少し、修正させてもらいました
9月6日の段階でアンケート結果
『今後の方針で、しのぶちゃんvs幻影旅団を書こうと考えます。 原作では、蜘の鬼の人とやり合ってましたので、誰とやり合わせるかをアンケート取らせてもらいます。」
ヒソカ 5
マチ 14
ノブナガ44
なので、ノブナガの方針で行かせてもらいます。
二次試験会場は、あの場からおよそ5kmの所であった。しのぶの『円』を持ってしても届かない距離‥それでも彼女は迷わず二次試験会場へと向かったいた。彼女の『円』は、他の受験者の足跡を捉え、最短距離で木の枝を飛び乗り森林をかけて行った。
目印ではないが、いく先々でヒソカに返り打ちにあった獣たちが道標となっていた。
「本当にこっちで合っているのか?」
「こちらにヒソカさんも含めてですが、人が通り過ぎた痕跡が見られます。‥(索敵範囲、『円』の言葉言わない方が良いのでしょうね)」
下からのクラピカの質問に、周囲を指差しながら痕跡の有無を指し示す。
周囲には一撃で斬り殺されている動物の死体が点々と残されていた。
「しのぶさんの言う通りだよ。それにレオリオが付けてる香水もこの方角から直って来てるしね!」
「‥(どんな嗅覚だ!)」
「ゴン君は、鼻が良いのですね」
ゴンの人ならざる嗅覚に驚きの表情を浮かべるクラピカ。しのぶは、鼻の角ある男の子を思い出しながら思わず口角を上げてしまう。
そしてゴンに目を向けると、ずっと何かを考えている様子で俯いている。
「大丈夫か? ゴン」
「うん……。ねぇ、ヒソカが言ってた合格ってどういう意味だと思う?」
ゴンはヒソカに言われた合格という言葉がずっと引っかかっていた。
「奴は試験官ごっこと言っていた。つまりヒソカは我々を審査していたのさ」
「どうやって? だって俺はただ顔を見られただけだよ?」
「ゴン君は、その前に一撃入れているでしょ? レオリオくんは己のプライドをかけてヒソカに挑みました。まぁ‥流石に無謀過ぎましたので力尽くで止めさせてもらいましたが。 ゴン君はわざわざ戻ってきて、しかも見事な一撃を入れてましたからね。」
しばらく走っていると大きな建物のある場所についた。他の受験生たちもいる。間に合ったようだ。
「良かった。間に合ったみたいだね」
「どうやらそのようだな」
「170人ほどまで減りましたね。‥(サトツさんは木の上、ヒソカさんは‥針人間のお隣ですかね? レオリオ君は何処に‥?)」
「う、ぐ、いてて、あれ? 俺はなんでこんな……?」
「目を覚ましましたねレオリオ君。何があったのか貴方でも覚えてありますか?」
さりげなく酷いこと言う、しのぶだが気がつかないレオリオ。
「湿原に入った所までなら覚えているんだがなぁ‥てか‥ここ、どこだ? 俺の顔はどうなってたんだ?」
「‥‥問題ない!いつもどうりだ!」
レオリオの顔を見て、疑問なく言い切るクラピカ
「おい!よく見ろ!」
「見惚れはしませんが、厳ついお顔で良いとカッコいいと思いますよ!マニアックな女子に好まれる事、必見です!」
声を張り、右頬を指差すレオリオの手を両手で包むように浮き足立つような言葉を軽やかに並べる和やかなしのぶ。レオリオも『お、おう‥そんなにか?」あと、満更でもない笑みを浮かべ騙される。一歩下がって、控えていたクラピカとゴンは‥
「言わない方がいいな」
「うん」
2つの意味で思いだすまで言わないことにした2人であった。
ヌメーレ湿原を抜けた所にある『ビスカ森林公園』。
ここが二次試験会場である。
サトツの後をしっかりと付いてきていた受験者達は、公園内にある倉庫のような建物の前で集まっていた。
一次試験を終えたサトツは、二次試験の様子が気になったので高い木の上に上って様子を見ることにしていた。
「‥(今年の受験生は豊作ですなぁ。特に毛先が紫色の彼女は、『円』の広さが桁外れでした。1方向にのみ伸ばせば"3㎞"には達するほどの広さ。そして『纒』『練』『流』と強さと精度。おそらく『放出系』の能力でないと、ここまでの広さは作らないでしょう。いや、『放出系』でいたとしても、何らかの制約を持ちいらなければ‥)」
純粋にしのぶの技量に舌を巻くサトツ。彼女の『円』は、どこまでも透き通るようなインディゴ色のオーラ。色素は薄く見えるが、そのオーラの密度‥純度は、サトツが知る限りではトップクラス。薄く広げられた『円』のオーラは『凝』を用いても、熟練のハンターでなければ見抜けないレベルの『隠』も施されている。サトツは、試験官があの癖のある彼女でなければ確実にハンターになっていただろうと確信している。
「‥(さて、あの者達がメンチとブハラの試験にどう立ち向かうのか。楽しみですな)」
サトツは内心ワクワクしながら、気配を消して忍び続ける。
無事に会場に着いたしのぶたちは建物の前に留まっている受験者達に首を傾げる。
「なんで皆入らないの?」
「12時からなんだと。なんか中から唸り声がするけど……まぁ、待つしかないんだろうな」
「‥時間はまもなく12時、建物内からは、『グルグル』とお腹のなる音もしますね。‥‥(『円』で見たところ、お腹を鳴らしているのは巨漢の男。女性の方は特に何もですね。もしかしたら今回の課題は‥)」
『円』の範囲を更に広げるしのぶ。周囲の森にも多くの動物、カエル、ワニ、猪、鳥など、とてもではないが把握しきれない。巨漢の男は、特に何もないが、女性の腰には、いくつかの刃物、おそらく包丁‥そして、建物の中には調理器具の数々。
「‥(この湿原で狩をする事になりそうですね。地形と食べられる動植物を予め洗い出しておきましょう。水辺もありますので、魚も課題に入るかも)」
そして、時計が12時を示す。
それと同時に扉が開き、受験者達が身構える。
扉が完全に開き中にいたのは……足を組んでソファに座る勝気そうな女性と、その後ろで床に座っている3m近くの巨漢。
唸り声の正体は巨漢の腹から鳴り響く音だった。
その事実に受験生達は呆気に取られ、リアクションに困る。
そんな受験生の様子を無視して、試験官と思われる男女は話し始める。
「どお? お腹は大分空いてきた?」
「聞いての通り、もーペコペコだよ」
「そんなわけで二次試験は『料理』よ!! 美食ハンターのあたし達2人を満足させる食事を用意して頂戴!」
料理と言う言葉に受験者達は更なる戸惑いを浮かべる。
まさかハンター試験で料理を作らされるとは思ってもいなかったのだ。
「‥(美食ハンターとは? まぁ要するに食通という事でしょうね。柱になってからは、台所に立つ事は減りましたが‥私は次女でしたからね。跡取りでなく、嫁ぐ側でしたから、料理には自信があります。これは好奇では?)」
「まずは俺、ブハラの指定する料理を作ってもらい――」
「そこで合格した者だけがあたし、私!メンチの指定する料理を作れるってわけよ。つまり、あたし達2人が美味しいと言えば晴れて二次試験合格! 試験はあたし達が満腹になった時点で終了よ」
メンチの説明に全員が険しい顔をする。
ブハラはともかく、メンチは人並みにしか食べられそうにない。メニューによっては10人以下にまで減る可能性がある。
その事実に受験生達の緊張感は嫌でも高まっていく。
「俺が指名するメニューは……『豚の丸焼き』!! 俺の大好物!!」
告げられた料理名にどよめく受験者達。
しのぶは、透かさず『円』の中にいる猪を捕捉。
「森林公園に生息する豚なら、種類は自由だよ」
「‥(猪かと思っていましたが、豚さんでしたから。では今のうちに‥
しのぶは、『円』を自身の能力領域にするために手術室を展開。
「それじゃあ、二次試験スタート!!」
開始と同時にしのぶ以外は、一斉に森に向かって走り出す。
「‥(
ドーム状のサークルを発生させる。『円』内では、あるもの全てを切る・付ける・動かす・交換する・調べるなど、文字通り「執刀医」となることができる。また、能力者自身の力量の向上によって、サークルの範囲が拡大するようである。
刀が届いてなくとも、サークル内の太刀筋に入ったものを全て斬る。
切断面はどこにでも接合し、元に戻ることも可能。生物を斬った場合、物理的には両断されるが、出血も痛みも無く、切断された部位の感覚にも影響はない。そして、動くことも可能。
『円』内部の物体を、自在に別のものと入れ替える。
自身の体を入れ替えての瞬間移動や、実体のない人格の交換も可能である。
相手の体に触れ、電気ショックを与える。
しのぶちゃんのは、キルアの『電掌(イズツシ)』の約5倍の電圧
メス ※ONE PIECE
内臓を生きたまま、抜き取る。抜き取られた内臓は立方体状のROOMに閉じ込められる。
抜き取られた後も内臓としての機能は死なず、抜かれた本体も活動自体に支障は来さない。
しかし外的刺激はダイレクトに受けてしまい、内臓が傷付けられれば本体も相応のダメージを受ける。
『円』内部の物体を浮き上がらせて、操る。
この技自体に直接的な攻撃力は無いが、『アンピュテート』で切り分けた物体を飛ばす、地下から岩を隆起させて相手を突き上げる、飛び道具の軌道を変更して相手側に送り返すなど、攻守のどちらにおいてもいくらでも応用が利く。
しのぶは、ROOM内の『豚』とヒソカから掠めた『トランプ』の位置をシャンブルズで入れ替え、目の前に『豚』を誘き寄せる。 引き寄せられた『豚』は、何が起こったのか分からず忙しなく当たりを見渡す。 空きだらけの『豚』に優しく触れ、カウンターショック‥電撃を浴びせ絶命。 メスで『豚』を切り開かずに内臓などを抜き取り、抜き取った内臓とその辺の太い木の枝を入れ替え、串刺し。
「さて、"切断"して、火を起こして焼いてしまいましょう。‥(
タクトで『円』内部にある薪になりそうな木の枝で櫓を組み、豚を焼く準備を済ませる。 一緒に集めた落ち葉に電撃を浴びせ火を起こし、豚を焼いていく。この時、アンピュテートで既に皮と肉、更に豚を等間隔で切り分ける事によりムラなく、スムーズに焼くことができたのである。 結果、しのぶは、他の者たちが帰ってきた頃には合格して木の上でサトツと雑談していた所を何人かの受験生に見られたのは言うまでもないことである。
◇◇◇
その頃、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオはと言うと‥‥
「しかし、簡単な料理で安心したぜ!」
「豚捕まえて焼くだけだもんね」
「しかし、早く捕まえねば。あの体格とはいえ食べる量には限界があるはずだ」
「豚だぜ? とっとと捕まえて合格しちまおうぜ!」
「そう言えば、しのぶさんは?」
「「「……」」」
ゴンに言われ、辺りを見渡すと、しのぶではなく‥豚のような顔の異臭を放つ人(トンパ)を見かけるのみ ※1話目を読んだ方は、分かると思います。
「彼女なら大事ないだろう」
「どうして?」
「なんで?」
クラピカの確信した物言いに首を傾げるゴンとキルア。
「一次試験であのヒソカに気づかれる事なく背後を取り、奴の獲物(トランプ)を奪い取るほどの実力だぞ?」
「「マジかよ……」」
「そんな彼女が豚なんかに遅れを取るとは思えない。むしろ既に調理をし始めていることすら考えられる。」※この時、既に焼き終わっています。
妙にキルアとレオリオの反応が一致してしまうも、特に言い争うことも無かった。
「とりあえず豚を見つけないと! 話はそれからだよ!」
「そ、そうだな!」
ゴンの言葉に復活したレオリオ達は豚を探す。
「あ」
「豚だ!!!」
ゴンが小さく声を上げて、レオリオは顔を引きつかせる。
坂を滑り降りたところに豚の群れはいた。
体長3mほどの巨大な豚。鼻は大きく、先が角のように飛び出ている。口元には牙が見えており、獰猛さが窺える。
グレイトスタンプ。世界一凶暴な豚と言われ、巨大な鼻で獲物を圧し潰して食らうビスカ森林公園唯一の豚である。
レオリオの声で、グレイトスタンプ達がギラン!と睨みつけてきた。
「大声を出すな馬鹿者!」
「う、うるせぇ!!」
『ブオオオオオオオ!!!』
「うおおお!?」
大声を出したレオリオにクラピカも大声で突っ込む。息ぴったりな2人にグレイトスタンプ達が一斉に叫んで猛烈な勢いで突進を仕掛けてきた。 ゴンは、高く跳躍し釣り竿をグレイトスタンプの額に叩き込む。 グレイトスタンプは倒れて動きを止める。 その様子を見たクラピカとレオリオもグレイトスタンプの倒し方を把握する。
「こいつら、頭部が弱点か!」
「巨大で硬い鼻は脆い額をガードするための進化というわけだ」
クラピカやレオリオも見事にグレイトスタンプを倒すと、鳴き声や音にひかれてキルアや忍など他の受験者も現れた。
「お~、でっけー豚」
「こいつなら試験官も満足できそうだな!」
「キルア! 額が弱点だよ!」
「サンキュー」
ゴンがキルアに向かって弱点を伝えるが、もちろん他の受験者にもバッチリ届く。
ゴン達は、グレイトスタンプを担ぎ会場の手頃な広い所で調理を始める。
と言っても、丸焼きなのでほとんど手間はかからない。
なので、数十分後には、ブハラの前に大量の豚の丸焼きが積み重ねられるのであった。
「うひゃ~!」
「あらま、あの子が早すぎただけなのね。大漁だこと。ちょっと舐めてたわ」
メンチは目を開いて、積み重ねられた豚の丸焼きを見上げる。
ブハラはもう我慢出来ないとばかりに早速2頭目に齧り付き、あっという間に骨だけになる。
ガツガツ。
「うん、美味い美味い」
ムシャムシャ。
「お。これも美味い」
ボリボリ。
「これも美味」
と、全く勢い劣ることなく食べ続け、なんと用意された豚の丸焼き70頭全て食べ切った。
最後の1頭が骨に変わり、ブハラが遠慮なくゲップをして満足そうに服がはだけるほど膨れ上がった腹を撫でる。
「あ~、食った食った。もうお腹いっぱい」
メンチがいつの間にか横に置いていた銅鑼をおもいっきり叩く。
「しゅ~りょ~!」
受験者達は本当に70頭全て食べ切ったブハラの胃袋に慄くか、呆れるしか出来なかった。
クラピカは明らかに食べた体積の方が多いことに真剣に悩んでいた。
それはメンチも同様だったようで、呆れたようにブハラを見上げる。
「あんたねー、結局食べた豚全部美味しかったって言うの? 審査になんないじゃないのよ」
「まー、最初に持ってきた彼女は、別格だったけど、いいじゃん。それなりに人数は絞れたし。細かい味を審査する試験じゃないしさー」
「確かにあの子の焼き加減は絶妙だったけど‥甘いわねー、あんた。美食ハンターたる者、自分の味覚には正直に生きなきゃだめよ。まぁ、仕方ないわね」
メンチは再び銅鑼を鳴らす。
「豚の丸焼き料理審査! 70名が通過!! で、次はあたしの試験よ!」
どんな料理名を告げられるのかと受験生達はゴクリと唾をのむ。
今回はブハラと違って、作った料理全て食べられるとは思えない。つまり、早い者勝ちになる可能性が高い。
「‥(彼女の審査は、厳しそうですね。私の知っている料理である事を祈るしかありませんね)それでは、次の試験ですので‥サトツさん。お話に付き合っていただきありがとうございました。」
手を振るサトツに軽く会釈し、ゴン達の元へと降り立つしのぶ。
「あたしはブハラと違って辛党よ! 審査も厳しくいくわよー。じゃあ、二次試験後半、あたしのメニューは……『スシ』よ!!」
告げられた料理名に受験者達は本日何度目かの困惑を露わにする。
困惑する理由の多くは、初めて聞く料理名に想像が出来ないからだ。
想像出来ない料理を作るのは難しいなんてレベルではない。
「ふふん♪ 大分困ってるわね。ま、知らないのも無理ないわ。小さな島国の民族料理だからね」
しのぶの生きた世界では、寿司が料理と認知された時代が『江戸時代』 彼女の生きた時代が『大正』であるため、彼女も作らなくはない。ただプロの寿司職人と比べるとどうしても、一歩も二歩も遅れてしまうのが寿司の世界。
※間違ってたらすみません。
「ヒントは建物の中の調理場よ! 最低限必要な道具と材料は揃えてあるし、スシに必要なゴハンはこちらで用意してあげたわ」
メンチは説明を続きながら、建物の中に入る。
「そして、最大のヒント!! スシはスシでも、ニギリズシしか認めないわよ!! あたしがお腹いっぱいになるまでなら、何個作って来てもいいわよ!」
「‥(ニギリですか‥ならアレをネタにしてみましょう。)」
ニギリズシという名前を聞いた瞬間、周りを無視して、しのぶは周りにバレないように森の中へと身を潜めた。
「‥‥この解毒草と‥‥毒ヘビ、それと椿の種子を寿司ネタにしてみましょう♫」
創作寿司のネタを集めた、しのぶが調理手順を考えている時‥
「魚ぁ!? お前、ここは森の中だぜ!?」
「声がデカい!!」
レオリオとクラピカの声が響き渡った。
その瞬間、受験生達が外に走り出していく。
「あらあら」
場にそぐわない雰囲気で他の受験生を見送るしのぶ。その表情は、笑顔で今現在が試験でなければ多くの男どもが足を止めたであろう。
「まずは、解毒草に電撃を流して水だけを電気分解。 乾燥した解毒草を細かく微塵切りにして、使う分だけの酢飯に混ぜる。 次にヘビですが、まず頭を切り落とし、切り落とした所から皮と内臓を剥ぎ取る。流水で血と膜を洗い流します。ハモを開く要領で開いておっきな骨を取り除きます。寿司ネタサイズにぶつ切りにして、下処理完了ですね。 椿の種を電気分解、油を抽出し、ぶつ切りにしたヘビを高温で一気に揚げる。」
他の受験生が出て行ってから10分ほど経過、『ジュワァァァア』と、高温で揚げられる良い音がメンチとブハラの食欲を刺激する。
「寿司に揚げ物は無かったと思うんだけど‥‥」
ブハラはメンチのウキウキした様子を見て不安を覚え始めていた。ヘビの素揚げ、油から上がったヘビの肉は、見るからにカリッと香ばしく上がっており、それだけでも食欲をそそる。それをしっかりと油を切ったのちに、しのぶ特製の解毒草の酢飯を使い、『毒ヘビの握り寿司』を速やかに仕上げていく。
30分ほどすると徐々に受験者達が戻り始め、調理を始める。
と言っても、ニギリズシの形が分からないので、どう捌いていいか分からずに魚を睨みつけることしか出来ないなか‥‥
「悩んでるわね~」
「そりゃそうだと思うよ?」
「ヒントは十分出してるじゃない」
「まぁ、そうだけどさ」
メンチの言うヒントとは自分の目の前に置かれているテーブルである。
テーブルの上には茶色の液体が入った小皿と箸が置かれている。
これらと『ニギリズシ』、『個』という言い方、そして用意された調味料や調理器具を合わせれば、何となくの形は見えてくるはずだとメンチは思っていた。
「お待たせしました」
「待ってたわぁ!」
見た目は、『握り寿司』しかし、そのネタは『ヘビ』。メンチも分かっているうえで、その『創作寿司』を箸にとり一口。
「‥」
「‥‥」
沈黙を襲う2人の間‥すると後ろから
「出来たぜ! 俺が完成第一号だ!」
と、意気揚々と持ってきたレオリオが持ってきたのは、生きた魚をそのまま酢飯で固めただけのものだった。
「残念ながら、私が第一号ですよ?レオリオさん。‥‥(面白い百面相ですね。将来は芸者さんですかね(笑)?)」
「な!なにぃぃぃ?!?!」
どう見ても、しのぶの方が先に審査を受けているのに何をどう見たら自分が1番だと名乗れるのか不思議に思うレオリオと面識のある者達。しのぶは、レオリオに『善逸』と似たような一面を見た気がした。あくまでも気がしただけである。
「‥(これは、毒ヘビ? 毒が口の中を刺激して、ブランデーのような喉を焼くような熱を感じるわね。 その熱を酢飯に混ぜた乾燥した草‥藤の花? これも毒じゃない! でも、2つの毒が毒としての殺傷力を互いを打ち消し合っている? 更に2つの個性的な刺激物を椿油と酢飯でまとめ上げている。 面白い組み合わせね。 寿司を握る技術は無いものの、毒に精通していないと出来ない調理法で帳消しにした)350番‥合格!」※当然、作者は『毒』について知りません。
「ありがとうございます」
レオリオの目の前で合格を言い渡されたしのぶ。彼女も淡白に応えて、次のレオリオに場を譲るべく脇へと逸れる。
「マジか!ねぇちゃん!これは、俺も負けてらんねぇな!これがレオリオスペシャルだ!!!」
しのぶの合格を目の前で見せられたレオリオの鼻息も荒く、声高々に料理をメンチの前にお披露目する。
しかし
「こんなもん食えるか!!」
もちろんメンチは放り投げて、レオリオを追い返す。
その後も数人、似たような料理が続いた。
「も~……まだ350番のしか食べれてないわよ! あたしを餓死させる気!? 色々ヒントあげてるのに」
地団駄を踏むメンチを無視して、ゴンは目を瞑っている彼女の元へと歩み寄り顔を覗かせる。
「ねぇ、しのぶさん。」
「どうかしましたか?ゴン君?」
「しのぶさんが合格した『ニギリズシ』について。教えて欲しくて‥教えてもらえないかなぁ?」
「流石に教えるのは、試験的に問題が有ると思いますのでヒントではダメですか?‥(試験官の視線が怖い(笑)ですね。言いませんよ(笑))」
「ほんと?!」
ッパァーっと、ゴンの、眩しい笑顔に惑わされることなく、話が聞こえたのか、こちらに睨みを効かせてくるメンチ。しのぶ本人も全部を言うつもりもなく、行き詰まってる彼に助言で止めるつもりで有る。
「私が作ったのは、『ヘビのニギリズシ』と言う"一口サイズ"の『ニギリズシ』ですよ」
「え?ヘビ?」
「一般的に知られている"魚の鱗と骨、内臓を取り除いた"物とは、異なる『創作寿司』と、言われる物です。」
「『創作寿司』?」
「はい。私は、原型となる"魚の切り身を酢飯に乗せた"『ニギリズシ』を知っていたため作ることが出来た、他の人とは異なる『ニギリズシ』です。」
「そっかぁ……」
説明の端々にジェスチャーを交え、ゴンにヒントを与える彼女。ゴンも彼女のヒントに気が付き一先ず記憶していく。記憶さえしてしまえば、クラピカやキルアなら気がつくと信じているためで有る。すると‥
「スシってのはメシを一口大の長方形に握って、その上にワサビと魚の切り身を乗せるだけのお手軽料理だろーが!! こんなもん誰が作ったって大差ねーべ!?」
忍が思いっきり調理方法を叫びながらバラし、更には審査基準に思いっきりケチをつける。 その瞬間、メンチの目つきが恐ろしく鋭くなり、雰囲気も変わる。 そして、忍の胸倉を掴み、
「ざけんな、テメー!! 鮨をまともに握れるようになるまでは10年の修行はかかるって言われてんだ!! 貴様ら素人がいくら形だけマネたって天と地ほどの差があるんだよ、ボケェ!!」
「な……だ、だったら、んなもん試験科目にすんなよ」
「っせーよ、ハゲ! 殺すぞ!! お!? あ!? 言ってんだろーが、美味しいって言わせろってな!! つまり知ってようが、その努力が見られなかったら美味しいわけねーだろ!! 料理舐めんなよ、テメー!!」
メンチの勢いに忍は完全に呑まれて黙り込み、他の受験者は聞こえた調理法を実践するのに集中していた。
「‥あらあら(これでは、ゴン君に与えた助言が意味をなしませんね。……仕方ありません) ゴン君」
明確な形を聞かされたゴンが急いで調理場に向かおうとするのを声で呼び止めるしのぶ。 ゴンも彼女の声が聞こえたのか、振り返る。こちらを呼び寄せるように手招きする彼女になんの疑いもなく歩み寄る。
「ネタバレしちゃいましたからね。私からのコソコソ大ヒントです」
ゴンの耳元に囁きかけるように声をかける彼女に少しドキッとしてしますゴン。
「‥長方形に切り分けた魚に浅く切り込みを何箇所か入れてみてください。もしかすると、それで合格できるかもしれません。まずは、自分で試してみて、合格出来たら、クラピカ君たちにも教えてあげてください。」
「うん! ありがとう!しのぶさん!」
ゴンにヒソヒソとコツを教えている最中もメンチと忍の喧嘩は続いていた。
ブハラも止める気配はない。
忍への説教が終わると、怒涛のように受験者達が料理をメンチの元に持って行く。
しかし、メンチはそれらを『握りが強すぎる』『切り方が悪い』『シャリの形がおかしい』『ゆっくり握り過ぎ』と流石に厳し過ぎる評価を続け、受験者達を追い返す。
ブハラも流石に厳しすぎると注意したが、メンチは聞く耳を持つことはなかった。
その結果‥
「まぁ‥甘いところばかりだけど、350番に教わったのかしら?隠し包丁を使ったことは及第点ね。お腹もいっぱいだし、あの子に免じて405番、おまけで合格。!」
と、言い放ったのである。
受験者達は唖然と固まっている。
「ということで、二次試験後半の合格者は2名のみ!!」
メンチの声が響き渡った会場は異様な空気に包まれる。
胡蝶しのぶ
念能力『オペオペの実』
現在、出している能力のみ
放出系‥ROOM(ルーム)※ONE PIECE
ドーム状のサークルを発生させる。『円』内では、あるもの全てを切る・付ける・動かす・交換する・調べるなど、文字通り「執刀医」となることができる。また、能力者自身の力量の向上によって、サークルの範囲が拡大するようである。
制約‥正円の『円』を展開している時のみ「円』の中でのみ使用可能。
放出・操作系‥切断(アンピュテート) ※ONE PIECE
刀が届いてなくとも、サークル内の太刀筋に入ったものを全て斬る。
切断面はどこにでも接合し、元に戻ることも可能。生物を斬った場合、物理的には両断されるが、出血も痛みも無く、切断された部位の感覚にも影響はない。そして、動くことも可能。
制約‥『ROOM』を発動中に使用可能。殺傷能力ゼロ。
放出・操作・具現化系‥シャンブルズ ※ONE PIECE
『円』内部の物体を、自在に別のものと入れ替える。
自身の体を入れ替えての瞬間移動や、実体のない人格の交換も可能である。
制約‥ 『ROOM』を発動中に使用可能。殺傷能力ゼロ。人格の交換は、己以外の生物が2体以上いなければ使用不可。
強化・変化系‥カウンターショック ※ONE PIECE
相手の体に触れ、電気ショックを与える。
しのぶちゃんのは、キルアの『電掌(イズツシ)』の約5倍の電圧
制約‥金属伝いでも、必ず触れなければならない。
放出・操作系‥メス ※ONE PIECE
内臓を生きたまま、抜き取る。抜き取られた内臓は立方体状のROOMに閉じ込められる。
抜き取られた後も内臓としての機能は死なず、抜かれた本体も活動自体に支障は来さない。
しかし外的刺激はダイレクトに受けてしまい、内臓が傷付けられれば本体も相応のダメージを受ける。
制約‥ 『ROOM』を発動中に使用可能。殺傷能力ゼロ。刃物もしくは、手刀で対象に触れなければならない。
操作系‥タクト ※ONE PIECE
『円』内部の物体を浮き上がらせて、操る。
この技自体に直接的な攻撃力は無いが、『アンピュテート』で切り分けた物体を飛ばす、地下から岩を隆起させて相手を突き上げる、飛び道具の軌道を変更して相手側に送り返すなど、攻守のどちらにおいてもいくらでも応用が利く。
制約‥ 『ROOM』を発動中に使用可能。殺傷能力ゼロ。
しのぶちゃんの横文字・カタカナをセリフに違和感がある方もおられると思います。
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伸縮自在の愛(バンジーガム)のような表記
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無理矢理、日本語表記に変える
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諦めて、原作通りの表記でいく
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読者さん!お力をm(._.)m