グレーテルと私   作:バイオレンスチビ

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ある日の訓練

「あははっ!あはははははっ!!!」

ノリノリで機関銃を振り回す彼女。30発入りのマガジンを入れ換えてパネルを破壊していく。

「楽しそうにやるなぁ。」

最初の頃は人質もテロリストも関係なく皆殺しという問題児だったが、徐々に改善されてきた。相変わらず楽しそうに鉄砲を振り回すが。

「よし、次は拳銃でやろうか!」

拳銃は彼女の小さな手に収まるブルームハンドルのものにした。義体は見かけによらず力があるために、その反動も捩じ伏せて自由に扱うことができる。10㎏近い軽機関銃を玩具のように振り回すことができるのも、彼女が純粋な人間ではないためだ。

 

「の、ノリノリですね。」

ヘンリエッタのフラテッロであるジョゼさん。心なしか、少し引いている気がする。

「…えぇ、楽しそうですよね。」

弾け飛ぶ薬莢。迸る笑顔。手に持つものが鉄砲じゃなきゃ、非常に微笑ましい光景だ。

「この間は、ヘンリエッタがお茶をいただいたそうで。」

「あぁ、いいんですよ。買い込みすぎたお茶菓子の放出です。」

甘いもの好きな彼女。ついつい、可愛くって買い込んでしまう。良くも悪くも常に一定量ストックしているのだ。

「難しいですね。」

「はい、色々と悩むことばかりです。」

彼のために作った死体をヘンリエッタは、数えているのだ。義体は、担当官に特別な思いを抱く。条件付けによって植え付けられた感情と自分の感情の区別だってつかないのかもしれない。グレーテルは、私が死んでくれと命令すれば死んでしまうだろう。条件付け。あぁ、神様もビックリするような酷い話だ。

 

「姉様も一緒にやりましょうよ!」

まるで人形遊びに誘うように、元気に呼び掛けてくる。…鉄砲はあまり得意じゃないんだよなぁ。

「それじゃあ、いきますね。」

歩きながら銃弾を込めていく。暴発が怖いから普段は抜いてあるのだ。無論、任務中は装填してあるが…。撃ち合うのは基本的に彼女の仕事だから。そして、そこに安心している辺り、私もヒトデナシだと思う。

 

 

 

首から下げた十字架のペンダント。使い慣れない拳銃を操作する細い指先。どこか幼さを感じさせる顔立ち。

「あ、外れた…。ねぇ、ライフル持ってきていい?」

元々は地方警察で密猟者を取り締まっていたという。もっとも、新人研修中に密猟者に撃ち抜かれて辞職したらしいが。幼少期を施設で過ごしたものの、元森林警備隊の養父の趣味に影響され、猟銃の扱いは達者である。

「ヘンリエッタ、お手本を見せてやりなさい。」

「はい、ジョゼさん!」

ライフルも拳銃も基本は変わらない。ヘンリエッタも最初こそ拳銃の扱い1つにも苦労していたが、今ではかなり上達した。それ以外の武器だって扱えるようになった。猟銃という基礎があるシャーロットが拳銃を扱えないはずがないのだ。

「上出来だ、すごいなヘンリエッタ。」

その様子を見て、ホルスターから新しい拳銃を出すシャーロット。グレーテルは楽しそうに眺めている。

「ムギャッ!?」

反動に負けて拳銃が跳ね上がり、顔面を強打する。器用にもセーフティを掛けてから地面を転がり回る辺り、安全管理の徹底が垣間見える…。

「…ダメだ、リコ。あれは参考にならない。」

兄さんは自分の義体に見学させるのを諦めたらしい。おそらく、ここにラバロ大尉がいたら杖で殴られているだろう。

「まったく、それでよくフラテッロになれたわね。」

慣れた様子でグレーテルは彼女を抱き起こす。

…シャーロットとグレーテル。まるで、本物の姉妹のようなフラッテッロだ。

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