海王神譚   作:川㟢

4 / 12
中々先に進みませんね。
感想は返信こそしていませんが毎回読ませて頂いてます。文章書く励みになっていますので謝謝。
思いつくままに書いてるので後々変更点があるかもわからんです。


第四話

 

 この世界での共通語はコイネー語と呼ばれるものである。前世の世界でギリシャ文字やギリシャ語と呼ばれたものがこれに1番近いものだろう。

 

 幸いにもコイネー語については読み書きできる程度の理解はあったため、ヘスティア様から渡された、ステータスが書かれた紙切れの内容を理解するのは容易いことであった。

 

  

 

  ウミ=キオーグル

 

  LV1

 

  力:l0

  耐久:l0

  器用:l0

  敏捷:l0

  魔力:l0

 

 《魔法》

 

 《スキル》

 

 【海王帝(カイオーガ)

 ・成長速度の高補正。

 ・流水操作。ありとあらゆる水を自分の意思で操作可能。

 ・精神(マインド)を消費せず、水を生成できる。

 

 【あめふらし】

 ・任意発動(アクティブトリガー)

 ・自分の好きな範囲に雨を降らすことが可能。

 ・雨を降らした範囲における自分の全アビリティへの高補正。

 ・雨を降らした範囲における全水属性攻撃の威力へ高補正。

 

 【魔導書(グリモア)作製】

 ・任意発動(アクティブトリガー)

 ・自分の魔力に応じた魔導書(グリモア)を作製可能。

 

 

 何というか、ツッコミどころが多いステータスですね。さて、どこから触れていけば良いのでしょうか。

 

 私でもこのステータスが常人と比べて異常なことが十分理解できる。ヘスティア様が、私のステータスを見て異様な反応を示したのも、この紙切れに書かれているステータスが原因なのは間違い無いでしょう。

 

 アビリティは恐らく普通。ヘスティア様も恩恵を刻む前に、殆どの冒険者はアビリティがlから始まると言っていた。基本アビリティは恐らく常人並みで間違い無いだろう。

 

 魔法は発現していない。これは恐らく常人と自分は大差ないのだろう。

 

 (となればヘスティア様の慌てていた原因は・・・)

 

 「ウミ君! 君のステータスははっきり言って異常だよ!! 主にスキルなんだけどね!」

 

 やはりスキルは神であるヘスティア様から見ても異常であるようだ。

 

 私的に気になる、というか自然と目についてしまうのがスキル欄にある上二つのスキル。

 

 (いや、カイオーガになりたいと前世で散々考えていたけどさ・・・)

 

 この海王帝(カイオーガ)というスキルはまさしく、前世の私の願望そのものなのだろう。スキルは個人の行動や願望、気持ちが影響するとヘスティア様に聞いていたのだが、間違いなく影響しているのだろう。

 

 

 「魔法は発現していないけど、最初からスキルが三つもあるんだよ! ウミ君! 」

 

 ヘスティア様が前のめりになり私を捲し立てるように言う。どうやら私のステータスが常人とかけ離れたものであるという推測は当たっていたようだ。

 

 「最初からスキルが三つって、やっぱり異常なことなんですか? ヘスティア様?」

 

 オラリオでもスキルを三つ持った初級冒険者、ましてやルーキーなど殆どいないだろうことが私でも予想できる。

 

 ヘスティア様の状態を見た限りだと、どうやら私のここまでの推測は外れていなかったらしい。

 

 「スキルを最初から持っている子は稀にいるんだけどね。最初からスキルを三つも持っている子は殆どいないはずだよ! 三つ持っているだけならまだいいんだけど、問題なのはスキルの内容だよ!!特に一つ目の海王帝(カイオーガ)と三つ目の魔導書(グリモア)作製、この二つははっきり言って異常だよ!!!」

 

 ステータスについてヘスティア様に聞いた時、スキルとは人間性をも表すものであるということが耳に残っているが、スキルとは前世の言葉で言うならば「技術」や「能力」、「才能」といった言葉に置き換えることもできる。

 

 つまり、私のスキルは前世でいうところの「チート」に分類されるようなものなのだろう。

 

 「やっぱり異常なんですね・・・ でも一つ目はともかく三つ目も異常なのですか?」

 

 私の考えでは、一つ目の海王帝(カイオーガ)だけだと思っていたのだが、どうやら魔導書(グリモア)作製も十分チートに分類されるようだ。

 

 「当たり前だよ!神によっては三つ目の方が異常と考える神も少くない! ウミ君は魔導書(グリモア)について知らないようだから魔導書(グリモア)の説明から始めるけど・・・」

 

 そこからヘスティア様の魔導書(グリモア)講座が始まったわけだが・・・

 

 (なるほど。確かにヘスティア様が異常だと言った理由もわかる。)

 

 簡潔に述べれば、魔導書(グリモア)とは、魔法の教科書のようなもので、読めば誰でも個人の素質に基づく魔法が発現するようなアイテムらしい。

 

 (誰でも読めば魔法が発現する。そんなアイテムを作ることができる私という存在がバレたのならば・・・)

 

 嫉妬による闇討ち、魔法がどうしても発現しない人々からの悪意ある誘拐など、寒気のするような事態が脳裏に過る。

 

 「入手するのさえ難しいのが魔導書(グリモア)だ!値段だってバカにならない!ヘファイストスファミリアの一級品装備と同等の値段、それ以上になることだってある!今の僕たちじゃ手に入れることすら叶わない!」

 

 なるほど、それは確かに私たち零細ファミリアが所持するには懸念が多数あるだろう。他派閥ファミリアから見れば、何故零細ファミリアが魔導書(グリモア)を所持しているのか不思議に感じるものだろう。

 

 そうなれば間違いなく、神であるヘスティア様か唯一の眷属である私が疑われることになる。そこからスキルのことが公になったりすれば・・・

 

 (私をめぐるファミリア間の抗争が起きることは間違い無いですね・・・)

 

 「いいかいウミ君!一つ目と二つ目のスキルはともかく、三つ目のスキル、魔導書(グリモア)作製スキルだけは信用のおける人の前以外では使うんじゃないぞ!!こんなスキルを持っていると他の神に知られたらそれこそどんな扱いを受けるか分かったもんじゃ無い!娯楽がてら玩具にされるのがオチだ!!」

 

 ヘスティア様を見ると忘れてしまうが、神の中には悪神などと呼ばれる神徳のないような神や、戦いや殺戮を好む神が存在している。それは、前世のギリシャ神話における伝承に限らず、今世でも下界に降りてきている神の中にいることは明らかだ。

 

 そんな神に目をつけられれば、零細ファミリアであるヘスティアファミリアなど太刀打ちできるはずもなく、後ろ盾になるものもないため、あっという間に潰されるのがオチだ。

 

 「分かりました。魔導書(グリモア)作製スキルについては、余程のことがない限り使わないことにします。」

 

 こんな話を小さくない声で、そして廃教会でしている手前、誰かに聞こえていないことを祈るしかないだろう。防音についてはお世辞にもできているとは言えない。

 

 「それじゃあ魔導書(グリモア)作製スキルについてはこれくらいにしておこう! 次に君の一つ目のスキル、海王帝(カイオーガ)についてなんだけど・・・ このスキルに関して君の率直な意見を教えて欲しい。君はこのスキルが発現したことに心当たりはあるかい?」

 

 「いいえ、(今世では)心当たりはありません。」

 

 このスキルの発現理由として考えられるのは、私の前世での願望、「カイオーガになりたい」という願いを持っていたことだろう。

 

 「嘘は言っていないみたいだね。でも君の過去について何かあったことは事実なんだ。無理に聞いたりはしないから、君の話したくなったときに君の過去について教えてくれないかい?勿論、話したくない過去があるなら話さなくても良い。」

 

 今世については、物心ついた頃から色々なことがあった。楽しいことじゃなく苦しく辛いことが多々あった。このことについては、まだ自分の胸の内に秘めていてもいいだろう。

 

 「分かりました。私が話したくなったときに私の過去をお話しします。」

 

 「うん!それでいい!自慢じゃないけど、僕は人を見る目はあるつもりだからね!関わった時間は短いけれど、ウミ君、君が悪い子じゃないことは言動や雰囲気でなんとなく分かる!だからウミ君、君は他人に迷惑をかけない程度に君の好きなことをすれば良い!君はもう自由だ!冒険者になってダンジョン探索してもいいし、他の道を目指すのも良い!君自身の欲求がこれから、ヘスティアファミリアのウミ君としての人生を形作るんだ!」

 

 確かにウミ=キオーグルとしての人生は、私にしか決められないこのスキルも今の私自身を形作るものだ。素直に受け入れるしかないのだろう。

 

 万が一私が原因になり、ヘスティア様や私、後々増えるであろう新たな眷属が危機に陥るようなら、それに対抗するだけの力を手に入れれば良い。

 

 (なんだ・・・簡単なことじゃないか。)

 

 今の私のしたいこと、それはヘスティアファミリアを守ること。そして、悔いの残らない人生を送ること。どうやらやっと今世での私の欲求が生まれたようだ。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「さて話を戻すけど、君の一つ目のスキル海王帝(カイオーガ)についてだ。このスキルも僕や信頼のおける人以外には話さない方がいいと思うよ。まず成長補正についてだ。おそらく経験値(エクセリア)取得の際に成長する基本アビリティに補正がかかるのだと思う。つまり、他の人よりステータスが成長するのが早くなると考えていいと思う。」

 

 成長速度が上がる。つまりこのスキルも他の冒険者からの嫉妬の対象になると言えるだろう。

 

 「さらに流水操作、そして水の生成。これは、精神力(マインド)や詠唱といった代償や必要な行為を無視して行使できると思う。そうならば何の制約もなしに高圧水流などを起こしたりすることが可能だ。

 人から見れば、無詠唱で何度も魔法を放っていると解釈されると思う。君がこのスキルを使うことがあるのならば、魔法を使っていると見せかけて使うべきだと僕は思う。」

 

 確かにヘスティア様の言う通りだ。下界での魔法は詠唱をすることを前提としている。稀に詠唱の必要ない速攻魔法の使い手が存在するが、緊急時以外、嘘でも詠唱をした方が魔法を使用していると誤認させることができるだろう。

 

 「まぁ、そこは君の裁量に任せるよ。二つ目のスキルについては、異常と見られるかもしれないけどあくまでスキルの範囲に収まっている筈だ。君のステータスについて注意すべき点はこんなところかな?」

 

 どうやらヘスティア様からの私のステータスに対する言い聞かせは終わったようだ。これを踏まえて私が自分自身に感じたことだが、

 

 (いや、ヘスティア様からしたら爆弾抱えてると考えていいんじゃ・・・)

 

 と思うほどに私のステータスの露見は、ファミリアを窮地に立たせるものである可能性が高いと言えることだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




評価に色がついていて驚きました。
矛盾点とかありましたら教えてください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。