木葉と魔理沙は永遠亭にいた。
二人ともその日に怪我は治ったが念の為永遠亭にいることになった。
木葉「ごめんな霊夢。明日の境内の掃除は永遠亭を出てからになりそうやわ」
霊夢「いいわよそんなこと。あんたが幻想郷に来るまでは私がひとりでしてたんだし。慣れてるわよ。あんたがいるといつもより時間がかかるくらいにね」
木葉「さらっと病人の心をえぐるのやめてもらってもよろしいか?」
霊夢「あんたはもう大丈夫でしょ」
木葉「でも一応ここにいてって言われてるし」
霊夢「じゃあ病人は病人らしく寝てなさい」
木葉「はいはい」
木葉はベッドに横になった。
木葉「霊夢ーリンゴ切ってー」
霊夢「甘えないの!あとで切ってあげるから今は寝てなさい」
木葉「ぶぅー!ぶぅー!」
霊夢「…明日はここで寝てる豚でも食べようかしら」
木葉「…」
霊夢「あら、急に静かになったわね」
木葉「…」
霊夢「さ、リンゴは切っておくからあとで食べてよね」
木葉「は、はーい…」
霊夢はその後リンゴを切って近くの机に置いてくれた。
霊夢「じゃあ私買い出しに行くからちゃんと寝てなさいよ」
木葉「う、うい」
スタスタスタ
霊夢はその場をあとにした。
木葉「俺、明日死んじゃうのかな……最後の晩餐は……何にしよ……」
うどんげ「木葉さーん!起きてますかー?」
木葉「おや?鈴仙さん?どうしたの?」
うどんげ「実はですねーリンゴを…」
うどんげは机の上にあるリンゴを見つけた。
うどんげ「あ…じゅ、充分みたいですね…あはは…」
木葉「あ、これは…」
うどんげ「霊夢さんが切ったんですか?」
木葉「ま、まぁ」
うどんげ「全く…見せつけてくれますね…」
木葉「いやーまぁ、えへへ」
うどんげ「嫉妬しちゃいますね」
木葉「ん?」
トサッ
うどんげは木葉の上に股がった。
木葉「ちょっ!?なにを!?」
うどんげ「何って…何でしょうね?」
木葉「ちょ…降りて…こんなの見られたら」
うどんげ「私は構いませんよ?」
木葉「俺はダメなの!」
うどんげ「えーでも満更でもないですよね?」
木葉「うっ…」
うどんげ「じゃあそのままじっとしててくださいね」
うどんげは木葉に顔を近づけた。
木葉「っーーー!」
ブスッ!
木葉「いてっ!」
うどんげは木葉の腕に注射を打っていた。
木葉「ぐぉぉぉぉぉぉぉ…」
うどんげ「さ、これで一日安静にしてたら明日は元気になってますよ」
木葉「はぁ…はぁ…」
うどんげ「木葉さん?まさか…勘違い…してました?」
木葉「し、してない!」
うどんげ「ふーん♪ほんとですか?顔赤かったですし目も閉じてましたし」
木葉「してない!」
うどんげ「ふふっ♪木葉さんは受け身なんですね?いい事知れて良かったです。それでは〜」
そう言ってうどんげは病室を出た。
木葉「…」
そしてその病室は静寂に包まれた。
霊夢 (今日木葉は永遠亭にいるから…んーどうしよ…)
咲夜「あら霊夢。今日は木葉はいないのね」
霊夢「咲夜…まぁね、木葉は今永遠亭にいるわ」
咲夜「何かあったのかしら?」
霊夢「魔理沙と弾幕勝負して怪我したの」
咲夜「そうなのね。木葉はどうだったのかしら?」
霊夢「どうって…」
咲夜「強かったかどうかよ」
霊夢「んー…どうなのかしら。勝ったのは木葉だけど…」
咲夜「そ、分かったわ」
霊夢「あんたは買い物?」
咲夜「えぇ、お嬢様がおやつを欲しがってたので」
霊夢「あいつほんとに吸血鬼かしら」
咲夜「霊夢は今夜は一人?」
霊夢「まぁ、木葉が永遠亭にいるからそうなるわね」
咲夜「そう。じゃあ精々木葉がいない寂しい夜を過ごしなさいね」
霊夢「わ、分かってるわよ」
スタスタスタ
咲夜はその場をあとにした。
霊夢 (…)
コンコン
病室のドアがノックされた。
永琳「入るわね」
木葉「はいよ」
入ってきたのは永琳だった。
永琳「調子はどうかしら?」
木葉「あぁ、もう動けるかな」
永琳「そう。それは良かったわ」
木葉「魔理沙は?」
永琳「あの子ならピンピンしてるわよ」
木葉「そうか。それは良かった」
永琳「…あなた確か…天野 光…だったわね」
木葉「そうだよ」
永琳「ふーん。紫から聞いてた通りの人間ね」
木葉「なんだ?」
永琳「私の古い友人。彼女はあなたの事を信頼してるわよ。博麗大結界を直した現代の人間って」
木葉「ほう」
永琳「神奈子もあなたを信用してるっぽいし…良かったわね」
木葉「お、おう。そうか」
永琳「あなた、向こうの世界では何してたのかしら?」
木葉「十二天星だよ」
永琳「十二…天星…」
木葉「そう。十二天星は十二星座の能力を持つ人間のことだよ」
永琳「具体的には?」
木葉「世界の均衡を保つ仕事かな」
永琳「均衡を保つ仕事…」
木葉「あぁ、向こうの世界は俺がいないと傾き続けるからね」
永琳「なるほどね。だから紫はあなたを…」
木葉「ん?」
永琳「いえ、なんでもないわ。明日には退院できるから安静にね」
木葉「はいよ」
スタスタスタ
永琳は病室を出た。
魔理沙「木葉!起きてるか?」
木葉「魔理沙。どしたの?」
魔理沙「いやー元気かなって」
木葉「あぁ、元気だよ。魔理沙の方はどうだ?元気か?」
魔理沙「私は元気だぜ!」
木葉「そりゃ良かった!」
魔理沙「そういえば霊夢のやつはどこだ?」
木葉「霊夢なら買い出しに行ったよ?」
魔理沙「そうか…あ!リンゴ!」
魔理沙は机の上のリンゴを指さした。
木葉「食べるか?」
魔理沙「食べるぜ!」
そう言って魔理沙はリンゴを手に取り食べた。
シャクシャクシャク…
魔理沙「全く霊夢のやつ…木葉にはリンゴを切って私には切ってくれないのか…」
木葉「あはは…あ、魔理沙は今日はここにいるのか?」
魔理沙「ん?うん。なんかうどんげのやつにそう言われてな」
木葉「そうか。お互い大変だな」
魔理沙「まぁな!」
咲夜「お嬢様。今木葉は永遠亭にいるそうですよ」
レミリア「あら、どうしたのかしら」
咲夜「曰く魔理沙と弾幕勝負をして怪我をしたと」
レミリア「木葉が弾幕勝負!?」
咲夜「はい」
レミリア「それを早く言いなさい!私も木葉と1戦交えたいわ!」
咲夜「今はダメですよ。永遠亭にいるので」
レミリア「じゃあ帰ってきたら今度は私が永遠亭送りにしてあげるわ!」
咲夜「怪我させる気満々じゃないですか」
レミリア「当たり前よ!そのつもりでやりたいもの!神社に帰ってきてもすぐに永遠亭にとんぼがえりする事になるでしょうけどそんなの知ったこっちゃないわ!」
咲夜「木葉を永遠亭送りにするのハマってるんですか?」
レミリア「いいえ!私はただ木葉の実力を知りたいだけよ!」
咲夜 (そのために永遠亭送りにされる木葉も気の毒ね…)
その夜…
木葉「魔理沙。そろそろ寝ないと明日起きれないぞ?」
魔理沙「ん?あぁ、もうこんな時間か…もうちょっとここにいたいんだがな」
木葉「明日からまた会えるよ」
魔理沙「そうだな。じゃあお休み木葉」
木葉「あぁ、お休み」
スタスタスタ
魔理沙は病室をあとにした。
霊夢「…木葉。起きてる?」
木葉「霊夢?」
病室の外に霊夢がいた。
木葉「どしたの?」
霊夢「いや、まぁ、ね…ちょっと…心配だったから」
木葉「大丈夫よ。明日には帰れるから」
霊夢「うん…」
木葉「今日はここで寝る?」
霊夢「!!」
木葉「寂しいんでしょ?」
霊夢「…」コクッ
霊夢は静かに頷いた。
木葉「ほら、おいで」
霊夢「でも…それじゃあ木葉が」
木葉「大丈夫。ほら」
霊夢「…」
スタスタスタ
霊夢は俺のベッドに入った。
木葉「鈴仙さんには言っておくから」
霊夢「…うん」
その後俺と霊夢は一緒に寝た。
翌日…
うどんげ「木葉さーん!起きてますかー?木葉さ…」
うどんげは息を飲んだ。
うどんげ「全く…なんで霊夢さんがここで寝てるんですか…」
うどんげは周りを見渡し大きな音を立てられそうなものを探した。
うどんげ「ビンゴ…」
うどんげはそれに手を伸ばし勢いよく音を出した。
ガンガンガンガンガン!
霊夢「!?」
木葉「!?」
うどんげ「木葉さん!霊夢さん!朝ですよー!」
ガンガンガンガンガン!
木葉と霊夢は大きな音に反応して起きた。
うどんげは二人が起きたことを確認すると音を鳴らすのを止めた。
うどんげ「お二人さん朝ですよー!」
霊夢「うどんげ…」
木葉「鈴仙さん…」
うどんげ「目覚めの良い朝ですね!」
霊夢「良くないわよ!」
木葉「耳が死んじゃうかと思った…」
うどんげ「ふふふ…朝起こすときの定番ですね!」
霊夢「木葉…予定変更よ。今夜はうさぎ鍋にしましょ」
木葉「賛成…お鍋用意しとくわ」
うどんげ「ちょちょっと!待ってください!勝手に私を料理する方向で話を進めないでください!」
霊夢「…」
木葉「…」
木葉と霊夢は冷たい目でうどんげを見つめている。
うどんげ「わ、私はただ起こしに来ただけですよ!?そ、それなのに…うさぎ鍋だなんて…お二人とも人の血通ってるんですか!?」
霊夢「私は正常よ…何ら問題は無いわ」
うどんげ「うっ…」
木葉「俺も良い朝を迎えられて気分がいいんだ…」
うどんげ「うぐっ…」
霊夢「…分かった?私たちは良い朝を迎えられてとても感謝してるの…そんな良い朝を届けてくれたのは他でもないあんたなのよ…だからねうどんげ…今夜…楽しみにしてるわね」
うどんげ「ひっ…」
霊夢は優しい微笑みでうどんげに語りかけていた。
うどんげ「あ…あの…えっと…その…すいませんでしたーーーーー!」
タッタッタッタッタッ
うどんげは走って逃げた。
霊夢「全く…あの兎め…」
木葉「まぁ、良い朝を迎えられたのはほんとなんだけどね」
霊夢「どういう事よ」
木葉「霊夢が隣にいる」
霊夢「…///」
その後、木葉と霊夢は永琳と話をつけて帰ることにした。
永琳「調子良さそうね」
木葉「えぇ、お世話になりました」
永琳「また怪我したら来て。うどんげと一緒に手当てしてあげるから」
うどんげ「!?」ビクッ!
うどんげは驚いた表情を見せた。
ダラダラダラ…
それと同時に嫌な汗をかいていた。
木葉「あぁ、次も良い朝を迎えられることを楽しみにしてるわ」
永琳「?」
うどんげ「……」ブルブルブル
うどんげは震えていた。
木葉「そういえば魔理沙は?」
永琳「あぁ、あの子なら…」
魔理沙「私ならここだぜ!」
魔理沙は廊下を歩きながらそう言った。
木葉「良かった。魔理沙も元気そうだ」
魔理沙「まぁな!あ、そういえば…」
木葉「ん?」
魔理沙「今朝ガンガンガン!って大きな音が聞こえてたんだが知ってるか?」
うどんげ「……………」ダラダラダラ
木葉「あぁ、あれね。あれは良い朝を迎えられたんだよ」
魔理沙「?」
霊夢「ふふっ…」
うどんげ (木葉さん…もうそれ以上は…)
永琳「どういう事?」
うどんげ (ししょーーーーー!)
木葉「ん?あぁ…まぁ…そのまんまの意味だよ」
永琳「?」
魔理沙「?」
うどんげ「さ、さぁ!お二人とも!怪我が治って良かったですね!また怪我したら来てくださいね!それではお大事に!」
魔理沙「お、おう」
木葉「じゃあ…帰るか」
霊夢「そうね」
魔理沙「じゃあなうどんげ!」
うどんげ「はいはーい!お大事にー!」
スタスタスタ
木葉と霊夢と魔理沙は永遠亭をあとにした。
うどんげ「はぁ…」
うどんげは床に座り込んだ。
永琳「どうしたのようどんげ」
うどんげ「い、いえ!なんでもありません!」
スタスタスタ
うどんげはその場をあとにした。
永琳「変なうどんげねぇ…」
その帰り道…
魔理沙「じゃあ私は家に帰るぜ!」
木葉「あぁ!じゃあな魔理沙!」
魔理沙「じゃあな木葉!また弾幕勝負してくれよな!」
木葉「はいはい」
ヒューーーーッ
魔理沙は箒に乗って家に帰った。
木葉「さて、俺たちも帰るか霊夢」
霊夢「そうね。そうしましょう。それにしてもあんたって…結構やるのね…」
木葉「ん?何が?」
霊夢「うどんげの事よ…あの子…すごい汗かいてたわよ」
木葉「ん?さぁ?なんの事かしら?」
霊夢 (分かってるくせに…)
その後、木葉と霊夢は神社に戻った。
ちなみにその日の夕食にはうさぎ鍋は出なかった。
〜物語メモ〜
木葉は音を操る能力を持っている。そのため木葉の耳は音にとても敏感。小さな音でも聞き取ることが出来る。
朝うどんげが音を鳴らして起こした時は霊夢が聞いたもの以上もの音が耳に入ってきたため「耳が死んじゃうかと思った…」と言った。