オオスは善良なる里人であり、紙芝居屋であり、周辺の塩湖(海)、及び有情湖と有情地の所有者である。
最近は人間の里の寺子屋で哲学もどきを教えつつ、新勢力『癲狂櫟林』の裏ボスも務めている。
つい先日、魔理沙が面白半分で癲狂櫟林に突撃した。魔理沙的には新興勢力であるので、纏まりのない烏合の衆と判断していた。
甘い見積もりだが、魔理沙的にはいつものノリであり、危険なら逃げるだけである。
オオス的には予想通り来た泥棒にため息を吐いた。忙しいからまだ来ないで欲しかった。
1面のわかさぎ姫、2面今泉影狼までは余裕だったが、4面担当のオオスが泥棒の気配を察知して順番無視して魔理沙の前に現れた。
なお、相性によってはオオスは1面のわかさぎ姫よりも弱い。霊夢ならワンパンで終わる。弾幕ごっこなら耐久スペルが無駄にウザいが他は見映え重視で攻略は楽である。泥棒等が相手では何故か異様な強敵になる。
オオスは泥棒相手ならば問答無用なのを知っていた魔理沙は退散した。オオスも深追いはしなかった。
オオスは逃げる魔理沙へ自分かここを使っている組織の奴らの通行許可証を取ってこいと言い捨てて事務作業に戻った。
魔理沙はその後、一通り調べて見ることにした。魔理沙は霊夢と違って勘ではなく推理して探索している。
調査の結果、どの妖怪達も進出していないかなり曖昧な土地をそもそもオオスが所有しており、それらの土地を新興の妖怪たちに貸していることを知った。
武力の無いオオスにとって『癲狂櫟林』の武力は有益であり、新興勢力の方もオオスと敵対して良いこともないので取引が成立したらしいと魔理沙による聞き込みや土地名簿等の調査で判明した。
魔理沙からすればオオスの所有土地を侵略、不法占拠した場合のことを考えると面倒臭いのが理解できたので納得した。霊夢に愚痴を吐いて終わりである。
魔理沙はオオスが不在の時にでも再調査や盗みをするつもりであった。
なお、魔理沙の想像以上に強い妖怪が結構いるので危なかったりもする。出来たばかりの新興勢力とは思えない程度には癲狂櫟林は組織の層が厚かった。
魔理沙を観察することで詳細不明の組織『癲狂櫟林』のことを知れた勢力がいた。
妖怪の山やその他勢力である。新勢力の不明瞭な部分である力を把握できるので誰もが魔理沙が不法侵入することを望んでいた。
魔理沙の突撃だけで周辺の弱小妖怪も取り込んでいること、監視網が優れていることは判明した。
妖怪の山的には、霊夢と神奈子を軽くぶつけて様子を見ようとした守矢神社の転移異変のような感じである。
その時はオオスがブチ切れたのでややこしい事になってしまったが、今回はそれの焼き直しのように観察できた。
勿論だが、大多数の妖怪にとっては人間であるオオスは根本的には土地の所有者ではあるが、部外者なので勢力として数えていない。
…一部にとっては今回オオスが普通に出てきたことは大問題だが、沈黙するしかなかった。
第三者と称する癖に魔理沙の前に堂々と出張ってきたのは大変面倒だった。
魔理沙の突発的な行動であるが、魔理沙に関してはそれなりに分析されているのでオオスがいない時に再突撃するのは大体わかっていた。射命丸文の調査分析が役立っていた。
文の報告を見れば今回の謎の襲撃理由も理解できた。
前回、オオスという異分子の後に守矢神社の神奈子が魔理沙と弾幕ごっこしていたことからおおよそ正しいと分析できた。
文としては自分の策略をオオスに再利用されたようなものである。歯ぎしりをして悔しがっていた。
とはいえ、天狗の組織の中で文の提案は応用が効くと評価があがり、功績として再評価されてもいたのでそれは嬉しくもあった。
沈黙することで得られる文への利とはこれだろうとオオスの行為を見て思ってもいた。
メリットが皆無というわけではないようであるので真っ当にオオスの悪戯に参加していた時のさらなるメリットに興味を抱いたが、文としては他にやることも多いので後回しになった。
なお、天狗の代表である天魔はオオスに対してもう少しだけその勢力を妖怪の山に近づけても良かったのにと思った。
流石に他が煩く言うだろうから無理だろうとわかっているが、妖怪の山にいる天狗の長として交渉するにはやや遠過ぎるので公的な交渉と称して会うのは難しいと惜しんだ。
『癲狂櫟林』の代表として堂々とオオスがいれば同じトップとして交渉出来るのだが、天魔はオオスがそれはしないと理解していた。
寧ろオオスが自分にわかるように工夫をしているのを悟り、嬉しく感じていた。勿論、他の意図が強いだろうがそれはそれである。
オオスの方も天魔周りの大天狗等は面倒臭いが、天魔なら自分の行為の真意をわかってくれるだろうなと組織名を考えた時に思っていた。
そんな感じで色々な組織から鉄砲玉扱いされているとは知らない魔理沙は鉄砲玉より鉄砲玉の考えであった。
魔理沙は本来のオオス的には一番厄介なキチンと推理する側の人間なのだが、今のように私利私欲で目が曇っている時は扱いやすいことこの上ない。
新勢力から得られる利益を皮算用している。逃げれば勝ちで盗るものとって逃げようという算段である。
普通に危ないが魔理沙はそういう性質なのでオオスは諦めていた。現に第二次月面戦争に魔理沙が参加した際にも何も言っていない。
魔理沙も止めていたら相当ムカつくとオオスに言っている。
魔理沙は妖怪の山のように排他的な組織を想像していたので不法侵入は前提である。
ちなみにオオスに頼むなりすれば盗み等以外はそれなりに融通を効かせられる。
だが、そうしないのが魔理沙だとオオスは知っているので容赦はしない。
魔理沙の経験的にそのような妖怪は河童等の一部以外はいないので仕方がない。
魔理沙は自身も知らぬ間に観測気球のような新勢力の力量等を測る為の要注目対象になっていた。
霊夢は魔理沙の話を聞いて、里人を自称するオオスが博麗の巫女である自分に断りもなくと思った。
だが、オオスの祠を思い出して霊夢は一応は納得した。オオス自身が嫌がっている例のアレ、信仰にも絡む。
今でも限界だろうところに霊夢が来た場合、それこそ戦争であると霊夢は想像できた。
…何となく違和感はあるが、人間に被害があるわけでもない上に勘でもそこまで大したことではないと霊夢は無視することにした。
実際、オオスの行為そのものは霊夢にとっては今までと大差ないので放置が最善であった。
そして、霊夢も話題の勢力『癲狂櫟林』が守矢神社へ喧嘩を売りまくっている名前なのは知識として持っていなかった。
レミリアのように滅茶苦茶をやられたわけでもなければ外の守矢神社について知っているわけでもない霊夢では勘のみしか働かない。
阿求はオオスに面倒臭いことをさせられたと思ったが、オオスが霊夢に関わればそれはそれで面倒にしかならないと根回しした際に思った。
阿求は取引として最終的には人里への利益になるように微妙に霊夢の思考を誘導していた。
とはいえ、魔理沙や霊夢に守矢神社関係の資料が伝わらないようにするなどの簡単な作業である。
魔理沙や霊夢からすれば守矢神社をわざわざ調査するような理由がないのだが、念には念をいれて幻想郷縁起の為の資料として阿求が守矢神社に関する書籍を他から借りているだけ等の些細な作業である。
阿求はつじつま合わせに守矢神社の早苗が人里へ来た際にインタビュー形式の聞き取りをしたりしたが、早苗は歴史に興味がないと悟り引き下がった。守矢神社の神々に別の機会にでも聞いた方が良いと阿求は思った。
そして、霊夢に知識がないようにそういった知識がないのは博麗神社からそろそろ独立しようとしていた岡崎夢美も同様であった。
夢美はそもそも平行世界の人間であるため、守矢神社に関してはオカルトで類似している神社が過去に存在したかしないか程度の知識しかない。
烏天狗相手に大立ち回りをした夢美はアリスとの関係もあり、実力は問題なしとして魔法の森に自宅兼研究所を立ち上げようとしていた。
立地がオオスの自宅とやや近いが理由は夢美のみが知る。
アリス・マーガトロイドは夢美を平行世界の人間だとほぼ確信していたが、魔法使いを拉致、監禁して研究しそうなマッドサイエンティストであるので微妙に距離をおいていた。
アリスはそれでも夢美に関して気にはなるので一定の関係は築いていた。
夢美の魔法の森の移住希望もそれなりに協力していた。自分以外にしろよマッドという意味が籠もっている。魔理沙辺りならアリスは気にしない。
オオスがその場にいればまた状況や関係も違う展開になっただろうが、オオスは現在物凄く忙しい。
ついでに前回の宴会途中で退席したこともあり、アリスと夢美がどことなく仲良さそうなのを知らない。
夢美は持ち前の科学力で魔法の森の瘴気等の対策も既に終わっていた。
そもそも夢美の体は五世紀先の科学で強化されているに等しいので問題なかったりする。
夢美の科学を理解できる者は幻想郷にほぼいないので人里ではほぼ魔法使い扱いである。
オオスも否定しないでそのままにしていたし、夢美も否定する必要性を感じていないのでそのまま放置している。
夢美はオオスが想像以上に影響力を持っているのを知った。最初の会話で自分が夢美のことを知らないのはおかしいと言ったのを納得した。
オオスは夢美から見ても人里や妖怪の山、神社その他と行動範囲が広すぎた。平行世界の異界まで突っ走るようなバイタリティに富む夢美自身が感じるのだから相当だろうと理解できた。
そんなあらゆる人妖問わず主観を狂わせ、あらゆる騒動の背後にいるオオスであるが現在進行系で疲弊していた。オオスは色んな意味で自業自得な行為の所行のツケが回ってきていた。
「何故、何故誰も玉座を狙わないんだ!…もしやサービス精神が足りなかったか?」
事務作業に忙殺されながら野心のある部下が現れないことに憤っていた。
根本的に阿呆なことを考えているが、本人的には大真面目なのが始末に負えない。
オオスは戦略や戦術、謀は得意だが、自分自身に関しての深謀遠慮は不得手だった。
…オオスは大体何もしなくても外の世界で命を狙われ続けた存在である。
具体的には3歳から謀殺されかけている。それがあらゆる方面から殺されかけて、16歳の時に幻想郷に偶々紛れ込んだ。
オオスは自分の地位や肩書くらいは誰かから狙われて当然だという思い込みがあった。
「いや、待てよ、今は誰が見ても仕事が忙しいからかもしれない。ならば、さっさと効率化さえすれば…」
オオスは幻想郷では問題ないとその行為を歓迎している。その為に更に無駄に自身の地位を固めるような行為をしていた。
効率化すればオオスの負担が減るので部下達としても安心できた。
そもそも全部丸投げでも良いような仕事までしているオオスを部下達は心配していたが、オオスは純粋に責任感でやっているので中々止められなかった。
オオスは連日寝ないで作業に没頭するので独り言が増えていた。
もう清蘭等がオオスを無理やり寝かせている。
オオスが休まないことに関して清蘭達がオオスへデモ活動を起こしていた。
オオスは自身への反乱の芽があることにそれなりに満足して、主張そのものには心配をかけたと謝罪して素直に寝ていた。
大分頭がおかしいが夢の中でもオオスは仕事をしているのでドレミー・スイートも夢の世界で寝ろと意味不明な説教をしていたりした。
オオスは自身が全力で叩き潰しても這い上がるような素晴らしい後継者を求めていた。
そんな奴が現れたら奇跡以上の何かであるが、幻想郷ならきっといるだろうとオオスは願っていた。
…客観視が欠けているのもそうだが、今回の場合はオオスの歪な経験則が余りにも強すぎた。