グレーテルと私   作:バイオレンスチビ

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相違

テロリストと国。どちらに付けば得なのか。そんなの、わかりきったことだろうに。全く、馬鹿馬鹿しい。

「地元警察のトップの暗殺がようやく許可されたんだ。下調べもすんでいる。」

まぁ、その馬鹿たちの為に失業せずにすんでいるんだから救いようがない。

「準備がいいな。」

空いたグラスに酒を注ぐ。

「あぁ、県警本部の正面は絶好の狙撃地点だ。射手が二人もいれば、楽勝だな。」

テロリストを匿ったあげく、こちらの存在を公表するなどと脅してきた本部長様も額に銃弾をもらえば、うるさい口を閉じることだろう。

「狙撃か…。」

「どうした、ヘンリエッタの狙撃は下手くそなのか?」

基本的に義体は強い。格闘戦なら素手でも敵を殺すだろう。銃撃戦でも同じだ。機械のように迷うことなく、引き金を引くだろう。銃弾を受けても怯むことなく、脳を破壊されない限りは死ぬこともない。

「いや、人並みには上手さ。ただ、僕や他の義体の前だと、いいところを見せようとして失敗するかもしれない。」

「なんだそりゃ。」

義体は少女の姿をした鉄砲だ。そう思っていないとやっていられない。

「よし、やるか。ヘンリエッタにも自信をつけさせてやらないとな。」

「…なぁ、ジョゼ。お前、いつもそうやって義体の心配ばかりしているわけ?」

少なくとも、俺はそう思っている。ある程度、割り切ることができなければ、やっていかれない。

「ああ。」

「すると、噂は本当だったって訳か。」

ジャンとジョゼ。クローチェ事件の被害者遺族。義体の名前は事件によって落命した自分の妹の名前に由来するとかしないとか…。

「なんだい、噂って。」

「噂は噂さ。」

あまりいい噂じゃない。それに本人に聞かせるべき噂でもない。

「さぁな、もしかしたら半分くらいは本当かもしれないぞ。」

 

 

「なぁ、前からうんざりしながら見てたんだがよ。俺さ、そういう歪んだやつ嫌いなんだよね。」

ジョゼのグラスに酒を注ぐ。

「なんだよ、だったら誘うなよ。」

アルコールの入った状態だからこそ、素面じゃできない話ができる。

「ばーか、嫌いだから誘うんだよ。嫌いだからって変に避けないで、こうやって腹を割って話せば今まで嫌いだった奴の知らない面が見えてくる。“ああ、こいつはこういうやつなんだな。”ってのが割り切れるようになるもんなんだ。そうすると、今度はそいつの良いところが見えるようになったり、今まで嫌いだったところも良く見えるようになったりするんだ。」

「話してみるとよ、お前も結構イイヤツっぽいぜ。」

自分で考える人間だからこそ、違いがある。違いがあって当然なのだ。

「そりゃ、どうも。」

 

 

 

「あんたが、人付き合いを大切にする性質だってのはわかった。…だが、それにしてはエルザに対しては冷たいんじゃないか?」

エルザか。シャーリーにも同じことを言われた。

「同じことを言われたことがあるけど、義体と同僚を一緒にするなよな。」

義体を自分の家族のように扱うシャーリー。同じく、生きた人間のように扱うジョゼ。

「俺はさ、深く考えないようにしてるんだ。

義体は確かに優秀だ。鉄砲だって代わりに持ってくれる。テロリストだって言えば、やっつけてくれる。

…けどよ、そこまでやる必要はないだろう。少なくとも、2課のガキどもを気の毒がっていたら、俺は仕事なんてできないよ。」

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