Fate/STEEL BALL RUN【完結】 作:石田たつを
いきなり関係のない話題をするけれど。
『反社会性パーソナリティ障害』の話をしよう。
別名『非社会性パーソナリティ障害』ともいう。
これは、『社会的規範』や他者の『権利・感情』を軽視し、人に対して不誠実で、欺瞞に満ちた言動を行い、暴力を伴いやすい傾向がある……
『パーソナリティ障害』である。
【分類】
分類ID:20094415
【特徴】
人を愛する能力や優しさが欠如している上、人の顔色を窺って、騙したりする傾向。
反社会性パーソナリティ障害の人は一種のトラブルメーカーに当たり、アルコール依存症、薬物依存症、性的倒錯、犯罪といった問題を起こしやすい傾向があるとされる。
事故、虐待、ストレス等で脳に損傷を受けたことで反社会性パーソナリティ障害を発症する場合があるが、これは外傷性脳損傷やストレスによる前頭前皮質の機能不全で起こるものと推測される。
【診断】
《アメリカ精神医学会の場合》
診断基準Bにより、18歳以上である。
診断基準Cにより、15歳以前に、行為障害の証拠がある。
診断基準Dによって『統合失調症』や『躁病』エピソードが原因ではない。
そして、診断基準Aが行動の記述的形式であり……
A1.法律にかなって規範に従うことができない、『逮捕』に値する行動
A2.『自己の利益』のために人を騙す
A3.『衝動的』で計画性がない
A4.喧嘩や『暴力』を伴う『易刺激性』
A5.自分や他人の安全を『考えることができない』
A6.『責任感』がない
A7.『良心の呵責』がない
ということのうち、15歳以来において『3つ以上』呈している。
慢性的でもあるが、加齢と共に30代までに軽くなる傾向にもあり寛解することもある。
それは特に『犯罪行為』において、である。
診断には、子供の頃は行為障害(素行症)であった必要がある。
一般人口における有病率は、男性3%、女性1%ほどとされる。
【以上、説明終わり】
『彼ら』って、幸せになれるのだろうか…?
きっと、なれると思う。
努力すれば………………
でもこの世の現実は、隠れた
『キレそうにはなるだろう』
◆
2002年2月10日。
アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市。
マンハッタン区ブロードウェイ79番地。
そこには『トリニティ教会』がある。
その裏門、墓地裏から地下に進む。
その先にあるのは分厚い鋼鉄の『シェルター』
一体どんな『
あまりにも頑丈なそれは、単純な鋼鉄の檻ではなく、幾重にも重ねられた『魔術的』な
その目の前に、一人の男が佇んでいる。
『言峰綺礼』……
彼は冬木教会の神父。
第五次聖杯戦争の監督役。
何故、アメリカにいるのか……?
彼が監督役の職務を『放棄』したからだ。
たったそれだけの話。
『
黄金の蛇は『千里眼』を持つ。
蛇は唄う。
『禁断の果実』の在処を。
故に『背信者』は、其処へ向かった。
在処はここ、『トリニティ教会』の地下。
本来であれば『聖堂教会』のほんの一部の人間しか知らない場所。
黄金の蛇は『千里眼』を持つ。
常世全ての秘匿を暴く。
それは『此処』であっても、例外ではない。
言峰は、懐から『何か』を取り出す。
杉綾織の
生成りに近い象牙色の布。
長さは大体45cm程。
そうして、その布を解こうとした時…………
「貴様か?『
背後から、男の声がした。
振り返ると、そこには
彼の名は『ドメニコ・ブルーマリン』
1972年6月5日生まれ。
30歳。
身長192cm。
洗礼名は『ロベルト』
普段はフロリダ州立
寡黙で無表情だが、冷酷なわけではない。
つま先立ちで歩くのが癖。
親しい相手には鼻息がかかるほど顔を近づけ、相手の耳元でしゃべる癖もある。
TVガイドマニアだがTVは見ない。
彼は周囲の人間からまるで『お手本』の様な神父と言われ、親しまれ、また慕われている。
兄である『エンリコ』と共に慈善活動もしている。
孤児院や難病患者への寄付。
貧困層への炊き出し。
ホームレスたちの為に、古着を集め寄付する団体を立ち上げた事もある。
だが、実は『ドメニコ』には裏の顔があった。
それは、彼もまた『
それもただの『代行者』ではない。
彼は『埋葬機関』の『第五位の代行者』である。
総死徒討伐数:131体
総討伐数の内『夜属』を9体も屠っている。
最高討伐階級はⅤ階梯である『夜魔』
この『夜魔』の個体名は『ダリオ』という。
『発見』から『討伐』までの月日。
『116日6時間33分12秒』
これは埋葬機関の中でも驚異の記録とされている。
彼は神の教えに敬虔な『神父』である。
けれども『ドス黒い邪悪』に対しては人一倍に敏感であった。
必ず……かの邪智暴虐の『背信者』を除かなければならぬと決意した。
彼が此処に来た『理由』は、たった一つ。
『そのシェルターの中身を死守する事』
それは『特命』だ。
だが、彼はこれを『信託』だと受け取った。
同時に、困難な『試練』であるとも。
『試練は耐えよ、恥辱は絶えよ』
それが彼のモットーだ。
「………………………………………」
ドメニコの言峰への問いかけはつまり……………
『
という事である。
この問いかけは明確な『侮辱』だ。
特に『代行者』に対しては。
ごく普通の『教徒』ですら激怒する挑発。
その相手が『代行者』ならば……………
『
言峰は無言のまま、少しだけ眉を顰めた。
けれど、彼はほんの少しだけ思案した後…………
その手に持っている『
そして、その中には……………………
『ミイラの脊椎』があった。
ズルウゥゥ
「…………………………………………」
言峰は『脊椎』をうなじの襟元から内側に挿れる。
『ズルズルウゥゥ』という音が地下で反響する。
────────────瞬間。
「おまえは『磔刑』だーーーーーーーーッ!!」
その憤怒の表情は『悪鬼』が如し。
しかし、それも当然。
『
もし、この『行い』を───
もし、この『冒涜』を───
もし、この『不敬』を───
もし、この『悪行』を───
もし、この『悪徳』を───
もし、この『背徳』を───
もし、この『背信』を───
仮に、『許す者』がいたとするのならば………………
その者は『主』を信じぬ『不届者』に違いない。
「殺す」
ドメニコの呟き。
それは脅しではない。
そもそも、これは彼にとって『呟き』ですらない。
これはただ『思考』から漏れ出ただけ。
脳内で渦巻く凡ゆる怒りと使命感。
それらの処理に追いつかなくなって、漏れ出た。
たったそれだけの事。
『宣告』でも『宣言』でも『脅し』でもない。
ドメニコの中では、『言峰綺礼は必ず始末する』というのは、既に決定事項。
覆る事は決してない。
両者の距離は数メートル。
それを爆発的加速によって詰める。
ドメニコは圧倒的身体能力に加え、通常の魔術師の100倍に匹敵する魔力の貯蔵量を持つ。
その戦闘能力は『代行者』の中でも桁違い。
かつて『弓』の異名を持つ代行者と模擬戦した際。
尤も……『弓』が『切り札』を使っていれば………
その結果は、また変わっていただろうが…………
とにかく、彼はその『殺人的加速』によって、目の前の『裏切り者』を始末せんと、飛びかかった。
ドメニコの『一手』は『移動』
対する言峰の『一手』は………………
ス……ッババババババッ!!!
『
その手に持っている『短機関銃』の名前は………
『トンプソン・サブマシンガン』という。
別名は『トムソン銃』『トミーガン』とも。
この『短機関銃』は禁酒法時代のアメリカ合衆国内において警察とギャングの双方に用いられたことで有名になった。
1919年から累計170万丁以上が生産され、今日でも民生用モデルの製造が続けられている。
頑丈な構造を持ち耐久性と信頼性に優れ、5kg近い重量のおかげでフルオート射撃を制御しやすい特性を持つ。
この『射撃』は『やぶれかぶれ』ではない。
言峰綺礼の『射撃体勢』は『洗練』されている。
つまり、『訓練』されているのだ。
単に銃弾をバラ撒いているのではない。
その弾丸は精確にドメニコの身体に直進する。
常人であれば即死。
強靭な肉体を持つ者であっても、重傷は確定事項。
─────────────刹那
「ッ…………!?」
言峰綺礼は言葉を失う。
彼は、この『トリニティ教会』の『侵入者』だ。
故に必ず『刺客』がやってくると睨んでいた。
だから目の前の男が現れたのも、攻撃してきたのも、至極真っ当で当然の結果だと思っている。
そして、その相手が短機関銃『如き』で、そう簡単にブッ殺される相手ではない、という事も。
しかし、目の前の『アレ』は…………?
それは人型のビジョン。
身体は半透明で、清流の様に透き通っている。
身体のあちこちには『雫型』の加湿器のようなモノが、メリ込んでおり、そこから『蒸気』が噴出している。
上半身は人型。
けれども下半身は異形。
腰から急に『三脚』が伸びている。
奇妙な形状。
だが、そうとしか言えない。
『フール・イン・ザ・レイン』
それが、コレの名前。
◆
また、いきなり関係のない話題をしよう。
キリスト教徒にも『犯罪者』はいる。
1978年、南米の国ガイアナ。
『ジム・ジョーンズ』というたった1人の『牧師』のせいで、901人の
この事件による死者数は、1件の事件で亡くなったアメリカ合衆国死者数としては、2001年9月11日に『アメリカ同時多発テロ事件』が発生するまでは史上最大であった。
死因は『シアン化物中毒』による『
後にFBIが、自殺が次々と行われていく様子を録音した約45分のオーディオ・テープを発見している。
詳しくは、申し訳ないが、各々で調べて欲しい。
とてもショッキングな内容なので、自己責任で。
ここで、『ジム・ジョーンズ』について。
彼は、アメリカ合衆国のキリスト教系新宗教……
『人民寺院』の教祖。
彼は社会主義の信奉者であり、社会主義こそが神の意思に沿った社会規範であると信じていた。
けれど彼は……………
元々は、『プロテスタント』の一派『メソジスト』並びに『ディサイプルス派』の『牧師』であった。
そう………『牧師』だった。
『
『
『メソジスト』とは18世紀の英国で興されたキリスト教の信仰覚醒運動の中核をなす主張で生きた人々、および、その運動から発展したプロテスタント教会・教派に属する人々を指す。
彼らは、規則正しい生活が実践できているかどうか、互いに報告し合う少人数の組会、また、信仰のレベル別のバンド・ミーティングを重視した。
『ジョーンズ』には、異常な側面があった。
幼少期に猫を刺殺し、葬儀をした疑惑。
信者への性的な虐待。
薬物嗜癖もあった。
しかし、彼には『とある思想』があった。
それは、キリスト教と共産主義の考え方を組み合わせた、新たなる『キリスト教』の教え。
彼の理想は、全ての『人種平等』だった。
『人民寺院』は当初、人種間融和を掲げた伝道団体であった。
始めは、貧民向けの炊き出しを始め、家賃援助、就業先の紹介、缶詰、衣類、そして冬用の燃料の無料配布をしていた。
ジョーンズ夫妻自身も増大する炊き出しを助けており、1カ月で平均2,800食を配布していた。
しかし彼は…………………………
最終的には、『世界の非人間性に抗議する』と……
そう言って、信者たちを『集団自殺』へ扇動した。
彼の行動は、絶対に間違っていた。
それだけは断言ができる。
しかし、彼の理想は完全に『間違っていた』のか?
彼は、もしかすると『
あなたは、どう思う…?
『スティール・ボール・ラン』の放送までには『完結』させます。
たぶん………………
作中の小ネタやサブタイトルの元ネタについて解説は必要?
-
どちらも必要。
-
小ネタだけ必要。
-
サブタイトルのみ必要。
-
どちらも必要なし。