「ああ、そんなことですカァ。ワタクシの傲慢の権能は『分離』と『混合』ですヨォ〜」
「分離と混合、ですか?」
そこまでバレないよう祈りながら自分の権能の説明を始めた。
「ええ、簡単に言ってしまえば他のものを自分や他人に取り込んだり、逆に相手や自分から混ぜたものや元々持っていたものを分ける能力、とでも言っておきましょうかネェ」
「……なるほど、先程コルニアス司教に殺されながらも生き返った仕組みはそう言うことですか」
……やっぱ、バレるかぁ。予想してたとはいえこれだけの説明でバレるとはやっぱり永く生きてるのは伊達じゃないか。まぁ、でも間違ってるかもしれないし聞くだけ聞いてみるか。
「ほぉ?今の説明だけで蘇生の仕組みが理解できたと?」
「ええ、貴方は貴方が取り込んだ命に自らの死を肩代わりさせることで疑似的な蘇生を行なっているのですね?そして、コルニアス司教に攻撃を与えられたのは貴方が権能を『分離』したから。違いますか?」
ああ、もう大当たりだよ、百点満点の回答だよ、チクショウ。やっぱ、説明すべきじゃあなかったか?
「そして、貴方の権能の能力はそれだけではありませんね?」
は?嘘。まさか、バレた?
「……言ってみてくださいナ」
「取り込んだ。いえ、この場合は『混ぜた』と言うべきでしょうか?ともかく、自身に『混ぜた』相手の身体能力や人生経験や技術なども自分の力として使うことが出来るのでは?それならば先程、コルニアス司教の腕を握りつぶした握力や駆けた際に見せた脚力なども説明がつきます。私の回答は間違ってますか?エピタフ司教?」
……ああ、もう!
「百点満点中、百五十点の回答をありがとうございますネェ。パンドラ様」
「まぁ、嬉しいですね」
艶やかに笑うパンドラを俺は内心エロいと思う気持ち三割、忌々しいと思う気持ち七割で見ていた。パンドラの言う通り今の俺には村を燃やす前に村人を自身に『混ぜた』。そのおかげで今の俺は三十人程の命と力を持っている。噛み砕いて言って仕舞えば今の俺は三十人力で命のストックが三十個あるということになる。弱点は直接触れなきゃ発動しないってことかなぁ?今の説明だけでここまでバレるとは。やっぱり、話すべきじゃあなかったかぁー。嫌になるなぁ。まぁ、それはさて置き。
「こんなことあまり言いたくありませんがァ。ワタクシは権能の説明をしたので何か対価を頂けませんかネェ?」
そう、対価が欲しい。ぶっちゃけた話、この対価欲しさに自分の権能を説明したと言っても過言ではない。すると、パンドラは少し考えるような素振りをした後、答えた。
「ええ、いいですよ。そうですねぇ、……私が一度だけ叶えられる範囲でよければどんな願いも聞くというとのはどうでしょう?」
……え?マジで?
「本気ですか?」
「ええ、本気ですよ。どうせなら今この場で『約束』しても構いませんよ」
ええ!!『約束』するってマジじゃん!この世界において契約などの約束はクソ重要だからなぁ。破れば、破った側にはそれ相応の罰が降るらしい。パンドラがそのことを知らないわけがないし、本気だこれ。だけど、これは。
「マズいですねェ〜」
「?」
「イヤァ、何を叶えようか迷ってるんですヨォ」
いや、どうしよう本気で思いつかないんだけど。取り敢えず思いつかないし。
「一旦、保留してもよろしいですカ?流石に思いつかない」
「ええ、いいですよ」
よし!これはホントに都合がいいな、ラッキーにも程があるよ。自身に舞い降りた幸運に歓喜していると。
まるで、直感的な何かが体中を駆け回ったような例えるなら電気が走ったような感覚に襲われた。俺はすぐさま懐にしまってある福音書を開き読んだ。そして、直ぐに固まった。
「?どうかしましたか?エピタフ司教?」
いきなり固まった俺を訝しんだのかパンドラは俺のことを心配そうに見つめて聞いてきた。ああ、神、いやこの場合魔女か?いずれにせよ何故こんなことを?あれか?禍福糾えるは縄の如しってか?何にせよクソにも程がある。俺は内心で魔女または神を罵倒しながら福音に綴られた文を読んだ。
「『3日後に強欲の大罪司教と共に城塞都市ガークラを攻め落とせ』、だそうで」
半笑いの状態でそう言うとパンドラはにっこりと笑った。ああ、やっぱり世の中はクソだ。
余談ですが混ぜられるものは有機物だけでなく無機物も可能です。そして、主人公の使える魔法は陰属性で魔法の才能は結構あります。