Fate/STEEL BALL RUN【完結】   作:石田たつを

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#77 スタンド・バイ・ミー

夜が訪れ(|When the night has come)

 

あたりが暗闇に支配される時(And the land is dark)

 

月明かりしか見えなくても(And the moon is the only light we see)

 

私は恐れはしないよ(No, I won't be afraid)

 

ああ、私は恐れはしない(Oh,I won't be afraid)

 

ただ貴方がそばに(Just as long as you stand)

 

そばにいてくれれば(stand by me)

 

だから愛する人よ そばにいて 私のそばに(So darlin', darlin', stand by me,oh stand by me)

 

ただそばに、私のそばにいて(Oh stand , stand by me)

 

私のそばに(stand by me)

 

もし私たちの上に広がる空が(If the sky that we look upon)

 

転がり落ちてきたとしても(should tumble and fall)

 

それか山々が海に砕け落ちてきても(Or the mountains should crumble to the sea)

 

私は泣かない、泣かないよ(I won't cry, I won't cry)

 

私は涙を流さないよ(no,I won't shed a tea)

 

ただ貴方がそばに、そばにいてくれるなら(Just as long as you stand, stand by me)

 

だから愛する人よ そばにいて 私のそばに(So darlin', darlin', stand by me,oh stand by me)

 

ただそばに、私のそばにいて(Oh stand , stand by me)

 

私のそばに(stand by me)

 

だから愛する人よ そばにいて 私のそばに(So darlin', darlin', stand by me,oh stand by me)

 

ただそばに、私のそばにいて(Oh stand , stand by me)

 

私のそばに(stand by me)

 

ずっと、そばに(Oh,stand by me)

 

今この瞬間(Oh,stand now)

 

ただ、そばに(Oh,stand)

 

わたしのそばに(stand by me)

 

 

 

 

『魔法』

 

魔術とは違う神秘。

その時代では実現不可能な出来事を可能にするもの。

かつては魔術師の大部分が魔法使いといえたが、文明の発展に連れてその数を減らした。

魔術や科学技術で実現可能な事象、資金、時間をかければ得られる『結果』は魔法ではない。

魔法の詳細は魔術協会の中でも一部の人間のみに知らされている。

協会は5つの大儀礼を魔法と認定しており、中でも第三魔法は協会でも秘密にされていた禁忌中の禁忌。

魔法を発動できる管理地は限られており、日本では全国有数の『歪芯霊脈』を持つ三咲町のみ。

冬木市の霊脈は三咲町に次ぐ歪みを持ち、『堕ちた霊脈』とも呼ばれているが、根源に繋がるには足りず、世界の外へ孔を穿つ必要がある。

 

魔術師達の最終目的は魔法に到達することであり、成し遂げた者は羨望と畏怖を込めて『魔法使い』と呼ばれる。

現代に生きる魔法使いは4人、若しくは人間としては既に存在しないが、その痕跡が生きている例を含めて5人。

この事情で、第五魔法の使い手が第四の魔法使いと称されることもある。

 

第一魔法:『詳細不明』

第二魔法:『万華鏡(カレイドスコープ)

第三魔法:『天の杯(ヘブンズ・フィール)

第四魔法:『定義不明』

第五魔法:『魔法・青』

第六魔法:『不明』

 

第六魔法は不明。

『Program No.6』『第六法』などとも呼ばれる。

使い手の情報は不明。

内容も完全に不明。

第一魔法のように、『使い手だけはわかる』だとか、そういう情報もない。

 

かつてアトラスの錬金術師………………

『ズェピア・エルトナム・オべローン』が人類滅亡を阻止するために挑み、敗れたモノ。

これの使い手が現れるとき、世界に根本的な改変がもたらされるらしい。

 

その魔法は、まだ誰にもわからない。

誰も知らない。

 

ただ、『誰か』が言うには………………

 

『最後の魔法っていうのは、皆を幸せにする事』

『……………ぐらいになっちゃうな』

 

………そうなのかも、しれない。

 

 

 

 

衛宮は勝った。

勝ったんだ。

ボロボロになりやがっているが………

でも、確かに勝利した。

けれど。

けれども、だ。

 

ぼくが『一手』ミスったせいで…………

アイツは、死ぬ。

 

左腕、あの『無銘(ザ・スミス)』とかいうヤツ。

もうボロボロだ。

()()()()()()()()()()

取り返しはつかない。

アレは『もう二度とはないもの(リミテッド・エディション)』だ。

 

故に、衛宮士郎は必ず死ぬ。

あのクソッタレな黒い太陽を破壊するには………

 

最後にスゲェ剣を『投影』しなくてはならない。

 

故に、衛宮士郎は必ず死ぬ。

 

ふざけるな。

ふざけんなよッ!

ふざけんなよクソ野郎ォーーーッ!!

 

「バカヤロ衛宮ァァァァァァァッ!やめろォォォォォォォッ!!」

 

歩いていく。

フラフラと、幽霊みたいな足取りで。

酔っ払いみたいな千鳥足で。

 

ふざけるな。

何が『誰も死なせるな』だ。

テメーが約束破ってどうすんだ。

 

ぼくは。

ぼくは………このまま、見過ごすのか?

そんなんでいいのか?

それが最善なのか?

ふざけるな。

そんなものが、最善で良い筈がない。

 

「バカヤロォーーーーッ!!」

 

グワシィイッ!

 

掴む。

ボロボロの胸ぐらと、短い髪を無理やり掴む。

捕まえないと、コイツはきっと………………

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「し、んじ………すま、ん……」

 

「このクソッタレアホ衛宮ァッ!テメーがよォッ!今更カッコつけたってッ……なんの意味もねーんだよボケがァーーーーッ!」

 

「や、くそく………やぶ……」

 

「ああ、クソッ!クソォーーーーッ!」

 

ダメだ。

どうする……どうすればいい!?

衛宮が『投影』すれば、衛宮が死ぬ。

だがここで必死こいて、桜と遠坂と衛宮を担いで、サッサとトンズラするのも不可能だ。

その前にここが崩れて皆仲良くペシャンコだ。

 

じゃあ、諦めろってか……?

 

ふざけるな。

ぼくはライダーを失ったんだ。

あの、相棒を。

今までずっと、ぼくを守ってくれた相棒を。

 

それなのに、()()()()()()……!?

 

「う、うう……う、あ、ああ、ぁああああ、うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

ダメだ。

もうダメだ。

助けてくれ。

お願いだ。

誰でもいい。

悪魔でもいい。

助けてくれ。

お願いだから。

ぼくが死んでもいい。

すごく、イヤだけど。

死ぬのはすごくイヤで、怖いけど。

本当は死にたくないけど…!

チビりそうになるくらい怖いけどッ!!

 

でも。

それでも……!

衛宮と桜が生きていられるのなら……!

ぼくの『友だち』と『妹』が…………

 

『しあわせになれるのなら』…!

 

誰でもいい。

誰でもいいんだ。

助けてくれ。

助けてやってくれ。

 

祈る。

作法なんて知らない。

神様なんて信じちゃいない。

聖書なんて聞き齧りだけ。

知識はあるけど読んじゃいない。

 

けれど、祈る。

手を合わせる。

『右眼』を取り出す。

そして、手の中に握る。

なぜ、そうしたのか、わからない。

けれど、それが『祈り』だと思った。

そうするべきだと思った。

 

ぼくは、祈る。

 

お願いだ……………『神様』……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────じゃあ今から『奇跡』を見せてあげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、正しく『黄金の聖女』だった。

『天のドレス』を、その身に纏うは『銀の少女』

 

『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』

 

天の杯(ヘブンズ・フィール)』の使い手、その一人。

 

千年の宿願を背負う者。

聖杯と化す運命を担う者。

 

その少女に、かつての無邪気な笑顔はない。

ただ、そこには微笑みが…………

どこまでも、慈愛に満ちた微笑みがあった。

 

傷ついた友を抱く少年、間桐慎二は困惑する。

 

「ま、まさか……おまえ……イリヤッ!」

 

「あら、シンジ、ごきげんよう」

 

「な、なんだよその格好…!なんでここに…!」

 

「言ったでしょ?『奇跡』を見せにきたの」

 

その微笑みは崩れない。

天のドレスをはためかせながら、トテトテと慎二の元へと歩いていく。

 

「はい、『その御身体』を私に……」

 

「?………あ、あぁ……」

 

「そしてシロウ、よく頑張ったね」

 

少女は『えらい、えらい』なんて言いながら、つい先ほど気絶した少年…衛宮士郎の頭を撫でる。

 

「これで『あの御方の御遺体』は揃った……」

 

「な、なんだァ……!?イリヤ、おまえ…!」

 

刹那。

 

まるで星が生まれたかのような光が────

 

─────大空洞を照らした。

 

 

 

 

ここから遠い場所。

とある国の工事現場で。

誰かが事故死した。

その男は、()き人であった。

故に、彼らの家族や友人は『祈った』

『もう誰も事故で死にませんように』と。

 

ここから遠い場所。

とある紛争地域の国で。

子どもたちが射殺された。

その子どもたちに罪などなかった。

故に、その子どもたちの親は『祈った』

『もう誰も罪なき子どもを殺しませんように』と。

 

ここから遠い場所。

とある革命が巻き起こる国。

誰かが暴徒に殺された。

その市民は、善き人であった。

故に、彼らの家族や友人は『祈った』

『もう誰も罪なき民が死にませんように』と。

 

ここから遠い場所。

どこかのサバンナで。

友に誤射してしまい、友を殺した者がいた。

 

ここから遠い場所。

どこかの道で。

事故を起こして死んだ人たちがいた。

 

ここから遠い場所で。

誰かが死んだ。

 

それは悲劇だ。

誰もが傷ついた。

愛されていた人が死んだ。

憎まれていた人が死んだ。

善き人が死んだ。

悪い人が死んだ

その両方の人も死んだ。

 

無意味な死があった。

何かを遺せた死もあった。

人々に嘲られた死があった。

人々に讃えられた死もあった。

 

だが、結局の所、死は死に過ぎない。

『死』というものは『終わり』だ。

その先には『無』しかない。

少なくとも、『唯物論』を信じるならば。

 

だが、本当だろうか……?

 

死後の世界を見た者など、何処にもいない。

 

ならば、『天国』があるかどうかなんてのは………

『誰にもわからない』のだ。

 

故に、人々は祈る。

死んだ者たちの為に祈る。

『天国』に行けますように、と。

 

また、別の理由でも、人々は祈る。

これから先、生まれる者たちが…………

健やかに生きていられますように、と。

 

人々は、『祈る』生き物でもある。

勿論、人によっては、こういうのだろう。

 

『祈っては両手が塞がる』

『祈る手で武器を握って戦え』

 

それも正しい考え方だ。

実際、祈るだけでは腹は膨れない。

真に戦わなければならない時もあるのだろう。

 

だが、『祈り』とは『心の安寧』の為にある。

 

少なくとも、私はそう思う。

 

さて、ここに『奇跡』がある。

 

『奇跡』の定義とは、人間の力や自然法則を超え、神など超自然のものとされるできごと、だそうだ。

人間にはできないことをするために聖霊が遣わされ、その人の救いのために必要な行い(すべきことやしてはならないことなど)を示す、との教えもある。

 

まぁ、どちらでもいい。

大切なのは─────────

『奇跡』は全てを救う、という事だけだ。

 

 

 

 

銀の少女(イリヤスフィール)は理解した。

この『奇跡』の『仕組み(メカニズム)』を。

彼女は全ての『遺体』を取り込んだ。

 

間桐慎二が持っていた『右眼』

衛宮士郎が持っていた『左腕』

言峰綺礼が持っていた『脊椎含めた残り全て』

 

ここに、遺体は全て揃った。

 

この『遺体』の(パワー)は絶大だ。

 

それだけで、簡単に『奇跡』を起こせる。

 

しかし、今、さらにダメ押しがある。

 

『天のドレス』を身に纏う、『銀の少女』だ。

 

彼女は『第三魔法』さえ、一度だけなら使える。

 

故に、この『奇跡』の『究極の礼装(マスター・ピース)』さえも手に入れた彼女は『第六魔法』にさえも届くのだ。

 

第六魔法。

詳細不明。

使用者も不明。

されど、誰もが『ある』という魔法。

 

その正体は、『みんなをしあわせにする魔法

 

その『仕組み(メカニズム)』は、意外と単純だ。

 

『誰かの祈り』を集めるだけ。

 

『誰かが祈った』事で生まれる……ほんのチョッピリだけの『思念』を集め、それを他の誰かの願いの為に費やす。

 

そういう『魔法』なのだ。

そういう『奇跡』なのだ。

 

故に、願いは叶えられる。

もし、あなたの願いが叶えられないのなら……

他の誰かの願いが叶う……………

 

なんて、単純な理屈。

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