Fate/STEEL BALL RUN【完結】   作:石田たつを

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#47 ボーイ・ジーニアス

【もしライダーがギャグを披露すると……】

 

藤村大河:素でバカウケ。かなり大爆笑する。

間桐桜:騎兵(ライダー)の声のデカさにビビってしまう。

間桐慎二:心の底からウンザリする。

衛宮士郎:とりあえずヨイショして様子を伺う。

セイバー:実は結構ツボなので、ちょっとウケる。

遠坂凛:マジでドン引きする。

アーチャー:シカトする。

イリヤ:ややウケ。実は声のデカさでウケてる。

 

 

 

 

2月10日。

早朝に目が覚めた。

その時はまだ夢見心地で、ちょっとボーッとしていたのだが、いつの間にか部屋に忍び込んでいたイリヤに散々…()()()()()()()()()()()()揶揄われたお陰で、見事、微睡を誘う布団から緊急脱出する事に成功した。

 

それでシャッキリ目が覚めた俺は、桜と一緒に台所で5人分もの朝食を作る事になった。

もしこれが俺一人だったら大仕事になってしまうが、流石というべきか、桜のピカイチなサポートのお陰で意外とスムーズに調理できた。

いざ台所に立った時、この赤い布に覆われた左腕が、ちゃんと使い物になるかどうか不安だったが…どうやら、いわしを捌くくらいなら、なんて事ないらしい。

 

全員分の皿を並べる。

5人分(ライダーは今日はいらないらしい)は流石に多い。

結構キツキツだ。

全員分運ぶのは大変だった。

ホントは手伝って欲しかったけど、遠坂は朝に弱すぎて冬のナマズみたいにおとなしくなってるし、イリヤはテレビをご観覧していた。

そして慎二に至ってはそもそも来ていない。

呼びに行こうとしたが、朝の挨拶しにきた時だけ霊体化を解いたライダーに止められた。

何か事情があるのだろうと思ったので、ヘタに追求はせずに、俺たちは一足先に朝食を始める事にした。

 

食卓には俺と桜、遠坂とイリヤが隣り合う形で陣取っている。

 

「…………………………」プレッシャアーッ

 

朝食は静かに進んでいく。

僅かな緊張感を保ちながら。

沈黙の中、テレビだけは騒がしく今朝のニュースをベラベラと垂れ流してくる。

その中にあったニュースの一つに、やけに引っかかった。

 

『中央公園で行方不明者、付近には夥しい血痕』

 

内容も妙だった。

公園にあった血の跡を発見した男性が通報。

捜査すると、そこにあったのは、人間一人分と思われる血痕と、被害者のものと思われる遺体の一部だった。

……その遺体も、一人分以上四人分以下という有様だという話だった。

 

「警察では四人の身元を……って、なんで四人なんだ?一人分の血痕しかないのに」

 

誰かに問いかけた訳じゃあない……ほぼほぼ独り言みたいなもんだったのだが、ボンヤリしながら卵焼きを頬張ろうとしていた遠坂が、なんてことなさそうに言った。

 

「そりゃ一部ってのが四人分あったんでしょ………例えば、落ちてたのが全部『右手』だった…とか」

 

そう、あっさりと。

実は他にも引っかかる事はあったが、遠坂が言った『例え』を、やけに具体的にイメージしてしまって、食欲が減退しそうになった。

だから、この話題は早々に切り上げることにした。

 

ぼちぼち全員食べ終わる頃………

ボサボサの寝癖を直さないままの慎二が、車椅子を軋ませながらやってきた。

目にはクマがあり、顔色も良くないが、結構ノンキそうな顔している。

意外と余裕あるみたいだ。

 

「………おいおい…フツー朝はパンじゃない…?」

 

慎二はイヤミっぽくブツブツ文句言いながら、モゾモゾと這うように食卓につく。

それをイリヤは冷ややかな目で一瞥し、無言で居間を去って行った。

 

「…用意してもらっておいて…子どもみたい……」

 

そして遠坂はボソリと慎二には聴こえない様に毒を吐きながら、ちゃんとお皿を流しに置いてから部屋に戻った。

 

………………なんか、気まずいな。

 

「悪い、もう冷めてるかも…温めなおそうか?」

 

「…………………別にいいや」

 

「そうか……」

 

慎二はモソモソと食べ始めた。

まだ時間がかかりそうだ。

なら先に皿を洗っておこう。

 

それにしたって、割とみんな薄情だ。

たしかに慎二はちょっとアクがあるけど、根っこは妹想いのイイ奴で、その為ならいくらだって無茶できるスゴイ奴なんだ。

ホントなら、遠坂だって…………

アイツも桜を想っていて、心の底では『なんとかしてやりたい』って思ってる筈だから、きっと慎二とウマが合うと思うんだけど……

 

…………やっぱり態度か?態度が悪いのか?

だとしたら……いや、よそう。

行儀良くて愛想がいい慎二は…………なんか違う。

やめだ。

皿洗おう。

 

 

 

 

起床後すぐ、()()()()()()()によって肉体の激痛を止め、気合いで寝巻きから、もう行けやしないだろう学校の制服に着替えた。

施術によって痛みは抑えられているが、言いようもない不快感とか、身体の中に異物感がある。

常に背中にヘンな冷や汗もかくし、時々どこかに痒みも感じる。

尤も……それでも激痛よりはマシだがね……

 

そしてロクに食えず、ほぼライダーにくれてやった朝食の後。

衛宮は遠坂に連れられ道場に連行された。

その後ろをヒヨコみたいに桜と銀髪のガキがヒョコヒョコついていく。

一応「行きません?」って誘われたけど、全然フルシカトした。

誰がアホの衛宮なんかに興味あるんだい……?

それに遠坂が主導のイベントだしね。

ではぼくは何するかと言うと、ライダーによって衛宮ん家特有のクソデカい庭に連れてこられた。

時間帯的にまだ朝なんで、結構寒い。

 

「今朝の診察で判った事だが……シンジ、とうとうおまえさんのケツに火がついた」

 

「…?………………あ!…()()()()()()()

 

()()()()()()()……長くても『一週間』だ」

 

なるほど。

短いな。

実感はない。

施術で痛みがないからだ。

だが…相手は『医者』だぜ?

信憑性があるんだよね。

 

宣告者であるライダーの目は据わっている。

コイツの普段のアホで陽気な様子とは違う。

『ツェペリ一族』で同時に『医者』としての顔。

逆にムカつくね。こういうの。

お前キャラブレてる!って思うんだ。

あんまり人のこと言えないかもしれんが………

 

「『聖杯』が欲しいか?シンジ…命を懸けても……『全て』を手に入れたいと今でも思っているか?」

 

「ハ!いまさら降りるバカが何処にいんだよ」

 

「じゃあ手に入れよう……その為に今からレッスンをする………今までのレッスンはまだ『入門編』にすぎない」

 

そう言って、ライダーは鉄球を手渡してきた。

 

レッスン…?

あぁ、鉄球の回転の話か。

そういえば……まだぼくは『LESSON(レッスン) 3』まで……だったかな。

せっかく令呪まで切らされたんだ。

このまま有耶無耶になって忘れてしまうのは、随分と勿体無い話だ。

 

「結論から言うと『鉄球』の秘密とは『無限』への追求だ…それがオレの一族ツェペリ家の目指したもの……『無限』という概念をオレの先祖は『鉄球』という技術に応用しようとしたんだ………『医術』と『処刑』のために…」

 

ライダーはつらつらと語る。

鉄球の回転の秘密。

そしてツェペリ一族の話を……

 

『黄金長方形』という形がある。

 

それは、およそ9対16の比になっている『長方形』の事を指し……正確には1:1.618の黄金率の事をいう。

この『長方形』は古代からこの世で最も美しい形の基本の『比率』とされている。

 

エジプト・ギザの『ピラミッド』

 

『ネフェルティティ胸像』

 

ギリシアの『パルテノン神殿』

 

『ミロのビーナス』

 

ダ・ヴィンチの『モナリザ』など……

 

この世の建築・美術の傑作郡には計算なのか?

あるいは偶然なのか?

ツェペリ家の先祖たちは、これは…名芸術家たちの感性の結果だと考えている…それは完璧の比率……

これらの芸術家たちはその『長方形』を本能で知っている……だから『美の遺産』となって万人の記憶に刻み込まれるのだ……

 

「オレの『手のひら』も黄金長方形の比率になるようにオヤジから訓練された」

 

『黄金長方形』には次の特徴がある…

正方形をひとつこの中に作ってみる。

 

残ったこの『小さい長方形』もまた……

およそ9対16の黄金長方形となる

これにまた正方形を作ってみる。

この残りもまた黄金長方形。

さらにまた作る。

さらにまた……そのさらにまた…そしてこの中心点を連続で結んでいくと………

無限に続く『うず巻き』が描かれる……

 

これが『黄金の回転』だ

 

「『黄金長方形の軌跡』で回転せよ!そこには……『無限に続く力(パワー)』があるはずだ…………我らツェペリ一族はそれを追及して来た…」

 

ふーん、なるほど…?

長ったらしいね、随分と。

そして歴史のある話だ。

どうやらぼくは……

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そのツェペリ一族が積み重ねてきたものに。

それと……誠に遺憾ながら、コイツにもね。

 

「まず最初に言っておくシンジ…おまえはこれから()()()()()()…」

 

唐突だが、いわゆる人生において最も…腹の底から『スカッとサワヤカ気分』になるには、どうすればいいか?

それは勿論、人によっては違うだろう。

 

『力』とか『栄光』とか『幸福』を得た時とか。

 

マンハッタン島を買えるくらいの『収入』とか。

 

だがぼくは違うんだなぁ、これが。

ぼくが最もスカッとサワヤカ気分になるのは………

 

()()()()()()()()()()()()()?」スッ

 

グワシィイッ!

 

!?

 

ちょっと手、貸してもらうぜライダー。

()()()()()()()()()()()()()()

 

クルゥゥ…ッ!…シルシルシルシルシルシルシルシルシルッ…!

 

「こ、これは……オレの手で…!」

 

ぼくの予想通りだ。

この回転はいつもとは違うと判る。

回転からパワーを感じる。

一応ギリギリ赤点追試必須レベルだけど、ぼく実は『魔術使い』なんでね……この回転からは『魔力』にも似たエネルギーを感じるのだ。

ライダーの回転とは、ちと違うかもしれないが…

 

まぁ……()()()()()()()()()()

 

「マジすか」

 

おっ、そうだよこれこれ。

こういう顔みるとスカッとすんだよなぁ。

ナメられっぱなしってのはイヤなんだよね。

それが誰であっても…………

 

「簡単な推理サ……えぇ?…ライダー」

 

芸術家たちやライダーのご先祖が『黄金長方形』を見つけたというなら、それはどこから学んだ?

『美しさの基本』とかをどこで?

彼らは誰から学んだ?

誰かに教えてもらったり、偉い学者から聞いたり、定規で計ったわけじゃあないはずだ…………

それはコピーってやつで…『本物』じゃあない……

 

なら『本物』とは一体何か?

それは間違いなく『自然』だ…!

 

ライダーはランサー戦の時……

公園の『不自然な自然』に戸惑っていた。

だけど、あの時に『花』を見たことで、鉄球の威力が増していた。

 

つまり、『自然』などの深い観察から、芸術家たちが学んだものと、同じスケールで……

鉄球を『回転』させる必要があるわけだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「てめー!今のはズルだろがッ!!」

 

うるさッ!声デカッ!!

 

「じゃあ、こうもできるよ」クルッ シルシルシルシルシル

 

おっ、大丈夫かな……?

あ!ちゃんとイケてるね。

土蔵の近くの品種も知らねぇ『木』だけど。

ま!見りゃあできるか。

 

ということで、ぼくは今から『自慢』をする。

 

『勉強』が得意だった。

大体先公の言ってる事覚えときゃいいんだから。

必要な要素をパパッと暗記すればいいだけだ。

スッゲー楽。

 

『スポーツ』もそうだ。

流石にちとコツ掴む時間はいるが、大体できる。

野球なら全ポジション(ピッチャーも!)守れる。

サッカーならヒールリフトくらいなら余裕だ。

バスケの3P(スリーポイント)シュートは…ちょいっとキツかったがね。

 

『芸術』も中々できた。

風景画のデッサンでコンクール取ったし……

適当に触って遊んでたエレキギター、パワーコードだけじゃなくバレーコード(FもBmも)も弾ける。

 

お分かりかな?

ぼくって、結構天才なんだよ。

そして『シャーロック・ホームズ』並の『名探偵』でもあるのサ。

 

「それで?次のLESSON(レッスン)受講したいんですけど?」

 

「………………………()()()()()

 

「あっそ」

 

フゥ〜〜〜〜スッキリしたぜ。

射精の100倍は気持ちよかったな。(※要修正)

 

「シンジ」

 

「?………なんだよライダー」

 

「『()()()()()』………忘れんなよ」

 

あっ霊体化しやがった。

………もしかしてスネてんの?

いや、まさかな………違うだろ……

流石に………違うだろ………




間桐慎二の『性根』は同じ。
ナメられるとブチギレるのだ……
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