嘘つき探偵と幻想郷   作:kohet(旧名コヘヘ)

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…ひょっとしてお気に入り?年考えた方が良いんでない?

博麗神社の宴会はピークに達していた。

オオスは口八丁手八丁で会場を盛り上げていた。

 

「フハハハハ!お次は妖怪神社の巫女の真似だ!

 『博麗神社の素敵なお賽銭箱はそこよ。ああ、入れるのは一円札からね』」

オオスは宣言した通り、完璧な博麗霊夢を演じ切る。

姿や恰好が違うのに一瞬だけ霊夢がそのままそこにいた。

 

なお、皆は最初こそ驚いたが、オオスが誰も彼も演じられるので物真似芸として見世物になっていた。

 

「だははは!そのまんまだ!そのまんまの霊夢だぜ!!」

魔理沙はツボに嵌った。ゲラゲラと笑いだして止まらない。

 

「魔理沙、笑うな!あと、私はそんなにがめつくないわよ!!」

霊夢は魔理沙に詰め寄った後、自分はあそこまで酷くないと言い切った。

 

「…この間、来た時そっくりそのまんま同じことを言われたのだけど?」

咲夜はぼそりと呟いた。

 

「霊夢ってあんな感じよね。大体」

呟きが聞こえたアリスも同意した。アリスの知る霊夢も昔からあんな感じである。

 

「……あんた化け狐か、化け狸の類じゃないわよね?」

霊夢は周囲の反応にオオスが自分に化けているのではないかと疑いの目を向ける。

そこで自らを省みないのが霊夢である。

 

「失礼な!これはただの技術。紙芝居屋としてのスキルだ」

オオスは声帯模写等を紙芝居屋の技術と言い切った。

 

「紙芝居屋ってそういうものだっけか?…いつもの胡散臭い敬語抜けて来たな」

魔理沙は笑いが抜け目尻の涙を拭いながら紙芝居屋万能論を唱えるオオスを見た。

それとオオスの敬語が段々抜けて来たことに気が付いた。

 

「相当酔っているんでしょう。お酒が抜けたら元に戻るわ」

咲夜はオオスが紅魔館で酔って似たようなことになったのを思い出した。

前にレミリアがオオスを酔わせて弱点を聞き出そうとしたことがあった。

だが、オオスは酔うといつも以上に言葉に容赦がなくなり、レミリアは泣いた。

 

「さあさあ、次は誰を演じて見せようか?リクエストがあればどうぞ!」

その日、オオスは『役者』として客席を沸かせた。

 

 

 

宴会が終わり今日は解散となった。

なお、その日のオオスは後片づけも手伝えない程酔っぱらっていた。

 

「あー…頭が痛い」

オオスは顔を青くしてフラフラになりながら紅魔館内を歩いていた。

もはや自分で帰れそうにないので、パチュリーの魔法で紅魔館まで運んで貰った。

 

「飲みすぎよ。大分飲んだわね」

咲夜はオオスを窘めるように言った。

咲夜も咲夜でオオスがここまで酔うとは思っていなかった。

『次の宴会』では気をつける必要がありそうだと心の中でメモをした。

 

「面目ない。ああ、パチュリー?二日酔いの魔法とかない?」

オオスはもう完全に酔っぱらって戯言をぬかす。

 

「酔い過ぎね。あってもしないわよ」

パチュリーは自業自得と切り捨てた。

 

「うー…」

レミリアはオオスより遥かに酷い状態だった。

オオスを甚振る絶好の機会のはずなので後々レミリアは後悔しそうである。

 

「お嬢様も酔い潰れていますわ」

咲夜は背負ったレミリアを見て呟いた。

まさか吸血鬼である主が真っ先に潰れるとは思わなかったと従者として反省していた。

 

「レミィから酔い潰していた辺り、本能でこうなることをわかっていたんでしょうね」

パチュリーは咲夜の様子を見てフォローした。

オオスがレミリアに口八丁手八丁で飲ませまくっていた。

最もパチュリーが見ていた限り、売り言葉に買い言葉で吸血鬼という種族に胡坐をかいて飲みに飲んだレミリアが悪かった。

 

「いつもの部屋で寝てなさいな。また『次』もあることだし加減を覚えるには良い薬ね」

咲夜はそう言ってオオスに紅魔館内の一室で寝泊まりするように促した。

 

「そうね。おやすみなさい」

パチュリーはオオスに寝るように促した。

 

「そうさせて貰おう。…ありがとう。おやすみ」

オオスは心の底から感謝の言葉を述べた。

 

 

 

「あー、面白かった。…後であいつ攫っちゃおうかな?」

鬼は予想以上に面白い宴会でご満悦だ。

そして、多種多様な芸を持つオオスに興味深々だった。

オオスがいれば宴会芸で困ることはなさそうだと攫うことを真面目に考え始めた。

 

すると、

「駄目よ。萃香」

何もないはずの隙間から鬼を止める声がした。

 

「あれ~紫、どうしたの?」

鬼、萃香は声の主に気が付きその方へ振り返った。

鬼である伊吹萃香は幼い容姿であった。

深紅の瞳に薄い茶色のロングヘアーを先で一つにまとめている。

身長と不釣り合いに長くねじれた角が二本あるのが鬼であることを証明していた。

服装は白のノースリーブに紫のロングスカートで、頭に赤の大きなリボンをつけ、左の角には別に青のリボンを巻いていた。

 

「みんなを操って萃め続けるのもいいけど、おいたが過ぎるわよ」

そう言った八雲紫はいつもより言葉に刺があるような気配がした。

最も、紫と長年の付き合いである萃香の勘でしかないが。

 

「う~ん?…ひょっとしてお気に入り?年考えた方が良いんでない?」

萃香は冗談交じりに紫に言った。

 

「フフフ。萃香。流石に怒るわよ」

紫は扇で口元を隠してそう言った。目が笑っていない。

 

「怒ってんじゃん」

萃香は紫に指摘した。怒っていた。

 

「怒っていないわ」

紫は怒っていないというが相変わらず目が笑っていない。

 

「怒ってるって。…まぁ、いいや。また操って萃めよう。それなら良いでしょう?」

萃香は紫にやれやれと言わんばかりに妥協した。

 

「ほどほどにしてね。あんまりやり過ぎると気づかれるわ」

紫は妥協案を受け入れながらも萃香に程々にするように警告した。

 

「…何か紫のお気にはもう気づいているっぽいけど。アレはもう完全に無視決め込んでいるね」

萃香はオオスが勘付いていることに気が付いた。

だが、同時にもう完全に無視していることにも気が付いた。

鬼である萃香すらどうかと思うくらい清々しい他人任せっぷりだ。

オオスは誰かに頼まれでもしない限り今回の異変では動かないだろうと思った。

 

「だったら他の連中が気付く訳が無いでしょ?それに気が付いたとしてもねぇ」

萃香は己の能力に絶対の自信があった。まずバレることはない。

仮にバレたとしても問題なかった。

 

「私は鬼よ。何にも恐れる事は無いわ」

そう言い放つ萃香の態度には自分の強さを疑っていないすっきりとした傲慢さがあった。

 

「相変わらずね。…本当にそうなのが厄介だわ」

紫は萃香の様子を見てそう呟いた。

 

 

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