Fate/STEEL BALL RUN【完結】 作:石田たつを
【キャラクターの原作との相違点】
『遠坂凛』
皆さんご存知、あかいあくま。
原作と比べて死ぬほど口が悪くなっている。
特に『ウチのシマ』とか『ナメた真似』とか言う。
あと中華料理の腕前も地味に強化されている。
その精神性は基本『黄金の精神』なのだが、やはり頭魔術師なので『漆黒の意思』もちゃんとある。
ほぼジャイロみたいな精神性の女の子。
地味にジャイロとの共通点(特別な技術を持つ一族の継承者、根っこの善良さ、いざという時の冷酷さ、不屈のど根性、咄嗟の機転、一族の中でも天才の部類)が多い。
士郎や桜に対する感情は概ね原作通りだが、桜に対してはほんのチョッピリだけ冷酷になっている。
慎二に対してはかなり複雑な心境。
妹を多少イジメながらも結局は可愛がっている様子を側から見ては内心(どっちも)羨ましいと思っていた。
しかし、基本慎二は身内に対しては優しいが他人にはめちゃくちゃ冷たいので、遠坂に対してはイヤなヤツであり、そこがマイナスポイントである。
だが一応慎二の人間性は認めているので、完全に敵視している訳ではなく、聖杯戦争前は寧ろ『守るべき民』の一人と考えていた。
そして慎二が聖杯戦争に参加した動機を聞いてからは、完全に『身内』認定している。(その為扱いが雑になっている)
身内に厳しく他人に甘い(自分を見せない)性質は慎二とは真逆なのだが、二人とも口が悪すぎるので似た者同士に見える。
上記ではほぼジャイロと表現したが、冬木市という『シマ』を守る『裏の人間』という性質や、いざという時の冷酷さ、学校や町の人々から慕われる人間性という性質を鑑みると、彼女はほぼブチャラティなのかもしれない。
原作通り『うっかり』属性があるにはあるが、大体『スゴ味』でなんとかしている。
ステゴロ(ガンド、強化、八極拳のみ)でも慎二(回転習得後かつ、スタンド能力あり)にギリギリ勝てるくらい強い。
うっかり右腕失うくらいのダメージは負いそうだが、『スゴ味』でゴリ押しして勝つと思われる。
ヘラクレスを一回殺せる腕前は伊達じゃない。
本作では一番原作との相違点が少ない。
◆
遠坂が走ってくる。
だが敵が
橋の長さは665m。
俺がいる位置が半分いかないくらいだから、少なくとも300m以上は全力で走りっぱなしだ。
魔術師でおそらく身体とか脚を『強化』している遠坂はともかく、その後ろを走っている連中は、普通の人間だったら既にバテていないとおかしい。
だが、ドタドタ走る集団に脱落者はいない。
その瞬間、遠坂の腰を深く落とし、四股を踏むような体勢が見えた。
ま、まさか……!
グオンッ
!?
飛んだ…ッ!?
なんてジャンプ力……!
棒高跳並みのジャンプを、あんな『よっこいしょ』みたいな体勢から出来るのか…!?
俺の扱う『強化』とはレベルがダンチだ……
驚愕している間に、俺の隣にシュタッと着地した。
ここまで走りっぱなしからの大跳躍…………流石の遠坂でもサウナ中くらい汗かいてるし、肩で息をしている。
「ハァ……ハァ……衛宮くん…マジやばい…………跳ぶ前に一瞬後ろ見たけど…
『1人』足りない………?
どういうことだ………?
イヤな予感がする……
今、猛烈に振り返りたい衝動に駆られてきた。
ブリキみたいになった首を無理やり後ろに回す。
そこには………
「パギィ………ギィい……ギィ……」
「うっ!……ううっ……」
遠くで動いているものが見えた。
それは黒いコールタールみたいなもので全身をベトベトにした、さっきのおばさんだった。
道路に縫い付けたハズの脚は、おそらく強引に捩じ切ったのか……?両脚がなく、匍匐前進みたいに無理やり這いずってこっちに向かってきている。
そして、そのおばさんのすぐ後ろ…………
高そうなスーツを着た男が、焦点の合わない目をしながら、フラフラと俺たちの方へ歩いていた。
「なっ……あんなヤツ、俺の後ろに……!?」
ありえない。
まだおばさんが追跡していたのはわかる。
正直、脚を千切ってまで追跡してきたのは予想外だが、それでもまだ『納得』できる話だ。
だが!あの男はなんだ…!?
あんなヤツ、どこにもいなかった。
どこから来た…?
なんであそこにいる…!?
「敵はこの橋で『挟み撃ち』にするつもりよ………追いかけられてる間に気合いで『血』をリーディングしたけど、アレはもう『血』じゃあなかった……魔力の『原液』みたいなもの……うっかり触れば何が起こるかもわからない代物………」
やっぱりか……『物凄くマズイ気がする』ってのは、間違いなんかじゃあなかった。
ならばどうする………?
ここで俺が出来る事は…ッ
「そうだ、俺が『聖骸布を外す』ってのは……」
ガン!
うおッ!?痛ッ!!
えっ!?……な、殴られた……?
スゴイ痛い……目の前で一瞬星が見えたぞッ
「次もう一度『やぶれかぶれの無茶』提案したら、アンタの左腕切り落とすわよ」
………めっちゃキレてる。
だが、それ以外の方法が思いつかない。
俺の『投影』はまだ『未完成』だ。
まだ『宝具』の投影もできちゃいない。
ならここで聖骸布を外して鍛錬の時間を『前借り』して、無理やりにでもアーチャーの力を引き出さなければ………
「アンタが聖骸布外しても、もしかしたらピンピンしてなんともないのかもしれない……でもね、逆に一発アウトで即退場になるかもしれない……なら、今ここでやらなきゃいけない事ってのは後ろ向きな『
後ろ向きな『
「覚悟決めなさい……『
グイッ
えっ。
「うおおおおおおッ!?俺を引っ張ったッ!?」
落ちるッ!
遠坂のヤツ………!
ドグオオォンッ!!!
爆破ッ!?
何が爆破したんだ…!?
さっきか…?さっき遠坂がポイッと投げた『何か』が爆破したのかッ!?
「今朝ほんのチョッピリだけ『強化』のレクチャーしたでしょ!?今ここで出来ないと死ぬほど痛い目みるハメになるわよッ!!」
おい……その手に持ってるの……『宝石』か…?
まさか……さっきの『爆破』が遠坂の宝石魔術とかいうヤツだとしたら……
うッ
冷たいッ!!
川に落ちたッ!
泳がなければ……
いや待て………何だあの水底の『影』は…!?
何かが揺れている…
大きな影が揺れている……!
背骨が
1秒でも早くこの川から脱出しなければッ!
「
ドグオンッ
衝撃がッ……
身体が上に引っ張られるッ!
いや、持ち上げられているのかッ!?
クソッ、ワケわからん…………
だが身体中がめちゃくちゃ痛いッ!
マジ痛い……クソデカい巨人のプロボクサーに全身を一発ブン殴られたみたいだ……!
けれど俺たちは川から引き剥がされたッ!
川から脱出できた…………
「ハァ……ハァ……おまえ…なんて無茶………」
「衛宮くん………ヤバいわ………」
え?
…………おい、なんだその左手………?
真っ黒だ…………しかも蠢いている……
これって………まさか…………
「爆破した『肉塊』が運悪く『左手』に降ってきたのかしら……うっかりしてたわ…『追っ手を消す』という事に意識向けすぎて、こんなヘマやらかしたんだから……」
「言ってる場合か……!なんとか解呪を……!」
ダン!
う、撃った…!?
自分の左手をガンドで撃ったのかッ!?
左手をブッ飛ばして『呪い』ごと振り払ったッ!!
何考えてんだ……!?
「ひるむ…!と思ったの……?……これしきの……これしきの事で………!」
「おい血が出てるッ!……あぁクソッ!」
落ち着け、落ち着け、落ち着け……冷静になれ……
ジーパンのベルトを取って、遠坂の左上腕に巻きつけ、力一杯締め付ける。
これは『止血帯』の代わりだ。
四肢のどこかで大出血した時は上腕とかの『心臓』に近い位置を圧迫して、血液の流れを止めなくてはならない。
昔、救命講習の勉強してる時に覚えた。
応急処置は完了した。
とても充分とは呼べないが何もしないよりマシだ。
「ねぇ…そんなことより川底のヤツ、見た……?」
すごいなコイツ。
左手がブッ飛んでるんだぞ………
なんで川底のヤツの話とかできるだ?
確かに、俺も見た。
そしてそれは………どこか『根源的』な恐ろしさがあった。
だけど俺は今、この目先の遠坂の負傷と、この全身を襲う激痛で頭がいっぱいだ。
ザッパアーッ!!
「え」
「
で、デカいッ!
なんメートルあるんだッ!?
全身真っ黒の影の巨人……女のシルエット……
女…………影…………
クソッ…クソッ!……余計な事考えるな……!
「おい逃げるぞッ」
「いいえ……その必要はない………」
呑気に指差したまま座ってる場合かッ
逃げなくては……こんなヤツに
勝てるわけが………
ダダダッ!ダンダンダンダダン!!
「橋は一度爆破されている…だからガンド撃ちまくれば全壊とはいかなくても『半壊』はできる……」
橋が………その一部が崩れていく………
瓦礫が……デカい瓦礫が…影にブツかった………
影が川に沈んでいく。
踠きながら、苦しみながら、何かを叫びながら沈んでいく。
何かを叫んでいた。
けど、それは『そういう動き』だけで、声は一つも聴こえなかった。
「たぶんこれで『なんとかなった』……もしこれでアイツが『別にカンケーない』ヤツだったら、その時は潔く聖骸布外しましょ」
「さっき俺を殴ってでも止めたのに!?」
「そりゃアンタが『やぶれかぶれ』だったから……ま、それはそれとして…殴ったりして悪かったわ」
…っていうか!そんな話してる場合じゃあないッ!
あぁもう……背負うか!?
そうだ、背負った方が早い!
全身の痛みなんか知るか。
遠坂の方がヤバい状態なんだから。
「きゃっ!」
「早く病院行くぞッ!左手ブッ飛んでんだぞ!」
「病院じゃあなくて、衛宮くん家でお願い…………あそこには左手の代わりになる『宝石』があるし、ライダーもいるから……」
えぇ?
と、遠坂ってすごいな………
『宝石』が左手の代わりになるのか……?
なんだそれ……サイボーグみたいな事か…?
「………ハァ……またアホな事考えてるでしょ」
「え!?」
なんで急に罵られたんだ……?
いや、そんなどうでもいい事、どうでもいいんだ。
とにかく、走らないと。
◆
【ヘルター・スケルター:サイドB】
遠隔自動操縦型スタンド。
ヘルター・スケルターの能力の一つ。
ヘルター・スケルターが生み出した『司令塔の影』に触れた者の意識を消し、『標的』に向けてひたすらに追跡させる能力。
この能力の手に落ちた者は、例え目の前に障害物があったとしても迂回などはせずにまっすぐ無理矢理に突き抜けて追跡しようとする。
しかし、いかなるダメージを負っても追跡は止まらず、通常なら行動不能なほどの大怪我でも迫ってくる様子は完全な『ゾンビ化』と言える。
また、追跡者同士は全員の『影の中』をお互いに自由に空間移動出来る。
ゾンビ化した者の血液などに触れると、そこを起点に身体を侵食し始め、触れた者の意識を乗っ取り、そしてまた新たな追跡者となる。
対処方法は乗っ取られる前に『起点』を切り落としたり、吹き飛ばすとゾンビ化を免れる事ができる。
一度、ゾンビ化に成功すれば射程距離は無限であり、攻撃は自動的に行われる。
追跡を止めさせるには、ゾンビ化している媒体を完全に破壊するか、『司令塔の影』を破壊する必要がある。
この破壊とは、例えば『爆弾でバラバラにする』とか『瓦礫で押し潰す』レベルの破壊でなければならない。
【余談】
A面/B面(サイドA/サイドB)とはアナログ・レコードやコンパクトカセット、両面ディスクでのそれぞれの面、またその収録楽曲を表す言葉である。
そこから転じて、CDのような片面ディスクでも2曲以上収録のシングル盤のメイン曲をA面(曲)、
その他をB面(曲)と呼ぶことがあるが、
タイトル(曲)/カップリング(曲) と呼ぶことも多い。
シングル盤では、タイトル曲をA面に記録することが多く、B面はその『おまけ』的な意味合いであることが多く見られる。
『シアーハートアタック』や『エピタフ』は、もしかしたらB面みたいなものなのかもしれない。