「…何て格好をしているんですか。」
シャーリーは、変人だ。ラウーロさんが言うのだから間違いない。実際、私も彼女は変わっていると思う。
「ん?あぁ、これ?通信販売ってのをやってみたのよ。どうかな?似合ってる?」
ヒラヒラフリフリの服。幸か不幸か外見が少女だから許されるファッションである。
「似合ってますが…。」
無駄に洗練された動きで紅茶を入れていく。小さな冷蔵庫から出されたのは、金属のカップに収まったプリン。おそらく、また手製のプリンなのだろう。
「まだグレーテルにも食べさせてないの。感想がもらえたら嬉しいな。」
そういいながら、小皿に出していく。
「最近は、どう?皆と仲良くしてる?」
シャーリーは変な人だ。
「別に。私はラウーロさんのために時間を使うって決めてるから。」
限られた時間の中で自分の担当官に尽くすこと。それが、義体に求められていること。仲良しごっこなどは、求められちゃいないのだ。
「難しいよね。友達作りってさ。一歩踏み出すのにも勇気がいる。」
「私は、ラウーロさんがいればいいの。」
だが、確かにシャーリーの言うことにも一理あるのだ。ラウーロさんは、他の担当官とコミュニケーションを取ろうとする。見ず知らずの他人と仕事をするよりも、見知った仲間とする方が上手くいくだろう。
「まぁ、ゆっくりでいいのさ。焦るようなことじゃない。」
彼女は、空になった私のカップに新たに紅茶を注ぐ。チョコレートやクッキーの乗った皿が鎮座している。
「…そうだ、いいことを考え付いた。ちょっと、待っててね。すぐ戻るから。」
鞄を持ってきて中身を漁る。“姉様の鞄は魔法の鞄”とはグレーテルの言葉だが、確かにその通りだと思う。以前、一緒に仕事をしたときに彼女は四角い旅行鞄を盾にすることで私を助けてくれた。本人が言うには、内側に防弾プレートを入れているらしい。
「あった、手帳。ええと、ここがクリスマスだから。」
「どうかしたの?」
大量の付箋とメモが目につく手帳。
「ペアルックってあるじゃない。ほら、親しい間柄同士で同じ時計とか服とか揃えるやつ。」
…でも、私とラウーロさんじゃ体格が違いすぎると思う。そもそも、シャーリーとグレーテルのように同性って訳じゃないし。
「クリスマスにお揃いの指輪。ペアリング、なんてどうかな?」
私からラウーロさんに?
「嫌だったらいいんだけどさ、どうする?」
お揃いの指輪。ペアリング。
「…い、いきます!」
迷う余地など微塵もなかった。