木葉「うん…いいよ」
霊夢は木葉の顔が少し曇っているのに気づいた。
霊夢「…ねぇ木葉」
木葉「何?」
霊夢「ごめんなさいね。ずっとそばにいさせて…疲れたでしょ?」
木葉「ううん。大丈夫だよ」
霊夢「…嘘。ついてるでしょ」
木葉「!」
霊夢「全く…あんたはそうやって相手に気を使わせないようにするんだから」
木葉「いやーあはは…」
霊夢「丁度いいわ。ご飯食べたら少し休んで」
木葉「え…でも…霊夢はまだ」
霊夢「私なら大丈夫よ。元気だから」
木葉「でも…」
スーッ
部屋の襖が開いた。
ライブラ「今日は私に任せてください。霊夢さんは主と一緒に休んでてください」
霊夢「いいわよ。私はもう元気だから」
ライブラ「なりません。霊夢さんは治ったとはいえ風邪を引いてたんですから今日は休んでください」
霊夢「でも…」
ライブラ「大丈夫です。私は家事は一通りできます。ですので、主との時間を過ごしてください」
霊夢「そう。じゃあお願いしてもいいかしら」
ライブラ「はい。任せてください」
━━━━━━━━━━━━━━━
霊夢「…」
霊夢は縁側から空を見上げていた。
霊夢 (…木葉)
霊夢は木葉のことを考えていた。
霊夢 (木葉…ちゃんとご飯食べてるのかしら…3日間も帰ってこないなんて…寂しいじゃない…)
スタスタスタ
霊夢が考え事をしているとある人が後ろから歩いてきた。
リール「あの…霊夢さん…」
近づいてきたのはリールだった。
霊夢「…何?」
リール「あの…その…木葉さんは…」
霊夢「…まだ帰ってこないわ。あと2日。明後日には帰ってくるはずよ」
リール「…その…すみません」
霊夢「どうして謝るのよ」
リール「いえ、その…私たちのために木葉さんが家に帰って来れないのは何だかその…」
霊夢「責任感じてるって言いたいの?」
リール「…はい」
霊夢「そう。ならいいわ。でもね、木葉は何でもかんでもやりたがるのよ」
リール「?」
霊夢「人のためを思って動こうとするの。いつものことよ。もうさすがに慣れたわ」
リール「そ、そうなんですね…」
霊夢「でも、木葉は唯一、たった一人だけ優先していない人がいるわ」
リール「え、そうなんですか?」
霊夢「…えぇ」
リール「えっと…誰なんでしょうか」
霊夢は一瞬だけ言葉を詰まらせてから言った。
霊夢「…私よ」
リール「!」
霊夢「木葉はね、人のためを思って動くの。でも私のことは後回し。できれば私を優先して動いて欲しい。でも私自身それが言えない。…困ったものだわ」
リール「そ、そうですか…」
霊夢「…さて、あと2日。木葉なしでもやってみせるわ」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブゥン…
記憶を見せ終えたサンは映像を閉じた。
サン「…とても愛されてるよ。第七星座は」
ルナ「…そうですね」
サン「僕たちは3日間だけという約束をした。だから今日中に帰さなければならない。だから今は第七星座を優先的に治療してるよ」
ルナ「えっ…残りの星座は…」
サン「もちろんしてるよ。ただ第七星座を優先させてるってだけ」
ルナ「そ、そうですか…」
サン「…もう少ししたら終わるから。終わったら幻想郷に送り届けてあげて」
ルナ「…はい」
ルナはその場をあとにした。
サン「…霊夢さん。天野 光を愛してくれて…ありがとうございます」
〜物語メモ〜
新しい情報は無いので次回ですね。