創世日記でのび太が作った世界が実は型月の世界だったら。 作:マッキーガイア
彼に初めて会ったのは血を浴びれば不死になると言われる伝説の龍がいると言われた龍の谷の入り口だった。
幾多の剣士が訪れ不死を願い、龍と戦い敗北していった還らずの谷。そこに居た彼と魔法使いの箒に攫われた私。正直ドラマチックとは言い難い出会いだったと思う。
彼の事は知っていた。白銀の剣士。ヨラバタイ樹の頂上にあると言われる白銀の兜を身に纏いと白銀の剣を持った御伽話の存在。白銀の剣を握れば天下無双となりこの世に勝てる者がいなくなると言わしめた正しく最強。
だけど、初めて会った時の感想は鎧に着られている平凡な男の子と言った感じだった。とても強そうには見えず、なんなら女である私の方が強いだろうとすら感じた。
彼は知らないが、私と彼は言うなれば許嫁にも近しい存在だった。彼が『妖霊大帝オドローム』を倒した暁には私と彼は結ばれるのだと…ユミルメ国王女である私、シズカリアはそれが嫌で家出をし、シズカールなんて偽名を使ってまでこの場に居るのだ。
彼を見て安心したのを覚えている。私の決断は間違っていなかったのだとはっきり分かったから。
彼の剣戟を見た時、美しいと思った。
流れる様な斬撃に倒れていく彼の龍。
私は静かに称賛していた。強い。確かに彼は白銀の剣士だ。きっと私では逆立ちしても勝ち目はないだろう。
「秘境でひっそり暮らしている龍を殺す権利なんて誰にも無いよ!」
彼は結局、龍を殺さなかった。
怖気付いたと言うべきか、だが、そこには確かに優しさがあった。
それからずっと、彼の元で彼の剣を見て来た。
ずっと、彼の近くで彼の優しさを見て来た。
ずっと、彼の近くで彼の勇敢さを見て来た。
私はシズカールとして…ずっと……ずっと…
私はシズカリアとして彼に接してこなかった。それは当然と言えば当然だが、それは次第に私の心を窮屈にした。彼は"私"を見ていない。
この記憶はきっと彼と共有できないのであろう。
楽しかった記憶、嬉しかった記憶、きっと彼には話せない。
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剣が舞う。
敵の命を刈り取ろうと金属がぶつかり合う。しかしとて流石に英雄と讃えられただけの事はある。ひたすらにその刃は通らなかった。
正直、シズカール扮するシズカリアは焦っていた。
殺すのに慣れていないと言う事もそうだが、急の転移に気が動転して冷静な対応が出来ていない事もそうだ。だが前提に此処に転移する前に戦っていたと言うのがある。
証拠にシズカリアは確かに疲弊していた。身体は傷に塗れて、連戦続きで疲労困憊、更に言えば度重なる爆破で灰を吸いすぎたか少し気分が悪い。
そして何より妖霊大帝に後釜が現れて残党達を再び纏め上げて国に攻め込んできていると言うのが彼女にとって精神的にキていたと言うのがあった。
だから、早めにこの戦いに制して休憩を取りたいと思っていたのだが、この敵が中々にしぶとい。
おもや、一人一人が以前の妖霊大帝の手下の将軍達にも匹敵するのではなかろうかと言う程だ。
とは言え、シズカリア自身あれからだいぶ研鑽を積んできた自信がある。いくら本調子を出せないからと言ってもあの時の自分とは比べ物にもならないだろうと思っていた。
赤槍を剣で弾く。
だが、中々にままならない物だ。見た事もない武器、技、鎧、此処に来て敵の内を知らない物ばかり。剣を弾いたと思えば、盾が飛んできたり、それを弾いたと思えば次には別の刃が襲ってくる。
「ハァッ!!」
剣を槍に叩き込み、横腹に蹴りを入れてやると目の前の男は横に吹っ飛んでいき、瓦礫に身体を埋めた。
気絶は…していない。このタフさ異常と言っていい。
「─束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるが良い!─ 」
声が響く。
「
光が打流になって襲い掛かってくる。
それをギリギリで避けてあの美しい光が破壊のパワーになってその矛先である何十メートルとある建物が破壊されるのを眺める。
酷い爆音と共に暫くしたらあの建物に隠されていた空が見えてきた。
おまけにこれだ。流石に妖霊大帝だってこんな滅茶苦茶しない。今の所剣技でそれを一歩引かせているがアレが連発などして来た日には地獄を見るのは私だなと内心ため息を吐く。
「無明三段突き!!」
「ハァッッ!!」
「グハッ!?」
桜色の髪をした剣士が技を放ってくるが刃が届く前にそれを回し蹴りで弾き飛ばす。
剣士が倒れるのを確認してからとどめを刺そうと走り出すが
「
生憎様、それを邪魔する様に槍が私に飛んできた。それを剣で真正面から受け切って威力を弱めた所で先程吹き飛ばした男へ向け蹴り飛ばす。
「マジかよ。アイツ規格外にも程があるだろ!」
ランサーが呟くと同時、先程蹴り飛ばされたゲイ・ボルグがランサーに向けて飛んでいく。
「やばっ!」
「ハァッ!!」
ガキンッッという金属音と共にゲイボルグは目の前の盾に弾き出される。
「助かったぜ。嬢ちゃん。」
「いえ、お怪我はないですか?クー・フーリンさん。」
「ああ、大丈夫だ。しかし、どんなカラクリだ?アイツの剣、呪いを打ち消しやがる。」
「カラクリは分かりませんが!ドクターから通信が!
敵は『夢幻三剣士』の盟友シズカールらしいです。」
「マジかよ。『夢幻三剣士』だと!?」
クー・フーリンは驚きつつも敵を見定める。
「もしや、あの剣が白銀の剣だったりとかしないよな?」
「いえ、あの剣自体にはなんの特異性も無いらしいです。」
「マジかよ、じゃあアレは自前か。」
「多分。」
そこまで言うとクー・フーリンは仕方無し気に立ち上がり槍を構える。
「ありがとうよ、嬢ちゃん。ますますやる気が出るってもんだ。」
因みにこんなに一方的なのはサーヴァント達がまだレベルが低いのとマスターがスマホ系RPGに慣れていないせいでもある。