嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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ツッコミが息をしていない、永眠している

 

3月となり、妖怪の山は根雪が残り、人里では春火鉢がまだ欠かせない季節となった。

 

まだ春告精とも呼ばれるリリーホワイトは出てきていないが、皆春を迎える準備をしていた。

 

オオスは『癲狂櫟林』に関して落ち着いてきたのもあり、大分自由に動くようになっていた。

 

 

 

その間のオオスは朱鷺の調理法等の研究やら、紙芝居屋の再開準備等していた。

 

そして、岡崎夢美が近くに引っ越してきたのでその挨拶にも伺っていた。

 

オオスの家からそれなりに距離がある。だが、オオスの副業の関係者、塩問屋の下働き等の住み込み小屋等を除けば、一番近いところに引っ越してきた。

 

オオスは人里圏内ギリギリ外にあるが、夢美の家は魔法の森の中にあった。

 

岡崎夢美の自宅兼研究所は自由に振る舞う為には良い立地であるとオオスは感心した。

 

 

実際、魔法の森には夢美の研究対象である魔法使いが多く住んでいた。

 

魔理沙やアリス等も魔法の森に住んでいる。常に森に漂う瘴気や人喰い朝顔や化け物クワガタ等の巨大生物と危険も多い。

 

夢美ならば平気だろうとオオスはわかっていたが、心配でもあるので声をかけも兼ねていた。

 

 

 

「あら、ありがとう。ここは色々な研究材料があるから良いわよね」

夢美はオオスと一通り会話や引っ越し祝いを受け取ってそう返答した。

 

 

オオスは女性の一人暮らしには魔法の森は危険ではないかと少しだけ心配していたが、相変わらずのマッドサイエンティストで安心した。

 

そんなオオスも魔法の森で研究したり、農園を開拓したりヤバい物をかけ合わせた品種改良を行っていたりする。

 

夢美は科学力は飛び抜けているが、オオスは魔法の理解もあるので他者からすればどちらもどんぐりの背比べでしかない。

 

第三者視点では二人ともマッドサイエンティストである。オオスは紙芝居屋だと主張する。

 

 

それに関してオオスは紙芝居屋と言い張るし、夢美は紙芝居屋をそういう職業だと思っているのでツッコミが息をしていないどころか永眠している。ここには電波しかない。

 

オオスの研究成果である妖力や魔力を高める食材の人喰い朝顔の干物等を提供していた。

 

 

夢美としては人工的に魔法を生み出しているので少し悩ましかった。

 

夢美としても、オオスの行っている方向性もありなのだが、少しだけ悩む要素が科学者として存在していた。色々できるからこその悩みでもある。

 

オオスは夢美のように選べる程の『力』がなかったので欠落していた視点でもあった。

 

 

「魔法が存在しない世界の私がどれ程効果があるのか、被検体が私一人しかいないのよね…」

夢美は当たり前のように自分で実験することを前提で話していた。オオスもそう言われると納得しかない悩みだと思った。

 

 

「…そうでしたね。喜ぶかと思いましたが、よく考えたら最初は経過観察の方が後々の研究の参考になりますしね」

オオスも魔法が存在しない世界の住民は夢美しかいないのを思い出し、自らの選択を反省していた。

 

 

当然のように二人とも時間が経過すれば他の平行世界の人間で実験する前提である。

 

八雲紫等はそれは辞めてくれというだろうが、今のマッド二人を止める者はここにはいない。

 

オオスとしては外来人として夢美に近い世界の住民が来る可能性を考えていた。

 

夢美も自分がいる以上は魔法が存在しない平行世界の外来人もいるだろうと考えている。

 

幻想郷の賢者である八雲紫に反論できるだけの言い訳は二人の中で完成していた。

 

夢美も霊夢や華扇から散々聞かされていたのでどうすれば抜け道があるのか確認していた。

 

夢美は霊夢達に聞けない類で困った時にはオオスに聞きに行こうと思っている。

 

オオスに聞きにいく時点でアウト、というか夢美はオオスの好感度下げたいのかと疑うが、夢美的には疑問にすら思わない。夢美は聞ける人に聞いた方が早いと思っている。

 

至極真っ当に滅茶苦茶なことを考えていた。

 

 

 

「…来たばかりの外来人って人権は適用されるのかしら?」

夢美はオオスに早速、尋ねていた。

 

妖怪の食料になるのが外来人の大半だが、自分が人体実験に使用するのは駄目だろうか的なアレである。夢美は犯罪じゃないならセーフだと思っている。

 

夢美は地味に痛い華扇の拳を知っていた。なるべく殴られたくはない。

 

 

夢美はここではない幻想郷で博麗靈夢を拉致監禁して研究材料にしようとしたが、靈夢にボコされたことで正気に戻ったマッドサイエンティストである。

 

その際は靈夢に謝罪として万能お手伝いロボる~ことをプレゼントして手打ちとなった。

 

なお、る〜ことは全自動で家事その他が行われるような夢美の世界のお手伝いロボである。

 

夢美が紅茶を淹れさせる程度にしか使われていない。靈夢が求める未来の万能アンドロイドではなかった。

 

妖精メイドよりは役に立つ程度であり、言われたことは喜んでやるので今もなお博麗神社の境内をのんびり掃除している。…る〜ことは核融合炉で動くアンドロイドでもある。

 

 

そんな過去を夢美は回想していた。

 

そして、ようやくオオスが自分のことを道徳の無い人間だと思わないか心配になった。その心配はもう手遅れであり、今更である。

 

 

 

「ちょっと瘴気の影響受けていません?真面目に」

オオスは夢美が正気に戻ったのを確認した。正気ではない状態で口走ったのかと真面目に心配していた。

 

それ自体はオオスよりは八雲紫に聞いてほしい案件であるので答えられないのもある。

 

オオスとしては夢美が人体実験するのは止めはしないが、人権無視は良くないと思っている。

 

オオスは妖精には渋々ヤケになりつつ人権交渉するが、同族である人間相手は流石にその前に止めようと努力はするつもりであった。

 

努力ではなく真っ先に止めろという話であるが、オオスは徐々に幻想郷に馴染む時間が必要だと思っている。

 

 

「そ、そうね。ちょっとやり過ぎだったわね」

夢美はオオスが心配そうに顔をじっと見つめてくるので動揺しつつも返答した。

 

実際、マッドを止める助手のちゆりがいないこともあり、ブレーキ不在でもあった。

 

…地味にオオスが歯止めになっているのだが、お互い脳が電波なのでどこまでブレーキとして機能するかは微妙である。

 

 

 

 

ちなみにもう少し後に冬眠から目覚めた八雲紫は真っ先に夢美へ注意することから開始した。

 

オオスが夢の世界で紫へ色々あったとメッセージを送付してきていた。

 

紫は自分が冬眠していた間に滅茶苦茶になっていると思った。オオスから報告があるのは嬉しいので良しとした。

 

それを見ていた伊吹萃香から頭は大丈夫かと心配されたので紫は久しぶりに喧嘩した。

 

オオスの勢力はもう仕方がないしまだ良いとした。

 

紫はオオスに甘いと八雲藍は指摘したが教育的指導を受けた。萃香は進言できる使い魔は優秀だと紫を煽った。

 

色々あったが、まだ収めるようにしていたオオスよりも紫的には一番夢美が危なかった。

 

だが、夢美は幻想郷にとって有益な人物と判断し、取引を考えてもいた。月の賢者よりは信用できる超技術の持ち主である。

 

 

 

ドレミー・スイートはオオスの振る舞いに慣れてきたので夢の世界での紫のメッセージ程度は許可した。

 

ドレミーは八雲紫が夢の世界でこそこそ暗躍するのも辞めてほしいが、オオスが仕出かしかねないような逸脱までしていないので行為を止めるまでは至っていない。

 

紫を責めるならば、ドレミーとしては月の世界の奴らの方が問題である。

 

槐安通路の存在にも文句を言いたいが既に手打ちになっているので偶に脅す程度に留めている。

 

…オオスの潜在能力はそれらが霞むレベル、夢の支配者なのでドレミーは分体ではなく本体が見張っている。

 

夢の世界のオオスは他の夢の住民が現では出来ない潜在的な感情を発露して好き勝手する中では現と全くといって良いほど変わらない。

 

オオスは現でも夢でも変わらず変なことを仕出かすのでドレミーとしては問題である。

 

夢の世界をギリギリ乱さない範囲で好き勝手しているがオオスが相当ドレミーに配慮して自制していると夢手帳でわかるので始末に負えない。

 

ドレミーはオオスに女誑しという印象を抱いていたが、周囲が勝手に勘違いしているだけなのではと思うようになっていた。…気を緩めるな夢の支配者。

 

 

 

現に戻り、マッド二人はお互い重なる実験ではデータ等を共有しないかと話し合っていた。

 

オオスとしてはパチュリーとの先約もあるので慎重に交渉していた。

 

夢美は実験機材が足りないのでオオスに相談していた。夢美は香霖堂にも寄っていたが、見た目重視で碌なのがないとボヤいていた。

 

夢美は森近霖之助に品揃えに関して文句を言いつつ、使い方は教えなかった。

 

オオスはまたあの店で非売品が増えても困るので夢美に香霖堂のルール、何か使い方を教える時は高値に釣り上げて交渉することを教えた。

 

 

 

「無縁塚って場所で道具を集めているみたいだけど…貴方はいかないの?」

夢美はオオスが香霖堂という間接的な手段で購入する現状に疑問を抱き尋ねていた。

 

幻想郷で最も危険というが、オオスなら対策して行きそうだと思っていた。

 

夢美は案内があれば行きたいと思っている。夢美目線では香霖堂では余りにも骨董品が多すぎるので自分で一から作った方が早かった。

 

 

「…あー」

オオスは過去の失態を思い出した。

 

…オオスは無縁塚について考えないようにしていたが、今ならば行けそうではあった。

 

皮肉にも自分が信仰されたことでそれなりに歯止めが効くようになっていた。地獄の業火様々だとオオスは思った。

 

なお、それが原因でとんでもないのから目をつけられているとまだ知らない。

 

 

「秋の彼岸に弔いついでに色々拾っているみたいですね。彼は」

オオスは霖之助の道具の仕入れが墓泥棒の類だと思っている。

 

死者の弔いをしているのでオオス的には問題なく香霖堂の品々を買っている。

 

 

オオスは外の世界で死者が出た冬の時期を過ぎているので今ならば色々有りそうだと思った。

 

弔いの儀式ならばオオスは得意である。ついでに何度か無縁塚の方に行く予定はオオスもあった。

 

「…何か問題があったのかしら?」

夢美はオオスの様子から何かあったのかと思った。

 

当たっているが、夢美は無縁塚に関しての情報をあまり知らないので推測の材料すらなかったのでほぼ勘である。

 

 

「いいえ、大丈夫です。…元々行く予定はあったので。何なら今度一緒に行きませんか?」

オオスは夢美を誘うことにした。気持ちの整理がついた礼でもある。

 

オオスは自分の変化を受け入れて行動すれば問題ないと断言できた。

 

 

無縁塚は冥界や三途の川や異界にも繋がる結界の綻びのような場所である。

 

そして、様々な外界の道具が落ちて来る場所であった。

 

オオスの異界に関する知識と夢美の科学力があればほぼ問題ないと確信できた。

 

そんな環境に女性を誘うというのはどうかと思うが、オオスはマッドサイエンティスト岡崎夢美なら問題ないと判断した。

 

 

 

「…えっ!?そう、私も一緒に良いかしら?」

夢美は激しく動揺した。だが、一瞬で落ち着いた。

 

夢美は無縁塚だろうが気にしないが、これはデートというのではないかと思った。

 

 

無縁塚に行くデートがあってたまるかと幻想郷の住民ならツッコむのは間違いない。

 

…一部のおかしい奴らは除くが。

 

 

「勿論、というか本当に大丈夫ですか?」

オオスは夢美の動揺の真意がわからない。

 

オオスは流石に失礼だったかと夢美に対するマッド評価を少し下げて、人間的評価を上昇した。

 

 

オオスと夢美が交流すると夢美の反応によってオオスの好感度パラメータが変化する。

 

ゲームについてそれなり以上に詳しい人物が視認できたならば、まるで恋愛ゲームだと言うだろう。それにプラスして何のジャンルかは何かわからないが。少なくとも恋愛ホラーではない。もっと何かアレンジというにも烏滸がましい何かだ。

 

 

その後、オオスと夢美は具体的な日時と装備等を話し合い、雑談を始めた。

 

 

夢美は魔法の森の魔力の影響で魔法使いとなったお地蔵さん、矢田寺成美を言いくるめて生命の魔法を研究しているらしい。

 

オオスは基本一人が好きな成美を知っていたが、偶に人恋しくなる時もあると察してもいた。

 

オオスは成美も変なのに引っかかったなと思った。当たり前だが、第三者視点で言えばオオスが一番変である。

 

オオスは個人の意志を尊重するので成美相手は挨拶程度である。孤独が好きなら適度な距離だとオオスは思っている。

 

紙芝居屋として、アリスが傘地蔵にしたのは本当かと成美を問い詰めたことは過去にある。

 

魔理沙がお地蔵さんに傘かぶせて廻ったのはアリスが犯人とか言うのでオオスはそれだけは気になっていた。

 

 

二人とも自分が変であるとは欠片も自覚していないし、自分が多少アレなところはあるが、人よりもまともだと思っている頭電波である。

 

オオスも夢美をマッド以外はまともと認識していた。夢美も同様の認識であった。

 

オオスの行為は紙芝居屋という職業から逸脱しているように感じていない。

 

紙芝居屋はあらゆる魑魅魍魎を理解し、伝播させて黄金の髑髏で嗤うのだ。

 

 

二人ともに目を取り出して洗浄することを勧めたいが、オオスはそれを本気にしてやるような奴である。夢美も機材が揃えばやるかもしれない。

 

 

レミリアもオオスは言葉は通じるのに話が通じない奴と匙を投げている。

 

似たような奴である岡崎夢美が幻想郷に来たと知ったら怖くて睡眠時間が削れるのは間違いない。

 

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