グレーテルと私   作:バイオレンスチビ

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真夜中の訪問者

シャーリーは、シャーロットさんの愛称。グレーテルの担当官であり、お姉様だ。

「どうしたの?こんな時間に。」

それと同時に私たち義体にとっては、頼りになるお姉さんだったりもする。病院にいる頃じゃ、こうして夜に出歩くこと。そもそも、自由に動く身体が存在しなかったのだから当たり前だが、こうして人の部屋を訪ねることもできなかった。こういうところも、公社での生活において気に入っているところだ。

「今日は、冷えるからね。ほら、上がりなよ。」

彼女の部屋に入るときは、靴を脱ぐ。それがルールだ。東方趣味に傾倒している彼女の家では、そういう変な決まりがあったらしい。

備え付けのスリッパに履き替える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、シャーリー。男の子と話したことある?」

…リコ。そりゃあ、私は男嫌いのケがありますがね。話したことがないほど、毛嫌いしている訳じゃないのよ?

「ありますよ。突然、どうしたの?」

確かに義体は女子ばかりだが…。外出先で友達でもできたんだろうか。

「今日ね、男の子と会ってね…。」

任務先の偵察に出向いたら、ホテルのボーイさんと知り合ったわけね。…聞いている感じだと相手はリコに好意を抱いているっぽいけど。

「まぁ、男子も男子で色々いるからね。でも、聞いた感じだとリコと仲良くなりたくて沢山お話ししたかったんじゃないかな。」

義体である以上、外部との接触は極力避けるべきなのだが…。きっと、そのくらいは理解しているだろう。任務前に変な意識をされても困るし、適当なところに納めておく必要がある。

「そうなのかな?」

「そうだよ。きっと、友達になりたかったんだよ。」

もし仮に次の任務中に遭遇すれば最悪、彼女が噂のボーイくんを殺すことになるだろう。それだけは、避けたいところだ。素敵な思い出を血で汚すのは深い傷になる。

「男の子なんて、そんなものさ。」

向かい側に座っているリコの頭を撫でる。ジャンさんももっとリコに構ってやればいいものを。まぁ、すれ違っている様子もないし、フラテッロの関係は担当官に一任されている。教師と生徒のようであったり、兄妹のようであったり…。私たちは、どう見えているのだろうか。

 

「次の任務は私たちも参加するから、よろしくね。」

ホテルの従業員に化け、ルームサービスを装って部屋に侵入。標的を殺害後、速やかに撤収。後の捜査で五共和国派が殺しを実行した証拠が見つかる予定だ。

前回のような惨殺ではなく、今回は暗殺。目撃者は問答無用で消す方針だ。

「はい、こちらこそ。よろしくお願いします。」

 

どうか無事に終わりますように。私は首から下げた十字架を握りしめた。

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