マキアの試運転が終わった後、大きめの対話鏡を渡しマキアにしばらくの間は活動しないから身を隠せと言っておいた。初めは断られるかと思っていたが直ぐに「わかりました、主よ」と言いながら地面の中に潜っていく姿を見てあまりの聞き分けの良さに少しだけ感動したのは内緒だ。まあ、それはさて置き拠点に戻った俺は今何をしているのかというと。
「さてと、やってみますかネェ」
一つの実験を行なっていた。今から行うのは割と一か八かの賭けだ。失敗しようもんならとてつもない戦力ダウンに繋がりかねない。だが、成功すれば権能の応用できる幅が大幅に広がる。目を瞑り覚悟を決めた俺は俺自身を『分けた』。
すると、俺の身体の能力値が半減したのでは無いかと錯覚させられるほどの脱力感に襲われた。失敗か?そう思いながら恐る恐る目を開けると目の前には『俺』がいた。
「クヒヒ、実験は成功ですカ?ワタクシ?」
「エエ、大成功ですよ、ワタクシ」
互いに認識をすることが出来るできる。完璧だ!パーフェクトだ!いやぁ、よかったぁ。失敗したら目も当てられなかったもん。最悪、意思疎通が出来なくてもいいかと思ってたけどその辺は成功してよかった。
「エエ、ワタクシもそう思いますとも」
……なんだ?今の返答のタイミング。まさか、こっちの思考が読めるのか?
「エエ、読めますとも」
尚のこといいな、それ!ヤバイ!超嬉しい!ここまでの達成感はこっちきて初だよ!さてさて、それよりもだ。本題に移ろう。まあ、最も。
「話すまでも無いですよネェ?ワタクシ?」
「勿論ですともワタクシ?」
お互い、鏡合わせのように笑った後同時に答えた。
「「互いのやるべき事の役割分担ですよネェ?」」
◇
新しい部下を手に入れて次に俺自身がすべきことを思い浮かべたのは権能を使わない状態での俺の強化だ。まあ、わかりやすく言ってしまえば魔法や身体能力や武術などの技量の向上についてだ。
え?権能あんだからそんな事する意味無いだろうって?……そんなこと無いんだよ。万が一、億が一にでも権能が使えなくなれば俺はただの無力な人間に成り下がる。実際、原作で権能が一部使用できなくなってそれが原因で負けた大罪司教がいるんだからな。それにそもそもこの世界では俺に才能が有る無し以前の問題で多芸で無ければ、やれることが少なければほぼ確実に死に繋がりかねない。
とある武芸家曰く、"千招を知るを恐れず、一招に熟するを恐れよ"とのことらしい。因みにこの言葉の意味は千の技を覚えるよりも一つの技を徹底的に鍛錬し、根本原理を把握せよ、ということらしい。これに関しては激しく同意できる。武術の武の字も知らない俺からしても一つの技術を突き詰めた方が自身を強くするには一番いい。
だけど、さっきも言った通り、このリゼロの世界では多芸でなければ死ぬこともあり得る世界だ。武術だけでなく魔法も極めたいと本気で思っている俺は初めはスケジュールを組んで行うべきだと思ったが不器用な俺では到底出来ないと悟った俺はすぐに自身がもう一人いればいいのでは?と思った。直ぐに俺は自身の『分離』を実行し、結果的に成功した。
しかし、同時にデメリットが存在する。それは二つほど存在する。
まず一つ目は、全体的な能力値の低下だ。俺自身を2人にした影響からなのか筋力や体力などが半減した。理由はおそらく存在を半分に『分けた』ことで肉体の性能自体も半分になったのではないかと考えられる。これに関しては対処法がある為問題無し。
二つ目は、反逆の恐れ。SF映画でよくあるクローン体にオリジナル個体が反逆され殺される、というのがあるが普段であればよくあるB級映画でしか起こらない出来事も今この瞬間俺が実現させてしまった以上笑い飛ばすことは不可能と言ってもいい。しかし、この点に関しても対処法がある為問題は無い。
俺が頭の中であーだこーだと思考を巡らせていると。
「デ?デメリットの解決法って何なのですカ?ワタクシ?」
「アア、単純ですヨ、ワタクシ。一つ目のデメリットの対処法はワタクシが魔力の全てをアナタに譲渡し、アナタはワタクシに身体能力を譲渡する。これが一つ目の対処法ですヨ。もう一つのデメリットの対処法はワタクシが権能の主導権を握る、こんな感じですガァ、何か質問ありますゥ?」
「……それは対処法とは言えないのでは?一つ目の対処法は魔力なきゃ死にますヨ?ワタクシ?最後に関してはワタクシの生きるか死ぬかの生殺の与奪権はアナタが握っているとしか思えないのですガ?」
ん?思考を完全に共有することは出来ないのか?まあ、何にせよ。
「大丈夫ですヨ、ワタクシ。魔力面に関しては『混ぜた』人間のゲートを利用させて貰いますし、アナタの身体能力も心配ならワタクシと同じようにすれば良いだけデショ?二つ目の方に関しては当然ただでワタクシが権能の主導権を握るわけではありませんヨ、ワタクシ?」
「ホウ、それは?」
「権能の機能の大半をアナタに譲る。これでどうでしょ?」
そう二つ目の流石に納得しないと思っていた為、考えていた対処法とは権能の機能をほぼ全てを譲ることだ。俺は主導権を得るだけの魔女因子と僅かばかりの魔女因子だけを残して残りの全ては『分けた』方の俺が持つ。これなら問題無いどっちにとってもWin-Winだ。そんなことを考えながら少し熟考する『俺』を眺めること数十秒。すると、
「いいでショウ。確かにワタクシにも利がある。では、今後はその方針で行きまショ」
ああ、よかった。反対されたらどうしようかと思った。自分同士で殺し合うとか地獄絵図流石の俺もごめん被りたいもん。
「ワタクシもですヨ」
「アア、考え読めるんでしたネェ〜。さてと、それじゃ特訓する役割を決めますカ。と言ってもワタクシが身体能力を受け取る以上ワタクシが体術担当でアナタが」
「魔法担当ですネ」
「エエ、それでは。特訓開始。終わったらもう一度会議しまショウ」
そう言って俺たちは各々の特訓に移行した。
・主人公の特訓方法
自身に『混ぜた』武芸家の技術を瑞体験することを通して自身にその動きをトレースすることを反復することで学んでいく。組み手などは残機がある為一切手抜き無しでどちらか片方が死ぬまで行われます。因みに主人公の武器は槍です。完璧余談ですが主人公ズはこの後特訓のキツさに悶絶しながら会議を行った。