ねぇ木葉…私、ずっと木葉を待ってたんだよ…
場所…博麗神社
天星祭を終えた木葉たちは幻想郷に戻ってきていた。連日戦闘続きで疲れていた木葉は3日間ほど休むことにしていた。その間、家のことは霊夢や霊葉がしてくれていた。
木葉「あぁぁぁぁぁぁぁぁ…」
木葉は縁側でお茶を飲んでいた。今日は天星祭が終わって3日目。約束の休み最終日だった。木葉はこの3日間ずっと力を戻すことに集中していた。これは木葉だけでなく、他の十二天星も同じ。天星祭後、それぞれの十二天星たちは休暇を貰うことになっている。この事は霊夢と霊葉に伝えて了承も得ているので木葉は遠慮なく休ませてもらっている。
木葉「…」
霊夢と霊葉は外で掃除している。自分が休んでいる間、家のことをしてくれていたのでその姿を見ると、ちょっと気が引ける。
木葉「…休暇を貰っているとはいえ、何だか申し訳ないなぁ…」
ヒュゥゥゥゥゥゥ…スタッ!
木葉が空を見上げていると、ちょうど空から魔理沙が降りてきた。
魔理沙「おっす木葉!」
木葉「やぁ魔理沙。どしたの」
魔理沙「うーん…まぁ要件はないが、ずっと家を留守にしてたからな。久々に顔を出しに来た」
木葉「いや、帰ってきた時に会ったよね」
魔理沙「まぁな。それで木葉は何してるんだ?」
木葉「休憩。いや、休暇で体を休めてるよ」
魔理沙「へぇ、じゃあ私と弾幕ごっこしてくれよ!」
木葉「え?いや、え?」
魔理沙「暇だろ!?いいじゃんやろうぜ!」
木葉「いやぁ…それはちょっとぉ…」
魔理沙「なぁ頼むよ!」
霊夢「ダメよ。木葉はお休み中なんだから」
必死に頼んでいる魔理沙の背後から霊夢が声をかけた。木葉ですら気づかなかったが、どうやって近づいてきたんだ。
魔理沙「いいじゃんか久しぶりに弾幕ごっこしても!」
霊夢「木葉の弾幕は弱いの。霊葉にすら勝てないんだから。それに今は力を使いすぎていつもより弱いの。だからダメ」
魔理沙「ケチ!」
霊夢「ケチで結構よ。木葉はお休み中よ。後日にしなさい」
魔理沙「木葉!お前はどうなんだ!私と弾幕ごっこしてくれるよな!?」
霊夢「ちょっと」
木葉「いやぁ…今日はちょっと…」
霊夢「ほらみなさい。今日で3日目なの。今日までお休みだから明日来なさいよ」
魔理沙「ぶぅー!」
魔理沙はふくれっ面になった。そうこうしていると、霊夢の背後に霊葉が立っていた。
霊葉「あの、魔理沙さん。もしあれでしたら私が相手をしましょうか?」
魔理沙「何!?」
霊夢「やめなさい霊葉。ろくなことにならないわ」
魔理沙「なんだと!?」
霊夢「とにかく木葉はダメよ。怪我させたら許さないわよ」
魔理沙「ぶぅー!ぶぅー!」
レミリア「あらあら、今日は勢揃いね」
木葉「!」
霊夢「…?」
霊葉「!」
魔理沙「!」
そこに現れたのはレミリアだった。隣には咲夜もいる。
霊夢「全く…次から次へと…」
霊葉「どうされたんですか?」
レミリア「木葉に用があるの。あなた、ちょっと紅魔館に来てくれないかしら」
木葉「えぇ…なんで…」
レミリア「フランが呼んでるの。早く」
霊夢「あのね、木葉は今休んでるの。だから…」
レミリア「来てもらわないと困るの」
霊夢「…何よ…困るって」
レミリア「…何でわざわざ私が来たと思う?本当ならフランが来るべきなんだけど」
魔理沙「なんだ?癇癪でも起こしたのか?」
レミリア「そうね。近いわ」
霊夢「知らないわよそんなこと。あんたたちでどうにかしなさいよ」
バゴォォォォォォン!!
その瞬間、小さく爆発音が聞こえた。どこか遠くで何かが爆発したようだった。
咲夜「お嬢様…!」
レミリア「…始まったわね」
レミリアと咲夜はいち早く状況を察していた。一方霊夢たちはまだ分からない状態だった。
霊夢「な…何よ…」
木葉「今の音…小さいけど爆発音だよな…?」
レミリア「そうよ。フランの仕業ね」
霊葉「フランさん?」
レミリア「フランが暴れてるの。木葉がいないからって」
霊夢「何よそれ…」
木葉「えぇ…俺のせい…?」
レミリア「木葉を連れてこなければ館を破壊するって聞かないの。だから私がここに来たってわけ」
霊夢「はぁ…迷惑な吸血鬼ね」
レミリア「私とフランは館がないと危険なの。日差しもあるし。だからあなたには来て欲しいの。フランを止めて」
木葉「だから…俺は休暇中だって…」
レミリア「なら館がなくなったら責任もってあなたの所に住まわせてもらうわね」
霊夢「はぁ!?ふざけないで!ここは私と木葉と霊葉の家よ!」
レミリア「なら止めて。あなたが行かないと収まらないの」
バゴォォォォォォン!!
また爆発音が聞こえた。レミリアと咲夜の表情から嘘ではないことは明白。すでに2回も爆発音を聞いてる限り、早く止めないと危ない。
木葉「…はぁ…仕方ない…」
霊夢「ダメよ木葉」
木葉「!」
霊夢「あんたは今日まで休むって約束してるんだからここにいなさい。紅魔館には私が行くわ」
木葉「霊夢…」
霊葉「お母さん…大丈夫?」
霊夢「大丈夫よ。こんな迷惑な吸血鬼よりもマシだから」
レミリア「…言ってくれるじゃない」
霊夢「すぐ戻るわ。2人はここにいて」
ビュン!ビュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
霊夢はすぐに紅魔館に向かって飛んだ。飛ぶ速度が速いのか、すぐに霊夢の姿は見えなくなった。
木葉「…はぁ…すまねぇ霊夢」
魔理沙「木葉…お前ほんと忙しいやつだな」
木葉「始まりは魔理沙だぞ…」
魔理沙「まぁな」
咲夜「お嬢様。私たちは」
レミリア「どうにもできないわ。霊夢が行ってフランが落ち着いてくれるといいけど」
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場所…紅魔館
霊夢は紅魔館に着いた。紅魔館は半分近く破壊されていた。門番の美鈴やパチュリーの姿はない。
霊夢「…酷いものね。これじゃあ自分が不利になるだけじゃない」
ザッザッザッザッ…
霊夢は紅魔館に近づいた。門を通過した瞬間、異様な気配を感じた。
霊夢「…出てこないと思ってたけど」
フラン「…」
霊夢の正面にフランが立っていた。日に弱いはずのフランが外に出ている。外傷は全く見られない。
霊夢「あんた、陽の光は大丈夫なの」
フラン「…木葉はどこ」
霊夢「ここにはいないわ」
フラン「なんで。連れて来てって言ったじゃん。なんで来てないの」
霊夢「木葉は休暇中よ。だから私が来た」
フラン「…」
フランはずっと俯いていたが、霊夢の声で顔を起こした。
フラン「…なんで霊夢が来てるの。木葉は」
霊夢「木葉は休暇中。だから私が代わりに来たの。それよりあんた、陽の光は大丈夫なの」
フラン「パチュリーにどうにかしてもらった。これで外に出られた」
霊夢 (全く…厄介なことを…)
フラン「木葉がいないなら私から行くわ。どいて」
霊夢「行かせるわけないでしょ。行くなら私を倒してからにしなさい」
フラン「…じゃあ弾幕ごっこじゃなくて本気の喧嘩しようよ」
霊夢「本気の喧嘩…?」
フラン「弾幕ごっこじゃどうにもできないの。相手を動けないくらいに攻撃するの。物理的に」
ググッ…
フランは拳を握って不敵な笑みを浮かべた。
霊夢「…そう。そっちがその気ならいいわ。久々に拳を使ってあげる」
フラン「じゃあいくよ。覚悟してね」
霊夢「…」
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場所…博麗神社
木葉「…」
霊葉「…」
魔理沙「…」
咲夜「…」
レミリア「…」
5人は神社でお茶をしていた。これといって会話はなかったが、不思議な感じだった。
木葉「…そういえばレミリア」
レミリア「何よ」
木葉「なんでフランがそんなことになってるわけ?」
レミリア「木葉がここにいなかったからよ」
木葉「えぇ…」
咲夜「妹様は毎日ここに来ていました。木葉、あなたに会いたくてよ」
魔理沙「私だって来てたぞ!?」
咲夜「でもいないって分かったらすぐ帰ってたでしょ?」
魔理沙「そりゃあいなかったら帰るだろ?」
咲夜「…妹様は夜まで帰ってこなかったわ」
魔理沙「!」
レミリア「ほんと、どうしてこうなったのかしら。朝早くから神社に行って帰ってくるのは夜よ?吸血鬼なら夜に行動するべきなのに」
霊葉「私たち人間の生活に合わせてたんでしょうか」
レミリア「…そうかもしれないわね」
木葉「…」
レミリア「夜に活動する吸血鬼と違ってあなたたち人間は昼に活動するのよね。フランもそれに合わせてたのかもね」
木葉「…そうか。あっちの世界に戻る時は一報を入れた方がいいな」
レミリア「えぇ。ぜひそうして欲しいものだわ」
木葉「…すまねぇな」
ヒュォォォォォォ…
5人で話していると、突然異様な気配が広がった。
霊葉「…お父さん」
木葉「ん?」
霊葉「何か変な気配が…」
木葉「変な気配?」
魔理沙「分からないのか?」
木葉「え、うん…」
レミリア「これ、紅魔館に溢れていたものと一緒よ。まさか…」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥ…スタッ…
その時、5人の前にフランが現れた。だがいつものフランには見えなかった。少し赤黒いオーラを放っている。
木葉「…フラン…?何でここに…」
レミリア「ちょっと、霊夢はどうしたのよ」
フラン「…今頃寝てるでしょ。それよりもなんでお姉様は木葉と一緒にいるの」
レミリア「木葉が休暇中だから動けないの。霊夢に聞かなかった?」
フラン「…あっそ。でもまぁ、動けないなら都合がいい」
ザッザッザッザッ…
フランは木葉の方に歩いてきた。
レミリア「止まりなさいフラン」
フラン「いいよね。お姉様は」
レミリア「何がよ」
フラン「お姉様は自由に木葉に会えて」
レミリア「何言って…」
バゴォォォォォォン!!
突然爆音が響いた。全員が音がした方を見ると、傷ついた霊夢がそこにいた。
木葉「霊夢!」
霊夢「…」
霊夢は返事をしなかった。真剣な顔でフランの方を見ている。
フラン「あら、もう起きたの。早いね」
霊夢「当たり前でしょ。木葉がいるんだから」
フラン「すごいね霊夢は。でもごめんね。木葉は私のものだから」
ビュン!
そう言うとフランは一気に木葉との距離を詰めた。
木葉「!?」
ギュッ!ビュン!
そしてフランはそのまま木葉を抱えて遠くまで飛んでいった。
霊葉「お父さん!?」
霊夢「チッ…ほんっと迷惑な吸血鬼ね!!」
レミリア「…はぁ…全くあの子は…」
咲夜「どうされますか?」
レミリア「放っておきましょ」
霊夢「何で!」
レミリア「霊夢。少しの間、木葉を貸してあげて」
霊夢「はぁ!?」
レミリア「これでフランが落ち着いたら解決するわ。変に引き離すとまた怒るかもしれないわ」
霊夢「あんたあいつの姉でしょ!?だったら止めなさいよ!」
レミリア「止めたらどうなるか分からないわ。あなたたちに逆恨みするかもしれない。だから少しの間だけ…フランに木葉を貸してあげて」
霊葉「お母さん…」
霊夢「…ほんっとムカつく!」
霊夢は怒りを抑えられなかった。
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場所…迷いの竹林
フラン「…」
ドサッ!
フランは木葉を近くの竹にもたれるように置いた。
木葉「いったたた…」
フラン「…フフッ…やっと会えた」
木葉「!!」
フランは物欲しそうに木葉の顔を見つめていた。その時のフランの目は少し赤く光っていた。
木葉「フラン…なんで…」
フラン「ねぇ木葉…私、ずっと木葉を待ってたんだよ…何日も何日も」
木葉「待ってたって…」
ノシッ…
フランは木葉と対面するよう木葉の足に座った。
フラン「木葉、しばらく家にいなかったでしょ。私、ずっと神社で待ってたの。木葉に会いたくて会いたくて仕方がなかったの」
木葉「ちょ…フラン…」
フランは木葉に顔を近づけていく。木葉は逃げようとしたが、背中には竹が当たっており、足はフランに座られているため思うように身動きが取れなかった。
フラン「ねぇ木葉…あの時のこと覚えてる?」
木葉「…あの時…?」
フランは近づけていた顔を一旦離した。
フラン「ほら、前に私が木葉の血を吸ったことあったでしょ?」
木葉「あ…あぁ…あったな…」
木葉は以前にもフランに血を吸われたことがある。その時は重度の依存状態になってしまい、色々と面倒なことが起きていた。
フラン「私ね、木葉がいない間、すごく寂しかったの。だからね、あなたの血が欲しいの」
木葉「!?」
フラン「木葉の血を私の中に留めておきたいの。だから木葉…あなたの血を吸わせて」
木葉「ダメッ!」
フラン「…なんで?」
木葉「あの時すごく大変だったんだから!もうしないって言ってたでしょ!?」
フラン「…知らない。そんなこと…忘れちゃった」
グイッ!!
フランは木葉の両腕を掴んだ。
木葉「ちょ、フラン!」
ジタバタ!ジタバタ!
木葉は逃げようとしたが、フランの力が強すぎて何もできなかった。
フラン「ねぇ木葉…私、覚えてるよ」
木葉「覚えてるって…何を…」
フラン「木葉の弱点」
木葉「!?」
フラン「木葉…首が弱点だよね。ここ、触られるの…」
スゥゥゥ…
フランは木葉の首元を軽く触れた。
木葉「んっ…」
ビクッ!
木葉は少しビクついた。それを見たフランは少し笑みを浮かべた。
フラン「あは…変わんないね木葉。それじゃあ…邪魔されたくないから…」
スッ…
フランはそのまま木葉の首元に顔を近づけた。
フラン「いただきます」
木葉「ちょ、待って!フラ…」
カプッ
フランは木葉の首元に噛み付いた。
木葉「んっ…!!」
木葉は首元を触られたり噛みつかれたりすると脱力して何もできなくなる。
フラン「…」
ジュルルルルル…
フランは木葉の血を吸った。その間木葉は何もできず、ただ血を吸われるだけになってしまった。
木葉「んっ…ぐっ…」
木葉は必死に耐えた。血を吸われたのは数秒だけだが、木葉にとっては数分の感覚だった。
フラン「ぷはっ…!!」
フランは血を吸い終えると満足そうな表情を浮かべていた。
フラン「どう?木葉。あの時の感覚…戻ってきた…?」
木葉「フーッ…フーッ…フーッ…」
木葉は呼吸をするのに精一杯で何も答えられなかった。
フラン「あは…今の木葉…私…大好き…」
カプッ…ジュルルルルル…
フランはまた木葉の首元に噛み付いて血を吸った。
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場所…博麗神社
あれから時間が経って夜になった。フランは一向に帰ってこない。
霊夢「ちょっとレミリア。あいつ帰ってこないわよ」
レミリア「…えぇ。おかしいわね」
霊夢「ちょっと、木葉に何かあったら許さないから」
レミリア「分かってるわよ。殺しはしないはずよ」
魔理沙「結局今日は弾幕ごっこできなかったぜ…まぁいいや、明日にはできるんだろ?」
霊夢「知らないわよ。木葉次第ね」
魔理沙「何!?できるって言ってたじゃねぇか!」
霊夢「するかしないかは木葉次第でしょ!私に言わないでよ!」
魔理沙「何をー!!」
霊葉「2人は相変わらずの喧嘩ですね…」
咲夜「ほんと…飽きないわね」
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場所…迷いの竹林
フラン「んっ…木葉…木葉…」
木葉「っ…」
フラン「木葉…好きっ…もっと…もっと…」
あれからフランと木葉は一歩も動いていなかった。むしろ木葉の方は動けなかった。
フラン「あぁ…いい…木葉…木葉…」
フランは木葉に体を寄せていた。木葉は脱力していてピクリとも動けない。
フラン「あっははは…木葉…私の木葉…」
妹紅「おいお前。ここで何している」
フラン「…?」
するとそこに妹紅が現れた。妹紅は振り返ったフランの口元に血がついているのに気づいた。それに血を吸われたであろう人間も視認した。
妹紅「お前…ここで何している」
フラン「何って…愛でてるの。私、この人が好きなの。だから愛でてる」
妹紅 (愛でてる…いや、愛でてないだろ…)
フラン「あなたは何?この人を取りに来たの?」
妹紅「いや、その男に興味はない。だがここにいる以上見過ごすわけにはいかない」
フラン「じゃあ何?私からこの人を取るの?」
妹紅「…いや、私はここに迷い込んだやつを外に出すようにしているんだ。ここで死なれても困る」
フラン「大丈夫だよ。私は飛べるから満足するまでこの人を愛でたらそのまま出ていくよ」
ペロッ…ペロッ…
フランは木葉の首元を舐めた。木葉の首元にはフランの噛み跡があり、血も垂れていた。
妹紅「おい、その人間…意識がないだろ」
フラン「…ん?」
妹紅「人間は私らと違って弱いんだ。血が無くなれば死ぬし足りなくても意識が飛ぶ。お前それを知ってるのか」
フラン「知らない。木葉は強いから大丈夫だよ」
妹紅「そいつが強いかどうかじゃない。手遅れになる前に医者のところに連れてくぞ」
ガシッ
妹紅はフランの肩を掴んだ。それと同時にフランは妹紅を睨んだ。
フラン「…触らないで。この人は私のもの。あなたには渡さない」
妹紅「愛でるならちゃんと回復してからにしろ。人間は生き返らない。死ねばもうそれまでだ」
フラン「大丈夫。木葉は強いから。死なないよ」
妹紅「いい加減にしろ。人間は人間だ。妖怪でも神でもない」
フラン「…あなた、邪魔するの?私…この人を愛でてるだけだよ」
妹紅「限度があるだろ。死ねば愛でられない。愛でたいならまずは人間を救うことが大事だ」
フラン「あなたはそうやって嘘をついてこの人を取ろうとするんだ…」
妹紅「嘘じゃない。現に見てみろ。意識がないだろ」
フラン「…?」
フランは木葉を見た。木葉はすでに気を失っており、指一本すら動かない。
妹紅「まずはどいてみろ」
フラン「…」
ザッ…
フランは木葉の足からどいた。
木葉「…」
ドサッ…
すると木葉は力なくその場に倒れ込んだ。
フラン「!!」
妹紅「…だろうな。お前、吸血鬼だろ。どれだけ血を吸ったんだ」
フラン「…知らない」
妹紅「…このままじゃこいつは死ぬ。医者のところに連れて行く」
ガシッ…
妹紅は木葉を抱きかかえた。
妹紅「お前はもう家に帰れ。姉が心配してるんじゃないのか」
ザッザッザッザッ…
妹紅はそのまま木葉を永遠亭に連れて行った。
フラン「…なにそれ。なんでお姉様が出てくるのよ」
バゴォォォォォォン!!
フランは周囲の竹を何本か破壊した。
妹紅「!」
妹紅はその音に驚いてフランの方を振り向いた。
フラン「…あなた、やっぱりその人を取るのが目的でしょ」
妹紅「…まだそんなこと言ってんのか。私はこの男に興味はない。だが死にかけの人間は見捨てたくない。…それだけだ」
フラン「なら私が連れて行く。あなたはどっか行ってて」
妹紅「ダメだ。私が連れていく。来るなら大人しくついて来い。嫌なら帰れ」
ザッザッザッザッ…
妹紅はそのままフランを無視して永遠亭に向かった。
フラン「…何よそれ」
ザッザッザッザッ…
フランは妹紅の後を追って永遠亭に向かった。
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場所…博麗神社
霊夢「はぁ…全く…遅いわね」
レミリア「ほんと、どこまで行ってるのよあの子たちは」
霊夢「レミリア。木葉に何かあったら本当に許さないからね」
レミリア「…分かってるわよ」
霊葉「お母さん。まだお父さん帰ってこな…」
文「こんばんはー!みなさん!」
シュバッ!!
突然射命丸 文が姿を現した。
霊夢「うわっ…何よあんた…何しに来たのよ…」
魔理沙「おう文。ちゃんと新聞入れてくれたか?」
文「入れましたよ。ちゃんと読んでくださいね」
魔理沙「おうよ」
霊夢「それで、何の用。ここにはネタは無いわよ」
文「いやぁそれがですね?ちょっとネタっぽいものがありまして」
霊夢「…?」
文「実はですね?迷いの竹林で首元が血だらけの人間と血を吸ったであろう吸血鬼の子がいたんですよ」
霊夢「!?」
霊葉「!!」
魔理沙「!?」
レミリア「!?」
咲夜「!?」
文の言葉で一瞬静まり返った。文はそのまま言葉を続ける。
文「で、竹林で迷った人を助けるあの人が血を吸われた人間を抱えて永遠亭に連れていったんですよ」
霊夢「ちょっと文!!今の話本当!?嘘ついてないわよね!?」
霊夢は怒りの表情を浮かべて文に掴みかかった。
文「痛っ!痛いです霊夢さん!」
霊夢「どっちなのよ!本当なの!?嘘なの!?」
文「ほ、本当ですよ!さっき見てきたんですから!」
霊夢「!!」
魔理沙「な…なぁ…それって…」
咲夜「まさか…」
レミリア「…フラン…あの子…」
霊夢「…霊葉」
霊葉「はい!」
霊夢「…少し…家を空けるわ」
霊葉「え、あ、うん…」
霊夢「レミリア…」
レミリア「…」
霊夢「…責任…ちゃんと取ってよね」
レミリア「…分かったわ」
ビュン!ヒュゥゥゥゥゥゥゥ!
霊夢はすぐに永遠亭に向かった。文と魔理沙、霊葉、咲夜は驚いた表情を浮かべ、レミリアは呆れた顔をしていた。
咲夜「お嬢様…」
レミリア「…咲夜」
咲夜「はい」
レミリア「…私たちも行くわよ」
咲夜「かしこまりました」
レミリアと咲夜も永遠亭に向かうことにした。
文「え…え〜っと…私…何かマズイことを言いましたか…?」
魔理沙「あ…あぁ…霊夢たちにとっては相当マズイことだぞ…」
文「そ…そんなぁ…」
霊葉 (お父さん…フランさん…)
〜物語メモ〜
木葉の弱点
木葉は過去にフランとレミリアに血を吸われて依存状態になったことがある。その時は日の光を浴びて症状は治ったが、その時に首が弱点ということをフランに知られてしまった。また木葉の弱点は首の他に状態異常もあり、毒や麻痺など、全ての状態異常に極端に弱い。