僕とブイズの旅   作:憩 恋子

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第0話 仲間の紹介的な何か

 皆さん、こんにちは。しがないポケモントレーナーのミョンだ。働きたくない盛りの15歳で、主な収入はバトル勝利による賞金なんだけど、たまに拾った珍品を売り払って稼ぎにもしている。

 

 さて、今日は僕の仲間達を紹介しよう。

 

 まず一匹目は、最古参にしてみんなの姉貴分であるブースター。僕の一番最初の仲間となってくれた彼女は、イーブイだった頃は僕にべったりの甘えたがりだったんだけど、仲間が増えるとともに下の子達の前で甘えるのを恥ずかしがるようになってしまった。だが可愛いことに、みんなが寝静まった夜更けや他人の目が無い場所では飛びかかってきて存分に甘えるのだ。——可愛いでしょう?

 

 二匹目はブースターと僅差で僕の仲間になってくれたシャワーズだ。彼女は悪戯好きの悪ガキみたいな性格で、よく移動中の僕のお尻に水をかけてお漏らししたような状態にしてしまう。だけど僕は知ってるんだ。そういう時は構って欲しくて仕方がないから僕に悪戯をしている。だから猫可愛がりしてやるんだけど、彼女は途端に恥ずかしがって僕の腕から逃れてしまうのだ。かまってちゃんってすごく可愛いよね。

 

 三匹目はちょっとお馬鹿なサンダース。彼女はいつも自信満々、揺るぎない自信が全身から溢れているが、特に何か考えているわけではないらしい。姉貴分であるブースターを差し置いて突っ走ることがままあり、散々な目に合って帰ってきては幼い仲間の反面教師を務めた優しい子だ。最近はシャワーズに水をかけられた僕に向かって弱い電撃を浴びせることにハマっているらしく、僕が濡れているのを知ると電気を纏って飛びついてくる。痺れるような愛情ってやつだね。

 

 四匹目は上品さでは他の追随を許さぬエーフィだ。彼女はもうとにかく上品で、食事もバトルも優雅にこなし、最後は何食わぬ顔で毛繕いをしている。常に澄まし顔で一歩引いたところから僕達を見つめているんだけど、仲間達に危険が迫ると予知能力を駆使して誰よりも早く動き、忠犬の如き忠義で僕やみんなを守る心の強い子なのだ。そんな彼女だが、実は毛並みがぐちゃぐちゃになるくらい強い力で撫で回されるのが大好きで、定期的に僕の足に絡んできては撫でるよう催促してくる。上品で可愛い女の子に求められるって最高じゃない?

 

 もうここまで来ると勘の良い人だったら次に誰が来るか分かるんじゃないかなと思うけど、張り切って紹介していこう。

 

 五匹目は臆病なブラッキーを紹介するとしよう。彼女は超が付くほどの臆病者で、とりあえずあらゆるものを怖がっている。進化した夜なんかは自身の光る輪っかに恐怖していたくらいだ。でもなんだかんだ言って怖いものが好きらしく、ゴーストタイプの集まる場所なんかには恐る恐る近づいていっちゃう。人間ならばこの上なく面倒な性格だが、ブラッキーに関しては可愛すぎて鼻血が出そうになる。怖がって抱き付いてきた彼女を撫でている時、僕の嗜虐心が顔を出しそうになるよ。

 

 さて、六匹目は我らがおっとリーフィアだ。僕の仲間達の中で一番マイペースな彼女は、よく眠りよく光合成をするおっとりとした子なんだけど、その眠りを妨げたり仲間達に危害が及ぶと誰よりも激しい性格に豹変する。大木を軽々両断する尻尾で相手を斬り刻もうとするのだが、そんなことをした日には一発逮捕なので仲間達総出で抑え込まねばならない。何気に一番手のかかる子だが、可愛いのでオールオッケーというやつだろう。

 

 七匹目は仲間達の中で一番強いグレイシアだ。彼女はとにかく好戦的で、バトルとなれば例え相性が不利であっても戦おうとするジャンキーである。ただその根底には勝利して僕に褒めてもらおうという意思があるようで、バトルが終わると期待した眼差しを向けながら頭を突き出してくる。可愛いったらありゃしない。それでいて一度撫で始めると蕩けるような顔に反して凶悪な冷気を出すのでそのうち指先が凍り付いてしまうのではないだろうかと些か不安だ。でも愛情表現だから仕方ない仕方ない。

 

 最後は僕らの中で最も新入りなニンフィアだ。彼女に関しては甘えん坊以外の説明は不要なのではと思うほどの甘えん坊で、四六時中柔らかいリボンのような触角を僕の腕に絡ませてくる。その触角のフェザータッチがまた絶妙で、腕をさわさわされ続けると変な気分になってくるんだけど、止めさせようかと迷いながら彼女を見ると、目を細め口元を緩めて僕を見つめている。絶対に確信犯だったのだ。つまりニンフィアが一番の新入りだが、最も僕を変な気分にさせたのはニンフィアだったりする。危ない危ない、僕が人間に興奮するような一般人だったらそこらのミニスカートちゃんを襲ってたね。

 

 これで僕の仲間達は全て紹介した。おいおい、まだパソコン内に沢山いるんだろうと思っているそこのあなた。残念ながら僕はこの子達以外にはポケモンを持っていないんだ。

 

 そもそもそんなに沢山いたって育てられそうにないし、第一ずっと一緒に居られないなんて可哀想じゃないか。だから僕は多くのポケモンは望んでいない。

 

 それにしてもこの世界ってすごいよね。ゲームと違って手持ち六匹制限が存在しないから、僕はバッグに入れられるだけモンスターボールを入れて現在の手持ちは八匹となっている。ただバトルとなれば六匹制限が適応されてしまうので、基本的に余った二匹は手に汗握る戦いを尻目にじゃれている。

 

 ……この物言いから察せられる通り、僕はこの世界の人間じゃない。元は日本の首都に住む一人の男子高校生だったのだが、何の因果か死んだらこちらに転生してしまった。よくあるテンプレ的死因ではなかったし、神やそれに準ずる存在との接触もなかった。

 

 つまり、僕には何もわからないということだ。

 

 だが、案ずるなかれ。僕だって人並みにはゲームが好きだったし、ゲーム界のビッグタイトルであるポケモンを知らぬはずがない。ちなみに、プレイした記憶はあまり残ってないがダイパからウルトラサンムーンまでは殿堂入りしたカセットが家にはある。エンジョイ勢だから厳選したことなんてない。僕は楽しめればそれでいい。

 

 だからこの世界に来れたことは僕にとって最上の喜びだったんだ。

 

 誰も知り合いのいない世界で好きなものに囲まれて世界中を旅する。

 誰も知り合いのいない世界で美味いものを食べる。

 誰も知り合いのいない世界で自分勝手に生きる。

 

 ——僕の人生は始まったばかりだ。

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