ウルトラマンジード×ラブライブ!サンシャイン‼︎ 輝らすぜ!群青‼︎ 作:ラブライダーMEG
私、高海千歌!浦の星女学院に通う高校2年生!スクールアイドルAqoursを結成して、学校を廃校の危機から救うために活動してるの!!だけど、実はそれだけじゃなくて……私、ウルトラマンはじめました!はじめたんだけど……
「あ〜、もうっ!せっかくウルトラマンになったのになんで怪獣が出ないの!?」
『おいおい、平和なのはいいことだろ?本当は俺たちウルトラマンの出番なんて無い方がいいんだ』
部室に響き渡った千歌の嘆きを聴いたゼロが彼女をたしなめた。
『まったく……タイガの時とはまた違った意味で苦労しそうだぜ……』
ゼロがぼやいた。"タイガ・ノゾム"……地球人としてはゼロと始めて一体化した人物だ。*1この世界とは違う世界にある"フューチャーアース"と呼ばれる地球で共に戦った。彼と出会い、共に戦ったことは、ゼロに大きな影響を与えた。
『そういえば千歌、今日はなんだか人が少ないな?どうしたんだ?』
「ダイヤさんは生徒会、鞠莉ちゃんは理事長のお仕事、梨子ちゃんは作曲、曜ちゃんは衣装作りで忙しいんだって。だから今日の練習は5人でやるんだ」
『ふ〜ん……みんな忙しいんだな』
「みんなそれぞれ頑張ってるからね!私も頑張らないと!!」
千歌が勢いよく立ち上がった。
「ピギィ!千歌ちゃん!急に立ち上がらないでよ……ビックリしちゃったよぉ……」
その勢いにルビィが飛び上がって驚いた。
「あはは、ごめんごめん」
千歌が頭を掻き、照れ笑いを浮かべて謝った。ゼロの声は千歌にしか聞こえないため、周囲からは独り言を言っているようにしか見えないのだ。
「千歌ちゃん……1人で話してるけど、ゼロさんと話してるんだよね……」
そんな千歌の姿に困惑する花丸であった。一方、善子は
「内面に潜むもう1つの人格との会話……さすがはリトルデーモンね……」
千歌とゼロに謎の称賛を送っていた。そんな善子の独り言を聞いていたゼロは千歌の身体を使って突っ込む。
『誰がリトルデーモンだ!?人を勝手に悪魔扱いしやがって!!』
「うわっ、驚かさないでよゼロ!まったく……姿は千歌そのものだから違和感しかないわね……」
荒っぽい言動をする千歌の姿に善子は調子を狂わされた。と、同時に果南が部室に入ってきた。
「さあっ、練習始めるよ!屋上に行こう!」
と、手を叩きみんなに呼びかけた。
ズシィン……!
その時、大きな地響きがした。
「なになになに!?」
千歌が走って窓を開けて外を見た。そこには全身骨のような姿をした怪獣の姿があった。
『あれは……シーボーズ!?どうしてこんなところに!?』
千歌の中でゼロが驚いた。
亡霊怪獣シーボーズ。様々な世界で倒された怪獣や宇宙人の魂が流れ着く怪獣墓場と呼ばれる場所で平穏に暮らしているはずだ。*2しかし、どういうわけかこの世界の地球に流れ着いてしまったようだ。
「よぉし、怪獣をやっつけるぞぉ!!ゼロさん!行くよ!!」
張り切っている千歌はゼロアイを呼び出すために、勢いよく左腕を前に出す。しかし、ゼロアイは現れない。
「ゼロさん、行くよ!!」
千歌がもう一度左手を前に出したが、空を切る音が虚しく響くだけだった。
「ねぇゼロさん!どうして変身しないの!?」
『……なぁ千歌、お前はどうして戦うんだ……?』
「……え?」
ゼロの問いに千歌は呆けた顔で聞き返した。
<ウルトラマンジード プリミティブ!>
内浦の地にウルトラマンジードが舞い降りる。ジードはゆっくりとシーボーズへ歩み寄る。しかし、シーボーズは口から火球を吐き攻撃してきた。不意をつかれたジードは吹き飛ばされてしまう。
『……!?どうしたんだ……!?なんでシーボーズが……!?』
シーボーズは本来大人しい怪獣であり、火球を吐き出す能力も持っていないはずだ。それなのにどうして……?
『まずは大人しくさせないと……!』
ジードがそう呟くと、彼の身体が光に包まれた。
<アクロスマッシャー!>
ジードの身体が青く染まった。アクロスマッシャーへとフュージョンライズしたのだ。
『行くぞ!』
ジードが中国拳法のような独特のファイティングポーズを取る。するとシーボーズは火球を連続で繰り出した。
『コークスクリューブロック!』
しかし、その火球攻撃は通用しなかった。ジードクローを装備したジードはその場で高速回転。全ての火球を受け流したのだ。火球を撃ち尽くしたシーボーズに隙ができる。もちろんその隙をジードは見逃さない。
『スマッシュムーンヒーリング!』
癒しの光線を放ち、シーボーズを大人しくさせた。
『さぁ、怪獣墓場へ帰ろう』
大人しくなったシーボーズへとジードが優しく語りかけた。ゆっくりとうなずくシーボーズはジードに抱きかかえられ、怪獣墓場へと帰っていった。
「ねぇゼロさん、どうして変身させてくれなかったの?」
飛び去っていくジードとシーボーズを見送りながら、千歌が静かに尋ねた。
『もう一度聞くぞ。お前は何のために戦うんだ?』
「そんなの決まってるよ!怪獣を倒すためでしょ!?」
『……』
千歌の答えにため息をつくゼロ。
『見損なったぜ千歌。俺が救けたのはそんなヤツじゃないと思ったんだがな……』
「どういう意味だよそれぇ!?」
『さぁな、自分で考えろ』
「ちょっとゼロさん!?ゼロさ〜ん!」
千歌の問いかけにゼロが答えることはなかった。
「ゼロさん……一体どういう意味なんだろう……?」
その日の夜、ベッドに横になった千歌はゼロの言葉の意味を考えていた。何のために戦うのか?しかし、その答えは出ない。あれから千歌はゼロと言葉を交わしていない。
「リクさんは何のために戦ってるんだろう……?そういえばリクさんはあの怪獣を倒そうとしてなかったなぁ……怪獣は倒さなきゃいけないんじゃないの??分かんないよ……」
千歌は独り、物思いにふけっていた。
真っ暗な宇宙空間の中をジードは飛行していた。シーボーズを怪獣墓場へ送り届けたその帰路である。しかし、気かがりなことがあった。
『どうしてシーボーズはこの世界の地球に迷い込んでしまったんだろう……それにシーボーズに火を吐く力なんてなかったハズだ……まだ何か、大きな陰謀が潜んでるのかもしれない……!』
ジードが思考を巡らせながら飛行していると、背中に大きな衝撃を受けた。
『ぐわあぁぁぁ……!!』
その衝撃に耐えきれず、そのまま地球へ落下していった。
「千歌ちゃん、何か悩んでるでしょ?」
夜の砂浜で梨子が千歌に問いかけた。千歌が悩んでいることを察した梨子が呼び出したのだ。
「ゼロさんに言われたんだ……『何のために戦うんだ?』って……」
千歌はそう言いながら左手のウルティメイトブレスレットへと手を当てた。結局あれからゼロとは一言も言葉を交わしていないのだ。
「きっと答えは千歌ちゃんの中にあるんじゃないかな?自分に素直になって?」
「自分に……素直に……?」
千歌が聞き返した。その時だった。突如、目の前の海が割れ、大きな水しぶきをあげた。
「「リ、リクさん!?」」
2人が同時に声を上げた。なんと、ジードが空から落ちてきたのだ。
よろよろと立ち上がるジード。その視線の先には、ベリアル融合獣ペダニウムゼットンが立っていた。ウルトラセブンを苦しめた強敵キングジョーと、かつてウルトラマンを倒したこともある宇宙恐竜ゼットンが合わさった恐るべき怪獣である。
『お前は一体……何者なんだ!?』
ペダニウムゼットンに疑問をぶつけるジード。胸のカラータイマーは既に赤く点滅していた。
「ゼロさん、戦わなきゃ!」
『……』
戦いに向かおうとする千歌だが、ゼロは沈黙を貫いたままだった。
「千歌ちゃん!逃げよう!!」
先に駆け出していた梨子が、砂浜への階段の上から千歌に呼びかけた。
「で、でも……!」
その時だった。ペダニウムゼットンの角からジードに向けて光線が放たれた。ジードはバリアを張って防ぐ。しかし、防ぎきることが出来ず、あらぬ方向へと飛んでいく。そう、梨子がいる場所へと……!
「梨子ちゃんっ!!!」
とっさに梨子の方へと駆け出した千歌。しかし、間に合わない。爆炎が辺りを包む。
煙が晴れる。そこには梨子を抱きかかえた千歌の姿があった。
『梨子、大丈夫か?』
「え、ええ……あ、ありがとう……ございます……」
千歌と人格を交代したゼロが梨子を救けていたのだ。
『どうやら、答えを見つけたみたいだな、千歌』
「私の戦う理由……?」
『そうだ。なぁ千歌。お前は今、どうして走り出したんだ?』
インナースペースでゼロが千歌に問いかけた。
「梨子ちゃんが危ないって思ったら、とにかく必死で……気付いたら体が動いてたっていうか……」
『そうだ。それで良いんだ。千歌』
「え?」
ゼロの思いがけない返答に千歌はキョトンとしている。
『俺たちウルトラマンは、守るべきものがあるから戦える!千歌、お前が守りたいものはなんだ!?』
「私の……守りたいもの……?」
千歌が胸に手を当て考える。Aqoursのみんなとの思い出が駆け巡る。
***
「私、どうしたらいいんだろう。 何やっても楽しくなくて、変われなくて」
「やってみない?スクールアイドル」
「ダメよ。このままピアノを諦める訳には」
「やってみて笑顔になれたら、変われたら、また弾けばいい。諦めることないよ。梨子ちゃんの力になれるなら私は嬉しい。みんなを笑顔にするのがスクールアイドルだもん」
「千歌ちゃん……!!」
「それってとっても素敵なことだよ」
夜、梨子と心を通わせ、手を伸ばしたこと。*3
「お姉ちゃん!ルビィね……!」
体験入部をしていたルビィが、当時スクールアイドルを嫌悪していた姉のダイヤにAqoursへの加入を宣言したこと。*4
「ルビィ、スクールアイドルがやりたい!花丸ちゃんと!」
「1番大切なのはできるかどうかじゃない!やりたいかどうかだよ!!」
体力に自信がない花丸の背中をルビィと一緒に押したこと。*5
「良いんだよ、堕天使で!自分が好きならそれでいいんだよ!!」
「だめよ!生徒会長にも怒られたでしょ!!」
「善子ちゃんは良いんだよ、そのまんまで!」
堕天使を否定し逃げ出した善子を、全力で肯定して追いかけ、Aqoursに勧誘したこと。*6
「ダイヤさんって、本当に2人が好きなんですね」
「それより……これから2人を頼みましたわよ」
「じゃあ、ダイヤさんもいてくれないと!」
「親愛なるお姉ちゃん!ようこそ、Aqoursへ!」
3年生が長年のわだかまりを解消し、Aqoursに加入したこと。*7
「汗びっしょり……どうしたの?」
「バス終わってたし……曜ちゃん、なんかずっと気にしてたっぽかったから……いても立っても居られなくなって……へへ……」
「私、馬鹿だ……!馬鹿曜だ……!」
曜の家を夜遅くに訪ね、曜と抱き合って友情を確かめ合ったこと。*8
「ゼロからイチへ!今、全力で輝こう!Aqours……」
『サンシャイーン!!』
東京からの帰りに寄った海で、決意を新たにしたこと。*9
***
「私、この場所が好き……みんなと過ごすこの場所が、時間が大好き!だから……!この場所を……内浦を、沼津を守りたい!!」
『よし、行こうぜ千歌!!今の俺とお前なら、限界だって超えられる!!』
千歌の決意にゼロが力強く応えた。
インナースペースでのゼロとの対話を終え、千歌は現実世界で目を開いた。その手にはウルトラゼロアイと、リクのものと同型のライザーが握られている。人格が再びゼロに切り替わり、ゼロアイをライザーへセットする。
『ギンガ、オーブ!』
ウルトラマンギンガとウルトラマンオーブの力を宿したニュージェネレーションカプセルαを起動し、ナックルへ装填する。
『ビクトリー、エックス!』
次はビクトリーとエックスの力を宿したニュージェネレーションカプセルβを起動し、ナックルへ装填。そのままライザーで2つのカプセルを読み込む。
<ネオ・フュージョンライズ!>
ライザーのシステム音声と同時にライザーを持った右手を前に突き出す。
「『俺(私)に限界はねぇ(ない)!』」
千歌とゼロ、2人が力強く宣言し、ライザーを顔の前へかざす。そしてトリガーを勢いよく引く。
<ニュージェネレーションカプセルα・β>
千歌の姿がゼロへと変わる。そしてギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ。4人のウルトラマンの姿がゼロと重なる。
<ウルトラマンゼロビヨンド!>
そしてゼロビヨンドへと強化変身を遂げた。
『大丈夫か、ジード?ここからは……俺たちに任せな!』
傷ついたジードへゼロビヨンドが声をかけた。
『ゼ、ゼロ……!相変わらず来るのが遅いよ……!』
肩で息をしながらジードが言った。ゼロは笑いながらこう返す。
『へへっ。いつも言ってるだろ?主役は遅れてやってくるんだよ。あ、このことはレイトには内緒な。レイト以外のヤツとビヨンドになったって知ったら……アイツ、嫉妬しそうだからな』
『ごめんゼロ……後は……よろ、しく……』
そう言い残し、ジードの身体は霧散した。変身を解除し、リクの姿に戻ったのだ。
『ブラックホールが吹き荒れるぜ!』
ゼロビヨンドは右腕をブンブン振り回し、中指と薬指を畳んだ右手を相手に向かって突き出した。
【ウルトラマンゼロビヨンド】
かつてゼロと共に戦ったこともある、ギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ。4人のニュージェネレーションヒーローズの力を宿したゼロの限界を超えた強化形態である。
ゼロビヨンドがペダニウムゼットンに向かって走り出す。しかし、黙って接近されるペダニウムゼットンではない。角から光線を出し応戦しようとする。
『クワトロスラッガー!』
ゼロビヨンドは光でできた4本の宇宙ブーメランを頭部から飛ばし牽制する。思うように身動きができないペダニウムゼットン。接近に成功したゼロビヨンドはパンチを繰り出した。1発、2発、3発……光を纏ったその拳は目にも止まらぬ速さで次々と繰り出される。
『ハァァァァ……ハッ!!』
ゼロビヨンドは大きく振りかぶり、最後の突きを繰り出した。大きく吹き飛ばされるペダニウムゼットン。しかし、ただでやられるペダニウムゼットンではない。両腕にエネルギーを溜め、超高温の火球「ペダニウム・メテオ」を繰り出した。しかし、ゼロビヨンドは動じない。左腕を水平に構え、エネルギーを溜める。
『ワイドビヨンドショット!』
腕をL字に組み、必殺光線「ワイドビヨンドショット」を繰り出した。激しい爆発と共に火球は相殺される。ペダニウムゼットンは再び火球を繰り出そうとエネルギーを溜め始める。しかし、それを許すゼロビヨンドではなかった。ゼロビヨンドの周りには8つの光球が浮かんでいた。
『バルキーコーラス!』
8つの光球全てから破壊光線が発射される。ペダニウムゼットンは激しい爆発に包まれ、姿を消した。
「あの怪獣、倒せたの……?」
変身を解いた千歌がゼロに問いかけた。
『いや、逃げられた……おそらくバリアで防いでテレポートで逃げたんだろう……』
「またあの怪獣が襲ってきても勝てるかな……?」
千歌が不安そうに言った。
『へっ、心配するこたぁねぇよ。なんたってこの無敵のゼロ様がついてるんだからな!』
「うん、そうだね!これからもよろしく!ゼロさん!!」
2人が心を通わせたことを祝福するかのように、眩しい朝日が顔を覗かせていた。