オオスは5月5日端午の節句、子どもの日まではこの度の異変を見逃すこととした。幽々子との約束である。オオスは約束を遵守する男である。
しかし、期限が過ぎればオオスは冥界でテロると宣言した。
幽々子の能力に対抗できるか怪しいがそこはまぁ種も仕掛けもある時限式だと説明済みだ。
それに幽々子も同意したから妖夢はストレスで大変である。
なんせ主人公認のテロリストが自分も住む屋敷の中に住んでいるのだから。
オオスは妖夢も可哀想にと他人事だ。
オオスと幽々子は縁側に腰掛けてお盆に入った饅頭でお茶をしていた。
「真実は一番面白いものだわ。だけど、人によって違うから…真実もまた違って見えるのね」
幽々子はお盆に入った饅頭を見つめながらシリアスな表情で言う。
「このお饅頭は私の分ですよ」
オオスは自分の分の饅頭まで食べようとする幽々子に警告する。
「お花見には劇が必要だと思わないかしら?誰が良いと思う?」
幽々子はお花見にプリズムリバー三姉妹を手配済みだとオオスは知っている。
「このお饅頭は私の分ですよ」
オオスは自分の分の饅頭まで食べようとする幽々子に警告した。
「もう。花より団子ってことかしら…ああ…」
頑固として譲らないオオスに何か言おうとしたが、饅頭が食べられたのを見て気落ちした。
「ごちそうさまでした。いや、美味しかったです」
オオスは美味しかったと感想を述べた。
「…妖夢。もうないの?」
幽々子はお代わりをご所望のようだ。
「ありません!というか早く春を集めないと…」
妖夢は呑気な主人とテロリストを見てオロオロしていた。
「そんなに急がないでゆっくりしましょうよ妖夢さん。こんなにも桜が綺麗なんですから」
オオスは暗に集めるなもう諦めろという。
「そうね。いつ見ても良いものね。西行妖も満開にならないものかしら…」
幽々子はオオスの言葉の裏を無視して西行妖を咲かせる気満々だ。
「あーもー!誰のせいでこんなになっていると思っているんですか!」
感情の堰が決壊した妖夢は思わず叫ぶ。心からの絶叫だ。
「でた。昨今話題のキレる若者ですよ」
オオスは妖夢の取り乱しっぷりを見て若者の将来を憂う。
「私も若い霊よ」
幽々子は“若さ”を強調する。自分も若いと何度でも繰り返す。
「ああ、だから個人差があるんですね。木を見て森を見ずとは失礼を」
オオスは幽々子と妖夢を比べて落ち着きには個人差があるとフォローする。
「幽々子さまもこんな危険人物と仲良くしないでください!」
妖夢は正論を述べる。仕事の合間にオオスの言うテロの本命を探すが見つからないのだ。
最初の戦闘時のように嘘かと思うとそのタイミングでテロの痕跡が見つかる。
そして、それを何度も繰り返している。
オオスは時間経過で本気でテロるつもりだと妖夢は確信していた。
「まぁ、妖夢。お客様に失礼よ」
幽々子は妖夢を窘める。客人に失礼だと言う。
「まぁまぁ、幽々子さん。きっと妖夢さんも悪気があったわけではないんです。
優しい心で見守ってあげましょう」
妖夢のストレスの根源が妖夢を庇うように言う。
妖夢から見ても本気で言っているように見えるから始末に負えない。
「だーかーらー!あーもー!」
妖夢は行き場のない感情を言葉にできず叫ぶ。
「それよりも紅白巫女がここへ花見にやって来ても良い頃合いだと思うのですが。
また冬妖怪やら妖精やら虐めて回っているんでしょうね。きっと」
オオスは五月に入ろうというのにこない博麗神社の巫女を思い出して言う。
もう霊夢がガチで来ない気なのではないかと思っているのは内緒だ。
「まぁ、巫女って野蛮なのね」
オオスの巫女が罪のない妖怪を無意味に退治する様子を想像して言った。
「私の取っている天狗の新聞に今日の巫女の乱暴狼藉コーナーが出来るくらい野蛮ですね。
妖夢さんも出かける際はお気をつけてください」
オオスは春を集めに行く妖夢をにこやかに送り出す言葉を述べる。
なお、オオスは今日の巫女の乱暴狼藉コーナーは毎回ファイルに纏めて保存してある。
「もう、頭が痛いので行ってきます」
オオスと幽々子の様子を見て妖夢はもう何も考えずに春を集めることにした。
「行ってらっしゃい妖夢。お土産宜しくね」
妖夢の主は春だけでなくお土産もご所望のようだ。
「妖夢さん。甘い物ばかりでなく煎餅とかも欲しいです」
オオスは最近甘いものが続いているので塩気のあるものを妖夢に所望する。
「無茶謂わないでください!後、お前は黙れ!」
妖夢は捨て台詞を吐いて春を集めに行った。
妖夢が出て行ってオオスと幽々子は縁側から室内へ戻り寛いでいた。
「ごめんなさいね。妖夢ったら…」
幽々子は妖夢の主として不作法を詫びる。
「気にしないでください。それにしても五月五日までは何もしないって言っているのに…」
オオスはそんな幽々子の様子を見て気にしないように言う。
そして、妖夢が何故まだ先のことを気にするのかと心配する。
「もう少しゆとりが欲しいわよね。精神的な」
幽々子は妖夢のことを思い出して言う。精神的なゆとりを持つべきだと。
「外ではゆとり教育というのが流行っていますね」
オオスは外の世界の教育方針について幽々子に述べた。
「あら、外は進んでいるのね」
幽々子は外の様子に興味深々のようだ。
幽々子が並々ならぬ愛国者というのにオオスはもう気が付いていた。
「私もゆとり教育のお陰で自由気ままに成長して精神的な余裕を持てるようになりました。
私を見ればわかるように国の政策は成功していますね。
他にも世界的にスポーツで大活躍する子どもが沢山生まれました」
ガチのテロリストが何か戯言を述べる。
客観的に見て間違っていない事実のみ取り上げるのが悪質だ。
「まぁ。お国が豊かなのは良いことだわ。…でも、お勉強とか疎かにならないのかしら?」
幽々子はオオスの発言に喜びと不安を示した。
「そうなんですよね。自由時間が増えたということは何もしなくても怒られない。
私のように色々してみる人間には良いのですが。…怠けてしまう子どもも多かったです」
オオスは嘆かわしいという様子で教育を語る。
妖夢が聞いたらオオスを量産するような教育であれば、害悪しかないと叫ぶだろう。
「まぁ。それは良くないわ。何事もほどほどが一番ね」
幽々子はオオスの話を聞いて総論を述べるほどほどが一番だと。
「全くです。妖夢さんにはゆとり教育が合っていそうな気がしますが」
オオスは妖夢には自分と同じ教育を受けた方が良いと語る。
妖夢は絶対拒絶すること間違いなしだ。
「西行妖が咲いたら考えてみようかしら?」
幽々子はそう言ってまだ咲かない西行妖を見る。
「そうですか…咲かないと良いですね。西行妖」
オオスは西行妖を見て言った。
「そうねぇ…咲くと良いわね。西行妖」
幽々子は西行妖を見て言った。