海王神譚   作:川㟢

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カイオーガになりたい人生だった。


第一話

 転生したらポケモンのカイオーガになりたい。私は死ぬ間際に思った。

 

 奇病により生まれてから病院生活を余儀なくされていた私は、外に出ることはおろか、日光にあたることさえ自身の身体へ負荷を与えるものであった。

 

 そんな私には、したくてもできなかったことがあった。それは泳ぐことである。

 

 プール、そして海。人間の活動の営みに欠かせない水というものに浸り、活動する時間はほとんどなかった。

 

 遊泳、競泳、シンクロ、水球、飛び込みなど、泳ぐことに関しても趣味の領域から出ないものから競技と呼ばれるものまである。どれでもいいから一度でもやってみたいと思うことは多々あった。だが、それは叶うことのない希望であり、病室のテレビから羨むようにいつも見ていた。

 

 そんな病院生活を余儀なくされていた私の楽しみは、ポケットモンスターと呼ばれる携帯ゲームであった。中でもカイオーガと呼ばれる伝説のポケモンには大きな憧れと羨望を持っていた。水を操り嵐や大津波を起こし海を広げたという伝説のポケモン。まさに海の王というべきポケモンであろう。

 

 カイオーガになれればどれだけ自由に泳げるだろうか。大海、深海、水中であればどこでも生活できるであろう。私は、カイオーガという架空の存在に激しい憧れを抱いていた。

 

(あぁ・・・生まれ変わるならカイオーガになりたい。)

 

 そんなことを思いながら、私の短い人生は終わりを迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 という夢を見たのだが、どうやらこれは私の前世の記憶というやつであろう。

 

 私の名前は、ウミ=キオーグル。これが今世での名前である。年齢は14歳である。

 

 両親はすでに他界しており、親戚そして知り合いはいない。頼れるのは自分の足と力だけである。

 

 住んでいる場所は、迷宮都市オラリオと呼ばれる街。その中でも区画整理され一種の迷宮といっていいダイダロス通りと呼ばれる場所である。

 

 種族は勿論カイオーガではなく人間。中でもオーソドックスなヒューマンと呼ばれる種族である。特徴的な海を思わせる青い髪の色、身長は女性から見れば低くもなければ高くもないと言える155センチほどの高さ。

 

 さてさて、前世の記憶を取り戻したわけで色々頭の整理ができたわけだが

 

 (あれ、生まれ変わっても人生ハードモードじゃない?)

 

 と思ってしまった。頼れる人はおらず、お金もなければ食べるものにも困る日々。お金を稼ぐために冒険者になろうと思っても、栄養不足の貧相な身体では、どのファミリアにも入れてもらえない始末。

 

 そんな私が日銭を稼ぐために行うことは、冒険者のおこぼれに預かること。サポーターと呼ばれる荷物持ちである。最も、安定した収入は期待できないわけだが。恩恵なしのサポートなど殆どがゴミのように捨てられる始末で、私も恩恵持ちと偽って仕事をしているわけである。

 

 (というか私、よく今まで生きてこれたよね・・・。こんないつ死んでもおかしくない生活をしてて・・・。)

 

 両親は一攫千金を夢見て冒険者になり、普通に死んだ。冒険者及びサポーターとは、死と隣り合わせの職である。

 

 (私もそろそろ死ぬのではないだろうか。死ぬまでに一回は泳いだり、温泉といった施設を利用してみたいなぁ。)

 

 そう思ってしまうのは前世の記憶の影響であろうか。私は今世でも水というものにひどく執着してしまっていた。

 

 (せめて恩恵を手に入れることが出来れば)

 

 何度そう思ってしまったことだろうか。私が他のファミリアを訪ねたとしても門前払いであることはこれまでの経験からしても間違いない。これからも日銭を稼ぐ日々が続くことであろう。

 

 (あぁ・・・お腹すいた。)

 

 サポーターとして雇ってくれる冒険者を探しに行き、そんなことを考えていた時であった。

 

 「君、大丈夫かい?」

 

 それは私にとって運命の出会いであった。

 

 

 




続かないと思う。
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