少女
ザーッザーッザーッ(砂嵐)
ニュース「お伝えします。昨日、ある研究所から三人の実験体が脱走しました。研究者たちは見つけ出すよう周囲に呼びかけ三人の捜索をしています。三人は未だ見つかっておらず、警察も加わり捜索は続いています」
ザッザッザッ…
私は暗い夜道を歩いていた。ここがどこなのかも分からない。一緒にいた二人もいつの間にかいなくなっている。
少女「…怖い」
私は立ち止まらずそのまま歩を進めた。周りには大きな建物がたくさんある。こんな暗い夜なのに人もたくさんいる。
少女 (この中の誰かに声をかければ助けてくれるかな)
私は近くにいた人に声をかけた。
少女「すいません。この近くで女の子を二人ほど見ませんでしたか?」
???「いや?見てないが」
少女「そうですか…」
???「お嬢ちゃんは一人?」
少女「はい。はぐれてしまったんです」
???「そうかいそうかい。じゃあ私の家に来るかい?」
少女「良いんですか!?」
???「えぇ、構いませんよ」
少女「ありがとうございます!」
???「君、名前は?」
少女「名前は無いです」
???「じゃあ歳はいくつ?」
少女「14です」
???「へぇ〜…それは危ないね。そんな歳の子が一人でいて」
少女「えぇ、まぁ…」
???「じゃあ行こうか」
少女「はい!」
スタスタスタスタ
私はそのままその男の人について行った。
???「ふっ、14歳か…いいなぁ…14歳は…」ボソッ
少女「!?」
私はその時男の人の声を聞いた。その声は優しさではなかった。私は怖くなってその場を逃げようと思った。
???「どこいくんだい?」
少女「!?」
???「逃がさないよ?」
少女「!?」
ガシッ!
私は腕を掴まれた。
少女「離してください!」
???「いいや離さないよ」
少女「!?」
私はその時目の前に人がいることを確認できた。
少女「すいません!そこの人!助けてください!」
タッタッタッタッ!
その男の人はこちらに気づき、走ってきてくれた。
???「よしなさい!」
バッ!
その男の人は掴んでいた腕を離してくれた。
???「誰だお前!」
???「よしなさい。こんな小さな女の子に」
???「うるせぇ!そいつが家に来るって言ってたんだ!邪魔するな!」
???「はぁ…とりあえず話を聞きたいので離れていてください」
その男の人は右手を上に挙げ、なにか言葉を発した。
???「!?」
少女「!?」
ブゥン!
すると地面に綺麗な円に模様がついたものが出現した。色は紫でとても綺麗だった。
???「少々手荒ですが許してくださいね」
フッ…
またその男の人がなにか言葉を発した。するとさっきまで私の腕を掴んでいた男の人は一瞬で姿を消した。
???「これでよしっと」
ザッザッザッ…
私を助けてくれた男の人が近づいてくる。その男の人はローブのようなものを着ている。少し背が高い人だった。
???「君、大丈夫かい?」
少女「は、はい。大丈夫です…」
???「お話を聞きたいので少し付き合ってくれませんか?」
少女「は、はい。分かりました」
スタスタスタスタ
そうすると男の人はどこかに歩いていった。私はその男の人について行った。
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しばらく歩くとその人の家に着いたらしい。慣れた手つきで鍵を取りだしドアを開ける。
???「さ、どうぞ」
少女「…あなたも私に何かするんですか?」
???「私はあなたの話を聞きたいだけです。ここの人達も協力してくれますよ」
少女「?」
私は少し理解が遅れた。ここの人達ってどういう事なのか。確かに家は大きいけどまさか複数人で住んでたりするのかなとも思った。
少女「それはどういう事ですか?ここの人達って誰ですか?」
???「私の仲間ですよ」
少女「仲間…」
???「あ、名前言うの忘れてましたね。私は長津 智志と言います」
少女「名前は無いです」
長津「そっか…とりあえず入ってください。皆まだ起きてると思いますよ」
ガチャ…
私は言われるがままその家に入った。正直何されるか分からないから怖かった。
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長津「皆起きてるー?」
その男の人は声を張り上げた。すると返事を返すように奥から声がした。
???「皆起きてますよ。あら?その子はどうしたんです?」
スタスタスタスタ
奥から人が歩いてくる。見た目は優しそうな女の人だった。
長津「いやね、さっき変な人に連れていかれそうになってたところを助けたんです」
???「なるほど、ということは保護しているということですね」
長津「まぁ、そうなりますね」
???「君、名前はなんて言うんですか?」
少女「名前は…無いです」
???「そっか…分かりました。私は早乙女 渚って言います。よろしくお願いしますね」
少女「は、はい。よろしくお願いします…」
長津「とりあえずみんなリビングにいるかな」
早乙女「えぇ、皆さんいますよ」
長津「分かった。じゃあ行こうか」
少女「…は、はい」
私は訳もわからずリビングに案内されることになった。リビングに行くと大勢の人がいた。数は十人程度だろうかみんなこちらを見ている。
ギュッ…
私は怖くなって早乙女さんの裾を握った。
早乙女「怖いですか?」
早乙女さんは私に目線を合わせるように屈んでくれた。
少女「…はい、少し」
早乙女「じゃあ私の後ろにいてくださいね」
少女「…分かりました」
スッ…
そして私たちはフカフカのイスに座った。
条乃「で?誰だ?そいつは」
一番最初に声を上げたのはいかにも怖そうな男の人だった。
少女「あ…あの…」
条乃「あ?」
少女「い…いえ…なんでも…」
本庄「条乃さん!そんな怖い声じゃ怖がるでしょ!ちゃんと気遣ってください!約束したじゃないですか!」
声を上げたのは女性だった。その人も早乙女さんみたいに優しそうな人に見えた。
条乃「くっ…すまねぇ」
本庄「君のお名前はなんて言うんですか?」
少女「名前は…ないです」
本庄「そうですか…」
少女「すいません…」
本庄「いいんですよ!大丈夫ですよ!」
少女「…」
長津「君は何故あの人に腕を掴まれていたんだい?」
少女「私は…友達とはぐれてしまいました…その子たちとは連絡が取れないので途方に暮れていました。ですがそこであの男の人が家にあげてくれると言いました。私は嬉しかったんですがその後の男の人の声を聞いてから怖くなりました」
長津「声?」
少女「はい…その人の声は欲望にまみれていました…私は人の声を聞いて感情を読み取ることができるんです…だから怖くて逃げようと思ったんですが」
長津「そこで捕まったと…」
少女「…はい」
早乙女「そっか…怖かったね」
少女「…はい」
早乙女「安心して。これからは私たちが守るから」
少女「…ありがとう…ございます…」
長津「今日はもう遅いから明日にしようか」
本庄「そうですね」
長津「渚さん。今日はこの子と一緒に寝てくれないかい?」
早乙女「分かりました!」
少女「いいんですか…私が寝ても」
長津「え、別にいいですよ」
少女「…ありがとうございます」
早乙女「じゃあ行きましょう!その前にお風呂ですね!」
スタスタスタスタ
私は早乙女さんという人にお風呂場に案内された。
条乃「…なぁよさっきのやつ聞いたか?」
長津「あぁ」
三室「…私が寝ても…か」
条乃「なにかあるな…これは」
長津「麻莉さん。あの子の心はどうでした?」
風和瀬「…渚ちゃんには懐いていますが私たちには敵意を見せていますよ」
長津「…そうか」
矢巾「長津さん」
長津「はい」
矢巾「あの子の腕や足に傷がありました」
長津「!!」
矢巾「それもただの怪我ではありませんでした。誰かに付けられたような傷でした」
条乃「…虐待か…」
矢巾「その可能性もありますね」
長津「…みんな、あの子はここで預かろうと思う。おそらくその傷も相当なものだろう。完全に癒えるまで俺たちが面倒を見よう」
本庄「分かりました」
風和瀬「では私は心境に変化があればその都度伝えますね」
長津「あぁ、お願い」
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その頃早乙女たちは…
早乙女「それじゃあ脱いじゃおっか。バンザイして〜」
少女「…」
バサッ!
私はその子の服を脱がしてあげた。しかしその子の背中は傷だらけだった。
早乙女 (!?…この傷…)
少女「…」
早乙女 (…伏せておこう。後でみんなにも伝えないと)
早乙女「それじゃあ入ろっか」
少女「…うん」
私たちはお風呂に入った。久々に綺麗になった。お風呂も暖かく気持ちよかった。
早乙女「サッパリしたね。また一緒に入ろうね」
少女「…うん」
私たちはその後にリビングに行った。リビングにいた人はさっきよりも少なくなっていた。
早乙女「長津さん。私たちはもう寝ますね」
長津「あぁ、お願い」
早乙女「はい。それじゃあ行こっか」
少女「…うん」
スタスタスタスタ
私たちは早乙女さんの部屋に行った。私は疲れていたのかベッドに入ったらすぐに寝てしまった。