日間ランキング載っていたり、お気に入り登録者が増加したりと驚くことがたくさんありました。
忙しくなるので亀更新になるかもしれません。ご了承下さい。
私のステータスがヘスティアファミリアにとって爆弾そのものと分かったその日は何事もなくホームでゆっくりと過ごした。
とりあえず、当面の間は栄養不足の身体をなんとかすることと鍛えることを第一にして生活していく方針だ。あとは、並行してスキルの使用感等も身につけておきたい。
チートスキルがあるからと言って、何の準備もなくダンジョンに潜ることなど言語道断だ。ダンジョンとは魔窟。いつ、どこで、何が起きるか分かるものではない。
今後の方針についてはヘスティア様も納得してくれた。というより、
「当たり前だよ!その身体つきでダンジョンなんて、それこそソロでなんて第一階層だけって条件つけてもダメだからね!」
というように、元からダンジョンに潜る許可を与えることをしないと決めていたようだった。
「いくら君のスキルが強いからと言っても、君は一人のヒューマンの女の子だ。それこそゴブリンやコボルトといった弱いモンスターにも攻撃されれば命を落としかねないからね。君も僕も、自分の力を過信しないことがこれから先の生活において重要になってくると思う。」
確かにヘスティア様のいう通りだ。
LV2以上の冒険者がおいそれと出現しない要因は、危機感や警戒心と言った自己防衛に関する行動や心持ちが足りておらず、命を落とす冒険者がいるということが理由の一つになっていると予想できる。
「いいかいウミ君!君がこれからダンジョンに潜る時に限らず、この拠点を出る時には、僕にどこに出かけるのか、何時頃までに戻ってくるのかちゃんと伝えてから出かけるんだぞ!」
流石に過保護すぎるのではと思ったが、ここは科学が発達していた日本とは違う。
ガネーシャファミリアがオラリオの風紀や安全性をある程度取り締まっているとはいえ、四六時中監視されるような世界ではない。要はバレなきゃ犯罪ではない。盗みや殺人など、何をやろうがバレなきゃいいのだ。
(だけど、毎日出かける時はヘスティア様に連絡するって私は小学生ではないのだけれど・・・ ヘスティア様は私の保護者か!)
そう思うと同時にそこまで間違ってないのでは?と思ってしまう自分がいた。
「あとはそうだね、ダンジョンに潜るのなら一つだけ僕に誓って欲しいことがあるんだ。」
今までヘスティア様が言ったことは、約束なのだろう。最悪破ってしまったとしても問題がなければ構わないといったものだ。
「どんな姿になっても必ず僕のもとに生きて帰ってくるんだ。僕は家族を失いたくはない。それは君に限らずこの先増えるであろう眷属にも同じことを言う。」
ああ、やはりヘスティア様は、自分のことよりも他人、それこそ自分にとって大切な存在ほど優先してしまう神なのだろう。
「これだけは必ず守って欲しい。ウミ君、僕を一人にしないでおくれよ?」
いつにもまして真剣な表情でヘスティア様はそう言った。
「分かりました。たとえ腕がちぎられようと、足がなくなろうと必ずヘスティア様のもとに戻ってくることを約束します。」
この神は、「失う」と言うことに対してひどく臆病なのだろう。悠久の時を生きる神と言う存在。その中で人間が生きる時間などとても些細なものだ。
だが、娯楽というものを求めて下界に降りてきた神からすれば、この生活の一瞬一瞬が濃い日常であることは間違いない。その中で自分の
それも団員が私しかいないヘスティアファミリアの主神であるヘスティア様から見れば、数少ない繋がりがなくなるわけだ。
ヘスティア様はとても優しい神だ。ファミリアを運営していく身としては耐えられるかどうかわからない。それこそ引きこもってしまうことも予想できる。
「うむ!分かればよろしい!今言ったことが、ヘスティアファミリアにおいて最低限守って欲しいことかな!あとは君の自由だよウミ君。」
本当に制約の範囲が狭いと感じさせられる。
(まぁ、団員は私一人なのだから制約なんて今作ってもしょうがないか・・・)
そう思うことにしておこう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
何度も思うが、ヘスティア様は本当に神徳のおるお方だ。優先すべきは常にファミリアと自分の
そんなことを考えているうちに疑問に思ったことがある。
(何故ここまで良い神様のファミリアの団員が私一人なのだろう。)
ヘスティア様はお世辞を言うまでもなく可愛い。美女と言うには似合わないが美少女と表現することができるほどには容姿が整っている。相手を魅了する美しさではないが、人を惹きつけるような美しさを持っていると言えよう。
加えて、神徳もあり寛容な心も持っておられる。また、自称ではあるが人を見る目を備えていると言っている。
話をしている限り、洞察力や危機回避能力も流石神と言わしめるものを持っていると言える。
では何故ヘスティア様のファミリアに入ろうという人々が今までいなかったのだろうか。
天界から降りてきた神の中では新参者に分類されるヘスティア様だがファミリアを立ち上げるような時間は十分経過している。
ゼウスやヘラといった有名な神々に比べれば、ネームバリューは多少劣ることは間違いないが、それでもファミリアを結成するには十分他で補えていると言える。
(では、何故ヘスティアファミリアに入ろうという人は今までいなかったのだろう。)
私のこの疑問はすぐに解決することとなる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さてウミ君、君の歓迎会でもしたいところだけど生憎このファミリアは貧乏だ。勿論蓄えなんてない。」
妥当であろう。廃教会を本拠地にしていることから薄々気づいてはいたが、お金はほとんどないようだ。
どうやらヘスティア様もその日暮らしをする日々を送っているらしい。
(あれ?ってことは前の生活とあまり変わらない?)
そんなことを思ってしまう自分がいた。
「というわけで今日はもう夕飯食べて寝ようか!明日のことは明日の自分に任せればいいさ!」
そういってヘスティア様はじゃが丸君を差し出した。この街にはコアなじゃが丸君ファンが何人か存在しているがヘスティア様はどうなのだろうか。
「ヘスティア様はじゃが丸君が好きなのですか?」
「嫌いじゃないぜ?このじゃが丸君のことかい?僕はじゃが丸君を売る屋台でアルバイトをしていてね?最近始めたんだけど悪くない仕事だよ!これはそこで買ったものさ!」
どうやらじゃが丸君に関するアルバイトをしていたらしい。最近始めたと聞いたが、それまではどうやって暮らしていたのだろう。
眷属のいないヘスティア様にとってお金を稼ぐにあたって使うことができるものと言えば自分くらいだ。つまり必然的に仕事をするしかない。
「最近始めたと聞きましたが、このお仕事を始める前までは別の仕事をしていたのですか?」
そう、私は自然と聞いてしまったのだ。
「え、えっとだね。この仕事を始める前は・・・ そう!ヘファイストスのところでアルバイトをしていたんだよ!」
ヘスティア様にしては歯切れが悪い。もしかしなくても仕事をしていなかったのではないだろうか?
「ヘスティア様、怒ったりしないので本当のことを教えてくれませんか?」
「ぐぬぬぬ、ウミ君にはお見通しってわけかい・・・分かったよ、本当のことを言うよ。えっとだね・・・」
どうやら本当のことを教えてくれるらしい。しかし言い淀んでいるが私に対して後ろめたいことなのだろうか。
「ヘファイストス、神友のところで働かずに自堕落な生活を送っていたんだ!自分のファミリアを作ることもしないでゴロゴロしていたよ。そうしたらヘファイストスに追い出されてね?この教会とじゃが丸君の屋台のアルバイトを斡旋してくれたってわけさ。」
ヘスティア様の本性の一部を垣間見た気がする。どうやらヘスティア様は、私が思う以上に怠惰な神様だったようだ。
「軽蔑したかい?ウミ君、このファミリアの団員が君しかいないのは、僕の怠慢以外の何物でもないよ。僕がファミリア結成や運営に対して何の努力もしていなかったからだ。」
どうやらこの状況はヘスティア様の怠惰な生活が招いた結果であるらしい。だが私は、ヘスティア様に対してどこか安心すると同時に嬉しさを感じていた。
人間には完璧な存在などいないと私は考えている。何をもって完璧というかは個人の裁量次第だが、運動、学力、仕事、協調力、洞察力、容姿、性格など色々なものがその評価に使われる。
これらが整っていればいるほどその存在は高みにあるとされ、常人では近づきづらいと思うこともあるだろう。
前世の世界でも、宗教というものがあった。種類は多々あったが一つだけ共通する点が存在していた。
それは神という存在が絶対であり、信者はその存在を崇めていることだった。
何故人々は神を信仰するのか。それは神が人々に対して絶対的、そして完璧な存在であるからではないだろうか。
神と人は並び立つはずがない。前世の世界では神を信仰するものであるなら誰しもが考えていた。
だが、この世界ではどうだ。神という概念や性質は前世の世界とは違うかもしれない。
対等ではないが、神は人と並び立つ存在として認知されていると言える。
私から見れば、ヘスティア様はその中でも完璧に近い存在と言える。いや、完璧に近い存在だったと言える。
今のファミリアの惨状の理由を知るまでは、私の中ではヘスティア様は完璧な存在だった。前世において存在したなら信仰しない理由がないほどの存在だったと言える。
だが、そんなヘスティア様にも欠点が存在することを知った。それまでも、神にしては関わりやすそうな存在という認識だったが、一気に関わりやすい存在という認識に変わった。
「いいえ、むしろヘスティア様にもそんな一面があることに安心しましたよ!私の中でのヘスティア様の印象が完璧すぎたので、それくらいの短所がないと変に萎縮してしまいそうだったというか、何というか・・・。ともかく軽蔑なんてしないので安心してください!」
私がそう言うと、ヘスティア様は満面の笑顔になり
「むふふふ!ウミ君も良いことを言うじゃないか!そうだよね!僕だってこれくらいの短所くらいあったっていいじゃないかと思うんだよ!つまり僕の怠惰だって僕の個性だ!矯正する必要はないよね!」
と言うのだった。だけどヘスティア様、その怠惰な行動で今の惨状を引き起こしているのを忘れないで欲しいです。
「でもヘスティア様、その怠惰な行動で他人を巻き込むことはしないでくださいね。後でお世話になったヘファイストス様にも謝罪と感謝を伝えに行った方がいいですよ。」
「わかっているさ!ある程度生活が軌道になったら君のことも紹介しに行くからね!」
といい微笑むのだった。
(守りたい、この笑顔。)
そう思ってしまった私は悪くない。
そうしてヘスティアファミリア入団初日は過ぎていくのだった。
ダンまちで好きなキャラは、リューさんとヘスティア様です。