ウルトラマンジード×ラブライブ!サンシャイン‼︎ 輝らすぜ!群青‼︎ 作:ラブライダーMEG
「鬼が出る」と恐れられ、誰も近づかない森がある。この森のひらけた場所に小さな祠がある。その祠の前に異形の者の姿があった。時刻は午前0時をまわった頃である。
「フッフッフッフ……とうとう見つけましたよ。ここにエネルギーを送りこめば……」
月明かりに照らされ、異形の姿が明らかになる。巨大な頭に3本の触手。蛸のような姿をしている異形の正体、それは頭脳星人、チブル星人だ。その後ろから人影が現れた。
「これがお前の言っていた祠か。チブルよ」
月が雲に隠れ、辺りは暗闇に包まれた。
「おぉ、陛下……なんと嘆かわしいお姿に……しかしご安心ください、陛下。この作戦が成功すれば必要なマイナスエネルギーが集まることでしょう。そして、必ずや陛下も元のお姿に……」
チブル星人が人影にひれ伏すように頭を下げた。
「期待しているぞ、チブル」
陛下と呼ばれた人物は不敵に笑った。
「うわっ、すごいよペガさん!これ、どうやって作ったの?」
曜が感嘆の声をあげた。その視線はペガの手に握られた造花に釘付けだ。この日は星雲荘に曜、ルビィ、善子が集まり、ペガと一緒にラブライブに向けた衣装作りをしていた。それぞれのメンバーカラーの造花で新衣装を彩るのだ。
「えへへ。こういうの作るの得意なんだよね」
ペガが照れ笑いを浮かべて言った。
「そういえば曜、昨日メッセージ既読つかなかったわね。なんかあったの?」
善子が指摘すると、曜が慌ててスマホを確認する。
「え?あーーっ!気づかなかった!ごめん、善子ちゃん!」
「まぁ気づかなかっただけならいいわ。それとヨハネよ」
と、いつものように善子が訂正する。すると突然、地面が揺れた。地震だ。
「ピギィ!!」
「うわぁぁ!!」
地震に驚いたルビィとペガが悲鳴をあげて抱き合った。揺れが収まったのを確認してリクがみんなに尋ねる。
「みんな、ケガはない?」
「うん、大丈夫だよ」
曜が答えた。
「それにしても意外ね。ルビィはともかく、ペガさんも地震が苦手だなんて」
善子が部屋の隅で抱き合って震えているルビィとペガを見て言った。
「うゆ……だって、怖いんだもん……」
とルビィ。
「で、でもリクだって雷苦手だもん!」
「え?リクさんも雷苦手なの?ルビィも同じだよ!」
どさくさに紛れてリクの秘密を暴露したペガ。
「あっ、ペガ。変なこと言うなよ」
「だって事実じゃないか」
「雷が苦手だったのは昔のことだって前にも言っただろ!」
言い合いを始めてしまったリクとペガ。その間でルビィがおろおろしている。
「うゆゆゆゆゆ……け、喧嘩しないでよぉ……」
すると
「「ぷっ、あははははは!!!」」
急に2人が笑い出した。その様子に戸惑うルビィ。
「あ、あれ……?2人ともどうしたの?」
『2人は以前にも同じようなことで喧嘩したことがあるのです』*1
レムが補足を入れる。
「あの時はペガが家出したんだよな」
「リクが『僕がいなければ一人で何にもできないくせに』なんて言うからだろ?」
「ホントごめん!でもあの時はお互いに意地張っちゃって大変だったな」
リクは両手を合わせて当時のことを謝罪した。そして昔を懐かしむ。
「へぇ〜、リクさんとペガさんも喧嘩するんだ。なんだか想像できないや」
曜が驚きの声をあげた。その声に善子が突っ込む。
「曜はどうなのよ?あなたが千歌と喧嘩する姿も全然想像できないけど」
「え、私?そうだなぁ……最後に千歌ちゃんと喧嘩したのはいつだったかなぁ……?」
曜があごに手を当て自分の記憶を探っていると
「ピギャァッ!」
「はわわわ!」
ルビィとペガが再び悲鳴をあげた。
「また地震……?しかもさっきより大きい……これはただごとじゃないぞ」
リクの第六感が異変を察知していた。
「ただいま戻りましたわ、お母様。今日は地震が多いですけれど、大丈夫ですか?」
習い事を終えたダイヤが自宅の戸を開いた。
「ちょうどいいところに帰ってきましたわね、ダイヤ。あなたに大切な話があるのです。着いてきてください」
「お母……様……?」
神妙な面持ちの母親を見て、ダイヤは怪訝な顔をした。
母親に連れられ、ダイヤは鍵のかかった扉の前にやってきた。とても古いその扉は物々しい雰囲気をまとっている。
「お母様、ここに近づいてはいけないと昔から……」
そう、昔からこの扉に近づくだけで母親は厳しく叱っていた。昔は何があるのか気になっていたが、いつしかダイヤはこの扉に近づくことはおろか、考えることすらしなくなっていたのだ。
「ついにこの扉を開ける時が来たのです。本当はこんな日が来て欲しくはなかったのですが……」
そう言ってダイヤの母は鍵を開けた。黒澤家の開かずの扉が錆びた音を立てながらゆっくりと開かれた。
「うっ……!」
充満していたカビ臭さに、ダイヤが顔をしかめる。真っ暗で何も見えない。ダイヤの母は懐中電灯を取り出した。小さな光を頼りに薄暗い道を進んでいくと、1体の侍の像がダイヤの目に入ったのはだった。
「こ、これは……?」
「これは
そしてダイヤの母は黒澤家に伝わる物話を語った。
その昔、物の怪を退治して日本全国を旅する1人の侍がいた。彼の名は
「もしかして、そのお侍様をもてなした漁師というのが……?」
「そうよ、我が黒澤家の御先祖様です。そして
そう言いながら、ダイヤの母は
「『封印が解かれてしまわないように、あの森へは誰も近づけるな。そしてもし封印が解かれたのなら、拙者の刀を用いて鬼を退治せよ』と……黒澤家は
「お母様、私にお任せください」
少しの間の後、ダイヤが力強く宣言した。
「ダメよダイヤ!どれほど危険なのか分かっているの!?」
娘を危険に合わせまいとダイヤの母は引き止める。
「分かっていますわ。しかし、これが黒澤家の使命ならば……!それに、心配には及びませんわ。こんな時にとっても頼りになる方を知っています。誰にも負けない、真の勇者を!」
2人の間に沈黙が訪れる。ダイヤの母は険しい表情を浮かべていた。しかし、沈黙の間、ダイヤが母親から目を反らすことはなかった。
「そこまで言うのなら……頼みましたわよ、ダイヤ」
ダイヤの決意を認めた母はダイヤに刀を差し出した。ダイヤはそれを握りしめ、走り出した。
「リクさん!リクさんはいますか!」
血相を変えたダイヤが星雲荘に飛び込んできた。その剣幕に驚いたルビィはダイヤに駆け寄った。
「お、お姉ちゃん!?どうしたの?そんなに慌てて」
「っていうか、どうしたのよ?その刀!?」
その手に握られている女子高生には似つかわしくないものを見て、善子は目を丸くした。
「それについては追って説明しますわ。とにかくリクさん、お話を……!」
「分かったよダイヤさん。その前にゼロを、千歌ちゃんも呼んでいいかな?」
ダイヤのただならぬ様子に何かを察したのか、リクはゼロと千歌を呼ぶことを提案した。
「あっ、でも確か千歌ちゃんは……」
それを聞いて曜が何かを思い出したようだった。
梨子は自室でピアノに向かっていた。ラブライブに向けての曲作りに没頭していたのだ。
突然、窓の向こうから大きな音がした。音楽の世界に入り込んでいた梨子は現実に引き戻された。
「ち、千歌ちゃん!?何があったの!!?」
慌てて自室の窓を開け、千歌の部屋を確認する梨子。すると、とんでもない光景が彼女の目に飛び込んできた。
『リクから連絡があっただろ!?今から星雲荘に行くぞ!!』
「ダメだよ!!今日は
リクからの連絡を受け星雲荘に行こうとするゼロとそれに抗おうとする千歌。ウルティメイトブレスレットをつけた左腕に引っ張られる様子はさながらパントマイムの様だった。
『ハァ!?姉ちゃんの手伝いと平和、どっちが大事なんだよ!?』
「手伝い!怪獣なんかよりも
『千歌ァ!お前なぁ……手伝いなんて梨子にでも頼みゃいいだろうが!!』
「ダ・メ・だ・よ!だって今日は梨子ちゃん作曲してるんだよ!?」
リクの下に向かおうとするゼロとそれに抵抗する千歌。その戦いは激しさを増していた。部屋の中には物が散乱していた。
「あの……手伝いなら私がやるから……2人はリクさんのところに行ってきて?」
その様子を見かねた梨子が助け舟を出した。
『サンキュー梨子!それじゃ、千歌!行くぜ!!』
「ごめん梨子ちゃ〜〜ん」
ゼロに引っ張られ、千歌は星雲荘へ向かう。
「バカ千歌ァ!アンタ手伝いどうするの!!」
「ごめん
「コラァッ!!千歌ぁぁぁぁ!!!!!」
美渡の怒号を背中に浴びながら千歌とゼロは走り去っていった。
『よぉ、待たせたな!』
しばらくして星雲荘に千歌の身体を借りたゼロがやってきた。
「あれ?千歌ちゃん、今日は旅館の手伝いがあるって言ってなかった?」
曜が怪訝な顔をした。
『まぁ、色々あってな。手伝いは梨子に頼んできたんだ。それで、話ってなんだ?』
「今からお話しますわ。この地で何が起こったのか、そしてこれから何が起ころうとしているのか」
そう言ってダイヤは、
ダイヤの話が終わった後、静けさが星雲荘を支配していた。自分たちが暮らしているこの土地に、恐ろしい魔物が棲み付いていたこと、そしてそれが蘇ろうとしていること。その事実にショックを隠せないようだ。
「内浦にそんな伝説があったなんて……」
その沈黙を破ったのは善子だった。沼津育ちの彼女が内浦の伝説を知らないのも無理はない。
「あの森に近づくな、とは昔から聞かされてたけど、そんな秘密があったんだね」
今でこそ沼津で暮らしているが、幼い頃は千歌と果南と内浦でよく遊んでいた曜も初耳だったようだ。
「僕はその森に行ってみようと思う。ジーッとしててもドーにもならないしね」
リクが決まり文句と共に一歩前に出た。
「だったら私も行く!だって、今の私たちはウルトラマンだもん」
『千歌、すっかりたくましくなったじゃねぇか。頼りにしてるぜ!』
続いて千歌も前に出た。先日のペダニウムゼットンとの戦いで大きく成長したその姿にゼロは感銘を受けているようだ。
「千歌ちゃんが行くなら私も行く!それにこんな話を聞かされたら、じっとしていられないよ」
さらに曜も続き敬礼をした。
「堕天使ヨハネの力も貸すわよ」
親指を立てた裏ピースをキメながら善子も答えた。
「僕も行くよ!」
「いや、ペガはここに残ってくれ。レムと一緒にその伝説についてもう少し調べて欲しいんだ」
「分かった!任せて、リク!」
ペガはガッツポーズをして、リクの頼みを承諾した。それを見たダイヤはハッとして、ルビィの方を振り向いた。
「それならルビィもここに一緒に残って……」
「ルビィも一緒に森に行く!」
ダイヤが言い終わる前に、ルビィがそれを遮った。
「何を言ってるのですかルビィ!何が起こるか分からないのですよ!?」
「それはお姉ちゃんも一緒でしょ!?私だって黒澤家の人間だもん!ルビィも森へ行かなくちゃ!!」
ダイヤが声を張り上げたが、ルビィも一切譲らない。しかし、その瞳は涙さえ浮かんでいる。
「ですが……」
ルビィの剣幕にダイヤは言葉を失ってしまった。普段気が弱く臆病なルビィだが、ふと見せる芯の強さは姉のダイヤを彷彿とさせる。やはり2人は姉妹なのだ。
「そうやってお姉ちゃんはいつも自分一人で背負おうとするでしょ!?跡取りのことだって、お見合いのことだってそう!少しくらい、ルビィにも一緒に背負わせてよ……だって、姉妹なんだよ……?」
ルビィが胸の内に秘めていた想いをダイヤに打ち明けた。
名家の長女として生まれたダイヤはその身に課せられた運命を粛々と受け入れてきた。数々の習い事をして教養を身につけ、ゆくゆくは立派な婿を取り、黒澤家の跡取りを育てる。それが黒澤家に生まれたダイヤの義務であった。そして、今回の一件もその義務のうちの1つである。ダイヤはそう思っていた。もちろんその義務を果たす資格はルビィにもある。だが、気弱で臆病な妹にその義務を押し付けるくらいなら私1人が背負えばいい。
そんなダイヤの想いを知ってか知らずか、ルビィはダイヤの義務を一緒に背負いたいと言い出した。
「ルビィ……」
最愛の妹の健気な姿にダイヤはその名前を呼ぶことしかできなかった。
『お前たちを見てるとあの兄妹ウルトラマンたちを思い出すぜ……アイツらも妹のことを溺愛してたな。なぁダイヤ、守るだけじゃなくて、妹のことを信じて任せるのも姉貴の役割だと思うぜ』
かつてゼロが共闘した兄妹ウルトラマンたち。長兄である
ゼロはお互いを思い合う黒澤姉妹の姿と湊兄妹を重ねていたのだ。
「ゼロさんがそこまで言うのなら……そこまで言うのなら仕方ありませんね。本当は乗り気ではありませんが」
ダイヤは右頬のホクロを掻いた。その表情はどこか嬉し気であった。
リク、
「危ない!!」
リクが一行を静止するとほぼ同時に足元で火花が散った。リクが目線を上げ、睨みつける。その先にはアンドロイド戦闘員、チブロイドが銃口を向けていた。それも1体ではない。少なくとも10体以上はいるだろう。
『ここから先には行くなってことか……』
「待って!ここは僕が行くよ。ゼロ、みんなをお願い」
リクが
『へっ、言うようになったじゃねぇか。ここは任せたぜ、リク!』
チブロイド軍団をリクに任せ、
「さぁ、お前たちの相手はこの僕だ」
「リクさん、大丈夫かな……?」
ルビィが不安そうに呟く。
『アイツだって立派なウルトラマンだ。簡単にやられるヤツじゃねぇよ。俺たちは俺たちにやれることをする。そうだろ?』
「そうだね!がんばルビィ!」
「待ちなさい!これ以上先へは行かせませんよ」
歩みを進める
『チブロイドが出てきたからまさかとは思ったが、やはりお前の仕業だったか、チブル星人!!』
「まもなくこの地に眠る鬼が蘇るのです。邪魔はさせませんよ!」
チブル星人のセリフと同時に、大地が唸り地面が割れた。そしてチブル星人が高らかに叫ぶ。
「さぁ蘇りなさい!!
森の奥に咆哮と共に巨大な鬼が現れた。二本の角に白い毛髪。そして筋肉質の身体はその凶暴性を表すかのように赤かった。何より目を引くのはその顔だ。額に存在する大きな1つの目玉が見るものに恐怖を与える。二面鬼、
『チッ……最悪のタイミングだぜ……』
「鬼が蘇ってしまったか……!」
リクが呟く。地面には鉄くずとなったチブロイドが転がっている。最後の一体がリクの背後から迫る。が、そのチブロイドは空中で何回転もして地面に叩き付けられた。リクが振り向きざまに放った裏拳がチブロイドを捉えたからだ。そしてリクはジードライザーを構える。
「ジィィィィド!!!」
<ウルトラマンジード プリミティブ!>
リクはジードに変身すると、すかさず
ジードの目が青く輝き、両腕にエネルギーが迸る。
『レッキングバースト!!!』
必殺光線が
『へっ、ご自慢の
その様子を見ていた
「フッフッフッフ……アァハッハッハッハ!!」
しかしチブル星人は狂ったように大声で笑い出した。
『何がおかしい!』
「いや、あなた方が
『何っ!?』
その時、
爆炎が晴れる。そこには必殺光線を受けたはずの
その時、星雲荘にいるペガからの通信が入った。
『みんな、大変だ!』
『どうしたんだ?ペガ!?』
ジードがフラフラと立ち上がりながらペガの通信に答えた。
『レムと一緒に
『つまり、ダイヤが持っているその刀で、この森のどこかにある祠に行き、
ペガの言葉にレムが補足をする。
『面倒なことになったな……』
通信を聞いていた
『ダイヤ、ルビィ、曜、善子!!、ここは俺に任せろ!お前たちは祠を探してアイツの心臓をブチ抜いてこい!』
「分かりましたわ!行きましょう、みなさん!」
「うゆ!がんばルビィ!」
「気を付けてね!千歌ちゃん、ゼロさん!」
「善子じゃなくてヨハネよ、リトルデーモンゼロ。私たちに任せておきなさい」
こうして4人の少女は走り去っていった。
「この森にはまだまだたくさんのチブロイド軍団がいますよ。彼女たちは大丈夫ですかねぇ」
チブル星人が余裕たっぷりに
『さっさとお前を片付ければいいだけの話だ』
「そう簡単には行きませんよ……行けっ、チブロイド軍団!!」
チブル星人の合図で大量のチブロイドがどこからともなく現れた。
『ブラックホールが吹き荒れるぜ!!』
宇宙拳法の構えを取った
<アクロスマッシャー!>
その刀がジードを捉えることはなかった。青きスピード形態へと姿を変えたジードは真剣白刃取りの要領で刀を受け止めていた。受け止めた刀を押し返すジード。
『アトモスインパクトォォォ!!』
ガラ空きとなった
『スマッシュビームブレード!!』
ジードの右腕に光の刃が生成された。
ジードと