嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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変なTシャツ

 

5月も半ば頃、幻想郷も梅雨の季節が近づいていた。

 

空がおかしいので心当たりがないか部下に聞いた。

 

オオスも酷くなれば調べるが、妖怪として長年生きてきた経験を尋ねるよい機会だった。

 

聞き取りの結果を纏めると地震の前兆がこのような感じだった気がするという話であった。

 

オオスは地震の前兆で様々な気象に変化があると知っていた。

 

オオスは阿求に念の為に報告した。オオスも対策はするが、それを無効化はしない。

 

それが人為的な物で無い限りはオオスは天変地異をそれはそれで受け入れる。

 

弱肉強食の地上で生きとし生けるものの理だからである。

 

オオスは四季のある日本で生まれ育っていたのもあり、ありのままなら受け入れていた。

 

 

外の世界では邪神を使って人類滅亡クラスの天変地異を引き起こす輩がいた。

 

外に居た頃のオオスはそういう輩は他組織と提携してでも徹底的に潰した。

 

オオスは人類が滅びるにしても神などという糞みたいな存在には滅ぼされたくなかった。

 

結果、南緯47度9分西経126度43分の海底都市に住むとある邪神は完全に引きこもった。

 

他の邪神達も地球の人類を利用しようと考えていたが、見なかったことにした。

 

オオスは警戒しているが、彼らからすれば余りにも労力に見合わない。

 

普通に地球以外で復活する方針を選択した。オオスはそれだけのことを仕出かしていた。

 

地球に関しては自分はやらないが他の奴がやって潰しあえというのが現状である。

 

 

 

幻想郷以外のとある異界にて二柱の女神が顕現していた。

 

一人は神ではなく仙霊と評している。異界の民は出来る限りの持て成しをしている。

 

今まで見たことのない化け物が現れたと思ったら、それを瞬殺した女神に畏怖していた。

 

勿論、自分たちが対処していたら相当な被害があったと思われる。その感謝もしているが、怖いものは怖い。

 

 

「変ねぇ…」

ヘカーティアは変なTシャツ、ではなく状況に違和感を抱いて呟いた。

 

ヘカーティア・ラピスラズリは地獄の女神である。神の中でも冒涜的な存在も認知していた。

 

 

現在、ヘカーティアは地獄ではなく異界を捜索していた。純狐と散歩感覚で歩いていた。

 

散歩していたら、何故か地球に執着していたはずの邪神達が異界に進出していた。

 

ヘカーティアは異界の地獄はともかく異界に関しては管轄外であるので理由はわからない。

 

 

「そういえばこういう奴を知らないかしら?…知らない?ああ、そう」

ヘカーティアは異界で暴れていた邪神を対処して恩を売り、ついでに尋ねていた。

 

既に何箇所か巡り、結果的に信仰が高まっている。だが、全然見つからなかった。

 

 

「アレ、貴方達で対応できそう?」

地球を滅ぼせる邪神達だが、地球を飛び出してすぐ動くような奴は弱い部類である。

しかも、ドリームランドに大半は力を封じられているはずである。

 

今は異界の影響で活性化しているが、地球の環境ならば地球の人間達でも決死隊を編成し、適切な術を用いれば封印可能な邪神でもある。

 

ヘカーティアが知る限りでは地球の人類はそうやって対処法を編み出してきた。

ヘカーティアは月の都や天界は偉そうにしても特に何もしていないことを知っていた。

天界の天人の一部がアドバイスする程度である。なお、月の都は本当に何もしない。

 

ヘカーティアは純狐がボコボコにしているのを指さして異界の民に対処可能か尋ねていた。

 

基本的に異界の環境で進化した生命体ならば独自の技術や力で対抗できるのが大半だ。

 

ヘカーティア達は何時までもいるわけではないので純粋に心配もあり、その防衛力に関して尋ねていた。

 

 

「今の環境だと難しい…?アレ多分、しばらくしたら復活するから対処できるようになっていなきゃ駄目よ?」

ヘカーティアは神として忠告した。ここの異界の神はヘカーティア達に姿を見せない。

 

それに関しては不敬も甚だしいが、異界に住む者の持て成しから寛大に振る舞っていた。

 

 

なお、異界の神々は自分たちを瞬殺できる力を持つヘカーティア達に恐怖して引きこもっていた。

 

異界の住民を邪神が間引いたところで神の威光を見せつけてやるつもりだったのだが、ヘタレてしまっていた。

 

 

「…復活が十年後くらいなら頑張って自分たちで何とかしてみる?偉いわね」

ヘカーティアは異界の民がなるべくは自力で頑張るという姿勢を評価した。

 

実際、復活にはそれ以上なのでこの異界も大丈夫だろう。

 

 

「純狐!そいつの相手を変わってくれないかしら?ちょっと私も殺りたいわ」

ヘカーティアは異界の民に対邪神のデータを残す為に能力を引きずり出すことにした。

 

なお、異界の民は玩具のように遊ばれる邪神を若干哀れんだ。流石に自分たちの為とは思えないでいた。だが、復活した場合の参考の為にデータはキチンと記憶していた。

 

 

「そう…悪かったわ」

ヘカーティアの真意を察した純狐は大人しく引き下がることにした。

 

純狐も力を振るえる相手は中々いないので退屈はしていなかった。

 

まぁ、月の都を滅ぼし、嫦娥を殺すというのを忘れはしないが。

 

 

「さて、今回は雑魚だったから最悪何とかなっていたでしょうけど、ここの神は何をしているのかしら?」

ヘカーティアは純狐と交代で適当に相手にしつつ、異界に被害を出さないように殺すことにした。

 

 

今回の邪神はともかく強大な邪神は長いこと潜伏している可能性もあった。

 

今相手にしている邪神の類はその異界の神が対応する責任が発生する。

 

 

そもそもは都合の良い地球に邪神の数々を押し付けていた。それが返ってきた形でもある。

 

これが地球の民の行為だとしたら異界の民が責めることはできないとヘカーティアは考えている。

 

それ程の力が地球の民にないと知っているのでそれはないとヘカーティアは考えている。そもそもそれが原因で狙われていた。

 

ヘカーティアは地獄の神としてヤバいのが纏まって動いたら流石に不味いというのもあり、死後まで干渉してきた場合を除き邪神達の対応は控えていた。

 

それを知る地球の地獄の女神でもあるヘカーティアとしては根本的には異界に何かあっても自業自得だと考えている。

 

ヘカーティアは昔、生者の世界と協力してでも総力を挙げて迎え撃つつもりだった。

 

地球一つを犠牲にするという判断を下したので無駄となったが。その性質が面倒臭いのは理解していた。

 

今も対応している邪神達は弱い邪神だろうと数十年から数百年間隔で復活するので根絶は不可能に近い奴らである。そして、強い邪神は真っ当に強いので天災のような物である。

 

地獄の女神ヘカーティアはそれらを放置して地球に残る者達から武器を取り上げ、完全に逃げた月の都がダントツで嫌いであったりする。

 

 

……そう考えれば地球は何故滅びていないのか。ヘカーティアは不思議に思った。

 

地球が滅んで他に進出するならわかる。信仰も無しに何度も復活できるような存在である。

 

地球という餌場を無視してわざわざ攻めにくいはずの異界に進出するのが不明瞭だった。

 

地球で力を増幅させていたならば、ドリームランドの封印を解いていたならば、今相手にしている邪神もこのように容易く被害無しで対処はできない。

 

ヘカーティアがそれを邪神達に直接聞くという発想に至るまでには相当時間が経過してからだった。

 

ヘカーティアが様々な異界を回って気がついたのは情けない神が多い中でその民達は努力している者が多いことだった。

 

ヘカーティアはその姿勢を微笑ましく思っていた。こういう者達は基本的に地獄へ来ないのが残念でもあった。そもそも自分から臨んで来るような者はまずいない。

 

 

 

そして、幻想郷にいる元凶のオオスは紙芝居屋と平行して精神鍛錬を中心に行っていた。

 

まさか邪神達の大半が地球外の異界へ進出していることなど知りようがないので来ること前提で返り討ちにする為に力をつけていた。

 

オオス、『✕✕✕✕✕』が死んでいるとわかれば大半は戻ってくるので杞憂でもなかった。

 

本来、彼らにとって地球の人類程扱いやすい生命体は中々いなかった。

 

ある程度賢くある程度愚かという都合の良い存在であった。

 

ちなみにそれで生きていたら二度あることは三度あると判断し、また出ていく。

 

実際、信徒である深きものどもからの報告にルルイエの主は激怒した。

 

やる気になったらまだ生きていたとかいう理不尽過ぎる現象に再び眠りについている。

 

 

今では霊夢達にボコボコにされている野郎だが、狂気の世界の住民を発狂させる力は健在だった。

 

 

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