Re:ゼロから始まる闇の道化生活   作:アーロニーロ

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自分の文才の無さが憎いです。


ゼロから始める異世界生活

 哄笑が、ほの暗い森の中に反響していた。

 

 ケタケタと、嗤うペテルギウスはなにがそれほど面白かったのか、血が付着して赤く斑に染まった歯を剥き出して嗤い続けている。

 止めるものがいなければいつまでもそのままでいそうなペテルギウス。

 

「いやはや、しかし、このような幼き子供がワタシと同じように大罪を背負う存在とはぁ!ああ、その若さで魔女の愛を背負うその勤勉さ!!ああ、脳が震えるるるるる!!」

 

 うわ、マジモンのペテルギウスだ。側から見るとマジでキモいな。いや待て、今そんなことはどうでもいいんだ。子供?それってもしかして、

 

「お、俺のことですか?」

 

「ええ!アナタですとも!アナタ以外誰がいるというのデスかぁ!?」

 

 身体を痛めながら聞くとさらに感情を昂らせたのか身体を抱くながら身体を左右に振り始めた。なんていうか、血が飛び散ってるから今すぐにやめて欲しいなぁ。っていうか、大罪を背負うってまさか。

 

「お、おい、嘘だろ。な、なんでこんなところに魔女教徒が」

 

 先程俺をいたぶっていた男が震えた声でそう言った。ペテルギウスの存在で忘れてたけどまだ居たのか…こいつら。少しだけ、余裕ができたため思考が捗っていると男の声に反応したのかペテルギウスが男の方に顔を向けた。

 

「おやぁ、アナタ。どちら様デスかねぇ。ああ、それと我が同胞を抑えてるアナタ邪魔デスねぇ」

 

 ペテルギウスがそう言った瞬間、俺を抑えていた力がなくなった。するとすぐにちかくでベチャっという音が響いた。音のする方を見るとそこには護衛の男の上半身が落ちていた。ふと、上を見ると俺のすぐ前に十字架を象った短剣を振り抜いた教徒がいた。

 うわぁー、短剣で人の上半身って飛ぶんだなぁ。事態が急変しすぎて半ば現実逃避しながら目の前で起きた惨状を受け入れる。

 すると、すぐに俺の元にペテルギウスがやって来て質問をして来た。

 

「福音の提示をお願いしたいのデスが?」

 

 福音?福音ってもしかして。

 

「これのことですか?」

 

「ああ!間違いなくそれは福音デスねぇ!最早確認するまでもないのデス!!アナタこそ新しき大罪司教に他ならないのデス!!さて、さてさて、新しき同僚であるアナタの名前を問いたいのデスが?教えていただいても?」

 

 名前?俺のか?もしかして、さっきまでのが自己紹介のつもりなのだろうか?正直言って名前を教えたくはないが狙ってないだろうが俺のことを助けてくれたので俺は憑依する前の名前を言おうとした。

 

 しかし、

 

「俺の名前は……あれ?」

 

「……おやぁ、どうかなさいましたぁ?」

 

「あれ、まって」

 

 いや待て、俺の名前ってなんだ?

 

 いやあり得ない。十八年間も使って来たんだぞ!忘れるなんてあり得るはずがない!!思い出せ、思い出せ!俺は誰だ?そもそも十八年も使ってたのか?いや、使っていた筈だ。親につけられた存在証明のようなものを忘れるわけがない。仮にこれを忘れて無くしてしまったら。

 

「俺は一体誰になるんだ」

 

「おやおや、どうやら名前を覚えていないようデスねぇ。それはさて置き、少し良いデスかぁ?」

 

「な、なんですか?」

 

 俺は自分の名前を忘れてしまったというショックを受けながらもペテルギウスの言葉になんとか受け応えた。すると、

 

「く、くそ!おい!離せ!離せよ!」

 

 俺の目の前に俺をいたぶった男を数人の魔女教徒に押さえつけられた。男を押さえつけられるのを見たペテルギウスはこう言った。

 

「まず、アナタの勤勉さを示すためにこの男を殺すのデス!!そして、初めてアナタは1人の信徒としての道を歩み始めるのデス!!」

 

「え?」

 

「は?」

 

 俺と男は絶句した。次の瞬間、俺は身体を震わせて、男は顔を青くした。俺が人を殺す?自分の手で?そんなこと、

 

「…出来ない」

 

「ハイィ?」

 

「出来るはずがない」

 

 人を殺すということは人が考えつく中でもやってはいけないことだ。少なくとも俺はそう思っている。この行動が悪手なのはアニメを何度も見てきた俺が何よりも知っている。この後、ペテルギウスは間違いなく激昂しながら俺にとって理解できないことを言いながら俺を罵るだろう。いや、罵るだけならまだいい。下手すればペテルギウスの権能である『見えざる手』によって殺されるかもしれない。それでも、俺は人は殺したはないんだ。来たる、暴力や暴言に備えるべく先ほど以上に気を張った。しかし、一向に訪れない。そのことに疑問を覚えていると、

 

「一つだけ質問を良いデスか?」

 

「は、はい」

 

 俺はペテルギウスから来る質問に答えるために構えた。しかし、俺の予想していた質問とはかけ離れた問いだった。

 

「アナタァ、何故まともなフリなどしているのデス」

 

「…は?」

 

 まともな、フリ?一体全体どういうことだ。じゃあ、なにか?俺が本当は狂ってるってか。ありえない、俺が狂ってるはずがない。だって、俺は今までまともだったはずだ。

 

「アナタの目の奥に宿る狂気は深すぎる。しかし、アナタは上手いこと抑えているのデスよ。これならば、そこらの人間にはわかることが出来るはずがない。しかし、ワタシのようなものからすればその上っ面はすぐに剥げる。ハッキリ言って哀れなのデス」

 

 ペテルギウスは呆れと哀れみを込めた目で俺にそう告げた。俺はその声と目がやけに感に触った。

 

「ふざけるなぁ!お前に俺の何がわかるって言うんだ!」

 

「ああ、可哀想に何を恐れているというのデス?心の赴くままに動けばよいというのに。でなければ、アナタは1人苦しむだけなのデス」

 

 諭すようにわからせるように手振りをつけて話すその様にさらに、神経を逆撫でされているとペテルギウスの裾からポトリと何かが落ちた。俺は、その落ちた何かを見た瞬間。身体に電流が走ったような感覚に襲われた。

 間違いなく見たことも触れたこともないはずなのに落ちたそれを見たとき何故だか懐かしく感じた。

 

「おや、これが気になりますかねぇ?これは福音によって導かれた場所で見つかったのデスよ。しかし、建物が完全に崩壊してしまっていましたのがこの護符は綺麗でしたので回収したのデス」

 

 俺の視線に気づいたのかペテルギウスが親切にそう答えて来た。すると、

 

「お、おい、嘘だろ!それは、ファイオス家の護符じゃねぇか!ま、まさか、あの家系が魔女教に落とされたっていうのか!?」

 

 ファイオス家?聞いたこともない。だけど、懐かしい。

 

「触ってみます?」

 

 ペテルギウスは俺にそう提案してきた。俺はその言葉を首を縦に振ることで受け入れた。恐る恐る、そのアミュレットにふれる。

 

 瞬間、俺が自分の手で家族を殺す瞬間を鮮明に思い出した。

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

 

 咆哮が、絶叫が、暗い森の中に響き渡る。

 喉を塞ぐほどの絶望が、言葉にならないほどの激情が、血の涙が流れるほどの無念が、俺に襲い掛かった。

 

 あり得ない、有り得ないんだ。俺がこの俺が自分の手で家族を殺すなんてあり得るはずがないんだ。だけど、手に残る感覚も血が滴る感覚も全部何故だか身体が覚えている。じゃあ、本当に俺はみんなを父さんや母さんや兄弟もみんなみんな殺したっていうのか?俺は頭で理解できても身体では理解できるという矛盾に襲われるあまりの気持ち悪さにもう一度吐いた。

 

「我慢せずとも良いのデス。それは決してダメなことではない。さあ、アナタはどうしたいのデス?」

 

 吐き散らかしのたうちまわる俺にペテルギウスはそう尋ねた。俺はその質問にこう答えた。

 

「俺をいたぶったそいつを……殺したいっ。こんなこと今までなかったんだ。でも、なんでか嫌な気持ちが止まらないんだ、抑えられないんだ」

 

 俺の答えにペテルギウスはニヤリと笑うと言った。

 

「ならば頑張るのデス!」

 

 そう言うとペテルギウスは俺の手の中にあるアミュレットを指差して言った。

 

「それを肌身離さず持ち続けるのデス!その想いが風化せぬよう、今アナタの抱いた感情を決して忘れぬよう!」

 

 俺は一度アミュレットを見つめるとすぐに身体に身に付けた。ああ、気持ち悪い、吐き気がする、でも何故だろうか、とても落ち着く。今なら何をしても許させる気がする。そう思えたんだ。

 

 俺は顔を男の方へ向けた。男は顔を青くしながら何か言っている。何を言ってるのかわからないがその様はひどく滑稽で笑いを誘うものだった。俺は男に向けて一歩一歩、歩を進めるその度に身体が軋み、傷口がジクジクと痛む。それでも前に進み続ける。頭の中に俺の扱える能力について展開された。能力を把握したと同時に俺は男の前にたどり着いた。

 

「た、頼む。殺さないでくれっ」

 

 俺はその懇願に対して笑顔を持って答えた。

 

「俺がそう頼んだ時、お前はどうしたんだ?」

 

 俺がそう答えると同時に絶望に染まった男の顔に手を乗せる。すると、男が目の前から服だけを残しパッと消えた。それと同時に俺の中に何かが流れ込んできた。流れ込んでくるなにかは俺に少しばかりの全能感を与えた。俺はその余韻に浸り終えると、

 

「ぎ、ギャハハ、ギャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」

 

 声高々に笑った。ああ、壊れた。俺の中の大切な何かが音を立てて壊れた。恐らく、憑依前の俺が死んだ音なのだろうか?まぁ、そんなこと今更どうでもいいことだけどね。ああ、楽しいなぁ。

 すると、

 

「ようこそ、魔女教へ。歓迎するのデスよ、新しく愛しい大罪司教よ!」

 

「ええ、よろしくお願いしますねぇ。ペテルギウスさん」

 

「それはさて置きアナタのことを今後なんと呼べばいいのでしょうか?」

 

「……」

 

 確かにそうだ。今の俺には名前がない。だったらなんて呼んでもらおうか?自分の呼ばれ方に頭を悩ませていると、

 

まるで、直感的な何かが体中を駆け回ったような感じ。電気がはしる・・・といえばいいのだろうか。

 

俺は、何を考えたのか、おもむろに福音書を取り出す。そこには最初の一文とは違い、新たに書かれた文章があった。

 

 そこには俺の新しき名前が刻まれていた。

 はは、魔女様やタイミング良すぎやしませんかね?俺は福音に書かれた名前をそのままペテルギウスに告げた。

 

「エピタフ」

 

「ん?」

 

「ワタクシのことは今後はエピタフと御呼びくださいな?」

 

 そう言うと俺は再度ケタケタと笑った。ペテルギウスははじめキョトンとしていたが「エピタフ!いい名前デスねぇ!」と言うと俺と同じようにケタケタと笑いあった。

 

「ところでエピタフさん?」

 

「なんですか?ペテルギウスサン?」

 

「今から村の住人を魔女に捧げるのデスが、手伝って一緒にやりますか?」

 

 俺はペテルギウスの質問にニヤリと笑うことで答えた。

 

 その日、また一つの村が魔女教によって滅ぼされた。俺は燃えていく村を蝋燭がわりに自分の新しい生を祝った。




設定

○フィエゴ・ファイオス
……ファイオス家の三男坊。年齢は6歳。原作スタート十八年前。現段階で明かせる情報はこんなもんです。

○◼️◼️◼️◼️
……18歳の大学一年生。見た目も性格も可もなく不可もなくといった感じで平凡そのものだった。

○エピタフ
……ファイオスに◼️◼️が憑依し、狂った結果生まれた存在。因みにあっさり殺してしまった原因は魔女因子に後押しされた結果でもある。何故◼️◼️の記憶が一部無くなったかというと憑依したのが理由です。イレギュラーな転生の仕方だったのが理由だったのか異世界に行く通行料として最も大切な記憶をぶん取られた。もう取り戻すことも思い出すことも出来ない。結果的に残ったのは◼️◼️の記憶と人格が混じったファイオスであるエピタフという存在になった。

設定が少し自分でも無理矢理感があるのは御愛敬。

余談ですが、アミュレットと護符は同じなので誤字ではないです。

2020/10/05にサブタイトル変更しました。
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