地獄に送られて悪魔になってぼっちに召喚される話   作:オレンジ

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だれだ、色欲の悪魔なんて設定にしたやつ。


契約

 

 「あー、俺っち召喚されたばかりで耳が遠いみたいだわ。なんだって?」

 

 「私と友達になってください!」

 

 俺っちの問いかけに対して、俺を呼び出したお嬢ちゃんがヤケクソ気味に答える。長い事悪魔やってきてるけど初めての経験だ。未知との遭遇。こういうときどうなるか知ってる? 正解は思考が止まるの。マジだって。一回経験してみ。動けねぇから!

 

 「おーけーおーけー、俺の耳は正常だったわ」

 

 「いいんですか!?」

 

 「おぉーっと、そうじゃない。肯定したわけではないぞ、お嬢ちゃん」

 

 「もうすでに友達ってことですか!? えへへ……」

 

 「なんでも自分に都合のいい方向に物事を捉えるのやめない? 君たち紅魔族はそういうとこあるよね」

 

 このお嬢ちゃん、自分が召喚した悪魔が申し出を断るわけがないっていう先入観があるのか、めちゃくちゃグイグイ来るんだけど。ポジティブの化身か? 見習いたいね、ほんと。これ皮肉ね。俺っちもよくダンディちゃんに言われてた。なんか無性に地獄が恋しくなってきた。

 

 あとこの深紅の両目……地雷種族と名高い、頭のおかしな紅魔族だ。地獄でも何回か魂運搬したけど、そのいずれもが老衰。戦闘民族は天寿も全うできるらしい。好き勝手やるから大抵が地獄に来るけど。頼むから来ないでくれ。でも経験値いいんだよなぁー……

 

 「で、でも、悪魔って対価を払えば願いを叶えてくれるって……!」

 

 「お嬢ちゃんってば! まだご自分が手に入れた力の価値をご存じでない! 俺っちの名は『アモン』! 色欲をつかさどる大悪魔にして地獄の公爵ってやつなのよ。お嬢ちゃんが望めば、周りの人間を魅了して自在に操ることもできるし、想い人がいるのであれば、そいつを魂ごとお嬢ちゃんに縛り付けることだってできる! 力を誇示したいのであれば、お嬢ちゃんの前に立ちはだかるすべてを俺っちがねじ伏せて屈服させてやろう。さぁ、お嬢ちゃん! この大悪魔たる俺っちに何を望む!?」

 

 「友達になってください!」

 

 「Holy Shit! 本気かアンタ!? 冬将軍に一緒に鍋食おうぜって言ってるようなもんだぞ!? いや、まて。あってるか、この例え。ひょっとしたら応じちゃうかもしれんな。デストロイヤーに……あー……鍋! うん鍋だな。それでいこう。デストロイヤーに鍋になれって言ってるようなもんだ。……ん? なんか違うな……とにかく、それだけおかしなことってことだ。あんまり舐めてると俺っちも男の部分出てくるぞ! いや悪魔なんで性別とかないんだけどね?」

 

 「でも友達になってほしくてアモンさんを呼んだので……」

 

 お嬢ちゃんは俺にまるで怯むことなく目を真っすぐと見据えて言い放つ。肝が据わっているってレベルじゃねぇぞ。覚悟決めてるヤツの目だ。酔狂でのたまってるわけじゃないのか。でも悪魔の友達が欲しいってどういう状況だよ。紅魔族の考えることはわけわからん。

 

 「……さっき自分でも言ってたが、悪魔と契約するってことは対価を支払う必要があるってことだ。ましてや、この俺っちクラスになると些細な願いであってもその対価は膨大……その覚悟がお嬢ちゃんにあるのか?」

 

 「腕の一本や二本でしたら……」

 

 「覚悟キマりすぎてて怖いわ!」

 

 軽く脅してやるつもりだったのだがとんでもないことを言い出した。アークウィザードで両腕欠損って致命傷だろ。さんざん人間を見てきた俺にはわかってしまう。本気で言ってやがる。俺っちともあろうものが年増もいかない小娘に気圧されていた。

 

 「あー……負けだ、負け! 友達ね。はいはいよろしく。俺のことはアモンでもアモちゃんでもアーくんでも好きに呼んでくれ」

 

 「うわぁ! 初めての友達! あ、あだ名だなんてすごく友達っぽくて素敵! え、えっと……アモちゃん?」

 

 「おいまて、聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ。貴様、ぼっちか? 本当にただ単純に友達が欲しくて悪魔を呼んだのか!?」

 

 「う、うん……でも、もうアモちゃんがいるからぼっちじゃないんだから!」

 

 「……あいかわらず、紅魔族はイカしてんな。すげぇよ、ほんと」

 

 イカれてるって意味な。

 

 

 

このすば!

 

 

 

 「よし、オナニーしてくれ、ゆんゆん」

 

 「お、おおおぉぉぉナ、ナ!?」

 

 「だからそういってんだろ。生娘か?」

 

 「セクハラ禁止!」

 

 あれからお嬢ちゃん、もとい契約者にして友人のゆんゆんの家に向かい、ゆんゆんの私室についたところで対価の話をしたところ、想像以上に生娘な反応が返ってきた。色欲の悪魔にセクハラ禁止ってどういう了見だ。人間に息するなって言ってるようなもんだからね、それ。やだっ、実はものすごいドSだった!?

 

 「俺っちが好むのはえっちぃ感情全般。これに限れば悪感情でなくても美味い」

 

 想いを通じ合わせる二人の感情は甘くとろける。合意なく欲望による蹂躙はビリっとしてて中々にクセになる。ワンナイトの関係なんてのも多種多様で悪くない。俺っちはそういうえっちぃ感情が大好物だ。もともとそんな好きな感情でもなかったのだが、色欲の悪魔なんて呼ばれ続けているうちにこうなってた。俺っちも被害者なんだ。不本意ダナー!

 

 「だ、だからって、お、オナっ……」

 

 「今回の契約内容は友達になること。明確にこれをやれって感じのものじゃないから、こっちとしても深く要求できない。なにも目の前でやれとか、何回もやれって言ってるわけじゃない。一度だけでいい。俺っちは部屋の外に出てるから、いつものように耽ってくれ」

 

 顔を真っ赤にして俯くゆんゆんから大量の羞恥の悪感情が流れ込んでくる。ゴチでーす。対価は感情の提供だから、もうこれだけでもいいんだけど何も言わない。俺も悪魔だし? もらえるものはもらうし?

 

 「と、友達だものね……悪魔だし、仕方ないのよね……?」

 

 「なんか、弱みに付け込んでひどいことしてるみたいな感じになってない? いや、悪魔だから別にいいんだけどね。自分で言うのもなんだけど、友達は選んだほうがよくない?」

 

 俺っちのなかにある人間の名残なのか、ご飯を目の前に不思議とそんなことを投げかけていた。思いとどまるならば最後だぞ、と。まぁ、これで契約破棄するなら仕方ない。迷惑料は取らないでおいてやろう。もう感情はいただいたし。あ、俺っちやっぱり悪魔じゃん。

 

 「選ぶもなにもアモちゃん意外に友達いないんだもん!」

 

 「なんか、すまん。これ、サキュバスちゃんからもらった新品のピンクローターなんだけど、よかったら……」

 

 「と、友達からの初めてのプレゼント!?」

 

 「あっ、喜んじゃうんだ……」

 

 いそいそと箱を開封するゆんゆんを見て何とも言えない気分になる。思いっきり喜びの感情が流れ込んできてるのもすごい切ない。新品とはいえ貰い物の、しかも性具なんか渡してごめんな。今度ちゃんとしたのプレゼントするわ。でもあんな喜んでたらこの謝罪すら口にできねぇ。純正な悪魔じゃないからか、ゆんゆんを見ていると人間の部分がすごい刺激されて辛い。まぁ、それはそれとして上質なえっちぃ感情が手に入るのは喜ばしい。段階踏んでアナルパールとかも差し入れよう。あれ? さっきまで何考えてたっけ?

 

 「じゃ、じゃあ、絶対に覗かないでね!」

 

 「割と激しめで頼む」

 

 「友達の頼みだもの……が、がんばる……わ」

 

 ゆんゆんがこれから行う行為への羞恥と友達ができて、その友達に頼られているという喜びの感情をばらまきながら俺っちを部屋から追い出す。

 

 こいつ、友達って言えば何でもやってくれるのではなかろうか?

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