しかし、この世界にデスタムーア的な奴は存在しないし、そもそも彼の悪魔を打ち倒せる強者などいない。
だが……もしその戦いがあったとしたら?
これはダークドレアムがヴェルダナ-ヴァに一泡吹かせてから三日後の事だった。それはヴェルダの妹である白氷竜・灼熱竜が兄ヴェルダナ-ヴァが重傷を負った事を聞きつけてダーマ神殿までやってきたのだ。勿論理由は自分達の兄がたかが悪魔にやられたことが許せないらしく仇を討たんとここまでやってきたのだ。二体の竜種がやってくる事を予想していたのか愛用の両剣を持って待っていた。
ヴェルザ-ドとヴェルグリンドが初めて見た
それが
先手を打ったのはヴェルザ-ドで見た目で実力を判断した為か、
―――ヴェルザ-ドの【
「っ!?凍らない?何故!?」
「何やってんのよ姉さん!」
今度は妹のヴェルグリンドが攻撃に入る
―――ヴェルグリンドの【
「ぐわあっ!?」
「うぐっ!?」
喰らってしまえば骨残らず焼き尽くし加速破壊効果がある炎を片手でボールをキャッチするように止めて投げ返したのだ。投げ返した攻撃はヴェルグリンドが放った攻撃とは比べ物にならないくらいの威力で二体の硬い鱗が火傷を負う。
「…………」
ドレアムは声も出さずにただひたすら歩んでくる。
ヴェルグリンドは自分のブレス攻撃を簡単に投げ返されたことに不快に思っていた。しかも相手は悪魔なのにたかが悪魔に攻撃が通用しないのだ。何故自分の攻撃があんな奴に効かないのか?次なる攻撃は試す意味も込めて
―――ヴェルグリンドの【連続
何と攻撃が全く効いていないにも関わらず笑っている。なんという強者の余裕。
(馬鹿にしているの!?)
「グリンドどきなさい!!」
―――ヴェルザ-ドの【
白氷竜のブレスを扇風機扱い。もはやどちらが化け物かこの時点で分かる者もいるだろう。
「一体何の
これだけの力を持ちながらアルティメットスキル持ちと推測するものの何の能力か分かっていない。
「今度はこちらから行くぞ」
散々竜種の技を喰らって平然としているドレアムが動く。二体は警戒を高めようとしたその瞬間……
「なっ!?」
「えっ?」
ドレアムは二体の後ろに移動していた。そして同時に無数の斬撃がヴェルザ-ドとヴェルグリンドに大ダメージを与える。
一体いつ移動したのか全く見えなかった。ヴェルザ-ドの停止世界を発動するもののドレアムには効果がない。
二体の竜の怒りは頂点に達していた。最初は遊び程度で殺そうと考えていたがそれが全部返り討ちとなってしまい、殺す気で攻撃するものの彼はそれらを面白がっている。それがきっかけとなって今自分たちが撃てる最強技を放つ。
「姉さん。私も我慢の限界よ」
「奇遇ね。私もそう思ってた所よ。至高たる
膨大なる魔素が二体に集まっていきそれを一撃必殺として変換させ一気に解き放つ。
「
「
白と赤、二つの極光がダークドレアムに向かってくる。竜種が放てる最強技は避ける術も防ぐ術もない。ダークドレアムは一歩も動かずその攻撃を喰らった。
究極の一撃を放ち神殿ごと破壊しただけではとどまらず、数か所ある山が火山・氷山と化してしまった。天候を変えるほどの威力を誇るのだから当然ではある。喰らったダークドレアムの姿は見当たらない。ヴェルザ-ドとヴェルグリンドは絶対の自信を持ち、攻撃の結果を確かめる。
そこに立つ無傷のダークドレアムはただ笑っていた。
「……そんな」
「嘘よ!!あり得ない!!」
絶対的な一撃しかも姉妹が放つ同時攻撃は無傷で耐える事のできる者など存在する筈がないのだ。何らかの攻撃や能力による相殺ならばまだしも、防御では防げるはずが無い筈だった。
「今の攻撃は防御不可能の筈……貴様!何をした!?」
「ふむ。確かに見事な攻撃であったがこの通り私は無傷。それ以外に理由はあるか?」
二体の竜種は知らないのだろう。原作のダークドレアムがどれほど恐ろしいのか。
「さて……お遊びはここまでだな。
そろそろ終わらせるとしよう……。」
「な、なに!?」
――ダークドレアムの攻撃!
――ダークドレアムは
「がはっ!?」
「ぐうっ!?」
巨体を上回る大爆発が二体を襲う。
――ダークドレアムは
「っ!?」
ヴェルザ-ドの氷とは比べ物にならないくらいの絶対零度がヴェルグリンドを一瞬で凍らせた!
「ヴェルグリンド!?」
「よそ見は禁物」
――ダークドレアムの
「があぁぁぁぁっっ!?」
竜の悲鳴が木霊する。しかしダークドレアムの攻撃はこれだけでは終わらない。
――ダークドレアムの剣に闘気が込められる……ドレアムの
動きを封じられたヴェルグリンドに巨大な緑色の斬撃が撃ち込まれた。ヴェルグリンドの鱗は綺麗に剥がれ出血し悲鳴を上げた。
――ダークドレアムの
二体に避ける隙や回復させる時間を与えず倒れるまで攻撃し続ける。虚空から超大爆発が起こり大ダメージを与えた。
――ダークドレアムの
もはや動くことすら許されず唯々に攻撃を受け続ける。空から降ってきた隕石が大ダメージを与える。
――ダークドレアムの
相性の悪い攻撃がヴェルザ-ドの美しい身体を黒焦げにする
――ダークドレアムの
絶大な黒い雷がヴェルグリンドを襲う!
――ダークドレアムの神速の剣技!ヴェルザ-ドとヴェルザ-ドの部位を切断した!!
目では追えない程のスピードで竜種の部位破壊をした。
――ダークドレアムの滅竜の絶技!!
竜種にとって絶大なるダメージを与えた!!
こうしてダークドレアムは数多の攻撃で竜種二体を容易く再起不能というくらいの攻撃を与えた。これだけの攻撃をしても二体はまだ微かに生きている。
「ほう。なかなかタフなモノだな」
しかし、彼女たちはいつ死んでもおかしくない状態で大量出血している。
(や、やばい。傷が癒えない……これが兄さんの言っていた不死殺しの力)
(もう私たち死ぬの……?)
頭の中で後悔という二文字が浮かび上がる。ただの悪魔だと思った時点で自分たちの負けは確定したのだ。なるほど兄が認めるわけだ。しかしあれは悪魔なんかではない何かそういう形をした化け物だ。そう考えながらも死はすぐに近づいてくる。
(いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!)
(これが死?……知らなかった。こんなにも怖いだなんて……)
不滅の存在である彼女達は死という概念を知らない。それを今知りパニックとなっている。それに精神生命体でありながらも兄は「あの悪魔はボク達を完全に消滅させることができる」をおびえながら口に出していた
死を悟った彼女たちは目を瞑った…………しかし
「ベホマズン」
ダークドレアムは全回復の呪文を発動させて瀕死の二体を回復させこう告げた。
「今回は少し面白かったぞ。
そう言い残して消え去った。
回復してもらい助かった姉妹は
「「絶対に嫌」」
トラウマを植え付けられたそうな…………