扉を開けてフラッシュバンを投げ込んで射撃。
…つまり、開けて、投げて、撃つ。ただそれだけの訓練だ。
「…何だか、緊張してきちゃった。」
姉様がモニター越しに見ている。
そんなことを思うと変に力が入ってしまう。
「何をいってるのよ。私とのペアが不満なの?」
「…エルザより姉様かなぁ。」
エルザは確かに鉄砲は上手だし、姉様みたいな“ウッカリ”はないんだけど…。
「それを言われたら、私だってラウーロさんの方がいいわよ。」
ついでに今回はメインアームである機関銃を取り上げられて、サブアームであるブルームハンドルを装備させられている。…個人的には気に入っている武器なだけに残念。まぁ、実際のところ室内で振り回すには取り回しが悪いのは事実なのだから、我慢しよう。
「まったく、わがままなお嬢さんなんだから。」
軽口を叩き合って緊張をほぐす。予備のマガジンの位置を触って確認する。
『そこ、惚気てないで準備しておいてよ?』
「了解です。」
エルザは突撃銃のマガジンを挿し直す。
『次、エルザとグレーテル。』
「アンジェリカ、大丈夫かな?」
先日まで入院していたアンジェリカ。やっぱり、復帰するには早かったのかもしれない。
「そんなに酷い怪我じゃないらしいから、すぐ復帰できると思うわ。」
エルザは言う。噂によれば、足を捻ったらしい。私も一度やったことがある。その時は、エルザにブルームハンドルのストックと現場にあった養生テープで固定してもらった。
「それならいいんだけど、姉様が心配してたわ。まさに右往左往って感じで。」
「何でマルコーさんよりも動揺してるのよ…。」
それが姉様だから。
「アンジェリカも早く戻ってくればいいのにね。」
私がここに来たときから入退院を繰り返しているアンジェリカ。お姉様と一緒にお見舞いにいったこともある。義体としては一番最初。初めての義体なんだって。
「それで怪我でもされたら困るから慎重になってるんでしょ。」
「なるほど。」
大事にしてくれるのは、嬉しいしいいことだ。でも、アンジェリカからすればどうなのだろう。病室のベッドの上で空虚な時間を過ごすのは、寂しくないのだろうか。私だったら少し嫌だな。だって独りは寂しいもの。
「あなたは、怪我しないように気を付けなさいよ。ついでにシャーリーもだけど。」
「うん、よく言っておく。」
お姉様は、義体よりも前に出る癖があるってジャンさんに叱られてたりするからね。
「あなたもよ、グレーテル。」