後に夜が明けない異変として語られる永夜異変が終わり朝を迎えた。
その真相を知るオオスは勿論何も語るつもりはない。
今回、オオスは不幸にも巻き込まれただけである。
レミリアが起こした紅霧異変と同じである。
だが、それを信じて貰えるかは別だった。
異変解決直後。永琳と八雲紫は二人だけで話し合いをしているようだ。
他の面子は帰ったりその場で歓談したりしていた。月は元に戻り、夜は明けたのだから。
そして、解放されたオオスは何故か来ていたレミリアと咲夜から詰問を受けていた。
オオスは弁護人として輝夜を呼んだ。
二人に対して誰がなんと言おうが弁護士を呼ばなければ何も話さないと黙秘権を行使した。
そこで敵の首謀者である輝夜を弁護士につける発想がもうオオスであるとレミリア達は思った。
永遠亭の一室で被告人オオスと弁護人輝夜、検察兼裁判官レミリア達は話をしていた。
オオスとしては検察と裁判官を兼ねているのは権力の横暴だと言いたいところだ。
「私も少しばかり嘘つきという自覚はあるが、約束破りは絶対しない。
レミリアさんには何かするつもりなら相談すると約束していた。
よって、私は巻き込まれただけの被害者です」
オオスはレミリアと咲夜に弁解する。自分は巻き込まれただけの被害者だと言う。
「…まぁ、いいわ。信じましょう」
レミリアはやけに聞き分けが良いとオオスは思った。弁護士はいらなかった。
だが、
「それで?今回は何を仕出かしたのかしら?」
レミリアは何を仕出かしたか吐けとオオスに詰め寄る。弁護士は必要だった。
「特に何も。お茶飲んで日向ぼっこしていました」
オオスは本当のことを言う。
実際、何かしようものなら永琳に止められただろうとオオスは考えていたので何もしていないと思っていた。
「嘘よ!!そんなこと言ってないで、何をしたのか吐きなさい!」
レミリアはオオスの言葉を信じない。
何て聞き分けのない吸血鬼なのだとオオスは思った。
「嘘じゃないわよ。私と大体一緒にいたし」
弁護士の輝夜は仕事をしてくれた。やはり弁護士は呼んで正解だったとオオスは思った。
そして、何故か咲夜が黙りっぱなしで怖い。
「ほら、輝夜さんも言っているでしょう?私のような善良なる一般里人は部屋の隅で縮こまって怯えて仕方がなかったんです」
オオスはここぞとばかりに自己弁護を開始した。
ここで弁護士の弁護に加え、自らが被害者であることを強調していくつもりだった。
しかし、
「いや、それはないわ。寧ろ、積極的に脅していたわよ」
弁護人であるはずの輝夜はオオスを後ろから刺した。何て役に立たない弁護士だとオオスは思った。
だが、輝夜からすればオオスは鈴仙を一時再起不能にし、その後に自分達をも脅していた。
さらに、オオスは捕虜としての待遇改善を求めると主張し、いつの間にかてゐと共に妖怪兎たちを率いてデモ行進し始める等オオスは色々仕出かしていた。
なお、名目上とはいえ兎達のリーダーであるはずの鈴仙は全く役に立たなかった。
叱られるのは勿論リーダーである鈴仙である。
「ほら、見なさい!やっぱり何かしたんでしょう!?」
レミリアは輝夜の言葉に言質を捕らえたと言わんばかりの表情でオオスへ詰め寄って来る。
「?」
だが、オオスは全く心当たりがない。
権利を主張しない者は権利に胡坐をかくも同然である。
オオスにとって、輝夜の考えるそれらの行為は生物が生きる為に呼吸をするのと同じだった。
「お嬢様。多分、無意識で脅していたので本人も自覚がないパターンですわ」
咲夜はオオスの生態をレミリアに説明した。呼吸のようにマウントを取る生命体なのだと。
「本当に性質悪いわね!こいつ!!」
レミリアは日頃の自分への仕打ちを思い出し、叫んだ。