時にオオスは天候や気候を操れる魔法を有していた。ついでに言えば、先日は人里でかき氷を妖精たちと売っていた。
魔理沙と一緒にいた霊夢も目撃しており、何ならかき氷を買って帰った。
ちなみに霊夢もオオスにツケとか何とか言わない。
嘘か本当か地獄の果てまで金を払わなければ追いかけられると聞いてはいた。
霊夢からすればオオスが本気で取り立てに来られるのは面倒臭いことこの上ない。
博麗神社に嬉々として取り立てに来ることは明白である。
そして、幻想郷で異常な天気になってきたと薄々勘づき始めた頃合い。誰をまず疑うか。当然、オオスである。
慧音は様々な人と関わる関係で違和感に気が付き、オオスに犯人ではないかと尋ねてきた。
「違う。まぁ、疑うのはわかるが」
オオスは慧音の疑いを失礼だと思いつつ、まぁ疑うよなと納得した。
「いや、それなら逃げた方が良くないか?疑われるのは確実だが…その、な?」
慧音はオオスに逃げるように勧めた。慧音視点だと今度こそ殺されかねない。
いつぞやの花が咲き乱れる時、オオスをぶち殺すと霊夢が息巻いていた。
それを見ていた慧音としては本気で不味いと思っている。
犯人が別にいるのなら落ち着いてから戻った方が良いと言いたくもなった。
「紙芝居があるのだが。私はこの天気に干渉するくらいは造作もない」
オオスは自分の仕事を放棄できないと語った。
大雨等では中止するが、不安定な天候を操作することは自然の範囲であると思っている。
「……紙芝居が仕事なのはわかるが、不安定な天気で続けるのもどうかと思うぞ」
慧音はオオスが自然体で天候を弄る気満々なのをツッコんだ。同時に言いくるめてもいた。
「……確かに一理ある」
オオスは慧音の言葉で納得した。不安定な天気である。
外が怖くて紙芝居に来れないような子ども達もいるかもしれない。
冊子を増刷しても良いが根本的な解決にならない。
かといって異変の元凶を勝手にぶち殺すのも不味い。
「異常気象により休むとしたらどうだ?お前が休むのならば疑いもなくなると思うぞ」
慧音はオオスに言いくるめを続けた。
オオスが紙芝居を休むほどの異常事態となれば間違いなく犯人ではないと里人は確信する。
オオスは春雪異変の時、元凶にテロしに言ったのは今でも有名である。
慧音達はどこの誰がやったのかわからないが、非常事態であった。
大雪で紙芝居が出来ないとオオスはしばらく空けていた。
それに並ぶ程ではないが、地震が起こる等の不安がどこからか出ていた。地震云々はオオスの仕込みである。気が付かれない程度に噂を撒いていた。
現に比那名居天子すら地上の民が天気の乱れがどうのこうで噂していても気にはしなかった。
「まだ被害もないからなぁ…」
オオスは独り言を呟いた。大した被害はないのだ。
オオスが今いなくなれば人里で水面下で進めている地震対策にパニックになるかもしれない。
「私は心配なんだ。…わかってくれないか」
慧音はオオスが後一押しという段階であると確信し、情に訴えた。
慧音からすればオオスが本気で殺されかねないので本心である。
「……臨時休業という形でなら」
オオスは慧音の説得に折れた。慧音に善意で言われるとオオスとしても譲歩せざるを得ない。
オオスは諸事情のため紙芝居は臨時休業と宣伝した。
そして、勘の良い里人はオオスを疑っていたが消え失せた。
今度は誰が犯人なのかと話題になったが、オオスの紙芝居を止めたのだから悲惨な目に遭うだろうと噂した。
オオスが紙芝居を自主的に臨時休業等今までなかったからだ。
オオスの紙芝居をしていた土地には代わりに無人販売所が置かれていた。
無人販売所にはオオスの土地であることも書かれていた。
オオスは地味に四季映姫から言われたことをついでにやっていた。
冬に集雪場として利用している土地はオオス所有であった。
当たり前のように使っていたが、感謝すべきであると里人は思いだしていた。
無人販売所には基本的に腐らない玩具や日差しに直接当たらないように冊子が置かれている。
夏なので菓子等は直接置けないので代わりに菓子引換券があった。
オオスは里の他の店に依頼し、菓子を保管してもらっていた。
手数料で小金稼ぎにはなり、店の宣伝にもなるので応じる店はそこそこあった。
なお、妖精が金を払わずに商品を持っていこうとしたら一回休みになった。
オオスは妖精だろうが金を払わずに持っていくのを許さない。
当たり前だが、金を払わずに持っていく者は居なかった。
無人販売所だろうが、大多数の里人はオオスならやると思っていた。それがガチだっただけである。
というよりもオオスが隠れて見張っているのではと噂になった。もしそうならば一部の人妖にとっては天気云々よりも余程恐ろしい事態である。
オオスの科学力は幻想郷では魔法としか表現できない産物である。無人販売所はオオスの想定外に畏敬の思念が溜まっていた。
ちなみに無人販売所は古明地こいしにも反応する防犯システムである。オオスの泥棒は許さない金払えという執念の産物は一部とはいえ月の技術を凌駕していた。
そんな異常物品である無人販売所は勝手に噂が広がりオオスそのものと重ねられていた。
結果、段々分社のように変質していっていた。オオスは異変解決後までそれに気が付かなかった。
慧音に色々言われたので紙芝居できない自分の代わりに作成した自動販売機みたいな扱いである。
有り得ない仮定だが自分の神社の分社を作った、あるいは作られたとして、それが無人販売所などとはオオスすら馬鹿馬鹿しいと考えもしない。
だが、無人販売所に投入する金はお賽銭箱のような物だし、販売している玩具には多少だがお守りのような機能を有していた。
万が一人里に地震があった場合に備えての物だったが、余計な機能をオオスは追加していた。