嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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うわーん!幽々子さまが二人になった!

白玉楼の縁側が見える客間で幽々子とオオスは向かい合っていた。

縁側から見える夜桜に風情がありますね等と幽々子とオオスは雑談をしていた。

 

「こちらつまらないものですが」

オオスは小箱を幽々子に差し出す。

 

「あら、つまらないものなのかしら?」

幽々子はそう言って扇で口を隠して笑う。

 

「少なくとも妖精達には好評でした」

オオスは今朝の妖精達の評判を思い出して言った。

 

「それは変わっているわね。何かしら?」

妖精達に好評だったというのは聞いたことがないので幽々子は箱の中身に興味深々だ。

 

そして、箱の蓋を開ける。

「よもぎ餅ね。おいしそう。告白かしら?」

幽々子は扇で口元を隠しオオスに問いかける。

 

「さしも草ですか。風情がありますね」

藤原実方朝臣の歌の一首を引用した幽々子の答えにオオスは感心したように答えた。

そして、歌繋がりの西行で幽々子の素性をある程度察した。

最も強引なこじつけだとオオスは思ったが。

 

…仮に”それ”ならばこの異変の真実は残酷だ。

 

「つれないわ。怒っているのね」

だが、幽々子はオオスの内なる感情を見抜いて返した。

 

「普通に考えて人里で食料危機一歩手前ですからね?」

オオスは普通に四月まで冬とか困っていると告げた。

 

「違うでしょう?あなたは真実に怒っているのね」

幽々子はオオスの返答に添えて返す。

 

「…八雲さんの御友人ですか?」

オオスは幽々子の大よそを察した。

頭脳だけなら八雲紫が上だが、勘を含めると西行寺幽々子は同等になるのではないだろうか。

 

「紫は友達だけどあなたのことは今日初めて知ったわ」

幽々子はそう返す。やはり勘が異常に発達している。

過程をすっ飛ばして犯人を見つけるタイプの人間ならぬ亡霊だとオオスは思った。

なお、オオスもそう思われている節があるが、オオスにとって勘は飽くまで脇役であり補佐だ。時間に余裕があれば今回のように裏付けを取るタイプの人間である。

 

「そうですか。それよりよもぎ餅食べませんか?」

オオスはそんな小賢しいことよりも餅が食べたくなった。お茶も欲しいところだ。

 

「そうね。いただきましょう。妖夢にお茶を持ってこさせましょう」

幽々子も同意する。オオスは妖夢の名を今ここで知った。

 

「そうですね。妖夢さん遅いですね」

オオスは妖夢にお茶を持ってきてもらうことにした。

勝手の知る者に頼んだ方が良い。

 

「全くね。しっかりしてもらわないと」

幽々子は妖夢が来ないことにご立腹だ。

 

 

そうこうしていると誰かが縁側の方へ走って来た。

 

 

「幽々子さま!ご無事ですか!!」

妖夢は幽々子の無事を確認する。

オオスを何十回切っても切れないと思ったら全部偽物だったと気が付いて慌てて戻って来たのだった。

 

「あら妖夢。そんなに慌ててどうしたの?」

幽々子は息を切らせた妖夢を見て言う。

 

妖夢はホッとすると同時に幽々子の机を挟んで向かい側の人物を見つけた。

 

「あ、お前。さっきは良くも逃げたわね!!」

妖夢はオオスに良いように踊らされていたので憤慨した。

 

「それより妖夢さんお茶を二つもってきてください。

 西行寺お嬢様はお茶をご所望なんですから」

オオスはそんな妖夢の様子等お構いなしにお茶を要求する。

今はよもぎ餅とお茶の気分なのだ。刀を構えて無粋の極みであるとオオスは思った。

 

「お客様の前ではしたないわよ。妖夢」

幽々子もオオスと同様の意見なようだ。

 

「で、ですがこいつは…」

妖夢はオオスを指さして震えている。

 

「全く最近の若者は礼儀がなっていませんね」

オオスは人を指で刺す妖夢にご立腹だ。

 

「あら、私だってぴちぴちの霊よ」

幽々子はオオスの“若者”というフレーズに反応した。自分も若いのだという。

 

「ああ、これは失礼しました。ほら妖夢さん。お茶を早く。

 私も食べたいんですからよもぎ餅」

オオスは幽々子の言葉に自らの失言を詫びる。

そして、妖夢にお茶を請求する。よもぎ餅にお茶の気分なのだ。

 

「うわーん!幽々子さまが二人になった!」

妖夢は感情が抑えられなくなったのか泣いた。

 

「若いのにボケちゃったんですかね。可哀想に…」

オオスはひそひそと幽々子に囁く。当然、妖夢に聞こえるように。

 

「妖夢はここのところ働き詰めだったからかしら。心配だわ」

幽々子もひそひそとオオスに囁き返す。当然、妖夢に聞こえるように。

 

「それはいけませんね。仕事を休ませてあげないと」

オオスは働き詰めの妖夢を心配する。まるで本心からの言葉に見える。

 

「春気を集めて来いって言ったの幽々子さまじゃないですか!」

妖夢は流石に言い返した。こんなに忙しいのは幽々子の命令だと。

 

だが、

「妖夢さん。無粋な話は置いてお茶を早く」

オオスは仕事よりもお茶の気分なのだ。そんなこと知ったことではない。

 

「そうね。お茶が欲しいわ。妖夢」

幽々子もそういったことよりもお茶の気分なのだ。そんなこと知ったことではない。

 

「ぐすん」

妖夢は思わず鼻をすすった。

 

 

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