グレーテルと私   作:バイオレンスチビ

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狂ったパーティー

まったく、ひどい現場だと思う。果てしなく迷惑な骨董品の同窓会だ。ヒトラーの電動ノコギリが歌い、拳銃が合いの手を入れて、カラシニコフが舞い躍る。遂にはグレイハウンドが駆け回る始末。…あの死体が着用しているコートはルーマニアのものだろうか。過去の亡霊が歌って踊る悪趣味なパーティー。

「…荒事は好きじゃないんだけどなぁ。」

ジャクリーンと服を交換した。グレーテルやシャーリーだと背丈が低すぎるし、シャーリーは走れない。…髪色は似ているし、遠くからじゃわからないだろう。

…あぁ、心臓が破裂しそうだよ。

 

 

 

 

「グレーテルも配置についたね。」

グレーテルの持っていた予備の手榴弾を脱いだ靴下に入れる。グレイハウンドには天井がない。オープントップと呼ばれるタイプだ。そして、古い車種であるために底面からの攻撃にも弱い。

カーレンが囮となってM8をこの路地裏に引き込み、窓から私が靴下に詰めた手榴弾を投下して撃破を狙う。仮にダメだったとしたらグレーテルが飛び降りて攻撃する。建物と建物の隙間にある路地は狭く、Uターンなんてできない。前か後ろにしか進めない場所。…いいや違う。ここは地獄への一方通行なのだ。

敵の位置はビルの屋上からリコが教えてくれる。歩兵も彼女のドラグノフ狙撃銃で大分削ってくれたようだ。あとは簡単。靴下に詰め込んだ複数個の手榴弾で吹き飛ばす。残る一両も撃破する算段はついている。

 

 

 

 

「…もし、これで失敗したらどうするんですか?」

この作戦が成功してグレイハウンドを撃破することができたとして。残る一両から逃げられるとでも思っているのだろうか。

「発煙筒。赤いのがあるでしょ?これで仲間を呼びます。ケータイとあわせて使えば、すぐに助けに来てくれるはずさ。一応、渡しておく。万が一の事態になったら使うといい。かわいい天使が助けに来るよ。」

…砕けた態度は私を安心させるためなのか。それとも彼女の素なのか。

「要らない。私には必要ない。」

私は受け取れない。そんなものは受け取れない。

 

『目標、キルゾーンまで30秒。』

アジトになっていたビルの屋上から町を見渡せる。ボスが自慢していたことだ。ここが一番高い場所なのだと。アジトを攻め落としたという少女。この声の主は、空を飛ぶ鷹のように地上を見下ろしているのだろうか。

『20秒。』

エンジン音が聞こえる。

『10秒。』

誰かの足音がする。何かを削る音。窓が割れる音。

 

柔らかい何かが私に覆い被さるように倒れる。

 

そして、空気が震えた。

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